“木の家”は誰のため?素材選びの価値観を問い直す

木と素材

「木の家に憧れていて…」
そう話すお客様は多いです。僕自身も木が大好きな人間なので(木のオタクなので)、気持ちはよく分かります。

でも、家づくりの打ち合わせが進むにつれて、こう感じることが増えてきました。

「その“木の家”は、本当に“あなた”が望んでいるものですか?」


憧れだけで進めると、ズレが生まれる

例えばこんなケースがありました。
ご夫婦のどちらかが「木のぬくもりがいいよね」と話し始め、
なんとなく自然素材を中心にプランが組まれていく。

でも、実際に工事が始まると──

  • 「この床、やっぱり手入れ面倒じゃない?」
  • 「もっとシャープでスッキリしたほうがよかったかも…」

素材そのものに罪はありません。
ズレの原因は、“誰の価値観で家づくりをしているか”を明確にしなかったことにあります。


「素材」より先に「感性」を確認する

僕は設計の初期段階で、こんな質問をするようにしています。

  • どんな場所で落ち着きますか?
  • 休日はどんな時間の過ごし方が理想ですか?
  • 冬の朝、どんな床の冷たさなら我慢できますか?
  • 家族それぞれに“好きな素材”はありますか?

この会話の中から、その人らしい“素材の在り方”が見えてきます。


「木の家=ナチュラル」だけじゃない

誤解されがちですが、木の家=田舎風、というわけではありません。
シャープなラインの中に木の面を入れることもできるし、
無垢材の使い方次第で、都会的な印象にも、和モダンにも、北欧風にもなります。

つまり、“木”という素材は、受け手によって表情を変えるカメレオンのような存在なんです。


“誰のために”という軸が、後悔を防ぐ

家づくりの中で「誰の意見を最優先にするか」が曖昧だと、
完成後に「本当はこうしたかったのに…」という後悔が残りやすくなります。

僕は“家族全員のため”という発想より、まずは“暮らしの主導者”の感性を中心に据えることが大切だと考えています。


木は“暮らしに寄り添える素材”

木は、人によっては扱いづらいと感じることもあります。
でも逆に、人によっては、それが“心地よさの源”になります。

だからこそ、「木を使いたい」ではなく、「木とどんな関係を築きたいか」を考えてみてください。


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