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断熱性能が快適な暮らしを左右する。小さい家こそ徹底すべき断熱の知識 グリーナーズハウス 京都

断熱材とは?―家を守る「魔法瓶のしくみ」

家づくりの場面で必ず出てくる言葉のひとつが「断熱材」。
けれど、初めて家づくりを考える人にとっては「それって何をしてくれる材料なの?」と疑問に思うかもしれません。ここでは、断熱材とはどういうものか、解説します。

断熱材とは

断熱材とは「熱を伝わりにくくする材料」のことです。
家の壁や屋根、床の中に組み込まれて、外気の暑さや寒さをできるだけ室内に伝えないように働きます。

身近なものでいうと、魔法瓶(保温水筒)です。

魔法瓶に入れたコーヒーは、冬でも長く温かさを保ちますし、夏に冷たいお茶を入れれば冷たいまま。
これは外の温度が中に移りにくいよう、壁の間に工夫がされているからです。

家全体を包む断熱材は、まさに家そのものを「魔法瓶のようにする」役割を担っています。

断熱材がある家とない家では何が起こるのか

断熱材は、熱の出入りを調整してくれる存在です。
家の内外で熱が行き来しづらくなることによって、家の外と中の温度が違っても保ってくれる。
だから夏は涼しく、冬は暖かい、が成立するのです。

同時に、電気代の削減にもつながり、暮らしを快適にしてくれる基礎中の基礎。
ここで、断熱材が少ない家と断熱材が多い家にどのような違いが出るのかを解説します。

断熱材が少ない家の特徴

1. 室内の温度ムラが大きい
冷暖房を入れても外気の影響を強く受けやすく、「暑い」「寒い」が長時間続きやすい住環境になります。その結果、快適性が損なわれやすいです。

2. 健康リスクの増加
室内の温度差によりヒートショックの危険が高まります。
他にも、結露→カビ→アレルギー・健康被害へとつながる悪循環も起こりえます。

3. ランニングコストの増大
断熱性能が低いと冷暖房に多くのエネルギーを使うため、光熱費がかさみやすく、経済的負担が増えます。

断熱材が多い家の特徴

1. 快適な室温を保ちやすい
断熱性能が高い住宅(断熱材がたっぷり使われた家)は、室内の温度が安定しやすいのが特徴です。
外部の暑さや寒さの影響を受けづらく、夏は涼しく、冬は暖かさが続くため、非常に快適です。

2. 健康へのプラス効果
温度差が少ない家は、ヒートショック(急激な血圧変動)を予防し、高齢者の健康リスクを下げます。
また、結露やカビの抑制によって、アレルギーや呼吸器系疾患の予防にもつながります。

3. 騒音が入りにくく、防音効果あり
断熱層が厚く、気密性の高い構造は、外部の雑音を遮断し、室内の音漏れも少ないです。
静かな環境を求める人にはうれしい特徴です。

4. 光熱費の削減につながる
断熱性能が高い住宅は冷暖房の効率がアップし、光熱費が抑えられる傾向にあります。
長期的には建築コストを上回るメリットを生み出すこともあります。

断熱材は快適に過ごすためのもの

断熱材のイメージは魔法瓶のようだとお伝えしました。

「外の温度変化を、家の中に持ち込ませない仕組み」
「家の中の快適な熱を逃さない仕組み」
が断熱材の大きなメリットです。

「夏は暑く冬は寒いのは当たり前」
「我慢して住む」
これは断熱材の量が足りてないことが多いです。

「快適に過ごす」ためには、
断熱材をしっかり入れることが重要であることを知ってほしいと思います。

過去の断熱材のリノベーション例

過去には実際にこのようなリノベーションを行いました。

・外壁と床下に断熱材を追加
・窓を樹脂サッシ+Low-Eガラスに変更
・天井断熱+小屋裏の気流止め
・換気経路の見直し

完成後、暮らしの変化は劇的でした。

「冬に起きるのがラクになった」
「朝の脱衣所が寒くなくなって風邪をひかなくなった」
「電気代が思った以上に下がって驚いています」

こうした感覚の変化こそ、断熱が暮らしに与える力です。

だからこそ、新築でもリノベーションでも、断熱には力を入れています。
それは、住み始めた時に感じる快適さが確約されているから、なのです。

家の大きさと断熱材の関係

もう一つ大切なポイントは「家の大きさ」です。
大きな家ほど外壁や屋根の面積が広くなります。
その分、断熱材を詰め込む量も増え、建築コストは小さい家よりも高くなります。

