工場のエアー配管を増設するとき、どこから分岐する?既設主管の確認と配管径の決め方

新しい生産設備の導入が決まり、機械メーカーからエアーの接続条件が届いた。

設置予定場所の近くには既設のエアー配管があり、そこから分岐すれば短い配管工事で済みそうです。

しかし、その配管はすでに別の機械へ圧縮空気を供給しています。

新しい機械を接続しても必要なエアーが供給されるのか。既存ラインの動作に影響は出ないのか。近くの枝管から分岐するべきか、それとも工場の主管から新しい配管を引くべきなのか。

設備担当者として最も避けたいのは、配管工事を終えて機械の試運転を始めた段階で、エアーの供給不足が判明することではないでしょうか。

その時点で配管径の変更や分岐位置の見直しが必要になれば、追加工事だけでなく、試運転や生産開始の日程にも影響します。

新しい機械へエアーを供給する際、配管の長さを短くすることは重要です。しかし、配管が短いという理由だけで、最も近い場所から分岐するのが適切とは限りません。

今回増設する機械が必要とする空気量と、既設配管が現在担っている負荷を確認し、増設後も必要な供給条件を維持できる分岐位置を選ぶこと。

これが、エアー配管増設工事を計画するうえでの出発点です。

contents list

「必要圧力が分かれば配管径を決められる」というわけではない

機械メーカーの仕様書には、必要なエアー圧力が記載されています。

例えば、機械の供給接続口で所定の圧力を確保することが運転条件になっている場合です。

しかし、必要圧力だけでは配管径を決められません。

同じ圧力が必要な機械でも、空気の使用量が少ない装置と、大量のエアーブローや複数のシリンダーを使用する装置では、必要な供給能力が異なるからです。

ここで設備担当者がメーカーへ確認したいのは、平均的な空気消費量と、機械が作動するときに必要となる最大の流量を区別した情報です。

平均消費量と、瞬間的に必要な流量は違う

例えば、エアーを間欠的に使用する機械を考えます。

一定時間内に消費する空気の総量はそれほど多くなくても、複数のシリンダーが同時に動く瞬間には、大きな流量が必要になる場合があります。

このとき、平均消費量だけを基準に枝管を選定すると、機械が動作する瞬間の供給圧力を維持できない可能性があります。

機械メーカーの資料に記載された数値が、平均消費量なのか、最大所要流量なのか。単位がL/min(ANR)などの基準状態換算流量なのか。

こうした点を確認する必要があります。

特に、メーカーから「空気消費量は分かるが、最大所要流量は不明」と回答された場合には、機械の動作条件を伝えて追加確認を依頼します。

配管工事会社が、その数値を独自に推測して口径を決めるべきではありません。

新しい機械の必要流量が分からなければ、適切な配管径を根拠を持って選定できません。

既設の枝管に空きがあっても、そこから分岐してよいとは限らない

新しい設備を設置する位置の近くに、既設機械へつながるエアー配管があるとします。

そこへ分岐継手を設ければ、最短距離で新設設備に接続できるかもしれません。

しかし、既設枝管がもともと一台の機械へ供給することを前提に設計されている場合、新しい機械の負荷を追加することで、配管の圧力損失が大きくなる可能性があります。

特に問題となるのは、新旧の機械が同時にエアーを使用する場合です。

新設機械だけであれば正常に動作しても、既存機械が作動した瞬間に圧力が不足することがあります。

反対に、既存機械の動作が不安定になる可能性もあります。

そのため、分岐位置を決める際には、新設機械の必要流量だけでなく、その分岐点より上流の配管に、現在どれだけの空気が流れているかを確認する必要があります。

ここで重要なのは、既設配管の口径だけでは供給余力を判断できないことです。

同じ口径の配管でも、配管延長や曲がり、途中に設置されている機器、上流側の供給条件によって、末端まで供給できる流量は変わります。

つまり、「既設配管が25Aだから分岐できない」「主管が50Aだから問題ない」といった判断はできません。

実際の流量と必要な圧力を基に、配管系統として成立するかを確認する必要があります。

分岐位置は、近くの枝管と主管を比較して決める

例えば、新設する機械の近くに既設枝管があり、少し離れた場所には工場のエアー主管が通っているとします。

この場合、主に次の二つの方法を比較できます。

検討案工事の特徴判断する条件
既設枝管から分岐する配管延長を短くできる可能性がある新旧設備の同時使用時にも、既設枝管で必要な流量・圧力を維持できるか
主管から新しい枝管を設ける新設配管が長くなる場合がある主管に供給余力があり、新設配管の圧力損失を許容できるか

