工場の設備移設、配管はつなぎ直すだけ?再稼働を遅らせない費用・停止計画

工場内の生産ラインを再編するため、現在使用している機械を別の場所へ移設することになった。

移設業者との打ち合わせも進み、機械の搬出日と再据付の日程が決まっている。生産計画も、その日程に合わせて調整している。

ところが、移設先の設備を確認すると、機械に必要なエアー配管や冷却水配管が接続されていない。既存の配管は近くにあるものの、必要な流量や圧力を確保できるかは分からない。

さらに、現在の設置場所では配管の切離しが必要になります。機械を撤去した後に残る配管は、どこまで撤去し、どのように処理するのか。その工事が移設業者の見積に含まれているかも明確ではありません。

この段階で設備担当者が直面するのは、単なる配管工事の問題ではありません。

移設工事の予算はどこまで増えるのか。既設配管を再利用できるのか。配管を切り離す際、稼働中のほかの生産ラインにも影響するのか。限られた停止期間で、機械の移設から試運転まで完了できるのか。

機械の移設が終わっても、必要なユーティリティを供給できなければ、生産は再開できません。

一方、既存の配管をすべて撤去して新設し直す必要があるとも限りません。

既設配管の接続条件や能力によっては、一部を再利用できる場合があります。また、移設先の配管を先行施工することで、機械が停止している間の配管作業を限定できる可能性もあります。

重要なのは、機械を移動させる工事と配管を接続する工事を別々に考えず、旧設置場所の処理から移設先の接続、必要な試験、再稼働までを一つの工程として計画することです。

この記事では、生産設備の移設に伴うエアー・冷却水・蒸気・給排水などの配管工事について、予算、使用材料、工場の稼働、安全性、工事期間、移設後の効果という6つの観点から、発注前に確認したい条件を解説します。

生産設備の移設では、旧設置場所と移設先の両方に配管工事が発生する

生産設備の移設に伴う配管工事の3段階を示した図

設備増設と設備移設では、配管工事の考え方が異なります。

設備増設では、新しい機械を動かすための供給・排水設備を準備することが中心になります。

一方、設備移設では、現在稼働している機械を既存設備から切り離し、別の場所へ移動させた後、再び必要なユーティリティへ接続しなければなりません。

つまり、配管工事が必要になるのは移設先だけではありません。

旧設置場所で必要になる工事

例えば、現在使用しているエアー配管を機械から切り離す場合です。

機械側の接続を外した後も、その枝管が既設主管に接続されている場合があります。

そのまま残してよいかどうかは、枝管の使用状況や将来の利用計画、配管内部に残る流体、維持管理条件によって判断する必要があります。

不要になった枝管を撤去するのか。将来の設備増設に備えて残すのか。残す場合は、どこで適切に隔離し、端末を処理するのか。

こうした内容が旧設置場所の工事になります。

移設先で必要になる工事

一方、移設先では、機械が必要とするユーティリティを供給できる状態にする必要があります。

例えば、既設のエアー主管から新たに分岐し、機械の接続口まで配管を新設する場合があります。

冷却水を使用する機械なら、供給配管だけでなく、戻り配管についても確認しなければなりません。

蒸気を使用する設備では、蒸気供給に加え、必要なドレン処理や還水条件も関係します。

また、機械から排水が発生する場合には、移設先に適切な排水先があるか、必要な排水量や勾配を確保できるかも重要になります。

工事区分必要になる可能性のある作業
旧設置場所配管の安全な切離し、残水・残圧の処理、旧枝管の撤去・端末処理
移設先新しい配管ルート、分岐・接続、バルブ、配管支持の設置
既設共通設備主管への接続、分岐位置の見直し、必要な系統切替
建築付帯部分壁・床の貫通、配管支持の下地、開口・仕上げ復旧
試験・復旧配管の漏れ・性能確認、必要な清掃、機械側との試運転調整

