「深呼吸したくなる家をつくっています」
そう言うと、だいたい笑われます。
「え、家で?深呼吸?」
「性能とかデザインじゃなくて?」
「スローライフ的なやつですか?」
違うんです。
僕が言いたいのは、
“呼吸の質が変われば、暮らしそのものが変わる”ということ。
これはただのキャッチコピーじゃなく、
20年近く木と家と人に向き合ってきた中で、
ようやく言葉にできるようになった“真実”です。
呼吸しているのに、息苦しい——そんな毎日ありませんか?
「在宅ワークで1日中PCと向き合っている」
「気づくと、息が浅くなってる」
「なんだか、息が吸いづらい家なんです」
こんな相談を、僕はお客さんから本当によく受けます。
もちろん、呼吸自体は止まってない。
でも、“深く吸える空気じゃない”という違和感がある。
それってもしかしたら、
- 家の空気が動いてない
- 換気が形だけで、循環していない
- 温湿度が不快で、身体が防御している
- 素材から出る“におい”がストレスになっている
そんな状態が、呼吸に現れているのかもしれません。
僕自身も「呼吸が浅くなっていた」ことに気づかなかった
正直に言います。
僕も昔は、断熱・気密・自然素材の性能ばかりに気を取られていました。
- どの断熱材が良いか
- 数値はいくつか
- 無垢材は何ミリか
でもあるとき、自分の暮らしの中でふと違和感を覚えたんです。
家の中で、息が浅くなってる。
毎日バタバタして、デスクに向かい、設計して、現場に出て。
でも家に帰っても、心が休まっていなかった。
そこで僕は自分の家を見直し始めました。
空気の流れを整え、無垢材の床を入れ、
換気のルートを変え、素材の匂いを調整し、
断熱・気密を再設計して、ようやくわかったんです。
家の空気って、“身体に入ってくるもの”だったんだ、と。
深呼吸って、結局どういうことなんだろう?
僕なりの定義を一言で言えば、こうです。
「何も意識せずに、自然と息が深くなる状態」。
- 無意識に息が止まっていないか?
- 呼吸が浅くて肩が凝ってないか?
- 胸が開かないまま、1日が終わってないか?
これ、全部“空間のせい”かもしれません。
空気が変わると、暮らしの“感じ方”が変わる
断熱がしっかりした家は、温度のムラがない。
気密が高い家は、空気が澄んでいる。
自然素材が使われた家は、五感が落ち着く。
この組み合わせが整うと、深呼吸したくなる空気が生まれます。
僕が設計した家で、お引き渡しのときにお客さんが言いました。
「玄関を開けた瞬間に、“あ、息ができる”って思いました」
もう最高の褒め言葉です。
家は“吸う空気”でできている
食べ物は選ぶのに、
呼吸する空気は気にしていない。
そんな人、多くないですか?
でも実際、私たちは
1日約2万回、空気を吸っています。
つまり、空気が汚れていたら、
2万回ストレスを感じているってことなんです。
逆に、空気がきれいで心地よければ、
2万回の「安心」がある。
だから僕は、「空気を設計する家づくり」をしています。
僕が考える、“深呼吸したくなる家”の条件
- 杉や桧などの無垢材が使われている
- 気密性が高く、外気の侵入が最小限
- 計画換気が効いていて、空気が循環している
- 素材に化学臭がなく、呼吸の邪魔をしない
- 湿度と温度が安定していて、肌と呼吸が楽
これが整うと、身体が勝手に深呼吸を始めます。
そんな家を、僕はこれからもつくっていきたい。
「空気の話」で終わらせない。これは“生き方”の話
深呼吸できる家って、
「性能がいい家」じゃなくて、
“暮らしに戻れる場所”だと思うんです。
- 背筋を伸ばしてごはんが食べられる
- 子どもが裸足で笑ってる
- ソファで“ふぅ”って言いながら休める
それって、ぜんぶ「空気」のおかげじゃないですか?
📘 『深呼吸したくなる家は暮らしをどう変えるのか』——僕が書いた理由
この本では、僕が20年かけてたどり着いた家づくりの本質を書きました。
- 空気の流れ
- 無垢材の選び方
- 断熱と気密の誤解
- 空き家再生と自然素材
- 暮らしの“質”とは何か?
知識じゃなくて、“感覚を取り戻す本”です。
ぜひ、深呼吸したくなる人に、読んでほしい。