既設枝管に十分な余力があれば、近くから分岐する方が施工範囲を小さくできる場合があります。

一方、既設枝管の能力が不足しているなら、その枝管から分岐することで両方の設備に影響が及ぶ可能性があります。

この場合は、主管から新しい系統を設ける方法を検討します。

ただし、主管から直接分岐すれば、必ず供給不足を解決できるわけではありません。

主管自体が多くの設備へ供給しており、増設後の流量に対応できない場合もあるからです。

その場合には、主管の一部口径変更や別ルートからの供給などを含めて検討する必要があります。

設備担当者が施工会社へ求めたいのは、「どの配管が近いか」ではなく、増設後の工場全体の運転条件を踏まえて、どの分岐案なら成立するかという判断です。

主管に供給余力があるかは、どう確認するのか

工場の既設主管は、すでに複数の設備へエアーを供給しています。

そこへ新しい機械を接続する場合、増設後に必要となる流量を検討する必要があります。

まず工場側で確認したいのは、新しい機械の必要圧力・最大所要流量と、既存の主要設備がエアーを使用するタイミングです。

例えば、新しい機械と既存の大型エアーブロー装置が同時に稼働するのであれば、その条件を検討対象に含める必要があります。

逆に、実際の運転計画上、同時に動作しないことが確認されている設備まで、常に最大流量で使用すると仮定すれば、必要以上に大きな配管を選定する可能性があります。

そのため、設計上想定する同時使用条件を整理します。

ただし、工場側の生産計画や設備制御について、施工会社が勝手に「同時運転しない」と判断することはできません。

工場側が運転条件を示し、その条件で必要な流量を配管施工側が検討する、という役割分担です。

配管網として圧力損失を検討する

必要な流量が整理できたら、既設配管の口径、内径、材質、配管延長、曲がり、分岐などの条件を確認します。

そして、増設後に各設備の接続位置で必要な圧力を確保できるか検討します。

この検討では、配管の流量と圧力損失の計算が必要になります。

SMCも工場内主配管の圧力降下や、設備増設に伴う配管網の圧力分布を評価する計算ツールを提供しています。

ただし、計算結果だけで施工条件を確定できるとは限りません。既設配管の状態や実際の運転状況によっては、圧力・流量の測定も必要です。

また、コンプレッサーやエアドライヤなど、供給設備側に十分な能力がない場合は、配管径を大きくするだけでは必要な空気量を確保できません。

そうした問題が疑われる場合は、コンプレッサーメーカーや既存の保守業者と供給能力を確認する必要があります。

配管側で改善できる問題なのか、供給設備側の検討が必要なのかを区別することも、増設工事を無駄にしないための重要な判断です。

分岐位置が決まったら、配管の取り出し方とドレン対策も確認する

分岐位置を決める際には、圧力と流量だけでなく、圧縮空気の品質にも注意が必要です。

例えば、工場の主管内で結露水が発生する条件にある場合です。

配管の下側から新しい枝管を取り出すと、主管内のドレンが枝管へ流入しやすくなるおそれがあります。

そのため、一般的な圧縮空気配管では、主管の上側から分岐を取り出す方法が採用されます。

ただし、実際の配管構成は、ドライヤの設置状況や露点管理、使用する空気の品質条件などに応じて検討する必要があります。

また、枝管の低所に水分が滞留する可能性があれば、必要なドレン排出方法も確認します。

新しい設備に必要な圧力と流量が確保できても、水分や異物の混入によって機器の不具合が発生すれば、適切な供給設備とはいえません。

特に空気品質の指定がある生産設備では、メーカーの要求仕様と既存の空気処理設備を照合する必要があります。

なお、配管増設のために主管を切断・開口する場合には、対象系統の安全な隔離・減圧など、必要な措置を講じたうえで施工します。

既設主管が稼働中だからといって、通常の配管分岐工事をそのまま実施できるわけではありません。

