無垢フローリングに憧れるあなたへ|“気持ちよさ”の裏にある不安とは?
「無垢フローリングって、本当に気持ちいいですね」
家づくりの相談で、こんな言葉をよく耳にします。
実際に素足で歩いてみると、その気持ちはすぐにわかります。
木の香り、足ざわりのやさしさ、温もり──
合板やクッションフロアでは決して味わえない“自然の心地よさ”が、そこにはあります。
でも、こんな声も同じくらい届きます。
「見た目はすごくいいけど、無垢フローリングって手入れが大変そう」
「傷ついたり、シミになったりするって聞いて、不安です」
そう、無垢フローリングには“気持ちよさ”と引き換えに向き合うべき現実もあるんです。
無垢フローリングの後悔は、“知らずに選んだ人”に起こる
僕はこれまで20年以上、木と向き合う現場に立ち続けてきました。
製材所で汗をかきながら木を挽き、無垢材の家に実際に暮らしながら、
多くのお客様の「後悔」と「よろこび」の両方を見てきました。
そして確信しているのは──
後悔する人の多くは、「素材の特性」を知らずに選んでしまった人だということ。
たとえば:
- 「床に水をこぼして放っておいたら、黒いシミができてしまった」
- 「掃除機のヘッドが擦れて、線状の傷がついた」
- 「冬になると冷たくて、思っていた“ぬくもり”とは違った」
これらは、無垢材が悪いのではなく、暮らし方と知識のミスマッチなんです。
正しい知識があれば、後悔どころか“愛着”に変わる
たとえば、「水に弱い」という無垢材の特性も、
「こぼしたらすぐに拭く」というルールひとつで、防げます。
逆に言えば、たったそれだけのことで、“後悔しない家”になる。
これからの記事では、無垢フローリングと心地よく暮らすために
僕自身が実践してきた「5つの習慣」をご紹介していきます。
特別な道具も、高度な知識もいりません。
大切なのは、「木を知ること」と「暮らし方をほんの少し整えること」。
あなたの家が、“素足で歩きたくなる場所”になるように
木の床に寝転んで、深呼吸したくなるような空間。
それは、誰にでも手が届く「本当の豊かさ」だと、僕は思っています。
この記事が、あなたの「無垢フローリングのある暮らし」を
不安ではなく、楽しみへと変えるきっかけになれば嬉しいです。
無垢フローリングで後悔した人が口を揃えて言う“3つの落とし穴”
「こんなはずじゃなかった」
「無垢フローリングにしたけど、ちょっと後悔してるんです…」
僕のところに寄せられる相談のなかで、もっとも多いのがこの言葉です。
無垢フローリングは、たしかに心地よく美しい素材です。
でも、事前に「特徴」や「扱い方」を知らずに選んでしまうと、後悔する人が多いのも事実。
実際に、後悔した方の声には、次のような共通点があります。
① 無垢フローリングは傷がつきやすい素材です
とくに杉や桧などの針葉樹を使った無垢フローリングは、
足触りは最高にやさしい一方で、爪や硬い家具に弱く、小さな傷がつきやすいという特徴があります。
- 子どもがおもちゃを落とした
- ペットの爪が当たった
- 椅子を引いた跡が線になった
このように、日常の動作で知らぬうちに「傷」が増えるのは、無垢材ならではの宿命です。
でもこれは、“自然素材だからこそ”起きる、あたりまえの現象でもあるんです。
② 無垢フローリングは水に弱い──シミの原因に
無垢材は吸水性があるため、水をこぼして放置すると、輪ジミや黒ずみの原因になります。
- 食事中にこぼしたお味噌汁
- コップの結露
- 植物の鉢からこぼれた水
こういった「ちょっとした水分」が、あとでシミとして残ることも。
実際、「無垢フローリング 後悔」という検索のなかには、この“水シミ”が理由の声も多いです。
でも裏を返せば、「水はすぐ拭く」を習慣にすれば、防げるトラブルでもあるのです。
③ 「冬に冷たい床」でショックを受ける人も
「無垢の床って、あたたかいんじゃないんですか?」
そう思っていたのに、「冬に冷たすぎてがっかりした」という声もあります。
でも実は、無垢フローリング=断熱材ではありません。
木は比較的熱伝導率が低い素材ですが、
- 断熱材の不足
- 床下からの冷気侵入
- 暖房の方式ミス
こうした“家そのものの性能不足”があれば、どんな素材を使っても寒くなります。
後悔の本質は、「素材のせい」ではなく「準備不足」
こうした後悔は、決して素材自体のせいではありません。
問題なのは、「自然素材の特性を知らないまま採用してしまったこと」。
- 傷がつく性格
- 水に弱いという性質
- 断熱とのセットで考える必要
これらを知らずに夢だけで選んでしまうと、“暮らしとのギャップ”が生まれてしまうのです。
無垢フローリングは“生きている素材”です
無垢フローリングの傷やシミはなぜ起きる?素材の性格を知れば納得できる
無垢フローリングには、工業製品にはない「味わい」があります。
でもそれは、“生きている素材”だからこそです。
木は、切られてもなお、「呼吸する素材」です。
空気中の湿気を吸ったり、吐いたりして、いつも変化しています。
その変化こそが、傷やシミができる「理由」なのです。
無垢フローリングは、湿気を吸ってふくらむ/乾燥すると縮む
木は空気中の水分を吸うと、ほんのすこしずつ大きくなります。
逆に、乾燥すると縮みます。
この「ふくらんだり、縮んだり」をくり返すことで、
- 表面に微細なすき間ができたり
- 木目に水が入りやすくなったり
結果として、水が染み込みやすくなってしまうのです。
これが、「無垢フローリングは水シミができやすい」と言われる理由です。
なぜ無垢フローリングは傷つきやすいのか?