移設工事の見積では、このうちどこまでが工事範囲に含まれるかを明確にする必要があります。

移設前に確認するのは、配管の位置ではなく供給条件

移設先に既存配管があれば、その配管を利用して機械を接続できると考えがちです。

しかし、配管が近くにあることと、機械が必要とする供給条件を満たせることは同じではありません。

例えば、現在は正常に稼働している機械でも、移設後にエアーの供給圧力が不足すれば、正常な動作ができない可能性があります。

また、冷却水の供給量が不足すれば、機械の冷却性能に影響することがあります。

そのため、移設前と移設先で、必要な条件を比較することが重要です。

ユーティリティ移設前後で確認する条件
エアー機械入口の必要圧力、流量、同時使用条件、空気品質
冷却水必要流量、供給・戻りの温度、圧力、接続口
蒸気必要蒸気量、圧力・温度、ドレン排出・回収条件
給水必要水量・圧力、用途、水質、既設系統の能力
排水排水量、排水温度・性状、接続高さ、勾配、排水先

特に重要なのは、機械の必要条件だけでなく、移設先でほかの設備が稼働しているときにも、その条件を満たせるかという点です。

例えば、エアー配管では供給配管の延長や管径、曲がり、使用流量などによって圧力損失が変わります。

そのため、現在の設置場所で正常に使えている機械であっても、移設先では必要な供給条件を再確認する必要があります。

この確認結果が、既存配管の再利用、新しい分岐の設置、配管ルートの変更などを判断する根拠になります。

1. 予算・工事費|設備移設の配管工事で見積から抜けやすい項目

設備移設の予算を検討するとき、機械の解体・搬送・据付費用に意識が向きやすくなります。

しかし、機械の移設業者が、その機械に接続されている工場側の配管工事まで担当するとは限りません。

例えば、移設業者の見積に機械本体の切離し・搬送・据付が含まれていても、既設主管からの新しい配管分岐、配管支持、旧枝管の撤去、試験・復旧などは別途となる場合があります。

そのため、設備移設では、配管工事を旧設置場所と移設先に分けて積算することが重要になります。

配管工事の見積に必要な内訳

見積項目主な施工内容工事費を左右する条件
現況調査・施工計画既設管・機械接続条件・施工ルートの確認図面の有無、系統の複雑さ
旧配管の切離し・撤去既設接続部の取外し、旧枝管の処理管径、流体、停止範囲、撤去延長
新設配管材料管材、継手、バルブ、支持金物材質、口径、長さ、継手数量
新設・接続作業配管加工、据付、既設主管との接続溶接・ねじ・フランジ等の接合方式
仮設・停止対応高所作業設備、養生、必要な仮設配管作業時間帯、停止条件、仮設の必要性
建築付帯工事壁・床の開口、貫通、下地・仕上げ復旧施工ルート、建築構造、貫通箇所
試験・復旧必要な配管試験、洗浄、運転条件の確認流体・圧力、系統構成、試験範囲
搬出・廃材処理撤去した配管・支持金物等の処理材料・数量、搬出条件

このように分けておけば、移設元の撤去工事と移設先の配管工事を区別して見積できます。

また、機械本体の搬送・据付・精度調整、電源工事、メーカーによる試運転などについては、それぞれの発注先と担当範囲を明確にする必要があります。

既設配管を再利用すれば工事費は安くなるのか

既設配管を再利用できれば、新設する配管の数量や撤去する範囲を減らせる可能性があります。

しかし、再利用する配管の状態や能力が適切であることが前提です。

例えば、移設先の近くにあるエアー枝管を利用すれば配管延長は短くなるかもしれません。

一方、その枝管が既に複数の機械へ供給しており、移設する機械を接続すると圧力不足になる場合には、別の主管から配管を設ける方法を検討しなければなりません。

また、既設管の腐食や接続部の劣化が進んでいれば、再利用に伴う改修費が発生することもあります。

したがって、配管材料の費用だけでなく、必要な調査、加工、停止、施工、試験までを含めて比較する必要があります。

施工方法の違いで何が変わるのか

工事案初期費用の特徴主な注意点
既設枝管を再利用する新設配管数量を抑えられる可能性既設能力・管の状態・接続条件
上流の主管から新たに分岐する新管や支持・接続工事が増える場合がある共通系統の停止、供給能力、配管経路
移設先の配管を先行施工する先行施工・切替計画に費用が必要新設スペース、仮設、切替時の停止

