
オフィスのブランド体験を高めるデザイン
音と空間から、来社者と社員に企業らしさを伝える
会社案内やWebサイトでは、企業理念、事業内容、将来像、働き方を言葉で説明できます。
しかし、来社者や社員がその会社をどう感じるかは、言葉だけでは決まりません。
エントランスへ入った瞬間の印象。
受付で待つ時間。
社員の姿や声。
足音、扉の音、照明、素材、家具、会議室での話しやすさ。
人は、目に映るものと耳から入るものを無意識に重ね合わせながら、その会社への印象をつくっています。
オフィスは、社員が仕事をするためだけの場所ではありません。
来社者には企業の姿勢や価値を伝え、社員には自社の文化や考え方を日常的に体験してもらう場所です。
だからこそ、これからのオフィスデザインには、見た目をつくる空間設計だけでなく、聞こえ方をつくる音の設計が必要です。
オフィスは、企業を説明する場所から体験する場所へ
企業は、会社案内、採用サイト、営業資料などを通して、自社の理念や強みを説明しています。
「人を大切にする会社です」
「自由な対話を重視しています」
「高い技術力と信頼性を提供しています」
しかし、実際に訪れたオフィスが、その言葉とは異なる印象を与えていたらどうでしょうか。
受付で社員同士の会話がすべて聞こえる。
扉や足音が大きく響く。
待合が静かすぎて緊張する。
会議室では相手の声が聞き取りにくい。
社員がどのように働いているのか、まったく見えない。
こうした体験があると、会社が発信する企業像と、来社者が実際に感じる企業像の間にずれが生まれます。
企業理念を言葉で説明することはできます。
しかし、その言葉に納得してもらうためには、実際の空間で同じ価値を感じられることが必要です。
会社案内に書かれた企業らしさと、オフィスで体験する企業らしさが一致する。
その状態をつくることが、オフィスにおけるブランド体験の第一歩です。
オフィスには二つのブランド体験がある
オフィスのブランド体験には、大きく二つの方向があります。
一つは、来社者に対するブランド体験です。
取引先、顧客、採用候補者、協力会社などがオフィスを訪れたとき、その会社をどのように感じるか。エントランスから受付、待合、会議室、退出までの体験全体が、企業への印象をつくります。
もう一つは、社員に対するブランド体験です。
社員が自社をどのような会社だと感じ、どのような価値観を共有し、どのように働くか。オフィスは、企業文化を社員へ伝えるインナーブランディングやインターナルマーケティングの場でもあります。
来社者にだけ魅力的でも、社員が企業らしさを感じられなければ十分ではありません。
反対に、社員にとって働きやすくても、来社者へ企業の価値が伝わらなければ、社外へのブランド体験としては弱くなります。
オフィスでは、社外と社内の両方に対して、一貫した企業らしさを伝える必要があります。
空間デザインが企業らしさを形にする
企業らしさは、ロゴやコーポレートカラーだけでは伝わらない
企業らしいオフィスというと、ロゴを大きく掲げたり、コーポレートカラーを壁や家具へ使ったりする方法が思い浮かびます。
しかし、それだけでは表面的な表現になりやすく、企業の本質までは伝わりません。
本当に考えるべきなのは、その会社が何を大切にしているのかです。
- 先進性を感じてほしいのか
- 信頼や安定を伝えたいのか
- 人の温かさを感じてほしいのか
- 技術力を見せたいのか
- 活発な組織文化を伝えたいのか
- 落ち着いた専門性を印象づけたいのか
この方向性によって、選ぶ素材、照明、家具、色、形、空間の開き方は変わります。
例えば、技術力を伝える会社であれば、製品や技術を見せる展示、映像、サイン計画が必要になるかもしれません。
人との関係を大切にする会社であれば、社員と来社者の距離感や、自然な対話が生まれる場所が重要になります。
企業らしさは装飾として貼り付けるものではありません。