無垢のフローリングは工業製品のように素材を圧縮させて密度を高めて強度を高めることができません。
※熱く熱したローラーで圧縮し、無垢材の持つ特性を潰す方法で強度を高めている商品はあります。
無垢材の中でも、杉や桧などは“やわらかい”木です。
足ざわりがやさしくて人気ですが、そのぶん、傷には弱くなります。
たとえば:
- おもちゃを落としたときのへこみ
- テーブルの脚が当たった跡
- ペットの爪痕
これらは「摩耗」ではなく、**素材の柔らかさによる“自然な反応”**です。
でもこの傷を、“味わい”として受け止められるかどうかが、満足度の分かれ道になります。
自然素材の「呼吸」は万能ではない。設計との連動が必要です
無垢材や漆喰は「調湿性がある」とよく言われます。
たしかに、空気中の湿度をゆるやかに調整する力があります。
でもこれは、「室内の湿気すべてをコントロールする」という意味ではありません。
- 断熱が不十分なら、床は冷たくなります
- 気密が弱いと、湿気がうまく逃げずにカビの原因になります
- 換気の流れが悪いと、結露が発生することも
つまり、自然素材は“設計と一緒に活かす”べきパーツなのです。
素材の個性を知れば、“後悔”は“愛着”に変わる
無垢フローリングの傷やシミは、
あなたが失敗したからでも、素材が悪いからでもありません。
ただ「そういう性格の木」であることを知らなかっただけ。
でも逆にいえば、素材のことを少し知っておけば、すべては“納得できる変化”になります。
僕も当初は傷で悩みました。でもすぐに割り切りが悩みを吹き飛ばしました。きっと考え過ぎずに良い加減で付き合うのが無垢のフローリングなんだとおもいます。
次章では、そうした無垢材の性格とうまく付き合い、
日常の中で“後悔”を“愛着”に変えるための5つの習慣をお伝えします。
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「無垢フローリングの手入れは難しい」は思い込み。僕が20年かけて実感した5つの習慣
「無垢フローリングって、手入れが大変そう」
そう言われることがよくあります。
でも、僕はこう答えます。
「いいえ、暮らしの中で“習慣”にしてしまえば、むしろ楽しいんです」
僕は製材所の仕事を始めてから20年以上、
無垢材と向き合ってきました。
そして、自分の家でもずっと無垢フローリングで暮らしています。
ここでは、**僕自身が毎日実践している「無垢フローリングを気持ちよく保つ5つの習慣」**を、
誰でもマネできる形で紹介します。
習慣①|基本は気にしない。でも水はすぐ拭く。これだけでシミは防げます
無垢材は水を吸いやすいので、放置するとシミになります。
でも、「こぼしたらすぐ拭く」──これだけで、ほぼ防げます。
- お子さんの飲み物まわりには撥水シート
- キッチンではトレイやランチョンマット
- 拭くときは“水気を残さない”固く絞った布で
この**「ちょっとしたルール」こそが、素材を長持ちさせる知恵**です。
基本は気にしないです。すぐに日に焼けて飴色に変化し同化します。だから気にしなくていいんです。
良い加減で付き合いましょう。
習慣②|無垢フローリングは“やさしく掃除機+乾拭き”が基本
無垢フローリングを長持ちさせるには、日々の掃除がとても大切です。
でも、「特別なこと」をする必要はありません。
大切なのは、“やり方”です。
僕が実践しているのは、このシンプルな組み合わせです。
- 掃除機は「ヘッドの硬さ」に注意
→ 固いローラーやブラシが床を削らないよう、毛足の柔らかいタイプやパッドタイプがおすすめです。
→ 吸引力は中程度でOK。強すぎると表面に摩擦がかかります。 - 掃除のあとは「乾拭き」で整える
→ 表面の細かいホコリや静電気によるチリを拭き上げると、さらりと気持ちいい状態が続きます。
※毎日する必要はありません。気になった時や気分が乗った時にやりましょう。 - 気になったらすぐ対応する
→ 飲みこぼしや食べカスなど、無垢の床は放置が一番ダメージになるので、気づいたらその場でさっと拭く習慣が大事です。
※頑張り過ぎないことが大事。はじめは意外と頑張れますが、必ず疲れます。疲れたらやらない。その割り切りすらライフスタイルなんだとおもいます。
こうしたシンプルな掃除の積み重ねが、
「無垢フローリングと共に生きる」という感覚を育ててくれます。
