自然素材の活かしかた

無垢フローリングで後悔しないために必要な5つの知識

  1. 第1章|無垢フローリングで後悔する理由|“杉20ミリ”を選ぶ前に知ってほしいこと
  2. 第2章|杉の20mm厚無垢フローリングが京都の底冷えに合う理由
    1. ◉ 厚みがあるからこそ、足元から“やわらかい空気”を感じる
    2. ◉ 湿気と乾燥、両方に強くしなやかに動く「木の性格」
    3. ◉ 傷がつく。色が変わる。けれど、それが“風景”になる。
  3. 第3章|無垢フローリングで快適な足元をつくるには?断熱・下地・気流止めの設計が鍵
    1. ◉ 無垢フローリングは「断熱材」との組み合わせが重要
    2. ◉ キノスミカの施工:杉材 × 断熱 × 気流止めの3点セット
    3. ◉ 暮らしの“動線と足元の温度”が合っているか?
  4. 第4章|傷や変化は暮らしの履歴|杉のフローリングを“風景”にする生き方
    1. ◉ 杉材は柔らかくて傷がつきやすい。それでも僕が勧める理由
    2. ◉ 僕たちが見てきた“傷ついた床”は、どれも美しかった
    3. ◉ 無垢フローリングを後悔しない選び方とは?
  5. 第5章|暮らしを支える床としての“木”をどう迎えるか?杉材とともに生きる設計の哲学
    1. ◉ 暮らしの哲学がある人にこそ、無垢の床は似合う
  6. まとめ|杉の20mm無垢フローリングで後悔しないために|設計と素材と暮らしの調和を考える
    1. よくある無垢フローリングの後悔
    2. 後悔しないために必要な考え方
    3. 杉の無垢フローリングは「設計と使い方次第で、人生の一部になる」
  7. 🌿 もっと深く、もっと自由に。暮らしの選択肢を広げたいあなたへ
    1. あなたの悩みを聞かせてください(しつこい営業メールなどは一切お送りしません)

第1章|無垢フローリングで後悔する理由|“杉20ミリ”を選ぶ前に知ってほしいこと

「無垢フローリング、憧れていたんですけど……正直ちょっと後悔してます」

そんな声を、リフォーム相談の現場で何度も耳にしてきました。

無垢材は、確かに魅力的です。
とくに僕たちキノスミカが採用している杉の20mm厚フローリングは、
やわらかく、あたたかく、足触りも軽やかで、空気になじむ素材です。

でもその反面──

  • 傷がつきやすい
  • 湿気で反ったり、乾燥で隙間があく
  • 素足で触れると冬場は冷たく感じることもある

これを知らずに「自然素材はいいもの」とだけ信じて選ぶと、
**「思ってたのと違う」**という違和感が生まれやすい。

でも僕はこう思っています。

無垢材が悪いんじゃない。
“暮らしに合わせた設計”がなかったから、後悔が生まれたんです。

杉の無垢フローリングには、
厚み・やわらかさ・経年変化という独特の個性があります。
それが暮らし方と調和すれば、**「味わい」や「履歴」**になっていく。

逆に、日当たり・湿気・家族構成といった条件を無視して選ぶと、
どんなに高価な素材でも、ただの“扱いにくい床”になってしまう。

だから僕は、杉を選ぶときこそ「素材ではなく設計で決めてください」と伝えています。

この章では、
杉の20mm厚無垢フローリングでよくある後悔の原因と、
**選ぶ前に知っておきたい“リアルな素材との付き合い方”**をお話しします。

第2章|杉の20mm厚無垢フローリングが京都の底冷えに合う理由

京都の冬は、ただ寒いのではなく、**「底冷えする寒さ」**です。
さらに、湿気がこもりやすい盆地特有の気候もあり、
床材の選び方ひとつで、暮らしの快適さが大きく変わってきます。

ここで、杉の20mm厚無垢フローリングが活きてくるんです。

◉ 厚みがあるからこそ、足元から“やわらかい空気”を感じる

杉の特長のひとつは「やわらかさ」。
同じ木材でも、オークや栗などに比べて足当たりがふわっと軽い。
20mmという厚みがあることで、床下からの冷気をやさしく緩衝する層が生まれます。