また、大きな家は最初に室温を整えるためのエネルギーも多く必要です。

たとえば同じ温度まで暖める場合、小さな部屋はすぐに快適になります。
しかし、大広間を温めるには時間も光熱費もかかるのと同じです。

家が大きくなれば大きくなるほど、
断熱材の量と室内の環境を整えるまでの冷暖房費もかかるのです。

断熱材の誤解と注意点

家づくりの現場では「断熱材を入れておけば安心」と思われがちです。
けれど、実際にはそう単純ではありません。
ここでは、よくある誤解や注意点を整理してみましょう。

プロだから安心、は危険!

「設計者や工務店に任せておけば大丈夫」と考える人は多いと思います。
ですが、残念ながら、すべてのプロが断熱材を正しく理解しているわけではありません。
現場を見て驚くのは、断熱材をただ隙間に押し込んで終わりにしているケースが少なくないこと。
これでは本来の性能を発揮できません。


実際に、別業者の現場を見学させてもらった時に衝撃的な体験をしました。
それは、「とりあえず断熱材を入れておけばいい……」程度の杜撰な施工だったのです。

その家にどれくらいの量が必要なのか、
どんな種類の断熱材が必要なのかなどが一切考えられていなかったのです。

それは僕達の現場ではなく、ただ見ていることしかできませんでした。
こんな杜撰な施工と断熱設計で、この後住まう人はどうなるんだ、と強い危機感も抱きました。

実はこう言ったケースが少なくないのです。
この出来事もまた、僕達が断熱設計に力を入れなければならないと強く思った出来事でもありました。

コスト優先の現場で起きること

特に価格の安さを強みとする工務店では、見えない部分の断熱材を削ってコストを抑えることがあります。

壁や天井の奥は完成後に見えなくなるため、住む人には気づかれにくい部分です。
しかし、そこで手を抜けば「見た目はきれいでも、住んでみると暑い・寒い」という不快な家になってしまいます。

安いとしても、どうして安いのか、断熱材がどれくらい必要で、それが入っているのか、などは非常に重要です。

そして、断熱材はお客様側から見えないからこそ、コストカットのために狙われる部分でもあるのです。
そのため、価格の安さを強みとする工務店では注意が必要です。

もちろん、他にもカットされてしまう部分はあります。
しかし、断熱材のカットから来ていると、せっかく高いお金を支払ったのに快適さからは程遠いことやランニングコストが余計にかかってしまう、本末転倒な住まいになっている可能性があるのです。

断熱材は気密とセットで考える

断熱材は「入れるだけで安心」と思われがちです。
けれど、実際には「気密」と組み合わせて初めて本来の力を発揮します。

ここでわかりやすいのが魔法瓶の例です。
魔法瓶の中に温かいお茶を入れると、長時間あたたかさが続きますよね。
これは二つの仕組みが働いているからです。

断熱の役割:瓶の壁が厚くつくられていて、熱が外に伝わりにくい。
気密の役割:しっかりとフタを閉めることで、熱や空気が外に逃げない。

もしフタを開けっぱなしにしたらどうでしょう?
どれだけ壁が厚くても、蒸気と一緒に熱が逃げ、すぐにぬるくなってしまいます。
家も同じで、断熱材を厚くしても隙間だらけでは意味がないのです。

つまり「断熱=魔法瓶の壁」「気密=魔法瓶のフタ」。
どちらか一方では不十分で、両方そろってこそ快適さを守れる仕組みになります。

気密は必須なのか、何を基準に判断したらいいのか、どれくらい必要なのか、などはこちら

快適な家づくりには必須の考え方

せっかく家を建てるのに、断熱材がいい加減ではもったいない。
快適な暮らしを叶えるためには「必要な量を、正しく施工する」ことが欠かせません。
見えない部分こそが、毎日の快適さを左右するポイント。

断熱材は家づくりの“根っこ”として真剣に考える必要があります。

「断熱材が多い」とは具体的にどのくらいなのか

「断熱材が多い家」と聞いても、どのくらい入っていれば十分なのか、ピンと来ない人も多いでしょう。
その目安になるのが「断熱等級」という国の基準です。
ここでは基準の考え方と、私たちがどこを目指しているのかを整理します。

断熱等級とは?

