設備メーカーの「一次側配管は別途」とは?工場の設備増設で工事区分を決める方法

新しい生産設備の購入を決め、機械メーカーから見積書を受け取った。

機械本体、搬入、据付、試運転調整まで記載されている。しかし、備考欄には「一次側ユーティリティ配管工事は別途」という一文がある。

この「別途」とは、具体的にどこからどこまでなのでしょうか。

工場の既設配管から機械の接続口までを施工すればよいのか。接続部のバルブやフランジは誰が用意するのか。機械への最終接続と、通水後の漏れ確認は誰が担当するのか。

設備担当者として困るのは、配管工事を別に発注すること自体ではありません。

機械メーカーと配管工事会社の施工範囲が曖昧なまま、見積と工程だけが進んでしまうことです。

機械を搬入しても、接続するための配管や継手が準備できていなければ、予定どおり試運転へ進めません。

反対に、両社の見積に同じ工事が含まれていれば、二重に費用を計上する可能性もあります。

設備導入を進めるうえで重要なのは、「一次側」「二次側」という言葉だけで区分することではありません。

機械の接続口ごとに、誰が何を支給し、どこまで施工し、何を確認して次の工程へ引き渡すのかを決めること。

その具体的な進め方を説明します。

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「一次側は別途」と言われたら、最初に接続点を確認する

例えば、冷却水を必要とする新しい生産設備を導入する場合を考えます。

機械メーカーの工事範囲が「機械本体と付属配管まで」、工場側が手配する工事が「既設冷却水配管から機械への接続まで」だとします。

一見すると、工事区分は明確なように思えます。

しかし、実際に発注するには、まだ決めなければならないことがあります。

機械の冷却水入口は、ねじ込み接続なのか、フランジ接続なのか。接続部の相手継手やガスケット、ボルトはどちらが支給するのか。機械の直前に設けるバルブは、メーカーの付属品なのか、現場工事で設置するのか。

