The Story of Silence
私達が提供するのは、没入権の奪還。
なぜ、あのセリフが聞こえないのだろう?
私は建築士として図面を引く一方で、家に帰れば一人の映画ファンや音楽ファンに戻ります。新作から思い入れのあるものまで、映画やアニメなどのコンテンツを見るほどに感じるのがこれでした。
「なぜ、あのセリフが聞こえないのだろう?」
クリストファー・ノーランの映画で、轟音の中に埋もれる重要なセリフ。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンの少佐の囁くようなあの声。
それだけではありません。
ビルエヴァンスの奏でるピアノのスモーキーあの臨場感。
『ブレードランナー』の雨の音に含まれる、湿度の匂い。
ソフト(円盤)の中には、間違いなくその「情報」が入っています。
にも関わらず、部屋の中で再生した途端、周囲の雑音にかき消され、響いてほしい音が響かず、表面的な音だけが聞こえるばかりでした。
「なぜだろう? ただ、クリエイターが命を削って込めた音を聞きたいだけなのに」
私の愛するオーディオ機器が悪かったのではありません。
その問いの答えは、これだったのです。
私が仕事で作ってきた「日本の住宅」そのものが、ハイエンドな体験ができない構造だったからです。
薄い壁、共振する床、定在波を生むだけの四角い箱。
私達は「住みやすさ」を追う中で、感動の半分以上を消してしまっていたのです。
ないなら、自分が生み出したい
映画館じゃないから仕方がない。
家でそこまでのクオリティのものは手に入らない。
でも、本当にそれでいいのだろうか。
クリエイター達が魂を吹き込んでくれていて、それが今手元にあるのに、諦めていいのだろうか。
と、私は思いました。
防音室こそ多くある一方で、音の響き方にもこだわっているような会社は見当たりませんでした。
そこで、こうも思ったのです。
それなら、作ろう。
多くのクリエイター達が生み出してくれた最高の音や映像を楽しめるような、
単なる防音室ではなく、今手元にある機材の能力が最大まで活かせるような、
最高の没入空間を自分が生み出そう。
その個人的な想いがDIVERの原点です。
そこから、一人の映画や音響のファンとして、建築士として、防音だけではなく、吸音、残響、周波数など、徹底的に設計に組み込んでいきました。
建築士だからこそ、手元の機器が存分に力を発揮できる環境を作りたい。
そして、自分が作る環境を通じて、同じように本当に作品を余すことなく楽しみたい、本物の音に没入したいと思っている人に、没入体験を届けたい。
そう思ったのです。
私はその日、「住むための家」を考えるのをやめました。 代わりに、ソフトに含まれる情報を一滴も漏らさず鼓膜に届けるための、「巨大な再生装置(デバイス)」を作ることに決めたのです。
信用に足る根拠を設計に反映させること
私はそこから、単なる防音室ではなく、大切な音をより良く響かせることを考えました。欲しかったのは、「完全な没入体験」です。
映画館でさえ、隣の席のポップコーンの音で現実に引き戻されることがあります。
私が欲しかったのは、世界から物理的に切断された「真空」のような場所でした。
建築士としての知識を総動員して、設計にあたりました。
その際に特に意識してきたのは、経験則だけではなく、根拠を大切にすることです。
そこで私が特に徹底したのが音響工学です。
建築の知識だけではなく、そこに音響工学や音響学という物理学の計算を盛り込みました。
音の反響、残響、吸音、遮音、振動など、さまざまな音の影響は音響工学の中で明確化されており、多くの論文が存在しています。
この音を響かせるにはどの材質のものがどの程度必要なのか。
防音といっても、どのように、どの程度音を下げることができるのか。
このような疑問は音響工学の分野で実際に多くの実験がなされ、数式や知識が提示されています。
その数式の根拠をもって、私達は設計施工にあたり、確実に防音と音作りをしているのです。
私達の考え方の一例をご紹介します。
音の種類に合わせて材質を変えること
通常の石膏ボードでは、映画の重低音は止められません。
例えば、いくら石膏ボードの量を増やしたとしても、重低音は石膏ボードの範囲外。結局重低音の防音が防ぎきれないままになってしまうのです。
そのため、私達は異質の材料を取り入れることによって、高音、低音それぞれの音を防ぎます。
それだけではなく、室内に木を使用するなど、不必要な音の反響は吸音させ、本当に必要な響きだけを残すようにしています。
もちろんこれだけではありません。物理学が証明している音の波や反響、吸音などの知識を取り込むことによって、数値からも、信頼に足るものを提供しているのです。
DIVERの仕様書には、「なんとなく」「多分」という曖昧さは無くし、なぜこの素材を選ぶのか、なぜこの厚みなのか、など、全てに根拠を持たせています。
それこそが本当に必要な音を残し、本当に防ぐべき音を防ぐために必須だと考えています。
防音だけではなく、必要な音を響かせること
しかし、ただ音を止めるだけでは「無響室(実験室)」です。 それでは音楽はうまく響かず、映画の本来の良さが削がれてしまいます。
私が欲しかったのは、スピーカーが消える体験。 いわゆる「音場(サウンドステージ)」の出現です。
DIVERの内壁を一歩入るとあるのは、視覚的なノイズを消し去る、マットブラックの吸音層。 その上に計算されて配置された、無垢材の拡散ルーバー。
これらはデザインではありません。すべて「機能」です。
壁の反射音を制御し、脳に「壁がない」と錯覚させる。 すると、狭い部屋の中なのに、目の前に広大な荒野が広がり、小声さえもまるでそばで聴いているかのような錯覚になります。
雑音が消えて、本当にいいものだけが浮き上がるように聞こえる。
だからこそ、完全に没頭できる、真の没入体験ができるのです。
そして、 それこそが、私達の提供するDIVERなのです。
本当にいいものにはデザインも必要
私達が大切にしているのは、防音と音作り、だけではありません。
部屋全体の照明や、部屋全体の雰囲気もまた欠かせません。
壁が真っ白では、いくら部屋を暗くしても視界の隅に白い色が残ってしまい集中しきれない。
本当の没入空間は部屋に入った時から既に始まっている。
私達はそう考えています。
本物の没入体験を追い求めるなら、部屋に入った時に気持ちが上がるようなデザインが必須であり、雰囲気を出してくれる照明が大切です。私達は部屋全体の雰囲気もまた大切にしています。
もし今、心のどこかで「映画館のような没入体験」を求めているのだとしたら。
映画のエンドロールが終わるまで、誰にも邪魔されずに余韻に浸りたいなら。
深夜3時に、ボリュームを絞ることなく、魂を震わせたいなら。
私達の作るDIVERはきっとあなたを満たしてくれるはずです。
これから長い未来、過去の大好きな作品から、新しく好きになった作品まで、没入できる最高の体験を私達はお届けいたします。
[ DEVELOPER’S PROFILE ]
DIVER 開発責任者
建築士でありながら、重度のオーディオファイル・シネマフリーク。
「なぜ、いい機材を買っても、映画館のあの感動が得られないのか?」という疑問から、日本の住宅建築の音響的欠陥に着目。
「欲しい部屋がないなら、発明するしかない」という動機から、DIVERプロジェクトを始動。
現在も、「究極の視聴環境、没入体験」を求めて、DIVERのアップデートを繰り返しています。
DIVER Founder / Sound Architect. GOKI AOKAWA