断熱等級とは、家の断熱性能を数値で評価するための国の基準です。
2022年以降は「断熱等級7」まで段階的に設けられ、数が大きいほど断熱性能が高いことを意味します。
つまり、どのくらい熱を外に逃がさず、外からの暑さや寒さを遮れるかを示すものです。

国の最低基準

日本の建築基準法では、地域ごとに最低限必要な断熱性能が定められています。
けれど「最低基準」はあくまで健康を損なわない程度をラインにしているにすぎません。

たとえるなら「この橋は渡っても崩れない」という最低限の保証であって、
「渡りやすさ」や「快適さ」までは保証していないのです。

僕達の断熱基準:最低でも断熱等級6以上

私たちが家づくりで目指しているのは、断熱等級6以上。

なぜなら、等級6からようやく「高性能住宅」と呼べるレベルに達し、冷暖房費や快適さの実感が大きく変わるからです。

等級5以下では、せっかくの新築でも「なんだか暑い・寒い」という不満が残るケースが少なくありません。

なぜ高い等級を目指すのか?

理由はシンプルで、断熱性能は「暮らしやすさ」だけでなく「資産価値」に直結するからです。

断熱性能が低い家は、光熱費がかさみ、年々価値が目減りしてしまいます。

逆に、しっかりと断熱等級を高めておけば、将来売却や相続の場面でも評価されやすいです。
結果、資産価値や投資価値を守ることができます。

つまり、断熱材を多く・正しく入れることは「今の快適さ」と「将来の資産価値」を両立させるための投資なのです。

快適な家づくりの鉄則は「断熱材をしっかりと入れる」こと

家づくりを考えるとき、多くの人が「少しでも建築費を抑えたい」と思います。

その気持ちは自然なことですが、コストカットの対象を誤ると、後々大きな損を招きます。

特に注意すべきなのが、断熱材を減らすこと
これは快適な家づくりにおいて、最もやってはいけない選択肢です。

断熱材を減らすと何が起こるか

断熱材が少ない家では、夏は冷房が効きにくく、冬は暖房をしても足元から冷えが伝わってきます。

結果として「光熱費が高くつくのに、居心地は悪い」という二重の不満が残るのです。

初期の建築費を抑えられたとしても、住み始めてからのランニングコストが跳ね上がってしまうのは本末転倒なのです。

資産価値・投資価値の観点からも損

見逃せないのが「資産価値」です。

近年は住宅の断熱性能が売買や賃貸の評価に直結する時代になってきました。
断熱材が少ない家は、家の性能そのものが低いと判断されるため、市場での価値も下がってしまいます。

つまり、資産としての寿命が短くなり、投資という観点から見ても失敗につながるのです。

快適な家に必要な考え方

快適さと資産価値を両立する家をつくるなら、断熱材にしっかり投資することが鉄則です。
たとえ初期費用が少し増えたとしても、光熱費の削減と将来的な資産価値の維持を考えれば、十分に回収できる出費といえます。

ここでお伝えしたいのは、価格が高くなるのは仕方ない、ではなく、あくまで必要な部分は削らないこと。
カットできる部分は他にあるので、そこを削ってうまく調整するのが大切です。

その調整のためにはできる限り工務店や建築士と詳細に打ち合わせすることが望ましいでしょう。
どこを削れて、どこを削らない方がいいのか、そこをしっかり話し合って予算と調整していくことこそが、工務店や設計士の仕事だと僕達は思っています。

断熱材と小さい家は、じつは相性がいい

「断熱材は大事」と分かっていても、厚く・たくさん入れれば入れるほどコストがかかるのも事実です。
大きな家になればなるほど、壁や屋根の面積が増えてしまいます。

結果、必要な断熱材の量も膨大になり、建築費に跳ね返ってしまいます。では、どうすれば賢く断熱材を活かせるのでしょうか。

小さい家だからこそできること

答えはシンプルで、小さい家と断熱材の相性がいいということです。

価格を抑えられる:家の規模が小さい分、外壁や屋根の面積も少なく、断熱材の使用量を減らせます。
断熱材をしっかり入れられる:必要量が限られるからこそ、予算内で高性能な断熱材を使いやすいです。
冷暖房効率が良い:空間がコンパクトなので、冷房や暖房を立ち上げるエネルギーも少なくて済みます。

つまり、小さい家は「断熱材をむしろ厚く・正しく入れやすい」環境にあるのです。

建築費全体にもやさしい

家のサイズがコンパクトであれば、そもそもの建築費用自体も抑えられます。

余った予算を断熱材など「住み心地に直結する部分」に回せば、結果として快適さとコストバランスを両立できる。

これが、小さい家ならではの強みです。

小さい家って暮らしづらい?

