工場を土日の2日間停止して、老朽化した配管を更新する。
工程表では2日間を確保できていても、実際に配管工事に使える時間が2日間あるとは限りません。
生産設備が停止してから、配管内の流体や圧力、温度などの安全を確認し、施工会社が作業を開始できる状態になるまでには時間が必要です。また、配管の取付けが終わっても、必要な試験や復旧、再稼働に向けた確認が残ります。
つまり、配管を交換する時間だけで工期を計画すると、工事は終わっても生産を再開できないという問題が起こり得ます。
定修期間を利用した配管更新で重要なのは、限られた停止時間の中にすべての作業を詰め込むことではありません。
停止前に進められる作業と、停止しなければ実施できない作業を切り分け、決められた再稼働時刻から逆算して施工計画を組み立てることです。
工場の設備担当者が、配管更新の範囲と工程をどう決めればよいのか、実際の発注判断に沿って考えていきます。
定修の停止期間と、配管工事の作業可能時間は違う

まず、工場全体の停止予定と、配管を更新する系統の作業可能時間を分けて考えます。
例えば、土曜日の朝から日曜日の夕方まで生産ラインを停止できるとしても、配管工事は土曜の朝からすぐ着手できるとは限りません。
生産設備の停止後、対象系統の隔離、残留流体や圧力・温度などの安全確認を行い、工場側から施工会社へ作業可能な状態として引き渡す必要があります。
そして配管更新後も、仕様に応じた検査、必要な洗浄・復旧、設備の運転確認を終えなければ、生産を再開できません。
設備担当者が最初に確定すべきなのは、次の三つの時刻です。
| 決める時刻 | 意味 |
|---|---|
| 工場の停止時刻 | 対象設備を停止する予定時刻 |
| 配管工事の着手可能時刻 | 工場側の安全確認と引渡しが完了し、施工を開始できる時刻 |
| 施工会社から工場への引渡し期限 | 検査・復旧を終え、工場側が再稼働準備を始められる時刻 |
この三つを決めれば、配管工事に使える時間が具体的になります。
例えば、再稼働前の確認に一定の時間が必要なら、その時間を工事の後に確保しなければなりません。
工事の完成予定時刻を、工場の再稼働時刻と同じにしないこと。
これが、工程を組むうえで最初の判断です。
停止期間に入る前に、どこまで工事を進められるか
停止時間が限られているのであれば、配管更新のすべてを定修期間中に実施する必要があるのかを検討します。
例えば、更新する配管のルートや接続位置が事前に分かっていれば、現地採寸、施工図の作成、材料手配、可能な範囲の配管製作を停止前に進められます。
現場条件によっては、新設配管の一部や支持金物を先行施工し、既設系統との接続だけを停止期間中に行う方法も検討できます。
ただし、工場が稼働している間の施工には、作業区域、運転中設備との離隔、他工事との干渉などの制約があります。何でも先行施工できるわけではありません。
大切なのは、停止前に完了できる仕事を見極め、停止中にしかできない仕事をできるだけ明確にすることです。
事前製作で最も問題になるのは、既設配管との取り合い
新しい配管を事前製作する場合、図面上の寸法だけで製作を進めるのは危険です。
既設図面と現場の配管位置が一致しないことがあります。また、過去の修繕によって配管ルートや支持位置が変わっている場合もあります。
特に、既設配管へ接続する部分は慎重に確認する必要があります。
接続先のフランジ位置、管径、配管材質、支持の状態、周辺設備との干渉などが不明確なまま製作すると、停止期間中に現場で作り直しが必要になる可能性があります。
そこで、事前調査では製作可能な部分と、停止後に最終確認が必要な部分を分けます。
既設配管との接続部分に不確定な条件が残るなら、その部分の施工方法と調整時間をあらかじめ工程に見込んでおくことが重要です。
更新する配管をすべて撤去する必要があるのか
配管更新では、既設配管を撤去して同じ場所に新しい配管を設置する方法が考えられます。
しかし、停止時間が短い場合には、既設配管を残した状態で新しいルートを施工し、停止期間中に接続を切り替える方法も選択肢になります。
この二つは、停止時間の使い方が異なります。
既設配管と同じルートで更新する場合
既設配管を撤去した後、その位置に新しい配管を取り付ける方法です。
既設ルートを利用できる反面、配管の撤去が終わらなければ新しい配管を設置できない部分があります。
また、既設支持金物や周辺設備に劣化・干渉があれば、予定外の工事が発生する可能性があります。
停止期間中に、撤去・新設・検査までの一連の作業を完了できるかが重要です。
新しいルートを先行施工する場合
既設配管とは別のルートを確保できるなら、停止前に新しい配管の大部分を施工し、停止期間中の作業を接続部の切替えに集中できる場合があります。
ただし、新ルートのスペースや支持条件、配管の抵抗、保守性を検討する必要があります。既設配管を残すことによる管理上の問題も確認しなければなりません。
