「中古住宅を買って、自分たちらしいリノベをしたい」
そう考える方が増えています。
僕の元にも、ここ数年で中古リノベの相談が急増しています。
でも、実はここに“見落としがちな落とし穴”があるんです。
それは、「買ってから後悔するケースが意外と多い」ということ。
この記事では、建築士の視点から“中古住宅を選ぶときに見るべき5つのポイント”を具体的に解説します。
リノベ前提の物件購入で絶対に失敗したくない方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
見極めポイント①|構造体の健全性(柱・梁・基礎)
まず一番大切なのが、「この家は骨組みとして大丈夫か?」という点。
- 床がフワついていないか
- 基礎にクラックや沈み込みがないか
- 梁や柱がシロアリにやられていないか
- 雨漏り跡や湿気による腐食がないか
中古住宅の価値は、「直せる部分」よりも「直せない部分」にあります。
構造体に問題があれば、リノベ費用がかさんだり、最悪は施工自体が難しくなります。
僕は現地に行ったとき、必ず床下や屋根裏まで潜ってチェックしています。
「この家は、あと30年暮らせるか?」という視点で診断するのがプロの役目です。
見極めポイント②|断熱・気密の下地になり得るか?
断熱・気密は、暮らしの快適性を決める土台です。
中古住宅の中には、断熱材がほぼ無い、または断熱施工が難しい構造もあります。
チェックするのは:
- 外壁と屋根裏に断熱を入れるスペースがあるか
- 床下が潜れる構造か
- 壁内に断熱材が入っている形跡はあるか
- サッシは交換可能な造りか
特にツーバイフォーなどの工法は、壁の断熱強化が難しい場合もあります。
リノベで“性能を整える”ことを前提に考えるなら、改修しやすい構造かどうかが重要です。
見極めポイント③|雨仕舞い・通気・劣化の兆候
リノベは「見た目を整える」だけではありません。
空気の流れや湿気の処理ができる構造になっているか?も重要です。
確認すべきポイント:
- 屋根の形状(陸屋根や複雑な形状は雨漏りリスクが高い)
- 通気層があるか、または追加できる構造か
- 壁内部や押入れにカビ臭や結露跡がないか
- 水まわりの床に“沈み込み”がないか
とくに通気が悪い家は、珪藻土や漆喰を使っても調湿が機能しないことがあります。
空気設計を含めた“再生可能性”を見て判断しましょう。
見極めポイント④|法規制と自治体の補助制度
「建ぺい率・容積率」や「再建築不可」など、法規上の制約は意外と見落としがちです。
これらを見誤ると、増築や変更ができなかったり、補助金が使えない可能性も。
見るべき点:
- 都市計画区域内かどうか
- 接道義務を満たしているか
- 増改築に行政の確認が必要なエリアか
- 長期優良住宅化リフォームの対象か
リノベを進める上で、「法的にOKか」「補助金が使えるか」は実質のコストにも影響します。
見極めポイント⑤|住まい手として“好きになれるか”
そして最後に、僕が一番大切にしている視点があります。
それは、
「あなたはこの家を好きになれそうか?」
- 窓からの景色
- 周辺環境の音や光
- 玄関のにおい
- 外観の雰囲気
これらは図面や性能には現れません。
でも、“好きになれるか”どうかが、リノベ後の暮らしの満足度を大きく左右します。
僕が思う「中古住宅を選ぶということ」
中古住宅を選ぶというのは、“今あるものに敬意を払いながら、これからの暮らしをデザインする”ということ。
新築のような真っさらな状態ではありません。
でもその分、“余白”と“伸びしろ”がある。
僕はこれまで、たくさんの中古住宅に触れてきました。
そこに共通するのは、素材を活かし、暮らしを整えることへの喜びです。
中古リノベを考えている人には、
「この家で、呼吸したいと思えるか?」
という問いを、自分に投げかけてほしいと思っています。
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