これらは施工方法の比較であり、必ずしもいずれか一つだけを選択するわけではありません。

例えば、上流主管から新しく分岐した配管を機械移設前に施工し、移設当日は機械との最終接続を行うといった組み合わせも考えられます。

初期工事費だけを最小にするのではなく、移設に伴う停止時間と、再稼働後の供給条件まで含めて比較することが重要です。

2. 使用材料|移設先でも既設と同じ配管を使えばよいのか

設備移設では、現在使用している配管と同じ材料を採用する方法があります。

しかし、移設先の条件によっては、材料や接続方法を見直す必要が生じる場合があります。

例えば、エアー配管と蒸気配管では使用圧力や温度、必要な配管材・接合方式が異なります。

また、冷却水配管では水質や腐食環境、蒸気配管では熱伸縮や保温、ドレン処理などが関係します。

配管材料を選定する際に確認すること

用途検討する材料・部材の例選定で重視する条件
エアー配管用途に適合する鋼管、ステンレス鋼管、専用配管システム等使用圧力、流量、空気品質、継手・支持方法
冷却水配管炭素鋼鋼管、ステンレス鋼管、用途に適合する樹脂管等水質、水温、圧力、耐食性、既設接続
蒸気配管圧力・温度・適用基準に適合する鋼管等設計圧力・温度、管の仕様、熱伸縮、ドレン
給水配管用途と適用基準に適合する給水用管材水質、使用圧力、衛生、既設設備との適合
排水配管排水条件に適合する樹脂管・金属管等排水温度・性状、必要勾配、耐久性

