「断熱リフォームをしたのに、なぜか寒い」
「業者にまかせたけど、思ったより効果を感じない」
「新築みたいにはいかないのかな…?」
断熱改修の相談で、こうした声を聞くことが少なくありません。
じつは、断熱リフォームには“よくある落とし穴”があるのです。
落とし穴① 断熱材だけ入れても気密が甘いと効果半減
もっとも多い失敗例がこれです。
「壁にグラスウールを入れました」
「天井裏に断熱材を増やしました」
──でも、その前後の“隙間”がそのままになっている。
断熱材は温度の移動を抑える素材ですが、空気の流れ(すきま風)を止める役割は持っていません。
だから、気密処理がなされていない断熱リフォームは、じつは“穴だらけの魔法瓶”になっている可能性があるのです。
落とし穴② 一部だけ断熱しても温度ムラが起こる
「リビングだけ断熱しました」
「床だけ断熱したけど、天井はそのまま」
このように、家の一部分だけ断熱するパターンも注意が必要です。
断熱された部屋と未改修の空間で温度差が大きくなると、
- 結露やカビの発生リスクが上がる
- 冷暖房効率が下がる
- 部屋を移動するたびに“ヒヤッ”と感じる
といった暮らしにくさが残ります。
もちろん予算とのバランスは大切ですが、“ゾーンごと”で断熱エリアを区切る工夫が求められます。
落とし穴③ 断熱材の施工精度が悪いと意味がない
実際のリフォーム現場で多いのが、
- 断熱材にすき間がある
- 配線まわりがガバガバ
- 天井裏の断熱が偏っている
といった施工不良やチェック不足による“熱の漏れ”です。
「断熱材は入っているのに寒い」
その正体は、“きちんと施工されていない”だけかもしれません。
僕がいつも心がけているのは、
「数値に頼る前に、現場を疑う」こと。
どんなにいい断熱材を選んでも、
それをどう“隙間なく”“正しく”入れるかがすべてなんです。
成功する断熱リフォームのための3つの視点
ここからは、失敗を防ぐために僕が大切にしている3つの視点をお伝えします。
① 断熱×気密の“セット設計”を前提にする
断熱材の種類や厚みよりも大切なのは、気密層とセットで考えること。
特に、内側からの施工になるリフォームでは、気密シートの施工精度が重要になります。
② “全部やる”のではなく“効果の出る部分”を狙う
予算が限られるなら、家全体を中途半端にやるより、“勝負どころ”に集中する方が成果が出やすいです。
たとえば:
- 家族が一番長く過ごすLDKゾーン
- 北側の冷えやすい部屋
- 寝室や浴室まわりの温度差を減らすポイント
こうした“暮らしの中の要”を見極めることで、リフォームの効果はぐっと高まります。
③ 体感と実測の両方を設計に組み込む
成功したリフォームの共通点は、「数字」だけでなく「感覚」を設計に入れていることです。
- 実際に温度計で各部屋の温度を測る
- 家族の感じる“寒さポイント”を共有する
- 暖房の効き具合を記録する
こうした“主観と客観のデータ”を組み合わせることで、本当に意味のある断熱リフォームが実現できます。
僕が思う、断熱リフォームの本当の価値
断熱リフォームとは、単に「寒さを減らす」ためだけのものではありません。
- ヒートショックのリスクを減らす
- エアコン依存を減らし、光熱費を抑える
- 朝起きるのが、ほんの少しラクになる
そんな“小さな快適”の積み重ねが、暮らしの質を根本から変えてくれると、僕は信じています。
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