蒸気配管のウォーターハンマーが止まらない原因は?ドレン対策と配管改修の判断

朝、工場の蒸気供給を開始すると、配管から「ドン」という大きな衝撃音がする。スチームトラップを点検・交換しても、翌朝にはまた同じような音が発生する。

このような状態で、さらにトラップを交換したり、数を増やしたりすれば解決するのでしょうか。

蒸気配管のウォーターハンマーは、ドレンの滞留が関係する現象ですが、原因がトラップ本体にあるとは限りません。配管の勾配やドレンの取出し位置、配管ルートによっては、正常なトラップが設置されていても、ドレンを十分に排出できない場合があります。

また、衝撃音が蒸気の供給開始時だけに発生するのか、設備の運転中にも発生するのかによって、調べるべき場所は変わります。

重要なのは、トラップを交換する前に、どの系統のどこにドレンが滞留し、なぜ排出できないのかを確認することです。

ウォーターハンマーを繰り返す設備では、配管やバルブの損傷につながるおそれがあります。衝撃が発生している場合は、現場の運転・安全管理手順に従い、運転継続の可否を判断し、設備管理者と専門業者による確認を優先してください。

ここでは、工場の設備担当者が原因調査を進め、保守整備で対応するのか、配管改修まで検討するのかを判断するための考え方を説明します。

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まず確認したいのは、いつ、どこで衝撃が発生するか

ウォーターハンマーが発生しているとき、最初に確認したいのは衝撃音の大きさだけではありません。

どの設備を動かしたときに発生するのか。蒸気を供給し始めた直後なのか。通常運転中なのか。あるいは、熱交換器などの負荷が変わったときなのか。

この違いによって、重点的に調べる場所が変わります。

発生する状況重点的に確認する場所
朝の送気開始時に発生する蒸気主管・枝管のドレン滞留、勾配、排出設備
特定の蒸気使用機器の運転中に発生する機器内部のドレン排出条件、トラップ前後の差圧
ドレン回収配管付近で発生する還水配管の合流条件、背圧、フラッシュ蒸気の影響
配管変更や設備増設の後から発生した追加配管のルート、勾配、分岐位置、ドレン排出設備

これらは原因を確定するための表ではなく、調査対象を絞るための手掛かりです。

蒸気の供給配管と、蒸気使用設備から出たドレンを回収する還水配管では、発生する現象や対策が異なることがあります。

株式会社TLVも、ウォーターハンマーの発生メカニズムとして、高速で移動するドレンの衝突と、蒸気の急凝縮による現象を説明しています。

「蒸気配管が鳴っている」という情報だけで、すべてを同じ原因として扱わないことが重要です。

トラップを交換しても改善しないなら、配管の勾配を確認する

例えば、ある蒸気主管で、送気開始時にウォーターハンマーが発生しているとします。

スチームトラップは設置されており、点検でも大きな異常が見つからない。それでも同じ区間で衝撃が繰り返される。

この場合、トラップ本体だけでなく、配管内で発生したドレンが、実際にトラップの取出し位置まで流れているかを確認する必要があります。

蒸気配管では、放熱によって発生したドレンが配管内を流れます。適切に排出できなければ、低い場所などに滞留する可能性があります。

特に注意したいのが、配管の逆勾配や、途中で下がっている区間です。

配管支持の状態が変化して一部がたわんでいる場合や、過去の改修で配管ルートを変更した場合には、図面上で想定していたドレンの流れと、現場の状態が異なる可能性があります。

このような場合、トラップを正常品に交換しても、そもそもドレンがトラップの位置まで到達しなければ、根本的な改善につながりません。

TLVの蒸気輸送配管のウォーターハンマー対策でも、トラップの設置箇所が適切でもウォーターハンマーが発生する場合には、逆勾配などを確認する必要があると説明されています。

設備担当者がここで判断したいのは、トラップの追加購入ではありません。

既設配管の勾配や支持状態を調査し、配管ルートを修正する必要があるのかということです。

ドレンを取り出す場所が適切か

ウォーターハンマーの原因を調べる際には、ドレンを排出する設備が「あるかどうか」だけでは不十分です。

どこに設置され、どのような配管を通してドレンを集め、排出しているのかが重要になります。

例えば、長い蒸気主管の途中や立上り配管の手前など、ドレンが集まりやすい場所では、適切な排出設備が必要になります。

また、ドレンポケットの大きさや構造が適切でなければ、蒸気とともに高速で流れるドレンを十分に捕集できない場合があります。

ドレンポケットとは、蒸気主管からドレンを集めて排出するために設ける配管部分です。

単に細い配管を下向きに取り付ければ、必要なドレンをすべて排出できるというものではありません。

実際に、Spirax Sarcoの蒸気主管とドレン排出に関する技術解説でも、配管勾配、低所でのドレン排出、ドレンポケットの構造が重要な設計条件として示されています。