これらは材料選定の例であり、すべての流体に共通して使用できる管材を示すものではありません。

実際には機械メーカーの仕様、適用法令・規格、既設設備の条件などを確認して決定します。

移設後の配管は機械へ無理なく接続できることが重要

移設先の配管工事では、機械側の接続口と工場側の配管を接続することになります。

例えば、機械の配置が変わったことで、既設配管と接続口の高さが合わなくなる場合があります。

また、新しい配管の位置や支持方法が適切でなければ、接続部分へ過大な荷重や変位を与える可能性があります。

機械に振動や熱伸縮がある場合には、その条件に適した接続方法を検討する必要もあります。

必要に応じて短管、フランジ、継手、適切な可とう接続部材などを検討しますが、使用できる部材は流体・温度・圧力・機械仕様によって異なります。

また、移設先では新たな支持金物や架台が必要になる場合もあります。

ここで注意したいのが、機械の接続口に合わせるために配管を無理に引き寄せて接続しないことです。

接続位置や支持の納まりを確認し、機械と配管の双方に過大な負担を与えない施工方法を検討する必要があります。

配管材料の選定では、材料費だけでなく、再稼働後の使用条件と将来の保守性まで確認することが重要です。

3. 工場の稼働|配管の切離しで他の生産ラインまで停止するのか

設備移設の計画で最も調整が難しいのが、生産設備の停止範囲と停止期間です。

機械を1台移設するだけなら、その機械だけを停止すればよいと考えるかもしれません。

しかし、配管工事では必ずしもそうとは限りません。

例えば、移設する機械が既存のエアー主管から分岐した枝管につながっている場合です。

枝管の途中に適切な区分弁があり、安全に隔離できれば、ほかの機械への影響を限定できる可能性があります。

一方、区分弁がない場合や、既設弁が正常に閉止できない場合には、さらに上流側で停止する必要が生じることがあります。

その結果、移設する機械とは関係のない生産設備まで、一時的にエアー供給が停止する可能性があります。

移設する機械と、停止する設備は一致しないことがある

配管を切り離す工事では、どの配管がどの機械に供給しているかを確認する必要があります。

例えば冷却水配管の場合、複数設備で共通の供給・戻り配管を使用していれば、一部の配管を切断する工事がほかの機械へ影響する場合があります。

蒸気配管でも同様に、共通する主管・枝管の接続関係や安全な隔離範囲が施工条件になります。

そのため、停止範囲は機械の台数や配管の長さだけでは判断できません。

実際の既設系統とバルブの状態を確認し、どの範囲を安全に停止できるかを決める必要があります。

移設先の配管を先に施工できるか

生産停止の影響を抑える方法として、機械を移設する前に新しい配管を施工しておく方法が考えられます。

例えば、移設予定場所まで新しいエアー配管を先行施工し、既設主管への接続や必要な試験も工程に応じて済ませておく方法です。

これが成立すれば、機械の移設当日に行う作業を、最終接続や必要な確認に限定できる可能性があります。

ただし、既設主管との接続には別途停止が必要になる場合があります。また、配管の端末処理、試験、供給能力の確認なども必要です。

新しい配管を先に施工すれば、すべての停止をなくせるというわけではありません。

生産停止時間は、機械の移動時間だけで考えない

設備移設の工程では、配管の切離し、機械の搬送・据付、配管の再接続、必要な試験、設備メーカーによる試運転などが関係します。

仮に搬送と据付が予定どおり終わっても、配管の接続・試験が完了していなければ、機械の試運転へ進めない場合があります。

そのため、「機械が新しい場所に設置された時刻」と「生産へ復帰できる時刻」は区別する必要があります。

また、移設工事の間もほかの生産ラインを稼働させる場合には、施工場所や資材搬入経路、配管接続時の停止範囲などについても調整が必要になります。

生産設備を移設する際には、配管工事単独の施工時間ではなく、工場全体の運転条件に合わせて工程を組み立てることが重要です。

4. 安全性の担保|移設前の切離しと、再接続後の確認

設備移設に伴う配管工事では、旧設置場所の切離しと移設先の接続の両方で安全確認が必要です。

例えば、圧縮空気配管には運転を停止した後も圧力が残っている場合があります。

蒸気配管では、残圧だけでなく配管内部の高温流体や残留熱にも注意が必要です。

また、冷却水配管や給水配管でも、残水や他系統からの流入を考慮しなければなりません。

配管を切り離す前に確認すること

工事前には、対象系統と接続先を確認し、安全な停止・隔離方法を定める必要があります。

また、設備の種類に応じて、残圧・残水・残留熱などを安全に処理し、誤操作によって流体が供給されないよう必要な対策を講じます。

厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」でも、動力源の遮断、残留エネルギーの除去、必要な施錠措置などが示されています。

