「C値って、何を示す数字なんですか?」
「断熱等級は聞いたことがあるけど、C値は初耳です」
家づくりの相談で、そう聞かれることは少なくありません。
C値は“気密性能”の数値化された指標。
つまり、「この家には、どれくらいの隙間があるか」を示す数値です。
この「見えない性能」を知ることで、快適性・健康・光熱費すべてに関わる本質的な家づくりが始まります。
C値とは?──相当隙間面積のこと
C値とは、住宅の床面積1㎡あたりに存在する隙間の面積(㎠)を示す数値です。
たとえばC値=1.0なら、家の1㎡あたりに1㎠の隙間があるということ。
つまり、延床30坪(約100㎡)の家では、名刺2枚分くらいの穴が100箇所空いていることになります。
逆に、C値=0.3であれば、同じ面積でも30㎠(はがき半分ほど)の隙間しかないということ。
このわずかな差が、暮らしの体感に大きな差を生むのです。
C値が悪いと何が起きるのか?
C値が1.5を超えると、計画換気が正常に機能しない可能性が出てきます。
それにより、以下のような問題が生じます:
- 換気扇を回しても、空気が入れ替わらない
- 室内の湿気が溜まり、結露やカビの原因に
- 暖房の効率が悪く、冷暖房費がかさむ
- 部屋ごとの温度ムラが発生する
つまり、C値が高い(=隙間が多い)と、性能だけでなく“暮らし心地”にまで悪影響が出るのです。
C値=“快適の再現性”を測る数値
住宅は一棟一棟、条件が違います。
壁の厚み、窓の位置、構造の複雑さ…。
だからこそ、数値化することで「この家は快適性を再現できる構造か?」を客観的に評価できるのです。
断熱性能(UA値)が同じでも、C値によって体感温度・空気の質・エネルギー効率は大きく変わります。
僕の感覚で言えば、
C値が0.5を切ると「家が1つの空間として呼吸し始める」
そんな“まとまり感”が出てきます。
C値はどこで測るのか?
C値は、「気密測定」という専用の検査によって確認します。
建物の一室に機械を設置し、家全体を負圧状態にして、空気の流入量から隙間を算出する方法です。
ここで重要なのが──
✅ ちゃんと“実測”されているか?
気密測定を行わずに「高気密です」と言っている住宅会社もあります。
また、「完成時のみ測定」では、工事中の修正ができません。
僕たちは、中間時測定(気密シート・窓設置後)を必ず行い、現場で微調整をかけています。
現場のひと手間が、そのまま快適性に直結すると分かっているからです。
C値は、競争のための数値じゃない
時折、ハウスメーカーのチラシなどで
「うちはC値0.2です!」
「驚異の0.1を実現!」
といった誇張気味の宣伝を見かけます。
もちろん、数値は大切です。
でも、快適な暮らしにとって大事なのは“数値を競うこと”ではなく、“暮らしの質を保証すること”。
C値は“目的”ではなく、“快適性の土台”を支えるひとつの指標にすぎません。
僕が大切にしている「C値の先にあること」
僕が気密測定を重視するのは、「スペックを売りたいから」ではありません。
その家に住む人が
- 朝起きたとき、リビングがほんのりあたたかい
- ヒートショックの心配がない脱衣所
- 湿気のこもらない寝室で、毎晩ぐっすり眠れる
そんな毎日を当たり前に過ごせるようにしたいからです。
家づくりは、「目に見えない性能」の積み重ね。
C値は、その“目に見えない信頼”の入口だと思っています。
▶ 快適性を数値で裏づけたいあなたへ
📘 『深呼吸したくなる家のつくり方』
断熱・気密・空気の整え方を、暮らし目線でまとめたPDFを無料配布中。
▶ PDFを受け取る