会社の考え方を、空間の使い方や人の行動へ変換することが、ブランド体験としてのオフィスデザインです。
来社体験は、エントランスだけでなく動線全体でつくられる
来社者の印象は、エントランスの一場面だけで決まるものではありません。
建物へ入る。
受付をする。
待つ。
会議室へ移動する。
商談や打ち合わせを行う。
退出する。
この一連の流れが、企業への印象をつくります。
エントランスで期待を高めても、受付後の動線が分かりにくければ、不安を与えます。
美しい待合をつくっても、社員の会話がそのまま聞こえれば、プライバシーや情報管理への不安につながります。
会議室までの移動中に、企業の商品、技術、歴史、社員の働く姿が自然に見えれば、説明を受ける前から企業への理解を深められます。
来社体験では、場所ごとに次の内容を考えます。
- 最初に何を見せるか
- どこへ視線を導くか
- どの程度社員の働く姿を見せるか
- どこで企業の技術や実績を伝えるか
- 来社者にどのような気持ちで待ってもらうか
- 商談へ向かうまでに、どのような期待をつくるか
オフィス全体を一つの連続した体験として設計することで、企業への印象に一貫性が生まれます。
ゾーニングは、働き方と企業文化を形にする
オフィスのレイアウトは、机や会議室を効率よく配置するためだけのものではありません。
どこで集中し、どこで話し、どこで偶然の交流が生まれ、どこで来社者と接するか。ゾーニングは、企業が求める働き方を空間として表すものです。
例えば、チームワークを重視する会社であれば、社員が自然に顔を合わせる場所や、短い相談ができる場所が必要です。
集中や専門性を重視する会社であれば、会話から距離を取れる場所や、一人で思考できる環境が必要です。
部署間の交流を増やしたい場合は、人の動線が交わる位置に共有スペースを置くことも考えられます。
ただし、交流する場所を増やすだけでは十分ではありません。
会話が執務空間全体へ広がれば、集中したい社員の負担になります。
開放性を重視して壁を減らしても、周囲を気にして相談できない状態になれば、企業が目指した働き方とは逆の結果になります。
空間の配置は、人の移動だけでなく、人と人との心理的な距離や、音の届く範囲まで考えて決める必要があります。
素材は、見た目と聞こえ方の両方をつくる
木、石、ガラス、金属、布などの素材は、空間の印象を大きく変えます。
木は温かさや親しみを感じさせ、石や金属は重厚感や先進性を伝えやすい。ガラスは開放感や透明性を表現できます。
しかし、素材は見た目だけに作用するものではありません。
石、ガラス、金属などの硬い素材が多い空間では、声や足音が強く返りやすくなります。
見た目には洗練されていても、声が響き、周囲の会話が重なることで、落ち着きや信頼感を損なう場合があります。
一方、柔らかい素材を増やせばよいわけでもありません。
必要以上に音を抑えると、空間の活気や社員の存在感まで薄くなる可能性があります。
素材選定では、
- 企業としてどのような印象を伝えたいか
- その場所でどのような会話が行われるか
- どの程度の静けさや活気が必要か
- 音がどの面で返り、どこまで届くか
を同時に考えなければなりません。
素材の視覚的な魅力と、その素材が生み出す聞こえ方を一つの設計として扱うことが重要です。
照明と視線が、企業の価値を伝える
照明は、明るさを確保するためだけの設備ではありません。
どこを見せ、どこに視線を集め、どのような気分で過ごしてもらうかを決める設計要素です。
エントランスでは、ロゴ、商品、技術展示など、企業が最初に見せたいものへ視線を導きます。
待合では、来社者が落ち着いて過ごせる明るさや視線の逃げ場が必要です。
会議室では、相手の表情が自然に見え、資料や画面にも集中できる環境が求められます。
執務空間では、全体を均一に明るくするだけでなく、集中する場所、交流する場所、休息する場所の違いを感じられることが大切です。