工場の運転部門、機械の移設業者、配管工事会社がそれぞれ別の作業を行う場合には、どの作業が終われば次の工程へ進めるのかを明確にする必要があります。

旧配管の端末処理を曖昧にしない

設備を移設した後、旧設置場所に使用しなくなった配管が残る場合があります。

この配管を撤去するのか、今後の設備接続に使用するのかによって、必要な処理は変わります。

使用しない配管については、既設系統から適切に切り離すことを検討します。

残置する場合にも、流体や用途に応じた安全な端末処理と識別が必要です。

特に、使用していない枝管が既設主管につながったままになっている場合、将来の点検や改修時に系統を誤認するおそれもあります。

そのため、配管の撤去・残置範囲を明確にし、必要な施工記録を残すことが重要になります。

再接続後は、流体ごとに必要な試験を行う

移設先で配管を接続した後には、配管の用途・設計条件に応じた試験を行います。

例えば、接続部の漏れ、配管支持、必要な圧力・流量条件、適切な排水、配管内部の清掃や異物除去などが確認対象になります。

実際の試験方法、試験圧力、使用する試験媒体は、流体や設計仕様、適用基準に応じて決定する必要があります。

また、機械の電源・制御や機械本体の調整が必要な部分については、それぞれの専門工事業者や設備メーカーの担当範囲を確認します。

配管を再接続できたことだけでなく、安全に必要なユーティリティを供給できることを確認してから、設備の試運転へ進むことが重要です。

5. 工事期間|移設日から逆算して、どのように工程を組むのか

生産設備の移設では、配管工事だけで工程を決めることはできません。

機械の停止、配管の切離し、搬出、搬送、据付、配管の再接続、機械側の調整、試運転が一連の工程としてつながります。

例えば、移設先の配管工事を機械の据付後に開始した場合、機械が設置されたことで施工スペースが不足することがあります。

一方、機械の設置前に配管を完成させようとすると、配管が機械の搬入経路を妨げる場合もあります。

そのため、どの作業をいつ行うのかは、機械と配管の両方の施工条件から判断しなければなりません。

移設工事の工程を分けて考える

工程主な作業工程を左右する条件
移設前の調査旧配管・移設先の系統、機械接続位置の確認図面、設備仕様、既設配管の状態
先行施工移設先の新管・支持金物、必要な建築付帯工事配管ルート、搬入経路、停止条件
旧配管の切離し対象系統の安全な隔離、旧管の端末処理他設備への影響、残圧・残水
機械の搬送・据付機械本体の移動・固定・必要な位置調整搬送ルート、据付条件、担当業者
新設配管への接続機械接続口への配管接続、必要な支持調整接続寸法、取付位置、作業スペース
試験・再稼働配管試験、供給条件の確認、メーカー試運転流体条件、機械仕様、不具合の有無

重要なのは、事前に施工できる部分と、機械を停止・移設しなければ施工できない部分を区別することです。

例えば、配管材料の手配や一部の加工、新設ルートの支持金物設置などは、機械の停止前に実施できる場合があります。

その一方、既設配管の切離しや機械への最終接続などは、安全な停止・隔離が必要な工程となります。

予定した再稼働日に間に合わせるには

生産設備の移設では、機械の据付完了日をそのまま生産再開日と考えるべきではありません。

配管を再接続した後に、必要な試験や運転条件の確認が残るためです。

また、機械メーカーによる調整や試運転が必要な設備では、その担当者がいつ作業できるかも工程に関係します。

移設前の段階で、少なくとも配管の切離し開始、機械の搬出・据付、配管の最終接続、配管試験、メーカー試運転、工場側の運転再開判断を、共通の工程表で管理することが重要です。

再稼働日から逆算して、配管工事がいつまでに、どの状態まで完了していなければならないかを明確にすることが、設備移設を予定どおり進めるための条件になります。

6. 工事後の効果|設備移設によって何が改善するのか

設備移設の目的は、機械を別の場所へ移すこと自体ではありません。

工場内の生産ラインの配置を変更し、生産工程や物流動線、設備の利用方法などを改善することが目的である場合が多いでしょう。

しかし、設備を移設しても、必要なユーティリティを安定して供給できなければ、予定した効果を得ることはできません。

配管工事においては、まず移設前の設備が必要としていた供給条件を、移設先でも適切に確保することが重要です。

移設後の供給条件をどう確認するのか

例えばエアーを使用する機械であれば、移設前後の機械入口圧力や必要流量などが確認対象になります。

特に、ほかの生産設備と同時に運転している場合にも、必要な供給条件を満たせるかが重要です。

冷却水を使用する機械では、必要流量、供給・戻りの温度条件、圧力などを確認します。

蒸気を使用する設備では、必要圧力や使用条件、ドレンの排出・回収などが関係します。

また、排水が必要な設備であれば、運転時に必要な排水を適切に処理できることを確認します。

移設前後の課題配管工事で目指す状態確認する内容
エアー供給が不足するおそれ必要な圧力・流量の確保機械入口の運転条件
冷却水の供給条件が変わる必要な冷却水の供給・戻りを確保流量、温度、圧力、漏れ
蒸気供給の条件が変わる必要な蒸気供給と適切なドレン処理圧力・温度、排出・回収状態
移設先の配管ルートが複雑保守・点検できる配管構成バルブ、支持位置、点検性
旧設置場所に不要配管が残る不要配管の適切な撤去・処理残置範囲、隔離、施工記録

