「この家にいると、なんだか息がしやすい」
「朝の空気が気持ちよくて、自然と背筋が伸びる」
「家に帰ると“ふわっ”と軽くなる感じがするんです」
こういった言葉を、お客さまからいただくと、僕はとても嬉しくなります。
なぜなら、それこそが僕が家づくりで目指しているゴール、
“深呼吸したくなる暮らし”そのものだからです。
この記事では、ただ家を片付けたり掃除したりする話ではなく、
「空気と素材」から暮らしを整える方法をお伝えします。
暮らしの質を決めるのは「見えないもの」
家具の配置、間取りの工夫、収納のテクニック。
それらも大切ですが、僕が一番こだわっているのは、
「空気の質」です。
空気は目に見えません。
でも──
- 朝起きたときの喉の違和感
- 窓を閉めた部屋のにおい
- 子どもが床に寝転んで咳をするかどうか
こうした“小さな違和感”が積み重なると、
「なんとなく暮らしに疲れている」という状態になります。
深呼吸できる暮らしとは、つまり
「身体が安心し、心が緩む空気」をつくること。
そのためには、表面的な整え方ではなく、
“暮らしの根っこ”を整える必要があるのです。
僕がたどり着いた「暮らしの整え方」の3つの軸
① 空気を動かす
換気扇をつければOK、ではありません。
大切なのは、“空気の通り道”が家の中にあるか?ということ。
- サーキュレーターを天井方向に常時運転
- 扉の下にスリットを設けて空気の回遊路を確保
- 廊下を空気の“通路”として設計
- 換気扇+自然吸気のバランス設計
これらはすべて、“空気が澱まないための整え方”です。
② 素材を“呼吸するもの”に変える
暮らしの空気は、素材で決まります。
- 無垢の床:湿度を緩やかに調整し、足裏の感覚を変える
- 漆喰や和紙の壁:調湿と防臭効果、そして視覚の安心感
- 植物や木の香り:空間に“生きたリズム”をつくる
ビニールクロスの家に植物を置くと、違和感が出ます。
でも、自然素材の家に観葉植物を置くと、空気が一体化するんです。
素材選びとは、“空気の質感”をデザインすることでもあります。
③ 習慣が“整えた空気”をキープする
家が整っていても、住む人の習慣が乱れていると、空気も乱れます。
- 朝、窓を2分だけ開ける
- 寝る前に換気扇を1時間つける
- フィルター掃除を月1でやる
- 布製品の湿気を週1でリセットする
どれも難しくはありません。
でもこの「小さな習慣」が、空気の安定と、暮らしのリズムを支えるのです。
僕の暮らしにも“深呼吸できない時期”があった
正直に言えば、昔の僕は“形にばかり”こだわっていました。
どんな素材を使うか。どんなデザインか。どれだけかっこいい空間か。
でも、自分が仕事に追われて暮らしが荒れ始めたとき、
「空気が重たい」と感じたのは、自宅でした。
無垢の床にホコリがたまり、換気のタイミングを忘れ、
何より“心の空気”が乱れていたのです。
そこから、「深呼吸したくなる暮らしってなんだろう?」と、
自分の家を実験台にしながら再構築していきました。
暮らしの“整えどころ”は人によって違う
- 忙しくて時間がないなら、朝の1分換気から始めてみる
- 家族との時間がすれ違っているなら、食卓の空気を整える
- 不安がつきまとうなら、植物の手入れで呼吸を整える
整えるとは、「完璧にする」ことではなく、
“自分の今に合った空気をつくる”ことだと、僕は思っています。
僕が届けたいのは、「空気の設計」ではなく「空気の習慣」
設計士として、間取りも素材も提案します。
でも僕が本当に届けたいのは、
“住んでからの習慣”まで支える空気づくりです。
- 寝室の湿度が50%に保たれていると、睡眠の質が変わる
- 朝一番の深呼吸で、1日の気分が軽くなる
- 子どもが裸足で遊べる家に、親も安心して笑える
そんな“小さな整い”の積み重ねが、
暮らし全体の豊かさを変えていくんです。
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