配管径の見積だけでなく、既設主管への接続工事まで確認する

設備担当者がエアー配管増設工事を見積依頼する際、まず「新設配管何メートル」という数量を提示することがあります。

もちろん配管延長は重要ですが、それだけで工事費は確定しません。

例えば、既設主管から新しい枝管を取り出す場合には、既設配管の切断・分岐接続、新設配管、バルブ、支持金物、機械への接続などが必要になります。

高所の主管から分岐するなら、高所作業に必要な設備も工事条件になります。

また、工事中にどの系統を停止する必要があるかによって、施工可能な時間帯や工程も変わります。

そこで、見積では次の工事範囲を明確にする必要があります。

工事範囲確認したい内容
既設配管からの分岐分岐位置、接続方法、既設配管への影響
新設エアー配管必要な口径・材質・配管ルート・支持方法
バルブ・付属機器必要な隔離機能、ドレン・空気品質に関する設備
新設機械との接続接続口の規格、機械メーカーとの工事境界
試験・復旧必要な漏れ確認、清浄度管理、運転確認
既設設備への影響分岐工事時の停止条件と、運転再開後の確認

例えば、同じエアー配管増設でも、工場の主管まで新しい配管を引く工事と、既設の枝管から短い距離で接続する工事では、数量も施工条件も異なります。

だからこそ、最初から施工方法を一つに決めて見積を取るより、必要な供給条件を満たす案を比較する方が合理的な場合があります。

工事が終わったら、増設した機械だけでなく既存設備も確認する

エアー配管の増設工事が終わったら、新設機械に圧縮空気が供給されることを確認します。

ただし、それだけで今回の工事目的を達成したとは限りません。

増設によって、既設配管を流れる空気量が変わっているからです。

例えば、新設機械だけを運転したときには問題がなくても、既存の生産ラインと同時に稼働したときに圧力が不足する可能性があります。

したがって、試運転では、新設機械の接続位置で必要な圧力が確保できるかに加え、あらかじめ定めた同時使用条件で既存設備への影響がないかを確認することが重要です。

配管施工会社が行う施工部分の試験と、工場側・機械メーカーが行う生産設備の運転確認は、あらかじめ担当と範囲を決めておきます。

特に、増設前の圧力記録があれば、増設後の状態と比較する材料になります。

そして、増設した分岐位置、配管径、バルブの位置、接続先などを図面に反映しておけば、次の設備増設やメンテナンスにも利用できます。

新しい機械が動くことだけでなく、既存設備も含めて必要なエアーを供給できる状態にすること。

それが、エアー配管増設工事の完成条件です。

エアー配管の分岐位置や口径が決まっていなくても、工事の相談はできる

新しい生産設備の導入が決まったものの、どこからエアーを取り出せばよいのか分からない。

既設枝管から接続する案と、工場の主管から新たに配管する案があり、どちらが適切か判断できない。

そのような場合、設備担当者が配管径やルートを最初から指定する必要はありません。

まず、機械メーカーの必要圧力・所要流量、設備の配置図、既設エアー配管の情報、希望する施工時期などを整理します。

そのうえで、現地の配管状況と既存設備の使用条件を踏まえ、成立する分岐方法と必要な工事範囲を検討します。

HAGANEでは、工場・プラントの圧縮空気配管について、既設主管からの分岐、新設配管、配管径・ルートの変更、既存設備への接続工事などのご相談に対応しています。

「新しい機械にエアーを供給したいが、どこから分岐するべきか分からない」「近くの枝管から接続しても既存設備に影響しないか確認したい」

そのような段階からご相談ください。

工場の運転条件と既設配管の状況を確認し、対応可能な配管工事の範囲を整理します。

設備増設に伴うエアー配管工事をご相談ください

新設機械への供給配管について、既設主管からの分岐位置、配管径、接続ルートが決まっていない段階でもご相談いただけます。

HAGANEのCONTACTページへ直接移動します

contents list