これらが決まっていなければ、配管工事会社は必要な材料と施工範囲を確定できません。

また、「一次側」「二次側」という用語は、機器や契約によって指している範囲が異なる場合があります。

そのため、言葉の解釈に頼らず、図面上の具体的な接続位置を工事境界として示すことが重要です。

接続点は、一つの機械に複数ある

生産設備によっては、圧縮空気、冷却水の往き・戻り、排水など、複数のユーティリティ接続が必要です。

これらをまとめて「設備配管工事一式」とすると、それぞれの接続条件や施工範囲が見えにくくなります。

例えば、冷却水の供給配管は工場側の工事でも、機械内部の配管や付属バルブはメーカー支給になっている場合があります。

排水は、機械の排水口までがメーカー範囲で、その先の排水配管や排水ますへの接続は別途工事かもしれません。

同じ機械でも、接続口ごとに工事の境界が異なることがあります。

そこで、まず設備メーカーから、ユーティリティ接続口が分かる最新の外形図・接続図・仕様書を受け取ります。

仕様が確定していない部分があれば、その箇所は未確定として扱い、確認先と確定期限を決めます。

接続図面があっても、工事区分は決まらない

機械メーカーから接続図を受け取ると、冷却水入口やエアー入口の位置と寸法が分かる場合があります。

しかし、それだけで配管工事を発注できるとは限りません。

例えば、図面に「冷却水入口 50A フランジ」と記載されていたとします。

これは接続仕様を示す情報ですが、相手側のフランジや継手、締結部品を誰が用意するかまでは、その記載だけでは分からない場合があります。

さらに、機械側接続口の実際の高さや向きが変われば、工場側で事前製作した配管が合わなくなる可能性もあります。

このため、設備担当者は図面を受け取っただけで終わらせず、メーカーと配管工事会社に次の点を確認します。

接続部の材料は誰が支給するのか。

最後の接続作業は誰が行うのか。

接続位置を確定する図面は、どの版を使用するのか。

据付後の現地寸法確認が必要な部分はどこか。

例えば、機械の据付位置が最終確定する前に配管を製作する場合、接続位置の誤差をどの部分で調整するかを計画する必要があります。

ただし、機械の接続口に無理な荷重をかけて配管を合わせるような施工は避けなければなりません。機器メーカーの許容条件と配管の支持方法を確認することが前提です。

接続図面は施工のための基礎資料ですが、どこを誰が納めるかは、別途工事区分として確定する必要があります。

配管工事を発注するなら、接続点ごとの工事区分表をつくる

設備担当者が、すべての配管の施工方法を決める必要はありません。

ただし、メーカーと施工会社の見積を同じ条件で確認するために、接続点ごとに工事範囲を整理しておくことは重要です。

例えば、次のような形式です。

工事区分表の例

以下は工事区分の整理方法を示す例であり、特定の機械の実際の仕様ではありません。

接続対象設備メーカーに確認すること配管施工会社と決めること
冷却水入口接続口の位置・口径・規格、付属弁の有無既設配管からのルート、接続部材の手配、最終接続範囲
冷却水出口戻り配管の接続仕様、機械側の要求条件戻り配管の接続先、必要な配管工事・支持
圧縮空気入口必要圧力・流量、接続規格、付属機器既設系統からの配管、減圧機器・バルブなどの施工区分
排水出口排水の性状・最大排水量、排水口位置接続する排水系統、配管ルート、排水方式の検討