習慣③|素足で歩こう。肌ざわりこそが最高のメンテナンス
実は、素足で歩くことが、いちばんやさしいメンテナンスになるんです。
- 足裏の体温が木をやさしく乾かす
- 皮脂が表面をほんのり保護してくれる
- 摩擦が細かな凹凸をなだらかにしてくれる
僕の家では、みんな年中素足です。
家族の足音、足触り、床の温度。
全部が「生きた床」としての心地よさを伝えてくれます。
習慣④|オイル塗装のリペアは“手間”ではなく“会話”です
ウレタン塗装と違い、オイル仕上げは呼吸を妨げず、自然素材のままを楽しめます。
キノスミカではオイル塗装を推しています。
- 年に1回〜2回、オイルを薄く塗るだけ
- 表面を乾拭きしてから、やさしく塗り込む
- 夏なら半日で乾燥、においもすぐ消える
僕にとってこれは「床と話す時間」です。
「元気か?乾いてないか?」と、木に声をかけるような感覚で塗っています。
家族の一大イベントで毎年やるのもありです。
習慣⑤|傷は“味わい”。それは家族の時間の証です
無垢フローリングには、生活の跡が刻まれていきます。
- お子さんが初めて歩いた時のへこみ
- 椅子をひきずった線
- ペットがはしゃいだ傷
でも、それらは決して“失敗”ではありません。
それは「その家で、暮らした証」なんです。
僕が以前リノベしたお宅では、お母さんがこう言いました。
「このへこみ、あの子が初めて走った時のやつなんです」──
僕はその言葉を、今でも忘れられません。
もし傷や凹みができたら、適度に絞った雑巾を凹みの上に載せます。それからアイロンで凹みを温めるように押し当ててください。繊維が分断された凹みは戻りませんが、ある程度ヘコミ程度なら戻る可能性があります。
ここだけの話。社寺の現場でもよくアイロン当ててる大工いましたね。
無垢フローリングと“家族の記憶”を育てる暮らし
無垢フローリングの傷は、家族の歴史を刻む“あたたかい記憶”
僕が家づくりの現場でいちばん感動する瞬間。
それは、完成直後ではありません。
何年も経って、お客様の家に再訪したときのことです。
あるご家族の家に訪ねたとき、お母さんがふと床を見ながらこう言いました。
「このへこみ、あの子が初めて歩いたときのなんです」
それを聞いたとき、僕の胸の奥がじんわり熱くなりました。
無垢フローリングは、家族の時間を“素材に刻む”床
フローリングの小さな傷──
それは、ただの劣化ではありません。
- 初めて歩いた子どもの足音
- 駆け回るペットの爪痕
- 家族で囲んだ食卓からこぼれたスープの輪ジミ
全部が、その家で生きた証なんです。
年月とともに色が深まり、足ざわりがなめらかになり、
“味わい”が少しずつ積み重なっていく。
これこそが、無垢フローリングの経年変化の美しさです。
完璧じゃないから、愛おしくなる家がある
合板や塩ビの床材は、傷がついたらただ古びていきます。
でも無垢材は違う。
傷も、シミも、色むらも──“育ってきた証”として味わえる素材です。
まるで、人のしわのように。
家族が一緒に過ごした時間のぶんだけ、表情が出る。
そういう「完璧じゃない家」が、いちばん心に残ると僕は思っています。
無垢フローリングは、暮らしと一緒に“育つ”素材です
木は、日差しや湿度で表情を変えます。
そして、使い方・暮らし方によって、違う味わいに育っていきます。
- 毎日素足で歩けば、自然な艶が生まれる
- 定期的にオイルを塗れば、色が深まりやわらかくなる
- 家族の成長と一緒に、床の“景色”が変わっていく
そんな素材は、無垢材しかありません。
あなたの家も、「一緒に歳を重ねる家」になりませんか?
無垢フローリングの家を「後悔のない選択」にするために
自然素材の家づくりを、安心して進めるために
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
「無垢フローリングに憧れる」
「でも、後悔はしたくない」
そんな気持ちを抱えているあなたへ、僕たちキノスミカができること。
それは、“素材だけじゃなく、暮らしごと考える家づくり”の伴走者になることです。
後悔しない無垢フローリングの家づくりには、準備がすべてです
素材の知識
家の断熱や換気の考え方
そして、暮らしに合った“ちょうどいい提案”
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