光によって空間の意味を分けることで、人は説明されなくても、その場所でどのように過ごせばよいかを理解しやすくなります。
家具は、行動とコミュニケーションを設計する
家具は、空間を埋めるための要素ではありません。
テーブルの大きさ、椅子の向き、座る距離、家具の高さによって、人の行動や会話の生まれ方は変わります。
正面に向き合う席は、商談や議論に向いています。
少し角度をずらした席は、緊張を和らげ、対話しやすい関係をつくります。
大きな共有テーブルは偶発的な交流を生みやすい一方で、周囲へ会話が広がりやすくなる場合があります。
背の高い家具や植栽は視線を適度に遮り、心理的な落ち着きを生みますが、配置によっては閉鎖的な印象を与えることもあります。
家具、動線、視線、会話の距離を一体で考えることで、企業が求める働き方を環境から支えられます。
オフィスのブランド体験に、なぜ音が必要なのか
人は目だけでオフィスを体験していない
オフィスデザインでは、レイアウト、家具、素材、照明、サインなど、目に見える要素が中心になりがちです。
しかし、人は目だけで空間を体験しているわけではありません。
入口で聞こえる足音。
受付で交わされる声。
社員が働いている気配。
扉の開閉音。
空調や設備の音。
企業紹介映像やプレゼンテーションの音声。
こうした音も同時に受け取りながら、その場所の雰囲気や企業への印象を判断しています。
同じ家具、同じ照明、同じ内装でも、声が硬く響く空間と、落ち着いて会話できる空間では、受ける印象が変わります。
周囲の会話が重なって聞こえる空間では、慌ただしさや落ち着かなさを感じます。
反対に、静かすぎて社員の気配がまったく感じられない空間では、緊張や話しかけにくさを感じることがあります。
音は単なる設備上の問題ではありません。
その会社が、落ち着いているのか、活気があるのか、信頼できるのか、親しみやすいのか。音は、企業の印象をつくる重要な要素です。
同じオフィスでも、音によって心理状態は変わる
空間の見た目が変わらなくても、聞こえ方が変われば、人の心理や行動は変わります。
声や足音が硬く返る空間では、緊張感が強くなります。
複数の会話が重なって聞こえる空間では、落ち着きにくくなり、話の内容へ集中しづらくなります。
周囲の会話内容が明確に聞き取れる環境では、聞こうとしていなくても言葉に注意を奪われます。
一方で、静かすぎる空間では、自分の声やキーボード、椅子を動かす音まで目立ち、周囲を気にして発言を控えることがあります。
音の問題は、単純に「うるさいか、静かか」だけでは判断できません。
- 声がどこまで届くか
- 会話の内容まで理解できるか
- 音がどの方向から聞こえるか
- 響きがどのくらい残るか
- 自分の声が目立ちすぎないか
- 周囲に適度な人の気配があるか
こうした条件が、人の安心、緊張、集中、話しやすさに影響します。
来社者は、音から企業の姿勢を感じ取っている
来社者にとって、オフィスは企業そのものを体験する場所です。
受付での会話が周囲にそのまま聞こえていれば、情報管理やプライバシーへの不安につながることがあります。
扉や足音が大きく響けば、無機質さや緊張感を強く感じるかもしれません。
会議室で相手の声が聞き取りにくければ、何度も聞き返す必要が生じ、商談への集中が途切れます。
企業紹介映像の音声が聞き取りにくければ、伝えたい技術や理念も十分に届きません。
一方で、
- 社員の活気は感じられる
- しかし会話内容までは聞こえない
- 落ち着いて待つことができる
- 会議室では相手の声へ集中できる
- 映像やプレゼンテーションの音声が自然に届く
という環境であれば、企業への安心感や信頼感が生まれやすくなります。
来社者は、音響性能を数値で評価しているわけではありません。
しかし、その場所で感じた安心、緊張、話しやすさ、居心地を通して、企業を評価しています。