ただし、配管工事によって機械本体の加工精度や生産能力が向上するとは限りません。

機械の性能確認や調整は、設備メーカー・移設業者と工場側の担当範囲に応じて実施する必要があります。

配管工事の効果として確認するべきなのは、移設先で必要な流体を安全に供給・排出でき、機械が要求するユーティリティ条件を満たしているかという点です。

また、旧設置場所の不要配管を適切に整理できれば、今後の設備更新やレイアウト変更の際に、既設配管の系統を把握しやすくなる可能性もあります。

移設する機械の搬送・据付と、工場側ユーティリティ配管の接続範囲を整理する際は、機械メーカーと配管工事会社の工事区分の考え方も参考になります。

設備移設の見積依頼では、工事区分をどこまで明確にするべきか

生産設備の移設には、機械メーカー、移設業者、配管工事会社、電気工事会社など、複数の専門業者が関係する場合があります。

そのため、見積金額を比較するだけでなく、各業者の担当範囲を明確にすることが重要です。

例えば、配管工事会社が移設先の配管を新設しても、機械側の接続位置や接続仕様が確定していなければ、最終的な接続ができないことがあります。

また、配管試験は完了していても、機械メーカーによる試運転が未完了であれば、生産再開の判断には進めません。

こうした問題を防ぐため、見積・発注の段階では、次のような工事区分を整理します。

工事・確認内容主に調整する担当
既設ユーティリティの停止範囲・許可工場側の設備管理・運転担当
旧配管の切離し・端末処理配管工事会社
移設先の配管新設・接続配管工事会社
機械本体の搬送・据付機械移設業者・設備メーカー等
機械本体の精度・性能確認設備メーカー等と工場側
強電・電源設備工事必要な資格・体制を備えた電気工事業者
配管試験・完成記録契約上の担当範囲に応じた施工会社

この表は一般的な役割分担の例であり、実際の契約区分は案件ごとに決定します。

特に重要なのが、配管工事の完成と機械の試運転の境界です。

「配管は施工したが、機械への最終接続は別工事だった」という状況や、「設備メーカーによる試運転の日に必要な配管試験が終わっていない」という状況を避ける必要があります。

また、配管の施工図や設備仕様書、移設前後の写真、切替対象の系統図などがあれば、見積段階で必要な工事範囲を整理しやすくなります。

資料が不足している場合には、現地調査で何を確定する必要があるかを明らかにします。

生産設備の移設では、配管の切離しから再稼働までを考える

工場の生産設備を移設する際、配管工事は単純なつなぎ替えでは終わらない場合があります。

旧設置場所の配管をどこまで撤去・処理するのか。移設先の既設ユーティリティで必要な供給条件を満たせるのか。配管を切り離すために、ほかの生産ラインまで停止する必要があるのか。

こうした条件によって、工事予算と工程は大きく変わります。

HAGANEでは、工場のエアー・蒸気・給排水などの配管新設、移設、改修について、既設設備と現地の施工条件を確認し、必要な配管工事の範囲を検討します。

旧配管の切離し・撤去、新しい配管ルートの施工、配管支持、関連する建築付帯工事など、現場で必要となる工事を整理します。

機械本体の移設・据付や強電工事など、別の専門業者が担当する部分については、その工事区分を確認し、配管側の施工・試験・引渡し条件を明確にする必要があります。

設備移設のために生産を停止できる時間が限られている場合には、移設前に施工できる部分と、停止後に施工しなければならない部分を分けて検討することが重要です。

機械を移動させることがゴールではありません。必要なユーティリティを確保し、予定した条件で再稼働できる状態へつなげることが、配管改修工事の役割です。


設備移設に伴うエアー・蒸気・給排水の切離しや再接続は、HAGANEの工場・プラント配管工事をご参照ください。

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生産設備の移設に伴って既設配管の切離しや移設先の配管新設が必要な場合や、エアー・蒸気・冷却水・給排水の接続条件が分からず、移設工事の予算や停止工程を確定できない場合に、現地条件から必要な配管工事の範囲と施工方法をご相談いただけます。

旧設置場所の配管処理から移設先の配管新設・接続、関連する建築付帯工事まで、設備の停止条件と移設工程を踏まえて検討します。

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