この表だけで発注を完了するのではありません。

各接続点について、さらに「支給する会社」「取り付ける会社」「施工後に確認する会社」を明確にします。

例えば、冷却水入口について、機械メーカーが接続フランジまでを支給するのであれば、その先の配管工事をどの位置から施工するか決めます。

逆に、メーカーの支給品が機械本体の接続口までなら、現地接続に必要な相手継手なども配管側の工事に含める必要があるかもしれません。

ここを確認することで、見積漏れや材料の重複手配を防ぎやすくなります。

見積書には「どこまで含まれるか」を残す

例えば配管施工会社の見積が「冷却水配管工事一式」だけでは、接続部の部材や試験まで含まれているか判断しにくくなります。

だからといって、設備担当者が細かい配管部材をすべて積算する必要はありません。

施工会社には、少なくとも次の範囲を明示してもらいます。

既設配管への分岐・接続、新設配管と支持金物、必要なバルブや継手、機械接続部の施工、仕様に応じた試験・復旧。

さらに、メーカー支給品や別途工事となるものがあれば、その範囲も示してもらいます。

工事区分表で担当範囲を決め、見積書でも同じ区分になっているか確認する。

これが、複数社へ発注する際の基本になります。

機械が据え付けられる前に、配管をどこまで施工できるか

工場では、設備の搬入日から試運転日までの期間が限られていることがあります。

そのため、機械が搬入されてから配管工事をすべて始めるのではなく、可能な範囲を事前施工しておく方法が考えられます。

例えば、既設エアー主管から機械の設置予定場所付近まで、新しい配管を先行して設置する場合です。

しかし、機械の据付位置が確定していない段階で、接続口までの配管を製作してしまうと、現場で寸法が合わなくなる可能性があります。

そこで施工会社は、機械据付前に施工できる部分と、据付後の実測が必要な接続部分を分けて計画します。

設備メーカー側では、接続口の最終位置や必要な施工空間、最新図面の改訂状況を確認します。

配管の先行施工で大切なのは、可能な限り先に取り付けることではありません。機械の据付後に手戻りなく接続できる範囲を見極めることです。

ここが明確になれば、現場の停止時間や施工期間も具体的に検討しやすくなります。

配管工事の完成と、機械の試運転は同じではない

もう一つ、工事区分が曖昧になりやすいのが試運転です。

例えば、冷却水配管の接続が完了した場合でも、配管の漏れ確認が終わったことと、機械が必要な冷却性能を確保できていることは別です。

配管施工会社は、契約した施工範囲について、仕様に応じた必要な試験・確認を実施します。

機械メーカーは、機械の仕様と契約範囲に基づいて、設備の調整や運転確認を行います。

工場側は、設備の運転条件や既設ユーティリティの供給状況を管理し、必要な関係者と運転開始の可否を判断します。

この役割を明確にしておかないと、配管工事は終わっているのに、メーカーの試運転が始められないという事態が起こる可能性があります。

例えば、試運転時に冷却水を供給する担当者や、必要な流量・圧力を確認する方法が決まっていない場合です。

また、試運転中に配管接続部から漏れが見つかった場合、誰が原因を確認し、どの範囲を手直しするかも、契約と施工範囲に基づいて判断する必要があります。

重要なのは、試運転の責任をすべて一社へ押し付けることではありません。

配管工事として何を確認して引き渡すのか。メーカーはどの状態を受け取って試運転を開始するのか。

この境界を、工事前に決めておくことです。

すでに機械を発注している場合、何から確認すればよいか

機械メーカーへの発注が終わっていても、工場側の配管工事をまだ手配していない場合があります。

その場合、まずメーカー見積書の「別途工事」「客先工事」「工場側手配」などの記載を確認します。

次に、機械のユーティリティ仕様と接続図面を入手します。

ここで最優先に確認したいのは、次の四点です。

優先して確認することなぜ必要か
接続位置と接続仕様施工できるルートと必要な部材を決めるため
支給品・接続作業の範囲メーカーと配管施工会社の見積漏れを防ぐため
機械搬入・据付・試運転の日程配管の先行施工と接続作業の時期を決めるため
試運転開始に必要な条件工事完了後に、誰が何を確認して引き渡すか決めるため

資料がそろったら、配管施工会社へ現地調査と工事範囲の検討を依頼します。

この段階では、工場側が配管ルートや継手の数量をすべて決める必要はありません。

「新設機械のメーカー図面と見積があり、ユーティリティ配管は別途工事になっている。既設配管から機械接続口までの施工範囲と、メーカーとの接続境界を確認したい」

このように相談すれば、施工会社は工事の目的と確認すべき事項を把握できます。

また、メーカーから配管の接続位置変更が通知された場合は、配管施工会社へそのまま共有し、施工図・材料・見積・工程への影響を確認します。

図面の改訂情報を共有せず、メーカーと配管施工会社が別々の図面で工事を進めることは避けなければなりません。

設備担当者が最終的に確認するべきなのは「試運転できる状態まで、誰が責任を持つか」

ここまでの整理を、一つの設備導入計画として考えます。

設備メーカーは機械を製作・搬入・据付する。

配管施工会社は、契約した範囲の配管を製作・設置し、必要な接続と試験を行う。

工場側は、既設設備の運転条件や各社との調整を管理する。

このような分担であっても、接続点や工事境界が明確になっていれば、それぞれの見積・工程を整合させられます。

反対に、機械の据付までしか工程を確認していなければ、その後のユーティリティ接続工事や試験が抜け落ちる可能性があります。

設備担当者が最終的に確認したいのは、すべての工事を自分で管理できるかということではありません。

各社の工事がつながり、予定した試運転に進める状態になっているかという点です。

そのためには、接続点ごとの工事区分、必要な施工条件、工程、引渡し時の確認内容を明確にすることが重要になります。

設備増設に伴うユーティリティ配管工事を相談する場合

新しい生産設備を導入するとき、メーカー見積に配管工事が含まれていない場合や、機械側と工場側の接続範囲が分からない場合があります。

HAGANEでは、工場・プラントのエアー、蒸気、給排水などの配管について、設備増設に伴う新設配管、既設配管からの分岐・接続、配管ルート変更などの工事相談に対応しています。

機械メーカーのユーティリティ仕様や接続図面、現在の配管状況を確認しながら、対応可能な配管工事の範囲と施工方法を検討します。

また、メーカーの施工範囲と配管工事の境界が確定していない段階でも、必要な確認事項を整理するところからご相談いただけます。

「設備メーカーの見積には一次側配管が含まれていない」「接続口は分かっているが、誰がどこまで工事するか決まっていない」

そのような場合は、メーカー見積書、設備の接続図面、設置予定場所、希望する試運転時期など、分かる範囲の情報をお知らせください。

新設機械の配管接続、工事区分からご相談ください

メーカー見積で配管工事が別途になっている場合も、接続図面と既設設備の状況を確認し、必要な配管工事の範囲を検討します。

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