KAIROS

Small-Room Time-Structuring Acoustic Module

小空間の問題は、反射ではない。
時間である。

KAIROSは,狭小空間における初期反射の時間構造を再編成する音響モジュールです。
小さな部屋では音は壁・床・天井にすぐ到達し、直接音の直後に複数の反射音が戻ります。

KAIROSは、この初期反射の時間分布を整えることで小空間の音環境を改善することを目的として開発されました。

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なぜKAIROSを開発したのか


多くの音響技術は、コンサートホールやスタジオのような大きな空間を前提に発展してきました。

しかし実際に音楽を聴く場所の多くは6畳から20畳程度の小さな部屋です。

小空間で音楽を再生すると多くの部屋で同じ現象が起こります。

・音像がぼやける
・奥行きが感じられない
・音がスピーカーの前に張り付く

私たちはさまざまな小空間の測定を行う中で、ある共通点に気付きました。

初期反射が非常に短い時間に集中している

ということです。

壁が近い部屋では反射音は数ミリ秒で戻ります。
直接音の直後に複数の反射音が重なります。

その結果音の輪郭が崩れ音場の奥行きが失われます。

この観測から小空間の音響問題を時間構造という視点で捉える必要があると考えました。


KAIROS Acoustic Module

KAIROSは小空間音響設計のために開発された音響モジュールです。
固定された単一製品ではなく、空間条件に応じて構成される音響システムとして使用されます。

小空間の反射構造

小空間では壁までの距離が短いため反射音は数ミリ秒で戻ります。

リスニング位置には、「直接音」「側壁反射」「床反射」「天井反射」などがほぼ同時に到達します。

この反射エネルギーの集中が音像や音場の知覚に影響を与える可能性があります。
小空間では壁までの距離が短いため反射音は数ミリ秒で戻ります。

拡散体の限界


音響拡散体として広く知られている装置に、QRD(Quadratic Residue Diffuser)があります。

QRDは反射音を様々な方向へ散乱させ音エネルギーを空間内に広げます。
この方法はホールやスタジオのような十分な空間体積を持つ環境で効果を発揮します。

しかし小空間では反射音は拡散する前にリスナーへ到達します。

つまり

拡散音場が形成される前に
初期反射として到達してしまう

という状況になります。


KAIROS検証

KAIROSの表面は三次元幾何構造を持ち複数の反射経路を生み出します。
異なる反射経路は異なる到達時間を生みます。

その結果初期反射エネルギーは時間方向に分散します。

KAIROSの仮説

小空間の問題は反射の存在ではなく、反射エネルギーが短時間に集中することにあるのではないか。

もしこの時間構造を制御できれば小空間の音環境は変えられるのではないか。

この考えからKAIROSは時間構造を扱う音響モジュールとして設計されました。


検証

KAIROSの効果はインパルス応答測定によって検証されています。

DIVERではREW(Room EQ Wizard)を用いて小空間の初期反射構造を測定しています。

KAIROS設置前後の比較では以下のような変化が観測されています。

・初期反射ピークの分裂
・反射エネルギー分布の変化
・ピーク集中度(Kurtosis)の変化

これらの傾向は初期反射エネルギーが時間方向に分散した可能性を示唆しています。

KAIROSは反射を消す装置ではありません。
反射の「時間構造」を変える装置です。


一次反射面測定

まず側壁一次反射位置においてKAIROS有無の比較測定を行いました。
解析では直接音の後に現れる最大ピークを一次反射ピークと定義しその前後 ±1 ms を解析窓としています。

測定結果の平均値は以下の通りです。

指標KAIROSなしKAIROSあり
最大振幅0.18190.1593
エネルギー0.28230.1801
ピーク数21.723.0

この測定では

・一次反射ピークの振幅低下
・ピーク数の増加

が確認されました。

これは反射エネルギーが単一ピークとして戻るのではなく複数の時間成分へ分裂している可能性を示します。

リスニングポイント測定

次にリスニング位置でのインパルス応答を比較しました。
小空間では複数の反射が重なって到達するため単一ピークよりも0–10 msの時間分布として解析する方が適切です。

KAIROS設置前後の0–10 ms総エネルギーは

条件エネルギー
KAIROSなし3.4186
KAIROSあり3.3437

総エネルギーは大きくは変化していません。
これはKAIROSが反射エネルギーを吸収する装置ではないことを示しています。

時間分布の変化

時間帯ごとのエネルギーを見るといくつかの変化が観測されます。

2–3 ms帯 約 −16% ~ −36%

6–8 ms帯 約 +34% ~ +68%

つまり初期反射の一部がより遅い時間へ移動している傾向が見られます。


観測される傾向

これらの測定結果から以下の傾向が観測されています。

・一次反射ピークの分裂
・ピーク集中度の変化
・反射エネルギーの時間再配分

これらは初期反射エネルギーが時間方向に分散した可能性を示唆しています。

重要な点

KAIROSは反射を消す装置ではありません。
反射エネルギーを空間方向に散乱する装置でもありません。

KAIROSは「反射の時間構造」を扱う音響モジュールです。

KAIROSの役割

小空間では初期反射が数ミリ秒に集中します。この時間集中は音像や空間表現に影響を与える可能性があります。

KAIROSはこの時間構造を整えることを目的として設計されています。


KAIROS設置位置

KAIROSは小空間の反射構造に応じて配置されます。

主な設置位置

・側壁一次反射
・スピーカー間
・リスナー背面
・コーナー
・天井

それぞれの位置に応じてモジュール構成が設計されます。



導入プロセス

KAIROSは、単体製品として販売されるものではありません。 
DIVER小空間音響設計の一部として提供されます。

導入プロセス

1 空間測定 ▶︎ 2 音響解析 ▶︎ 3 KAIROS設計 ▶︎ 4 製作・設置 ▶︎ 5 再測定

※まずはお気軽にお問い合わせください。


小空間音響診断

スピーカーだけでは音は完成しません。

小空間では部屋の反射構造が音の印象を大きく左右します。

DIVERではインパルス応答測定を行い

・初期反射
・反射時間構造
・空間の音響特性

などを分析します。

その結果を基に空間に合わせた「小空間のKAIROS音響設計」を提案します。

あなたの部屋の音環境を測定してみませんか。


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