音は目には見えませんが、企業の接客や姿勢として伝わっています。
社員は、毎日オフィスの音を体験している
来社者がオフィスで過ごす時間は限られています。
一方で、社員は毎日その空間で働きます。
周囲の会話内容が常に聞こえる環境では、意識していなくても注意を奪われます。
自分の電話や相談内容が周囲に聞こえすぎる環境では、発言を控えたり、相談をためらったりすることがあります。
どこにいても複数の声が重なって聞こえる状態では、長時間働くほど疲れやすくなります。
反対に、静かすぎる空間では、自分の声や小さな物音まで目立ち、社員同士が話しかけにくくなる場合があります。
必要なのは、オフィス全体を一律に静かにすることではありません。
集中するときは、周囲の会話内容を追わずに済む。
相談するときは、自然に声をかけられる。
会議では、相手の声に集中できる。
交流する場所では、適度な活気を感じられる。
この使い分けが重要です。
音の設計だけで、社員のモチベーションやチームワークが決まるわけではありません。
しかし、集中しやすい、相談しやすい、話しかけやすいという行動のきっかけを、環境から支えることはできます。
オフィスは社員に対するブランド体験の場でもある
インナーブランディングを日常の環境へ変える
企業ブランドは、社外の顧客だけに向けたものではありません。
社員が自社をどう理解し、どのような会社だと感じるかも、企業ブランドの一部です。
企業理念や行動指針を掲示しても、日常的に体験する環境がその内容と一致していなければ、言葉は社員の中へ定着しにくくなります。
例えば、「自由な対話」を重視している企業でも、周囲に会話が聞こえすぎる環境では、社員は発言を控えるようになります。
「集中と創造性」を大切にしていても、どこにいても電話やオンライン会議が聞こえる状態では、集中することが難しくなります。
「チームワーク」を掲げていても、相談しやすい場所や、自然に会話が生まれる場所がなければ、部署を越えた交流は生まれにくくなります。
企業文化は、言葉だけでつくられるものではありません。
社員が毎日どこで働き、どのように話し、どのように集中し、どのように人と関わるか。その積み重ねによって形成されます。
オフィスは、企業が社員へ向けて、
私たちは、このような価値を大切にする会社です。
と日常的に伝える媒体です。
空間は社員の行動を強制せず、行動しやすい状況をつくる
オフィスを変えただけで、社員の意識や組織文化が自動的に変わるわけではありません。
しかし、企業が望む行動を起こしやすい環境はつくれます。
相談したいときに、周囲を過度に気にせず話せる場所がある。
集中したいときに、離れた会話内容を追わずに済む場所がある。
部署を越えて自然に集まり、会話できる場所がある。
会議では相手の声を聞き取りやすく、発言しやすい。
社員が来社者を案内したくなる、企業らしさを感じる場所がある。
こうした日常の体験は、自社への理解、誇り、心理的な安心感を支える要素になります。
企業が求める働き方と、実際のオフィス体験が一致することで、理念は言葉から行動へつながりやすくなります。
音と空間を同時に設計する必要がある理由
空間を設計した時点で、音の状態も決まり始める
音の状態は、空間が完成した後に偶然生まれるものではありません。
床、壁、天井、家具、ガラス、間仕切り、通路。空間を構成するものが決まった時点で、その場所の聞こえ方も決まり始めています。
硬い素材が多ければ、声や足音は返りやすくなります。
天井が高く、空間が連続していれば、音は広がりやすくなります。
席の向きや家具の配置によって、会話が届く範囲も変わります。
視線を通すためにガラスを使えば、開放感は生まれます。しかし、声の反射や会話のプライバシーは別に考えなければなりません。
交流スペースを執務室の中央へ置けば、社員が集まりやすくなります。一方で、そこで生まれる会話が集中エリアへ届く可能性があります。