たとえば、冬の朝に素足で歩いたとき。
合板フローリングだと「ピリッ」とくる冷たさを感じやすいけれど、
杉の無垢材は温度より“質感”で、冷えをやわらげてくれるんです。

◉ 湿気と乾燥、両方に強くしなやかに動く「木の性格」

京都は、冬は乾燥、夏は湿気がこもる。
その変化に、杉は素直に反応する素材です。

  • 夏は空気中の湿気を吸って、室内の調湿をサポート
  • 冬は乾燥で収縮するが、それが素材の呼吸でもある

だからこそ、隙間や反りも「味わい」として設計に組み込む必要がある。
それができれば、杉材は“手がかかる素材”ではなく、
**“暮らしに寄り添う素材”**になってくれます。

◉ 傷がつく。色が変わる。けれど、それが“風景”になる。

杉材は柔らかいぶん、傷がつきやすい。
でも、その傷は暮らしの履歴になると、僕は思っています。

  • 鍋を落としたへこみ
  • 子どもが走り回った傷跡
  • 陽がよく当たる窓際だけ、色が濃くなっていく

こうした変化が「経年劣化」ではなく、
「経年美化」になるのが杉の20mmの魅力です。

冷えと湿気が混在する京都の家にとって、
杉の厚みとやわらかさは、設計の“調整材”として機能します。

第3章|無垢フローリングで快適な足元をつくるには?断熱・下地・気流止めの設計が鍵

「杉の無垢フローリングにしたのに、冬は床が冷たくて…」
「自然素材って暖かいって聞いていたのに、期待外れだった」

──そんな声の多くは、素材の性能不足ではなく“設計不備”が原因です。

杉の20mm厚無垢フローリングは、断熱材ではありません。
それでも、きちんと設計・施工すれば、足元からじんわりとした**“ぬくもり感”**を得ることができます。

◉ 無垢フローリングは「断熱材」との組み合わせが重要

杉材は熱伝導率が低く、柔らかくて肌触りがいい。
でも、それは床下からの冷気を遮断できていることが前提です。

【よくある失敗例】

  • 断熱材の施工が甘く、床下からの冷気がそのまま伝わる
  • 気流止めがされておらず、隙間風が床材を冷やす
  • 杉材の調湿性能を活かせない構造になっている

だからこそ、リフォームで無垢フローリングを選ぶときは、

「断熱性能が高い家にするには?」という設計視点が欠かせない。

◉ キノスミカの施工:杉材 × 断熱 × 気流止めの3点セット

僕たちキノスミカでは、杉の20mm無垢フローリングを標準採用しつつ、
以下の設計・施工ルールを必ず守っています:

  • 床下に高性能グラスウール+気流止めを併用
  • 捨て貼り+根太レス構造でたわみ防止&気密性の確保
  • 洗面・脱衣所にも局所断熱+湿気制御設計を導入

これにより、無垢材の断熱性・調湿性・感触が設計的に引き出される空間になるんです。

◉ 暮らしの“動線と足元の温度”が合っているか?

  • キッチンで長時間立つ場所 → 冷たさは感じていないか?
  • 洗面・廊下・リビング間の足元温度差 → 快適さを阻害していないか?
  • 子どもやペットが素足で過ごす床 → 傷の受け止めと空気の流れは整っているか?

断熱材・気密処理・下地設計・杉材の特性。
これらすべてが重なって、はじめて“心地よい床”ができあがる。

杉の無垢フローリングを「暖かそう」で終わらせないために、
リフォームの段階で“断熱計画と空気設計”をセットで考えるべきなんです。

第4章|傷や変化は暮らしの履歴|杉のフローリングを“風景”にする生き方

「無垢フローリングって、すぐ傷つきますよね?」
「水をこぼしたらシミになるし、掃除も面倒そう」
──そんな声は、杉材を扱う現場でもよく聞かれます。

でも僕は思うんです。

“完璧”じゃないからこそ、愛せる床になる。

◉ 杉材は柔らかくて傷がつきやすい。それでも僕が勧める理由

杉のフローリング、とくに20mmの厚みを持つものは、
踏んだときにわかる**「たわみのなさ」と「やさしさ」**があります。

けれど同時に──

  • 家具を引きずればすぐに跡がつく
  • おもちゃや鍋を落とせばへこむ
  • 日当たりの差で色ムラや濃淡が生まれる

これらはすべて、「経年変化」ではなく、**“暮らした証”**です。

◉ 僕たちが見てきた“傷ついた床”は、どれも美しかった

  • 子どもが初めて歩いた跡が、玄関近くに残っていた家
  • 鍋を落としてできたへこみが、家族の話題になっていたリビング
  • 陽の当たる窓辺だけが色濃くなった、穏やかな寝室

