「気密性が高い家って、息苦しくないんですか?」
「高断熱・高気密ってカビが生えるんじゃないの?」
「そもそも日本はそこまで気密にこだわらなくていいのでは?」
家づくりを考える中で、“気密性”についての誤解はまだまだ多く存在します。
特にネットで「高気密=悪」という情報を見て不安になる方も少なくありません。
でも、僕は断言します。
気密性は、快適で健康な家の“土台”です。
ただし、“バランス”を知らなければ、逆に住みにくくなることもあります。
高断熱・高気密に対する3つの誤解
① 「気密が高いと息苦しい?」
これはもっとも多く聞かれる声です。
でも、実際には気密が高いほど“新鮮な空気”が安定して入ってくるのが正解です。
なぜなら、高気密住宅は計画換気が正しく機能するから。
逆に、気密が甘い家では空気の通り道が読めず、換気扇を回しても空気が入れ替わらないことも。
つまり、息苦しいのは「気密が高い家」ではなく、換気が破綻している家なんです。
② 「カビや結露が発生しやすい?」
これも誤解です。
正しい断熱と気密がセットになっている家では、室内の温度と湿度が安定し、
結露やカビの発生リスクはむしろ低くなります。
カビが発生しやすいのは、
- 断熱材が途切れている(熱橋)
- 隙間風で壁内結露が起きる
- 換気が機能していない
といった「施工ミス」や「性能のアンバランス」が原因です。
気密性そのものが悪さをするわけではありません。
③ 「気密性を上げすぎると費用が高くなる?」
確かに、丁寧な気密施工には手間とコストがかかります。
しかし、その分だけ暖房費・冷房費を抑えられ、生涯的なコストは下がる可能性が高いです。
例:同じ断熱性能の家でも、
C値=1.5の家と、C値=0.3の家では、年間のエネルギーロスが20〜30%も違うとも言われています。
初期コストだけでなく、10年後の光熱費、20年後の健康コストまで考えるなら、
気密は“投資する価値のある性能”です。
気密性能=住まいの“体幹”
断熱が「体脂肪率」なら、気密は「体幹の強さ」に近いかもしれません。
- 体脂肪だけ落としても、体幹が崩れていたらバランスが悪くなる
- 断熱だけ良くしても、気密が悪ければ空気の流れは破綻する
この2つは独立していない。
断熱と気密は“バランスをとるもの”であって、どちらかだけ上げればいいものではないのです。
高気密住宅に必要な3つの補助設計
僕は「気密C値0.5以下」を基準に設計していますが、
それは以下の3点と“必ずセット”で考えています。
① 換気設計(特に第1種 or 第3種)
気密が高いなら、空気の出入り口を“こちらでコントロール”できる設計が必要です。
排気だけでなく、どこから新鮮な空気を取り込むかを意図的に作ることが大切です。
② 冷暖房の設計
気密が高い家では、少ないエネルギーで全体を快適にできます。
ただし、全館空調に頼らず、分散冷暖房+室温設計をすることで、初期費用を抑える選択肢もあります。
③ 施工精度の担保
「C値は低いけど、どこか寒い」といった事例は、気密測定時だけがんばった家にありがちです。
実際の住まいで気密が活きるかどうかは、床下・天井・サッシまわりの精度にかかっています。
だから、僕は現場にも必ず足を運び、
「住んでからの気密性」に責任を持てる仕事を目指しています。
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