「小さい家=窮屈で暮らしにくい」と思っている人は多いかもしれません。
しかし、それは家そのものの欠点ではなく、設計の工夫が足りない場合に起こる誤解です。

小さい家は設計力しだい

暮らしやすさを決めるのは「広さ」ではなく「設計の質」。

たとえばキッチン。大きいキッチンが必ずしも使いやすいわけではありません。
むしろ、収納が整理され、調味料や道具が手の届く位置にあるほうが、料理はスムーズ。
小さなスペースでも設計が良ければ、大きなキッチンより効率的になることだってあります。

壁と収納の工夫が暮らしを変える

暮らしづらさを感じる一因は「物の置き場がない」「移動に無駄が多い」といった設計上の問題です。
壁の位置や収納の工夫ひとつで、同じ広さでも驚くほど快適さは変わります。
小さな家こそ、この工夫が光る舞台なのです。

吹き抜けは「冷暖房費がかかる」は誤解

よく耳にするのが「小さい家に吹き抜けをつくると光熱費が高くなる」という声。
確かに断熱が弱い家ではそうですが、断熱性能をしっかり確保した小さい家ではむしろ最強の仕掛けです。

天井が高くなり、抜け感が生まれることで「小さい」という感覚が一気に薄れ、開放感を大きく感じられます。

断熱がしっかりした家では、家全体の温度が外の熱気や冷気から守られている状態です。
そのため、吹き抜けにしても家の中の温度は保たれるので光熱費がたくさんかかることはありません。
同時に、家が小さいと帰宅した時などにまず家の中の温度を整えるのもエネルギーがそこまでかかりません。
そこに小さい家のデメリットとして挙げられる圧迫感が吹き抜けによって取り払われるのです。

こうなると、小さい家は快適な温度にし易く、保ち易く、かつ心理的な圧迫も取れるので、小さい家と吹き抜けは最強の仕掛けと言えるのです。

動線の工夫で「暮らしやすさの宝の山」に

小さな家では、家事動線をしっかり考えることも重要です。
家の端から端まで歩き回らずに済むように設計すれば、毎日の暮らしは格段にラクになります。
これは広い家よりも小さい家でこそ大きな効果を発揮する部分です。

小さい家は設計次第で快適な住まいになれる!

小さい家は住みづらい。
狭くて暮らしづらい。
「小さい家」検索すると、そんなデメリットがずらりと並びます。

でも、それは違います。

確かに、面積だけを見ると狭いかもしれません。
でも、それは設計が足りていないことを、面積のせいにしているだけ。
大切なのはその限られた空間がいかに快適で、いかに心理的解放感があるのかを設計できる設計力です。

工務店やハウスメーカーの中には、大きな家が売れてほしいという気持ちもあるかと思います。

しかし、大きい家を買っても暮らしづらい家になってしまったら、それは本当に快適な住まいの購入と言えるのでしょうか。


デメリットばかりに見えて、小さい家は宝の山。

むしろ、小さい家は設計次第で快適な住まいになれる!

小さい?最高やん!

を軸に、僕達は京都と滋賀で、小さい家専門として新築とリノベーションをしています。

中でも、その家に住まう人の生活スタイルをしっかり聞いて、
一人一人に合った住まい作りに徹しています。

家事の仕方も暮らし方も人それぞれ。
住まう人それぞれだから、その人の「暮らしやすい」を反映させたい。

そこに家の性能部分や、日光の明るさ、風の取り込み方、グリーンによる心理的なゆとりを含めた「快適」をプラスして、小さいのに大きなゆとりのある暮らしを作っています。

小さくても我慢しなくていい。
小さい家は設計次第でなんとかなる。

そんな僕達についてはこちらからどうぞ

それがわかっているからこそ、本当に快適で暮らしやすい住まいを一緒に作りませんか?
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