既設配管でウォーターハンマーを繰り返す場合、確認すべきなのはトラップの型式だけではありません。

ドレンが集まる場所と、実際に排出している場所が合っているか。

ここが配管改修の必要性を判断するポイントになります。

トラップが正常でも、ドレンを排出できない場合がある

スチームトラップに異常が見られない場合でも、設備の運転条件によっては十分なドレン排出ができないことがあります。

例えば、蒸気使用設備の負荷が低下し、トラップ前後の圧力差が小さくなる場合です。

圧力差が不足すれば、ドレンを排出できず、熱交換器などの内部に滞留することがあります。

このような状態は、一般にストール現象と呼ばれます。

TLVは蒸気使用装置内のウォーターハンマー対策で、負荷変化によるドレン滞留や、トラップ前後の差圧が不足する場合の問題を説明しています。

工場では、生産量の変化や設備の運転条件によって蒸気使用量が変わります。

以前と比べて設備の負荷条件が大きく変わった場合には、設置当初のドレン排出方式が現在も適切なのかを確認する必要があります。

この場合、蒸気主管の勾配を修正することが有効とは限りません。

機器側の排出条件や還水配管の背圧などを調べ、必要に応じて機器メーカーや蒸気設備の専門業者と対策を検討します。

同じウォーターハンマーでも、蒸気主管に原因があるのか、蒸気使用設備の排出条件に原因があるのかを分けることが重要です。

調査結果によって、必要な工事はどう変わるか

原因を整理すると、対応方法は大きく分かれます。

確認できた問題検討する対応
トラップ自体の故障・能力不足トラップの整備・交換、仕様の再確認
蒸気主管の逆勾配・たわみ配管勾配や支持金物、配管ルートの改修
ドレンポケットや排出位置が不適切ドレン取出し位置・排出配管の変更
蒸気使用設備でドレンが滞留する機器側の排出方式、差圧、還水条件の見直し
還水配管内で蒸気とドレンが干渉する還水系統の接続・合流条件の調査と改修検討

この表の重要な点は、ウォーターハンマーが発生したからといって、必ず蒸気主管を更新する必要はないということです。

トラップの整備で改善できるなら、不要な配管工事を行う必要はありません。

一方で、配管ルートや勾配が原因なら、トラップを交換し続けても同じ問題が残る可能性があります。

工場の設備担当者としては、まず現在の保守業者や蒸気設備の専門業者と原因を確認し、配管そのものを変更する必要があると分かった段階で、改修工事を具体化するのが合理的です。

配管改修が必要になったら、どの範囲を変更するのか

例えば、蒸気主管の一部にドレンが滞留する区間があり、勾配の修正が必要と判断された場合です。

このとき、必ずしも主管全体を更新するとは限りません。

問題のある配管区間を変更する方法、支持金物を見直す方法、必要な場所へドレン排出設備を追加・変更する方法などを比較します。

ただし、工場の蒸気配管は、高温・高圧条件で使用されることがあります。配管の変更によって生じる熱伸縮、支持荷重、既設配管との接続条件も考慮しなければなりません。

そのため、ドレンが流れやすくなるという理由だけで、配管のルートを変更することはできません。

改修の検討では、少なくとも次の事項を整理します。

  • 変更する配管区間と既設配管への接続位置
  • 蒸気の使用圧力・温度、配管材質・口径
  • ドレンの排出先と還水配管の条件
  • 配管支持と熱伸縮への影響
  • 工事に必要な設備停止期間
  • 施工後に確認する機能・性能

また、更新が必要な区間が限定できても、既設配管の腐食や劣化が確認された場合には、接続部周辺を含めて施工範囲を再検討することがあります。

改修の目的は、単に衝撃音を小さくすることではありません。

ドレンが滞留する原因を取り除き、設備の安全性と安定した蒸気供給を確保することです。

工事を依頼する前に、設備担当者が確認しておきたいこと

ウォーターハンマーが続いている場合、最初から改修工事の仕様を決める必要はありません。

まず、どのような運転状態で現象が発生するのかを整理します。

送気開始時だけなのか、通常運転中にも発生するのか。衝撃が聞こえる配管区間はどこか。近くに蒸気使用設備やスチームトラップ、還水配管の合流点があるか。

さらに、過去の配管変更や設備増設の履歴、トラップの点検結果、配管系統図などがあると、調査対象を絞りやすくなります。

ここで注意したいのは、衝撃音が聞こえる場所と、原因となるドレンが滞留している場所が一致するとは限らないことです。

現場の振動や音だけで原因箇所を断定せず、既設系統と運転条件を確認して判断します。

安全な運転状態を確認できない場合に、原因を探すためだけに送気を繰り返したり、高温配管を開放したりしてはいけません。

必要な調査は、設備の安全管理者と適切な専門業者によって計画します。

蒸気配管のドレン対策・配管改修を検討する場合

蒸気配管でウォーターハンマーが発生している場合、その原因によって必要な対応は異なります。

スチームトラップの整備や機器側の調整で対応できる場合もあれば、配管勾配やルート、ドレン排出設備の変更が必要になる場合もあります。

HAGANEでは、工場・プラントの蒸気配管について、既設配管の改修・更新、配管ルートの変更、関連する配管工事などのご相談に対応しています。

保守点検を実施しても問題が改善せず、既設蒸気配管の変更が必要と考えられる場合には、現在の系統図や設備状況、これまでの調査内容をもとに、対応可能な施工範囲を検討します。

蒸気設備の運転条件やドレン排出機器の仕様については、設備管理者・機器メーカー・専門業者との確認が必要になる場合があります。

HAGANE|工場・プラント配管工事

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