つまり、一つの空間判断には、見え方と聞こえ方の両方があります。
だからこそ、空間を設計した後で音響対策を追加するのではなく、最初から同時に考える必要があります。
音と空間を後から分けて考えると限界がある
完成後に音の問題が見つかると、吸音材、間仕切り、家具などを追加することになります。
しかし、後から対応すると、
- 内装デザインと合わない材料が増える
- 開放感を出した場所へ間仕切りが必要になる
- 家具や照明の配置変更が必要になる
- 意匠を優先したため、十分な対策ができない
- 当初は不要だった追加費用が発生する
といったことがあります。
見た目を決めた後で音を処理するのではなく、企業が実現したい体験から逆算して、空間と音の両方を組み立てることが重要です。
吸音材を貼るだけでは音の問題は解決しない
同じ「音が気になる」でも、原因は異なる
音が気になるとき、壁や天井へ吸音材を貼れば改善できるように見えるかもしれません。
しかし、オフィスの音の問題は、すべて同じ原因で起きているわけではありません。
- 室内で声が響いている
- 離れた会話内容が明確に聞こえる
- 壁や扉を通して隣室へ声が漏れている
- 空調や設備音が目立っている
- 周囲が静かすぎて小さな音が気になる
- オンライン会議の声だけが広がっている
同じ「音が気になる」という問題でも、原因によって必要な対応は異なります。
室内の響きが問題であれば、反射する音を抑える必要があります。
隣室への会話漏れが問題であれば、壁や扉など、空間を隔てる部分を見直さなければなりません。
離れた会話内容まで理解できることが問題であれば、吸音だけでなく、席の向き、家具、間仕切り、距離、背景となる音まで考える必要があります。
原因を確認せずに材料を追加しても、本当の問題は残ります。
吸音材は、多ければよいわけではない
吸音材は、貼れば貼るほど働きやすいオフィスになる材料ではありません。
必要以上に音を吸収すると、空間の活気が失われることがあります。
周囲が静かになりすぎることで、電話や会話の内容が以前より目立って感じられることもあります。
社員の声が聞こえなくなり、人の気配まで薄くなれば、来社者に閉鎖的な印象を与える可能性もあります。
また、吸音材にはさまざまな種類があり、すべての音へ同じように作用するわけではありません。
材料の種類、厚み、設置する面積、取り付ける位置によって、結果は変わります。
壁へ設置しても、実際には天井やガラス面から強く音が返っている場合があります。
一つの面だけに対策をしても、反対側の硬い面から音が返り続ければ、聞きにくさが残ります。
つまり、吸音材を貼ること自体が目的ではありません。
何の音が問題なのか。
誰が、どこで困っているのか。
どの程度の響きを残すのか。
どの音を抑え、どの音を残すのか。
それを判断したうえで、必要な場所へ必要な方法を使うことが重要です。
音を減らすことと、よい音環境をつくることは違う
音のデザインというと、静かな空間をつくることだと思われがちです。
しかし、会社によって必要な音の状態は異なります。
活発なコミュニケーションを大切にする会社であれば、社員の存在や適度な活気を感じられることが重要です。
落ち着きや信頼感を重視する会社であれば、声や足音が強く響かない状態が必要です。
技術や映像を通して企業の世界観を伝える会社であれば、音声や音楽が自然に届くことが重要です。
すべての音を消してしまえば、その企業らしい空気まで失われる可能性があります。
必要なのは、音を一律に小さくすることではありません。
- 残したい音
- 抑えたい音
- 相手へ届けたい音
- 内容まで聞こえてはいけない音
それぞれを分けて考える必要があります。
その判断は、音だけを見てもできません。
企業の考え方、社員の働き方、来社者に与えたい印象、空間の用途を理解して、初めて決められます。
場所ごとに異なるオフィスのブランド体験