これらは、設計図にもカタログにも載らない、**「人生の履歴」**です。
無垢の杉材は、そんな“暮らしの風景”を、足元からそっと受け止めてくれます。

◉ 無垢フローリングを後悔しない選び方とは?

  • 「傷がつかない床」がいいなら、合板のフローリングを選べばいい
  • でも「暮らしがにじむ床」がいいなら、杉の無垢材が向いている

大切なのは、素材そのものよりも、

「その素材と、どんな暮らしをしたいか?」という視点です。

杉材は、完璧ではありません。
でも、それを**「不完全さの美しさ」として迎えられるかどうか**が、後悔と愛着の分かれ道になる。

第5章|暮らしを支える床としての“木”をどう迎えるか?杉材とともに生きる設計の哲学

「木の床、いいですよね」
そう言われるたびに、僕はこう思います。

“いい”かどうかは、設計次第なんです。

無垢の杉フローリングは、やわらかく、傷つきやすく、手がかかる素材。
でもそのぶん、空気と調和し、人の動きに寄り添い、暮らしに風景を生む素材です。

だからこそ、僕は杉材を“ただの床材”として扱いません。
設計という言葉で、杉の声を聞き、その個性を活かす
それが僕たちキノスミカの仕事です。

◉ 暮らしの哲学がある人にこそ、無垢の床は似合う

  • 傷を“味”として見つめられる人
  • 完璧よりも“時間の重なり”を愛せる人
  • 自然素材を、インテリアではなく“人生の一部”として迎えたい人

そんな人には、杉の20mm厚フローリングは、
ただの床ではなく「暮らしの根っこ」になると僕は信じています。

無垢材で後悔する人がいる。
でもそれは、素材ではなく**“付き合い方の準備”が足りなかっただけ**。

木の声を聞くこと。
空気の設計を丁寧に描くこと。
暮らし方と足元を、静かに整えること。

それが、僕が考える“床のデザイン”です。

まとめ|杉の20mm無垢フローリングで後悔しないために|設計と素材と暮らしの調和を考える

無垢フローリングに対する「憧れ」は、確かに強い。
でも、リフォームで杉の無垢材を選ぶなら、それだけでは足りません。

本記事では、以下のような「後悔しやすいポイント」と、
**その回避方法=“設計と素材の整合性”**を紹介してきました。

よくある無垢フローリングの後悔

  • 傷がつきやすい
  • 冬に冷たく感じる
  • 湿気や乾燥で反ったり隙間ができる
  • 思ったよりメンテナンスが必要
  • 素材の選び方だけで決めてしまった

後悔しないために必要な考え方

  • 断熱・気密・換気とセットで設計すること
  • 床下断熱や気流止めを計画段階で明確にする
  • 杉の20mm厚という特性を理解して活かす
  • 柔らかさ・調湿・経年変化を**“素材の味”として受け入れる暮らし方**を描く
  • 傷や変色も「履歴」として楽しめる価値観を持つ

杉の無垢フローリングは「設計と使い方次第で、人生の一部になる」

  • 素足で歩く暮らしがしたい人
  • 暖かさややわらかさを床材に求める人
  • 家族と共に“傷も思い出に”していきたい人

そんな方にとって、杉の無垢フローリングは最高の選択肢になります。

無垢材を選ぶということは、単なる床材選びではなく、
「自分たちはどんな空気の中で暮らしたいか?」を決めるということ。

素材の正しさではなく、暮らしへの設計力が後悔を防ぎ、愛着に変えていく。
僕たちキノスミカは、その伴走をする建築設計会社です。

🌿 もっと深く、もっと自由に。暮らしの選択肢を広げたいあなたへ

家づくりに、正解なんてありません。
でも、「これなら、自分たちらしく暮らせそう」と思える選択肢は、ちゃんとあります。
そのために、僕たちは情報を届けています。

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