新しいルートを設ける方が常に優れているわけではありません。
停止時間、施工費、既設配管の状態、将来の設備運用を比較して、工場に適した更新方法を決めることが重要です。
更新範囲は、配管の劣化だけでは決められない
老朽化した配管を更新するとき、腐食や漏水の状況から更新範囲を決めることは当然必要です。
しかし、定修期間が限られている場合には、施工可能な範囲も重要な条件になります。
例えば、ある冷却水配管で広い範囲に劣化が見られたとします。
すべてを一度に更新するには停止時間が足りない。新ルートの設置も難しい。
この場合は、設備の重要度や不具合の状況を評価したうえで、今回の定修で優先する区間と、次回以降に更新する区間を分けることが考えられます。
ただし、危険な状態の配管や、継続使用が適切でない設備を、工程の都合だけで使用し続ける判断はできません。
設備担当者が施工会社と検討したいのは、今回の停止期間で確実に更新できる範囲と、それ以外の区間に対して必要な安全上・設備保全上の対応です。
単に「全部更新するか、部分更新するか」という比較ではなく、必要性と施工可能性を照らし合わせて更新計画を立てることになります。
工事が終わった後の確認時間を、工程から抜かない
配管の接続が終わった時点では、まだ工事が完成したとは限りません。
施工した配管について、仕様に応じた漏れ・強度などの確認を行い、必要な洗浄や復旧を進め、設備を運転できる状態に戻す必要があります。
確認方法は、配管の流体、材質、設計圧力、適用法令、設備仕様によって異なります。
例えば冷却水配管、圧縮空気配管、蒸気配管では、施工後に必要となる確認や安全上の条件が同じではありません。
そのため、工事を発注する段階で、どの確認を、誰が、どの時点で実施するかを決めておきます。
さらに、施工会社の作業が完了しても、工場側で設備の運転確認が必要になります。
冷却水系統であれば、生産設備に必要な流量や圧力が確保できるか。圧縮空気系統であれば、使用設備の供給条件に問題がないか。
こうした確認は、対象系統と生産設備の運転条件に合わせて決めます。
重要なのは、施工会社が工事を完成させる条件と、工場が再稼働を認める条件を、事前に整合させることです。
定修工事では、想定外の事態への判断も決めておく
既設配管の更新には、撤去して初めて分かる問題があります。
例えば、保温材を取り外したところ想定より腐食が進んでいたり、接続予定の既設配管が劣化していて、そのまま接続できなかったりする場合です。
このようなとき、現場で工事範囲を増やす判断をすれば、再稼働の予定に影響する可能性があります。
そこで定修前に、変更が必要になった場合の判断方法を決めておきます。
工事範囲の変更を誰が承認するのか。追加材料や施工方法の検討にどれだけ時間を使えるのか。予定していた施工を継続できない場合は、どの段階で工場側へ判断を求めるのか。
不測の事態をすべて予測することはできません。
しかし、問題が発生したときに、誰も工事方針を決められない状態を避けることはできます。
工程を守るための判断と、安全・品質を確保するための判断を混同しないことも重要です。
工場の設備担当者が、配管更新の発注前に決めること
ここまでを踏まえると、定修期間の配管更新を計画する設備担当者が、最初に整理すべきことは四つです。
1. いつから、いつまで対象系統を停止できるか。
工場全体の停止日程だけでなく、対象配管の施工開始可能時刻と工場への引渡し期限を明確にします。
2. どの区間を更新し、どこで既設配管に接続するか。
更新範囲と接続点を確認します。図面と現場の状況が異なる場合には、必要な現地調査を行います。
3. 停止前にどこまで準備できるか。
採寸、材料手配、配管製作、搬入、先行施工の可否を確認します。
4. 何を確認すれば再稼働できるか。
施工後の試験・復旧と、工場側の運転確認に必要な時間を確保します。
この四つが明確になると、停止期間に実施する作業量と、施工会社に依頼する範囲を具体化しやすくなります。
定修期間の配管更新を、HAGANEに相談する
工場の配管更新では、配管の材質や施工数量だけでなく、生産設備の停止条件、既設配管の状態、作業場所の制約、再稼働時期などを含めて工事を検討する必要があります。
HAGANEでは、工場・プラントの蒸気、エアー、給排水などの配管新設・改修・更新について、既設設備の状況と施工条件を確認しながら、工事範囲と施工方法を検討します。
すでに定修日程が決まっている場合は、対象配管の写真や図面、更新を検討している区間、停止可能な日時など、分かる範囲の情報をお知らせください。
更新範囲が確定していない段階でも、現場で何を確認する必要があるかを整理するところから相談できます。
定修期間中の配管更新・既設配管の切替工事については、HAGANEの工場・プラント配管工事ページからご相談ください。