エントランス
エントランスは、来社者が最初に企業を体験する場所です。
ロゴ、素材、照明、企業展示、社員の姿、映像や音声などが、第一印象をつくります。
ここでは、企業の活気を感じさせながら、足音や設備音が強く響かないことが重要です。
視覚的には先進的でも、音から落ち着きが感じられなければ、企業の印象にずれが生まれます。
受付・待合
受付と待合では、来社者が安心して過ごせることが必要です。
社員の気配が適度に感じられる一方で、受付や執務室の会話内容まで聞こえる状態は避けなければなりません。
素材、家具の位置、視線、来社者と受付担当者の距離、周囲から届く音を同時に考えます。
静かすぎて緊張することも、周囲の会話が聞こえすぎて落ち着かないことも、ブランド体験を弱めます。
会議室・商談室
会議室では、相手の声を聞き取りやすく、発言しやすいことが基本です。
見た目が美しい会議室でも、声が響いて重なれば、話の内容へ集中しにくくなります。
また、室内で話しやすくても、隣室や廊下へ会話が漏れていれば、安心して商談や機密性の高い話はできません。
テーブル、椅子、画面、照明、壁面、扉の位置まで含めて、話すことと聞くことの両方を設計します。
執務空間
執務空間では、集中とコミュニケーションの両立が求められます。
すべての会話を遮断する必要はありません。
社員同士の活動や気配は感じられる一方で、離れた会話の内容まで追わずに済むことが重要です。
席の向き、島の配置、通路、収納、間仕切り、天井、床などが、音の届く範囲や社員の心理的な距離を変えます。
交流スペース
交流スペースは、社員同士の自然な会話や、部署を越えた接点を生み出す場所です。
家具の配置や照明によって人が集まりやすい状況をつくり、声を出しやすい雰囲気をつくります。
同時に、そこで生まれる会話が集中エリアや来客エリアへ広がらないように考えなければなりません。
交流の活気を消さず、必要な範囲にとどめることが重要です。
企業展示・映像空間
企業の歴史、技術、商品、理念を伝える展示や映像は、来社者と社員の両方に企業らしさを伝えます。
映像は画面を設置するだけでは成立しません。
音声が明確に届くか、周囲の会話を邪魔しないか、立つ位置や見る距離に合っているかまで考える必要があります。
映像、音、照明、展示物を一体で設計することで、企業の価値を理解しやすく、記憶に残る体験へ変えられます。
音と空間のブランド体験が会社全体にもたらすもの
音と空間を同時に考えることは、単にオフィスを快適にするだけではありません。
来社者への効果
来社者が安心して待ち、話に集中でき、企業の文化や価値を理解しやすくなります。
商談が始まる前から企業への信頼や期待をつくることは、営業やパートナーシップの土台になります。
社員への効果
集中、相談、会議、交流を場所によって切り替えやすくなります。
毎日過ごす空間が企業の価値観と一致することで、自社への理解や誇りを支えます。
採用への効果
採用候補者は、説明会や面接の言葉だけでなく、社員の働く姿、空間の雰囲気、コミュニケーションの様子からも企業文化を判断します。
オフィスは、採用ページで伝えている企業像を実際に体験させる場所になります。
組織への効果
集中する場所、相談する場所、交流する場所が明確になることで、社員は行動を切り替えやすくなります。
部署間の接点や会議の質、会話のプライバシーを環境から支えられます。
ブランドへの効果
会社案内、Webサイト、営業資料で発信するブランドと、実際に訪れたときの印象を一致させられます。
見た目だけでなく、聞こえ方や過ごし方まで一貫していることで、企業らしさへの納得感が生まれます。
もちろん、オフィスデザインや音だけで、企業の業績や社員のモチベーションが決まるわけではありません。
しかし、毎日繰り返される小さなストレスを減らし、企業が望む行動を起こしやすい環境をつくることはできます。
