床材選びで人生が変わる?無垢・複合・ビニル床のリアルな比較
家づくりの相談で「床材って何が違うんですか?」と聞かれることがあります。
見た目では似ているけれど、触れて、歩いて、暮らしてみると、その差は明確です。
僕が大切にしているのは、素材の「正しさ」ではなく「その人にとっての相性」。
この記事では、無垢・複合・ビニル床の特徴と違いをリアルに比較しながら、選び方の軸を一緒に探っていきます。
無垢フローリング|自然そのものを足で感じる
無垢材は、1枚の天然木をそのまま使った“本物の木の床”。
杉・桧・ナラなど種類によって(針葉樹、広葉樹)質感も香りも違い、「育つ床」として経年変化を楽しめます。
- あたたかく、やさしい足ざわり
- 湿気を吸ったり吐いたりする調湿性
- 表面が柔らかく、傷もつきやすい
- 定期的なオイル塗装などのメンテナンスが必要
何よりの魅力は、その家らしさがにじみ出てくること。
キズもシミも、暮らしの一部として“味”になっていきます。
複合フローリング|メンテナンス性とコストのバランス型
複合フローリングは、合板の上に薄い天然木の“化粧板”を貼り付けたもの。
表面は無垢材に見えるけれど、中身は人工的な層で構成されています。
- 傷がつきにくく、変形しにくい
- お手入れが楽で、ワックスがけ不要も多い
- 自然な経年変化はほぼない
- 張り替えは表面の摩耗次第
価格も抑えられ、最近では意匠性の高いタイプも多く見られます。
ただ、本物の木の“呼吸”や体感は再現されないという限界もあります。
ビニル床(フロアタイル)|コスパ重視の“再現型”
ビニル床は、木目調や石目調をプリントした樹脂系の床材。
水に強く、耐久性も高いことから店舗や賃貸住宅でよく使われています。
- 水回りでも使える耐水性
- デザインの再現度が高い
- 質感は「なんちゃって木目」になりやすい
- 夏場はベタつき、冬は冷たい
性能的には優れていても、身体感覚や情緒的な魅力はほぼゼロ。
僕は住まいの本質を大事にしたい人には、あまりおすすめしていません。
僕が床材選びで大事にしていること
どれが正解ということはありません。
でも、こう聞いてみたいんです。
「その床の上で、どんな暮らしをしたいですか?」
裸足で歩く。子どもが寝転ぶ。
土間から庭へつながる動線。
足の裏は、暮らしの“感性”を受け取る最大の接点だと思うのです。
「高級感」より、「自分らしさ」。
そんな視点で素材を選ぶ人が、増えてほしいと僕は願っています。
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