オフィスの音と空間は、単なる内装ではありません。
営業、採用、社員体験、組織づくり、企業ブランドを支える会社の基盤です。
なぜ音と空間を同時に扱う会社へ依頼するのか
一般的なオフィスデザインでは、レイアウト、素材、家具、照明、動線が中心になります。
音の対策では、吸音材、遮音、スピーカーなどが中心になりやすくなります。
しかし、実際に人が体験するオフィスでは、空間と音は分かれていません。
来社者は、内装を見ながら社員の声や足音も聞いています。
社員は、家具を使いながら周囲の会話や設備音を感じています。
映像は、画面だけでなく音声と一緒に体験されます。
企業らしい空間をつくっても、音から受ける印象が合っていなければ、ブランド体験にずれが生まれます。
反対に、音だけを改善しても、企業の世界観や空間の魅力が失われれば意味がありません。
重要なのは、最初に次の内容を確認することです。
- どのような企業だと感じてほしいのか
- 来社者にどのような時間を過ごしてほしいのか
- 社員にどのように働いてほしいのか
- どこで集中し、どこで交流してほしいのか
- 何を企業の活気として残すのか
- どの会話や音を周囲へ届けないのか
その目的から、素材、形、照明、家具、動線、映像、音の届き方を一つの空間として設計します。
HAGANEでは、吸音材を追加することや、音を小さくすること自体を目的にしていません。
企業がつくりたいブランド体験を起点に、空間の見え方と音の聞こえ方を同時に考えます。
見た目では信頼感を表現しているのに、音は落ち着かない。
開放性を表現しているのに、社員は周囲を気にして会話を控えている。
先進性を伝えたいのに、映像の音声が聞き取りにくい。
社員同士の交流を促したいのに、会話が執務空間全体へ広がっている。
こうしたずれを避け、企業らしい見え方、聞こえ方、働き方を一つの体験として成立させる。
それが、音と空間のブランド体験を専門とする会社へ依頼する理由です。
オフィスを、企業文化が伝わるブランド体験へ
企業のブランドは、ロゴや会社案内だけでつくられるものではありません。
来社者が入口で何を感じるか。
社員が毎日どのような気持ちで働くか。
人と人がどのように話し、集中し、交流するか。
そのすべてが、企業への印象をつくっています。
空間のデザインは、企業らしさを目に見える形で伝えます。
音のデザインは、その空間で感じる安心、活気、緊張、信頼、話しやすさをつくります。
どちらか一方だけでは、ブランド体験は完成しません。
音と空間から、来社者と社員が企業らしさを体験できるオフィスをつくる。
オフィスを、働くためだけの場所ではなく、企業文化を社内外へ伝える場所として考える。
そこから、これからのオフィスデザインが始まります。
対応エリア
HAGANEでは、関西地域(大阪・京都・奈良・滋賀・兵庫・和歌山)、**東海エリア(愛知・三重・岐阜・静岡)**を中心に、オフィスのブランド体験設計、店舗デザイン、リノベーションに対応しています。
物件選びの段階からのご相談や、既存店舗のリニューアル、新規出店まで、プロジェクトの内容に合わせてサポートします。
音と空間から、企業らしいオフィス体験を設計します

オフィスのブランド体験は、内装を美しくすることだけでも、吸音材を追加することだけでも成立しません。
企業が来社者へ伝えたい価値、社員に求める働き方、受付や会議室で生まれる会話、映像や音声の使い方まで確認し、空間全体として設計する必要があります。
HAGANEでは、素材、照明、家具、動線、映像、音の届き方を一つの体験として考えます。
- 来社者に企業らしさを伝えたい
- 社員が自社への誇りを感じるオフィスにしたい
- 採用やインナーブランディングにつなげたい
- 受付や会議室の会話環境を見直したい
- 開放感と集中しやすさを両立したい
- 音と映像を使って企業の価値を伝えたい
こうした課題を、音と空間の両面から検討します。