「家の寒さがつらい」
「暖房をつけているのに足元が冷える」
「夏はエアコンが効かず、冬はどこも冷たい」
こうした声は、特に築年数が20年を超える中古住宅に多く見られます。
そしてその“原因のほとんど”は、断熱性能の低さにあります。
この記事では、建築士として断熱リノベーションに関わってきた経験から、
なぜ断熱を変えるだけで「暮らしの快適性」が劇的に変わるのか?
その理由と具体的なポイントをお伝えします。
暮らしを左右する「体感温度」は、断熱で決まる
室温が20℃あっても、足元が冷たいと「寒い」と感じるものです。
これは「体感温度」が関係しています。
体感温度=室温と表面温度(床・壁・天井)から感じる温熱環境の合成。
つまり、断熱性能が低い家では、表面温度が下がるため、実際の室温よりも寒く感じるのです。
また、断熱不足は以下の問題も引き起こします:
- 冷暖房効率の低下 → 光熱費の増加
- 部屋ごとの温度差 → ヒートショックのリスク
- 窓や壁の結露 → カビやダニの発生
“我慢して住む”のではなく、“快適に過ごす”ためには、断熱が暮らしのベースであることを知ってほしいと思います。
僕が手がけた「断熱リノベで人生が変わった家」
築27年の木造住宅を購入されたご家族。
もともと「見た目は気にしないから、とにかく暖かい家にしたい」というご要望でした。
実施したのは、
- 外壁と床下に断熱材を追加
- 窓を樹脂サッシ+Low-Eガラスに変更
- 天井断熱+小屋裏の気流止め
- 換気経路の見直し
完成後、暮らしの変化は劇的でした。
「冬に起きるのがラクになった」
「朝の脱衣所が寒くなくなって風邪をひかなくなった」
「電気代が思った以上に下がって驚いています」
こうした“感覚の変化”こそ、断熱が暮らしに与える力です。
中古住宅こそ「断熱リノベ」が効く理由
① 断熱がほぼ無い、もしくは施工が不十分なケースが多い
90年代以前の住宅では、断熱材が薄い・途切れている・床や屋根が無断熱というケースが多数あります。
それを断熱リノベで“現在の水準”に引き上げるだけで、体感は大きく改善します。
② 暮らし方に合わせて“ピンポイントで強化”できる
中古リノベでは、「家全体をまるごと断熱」しなくても、
- LDKまわりを重点的に
- 寝室・脱衣所・子ども部屋だけ
といったゾーン断熱が可能。
これにより、コストを抑えながら効果を最大化できます。
③ 光熱費・健康面でのメリットがすぐに体感できる
- 冬場の電気代が2割〜4割下がる
- 結露が減り、カビ・ダニの発生を抑制
- 高齢者・子どもにもやさしい室温が保たれる
光熱費と医療費の削減は、長期的に大きな恩恵をもたらします。
僕が断熱リノベで最初に確認するポイント
断熱設計は、現場の状態をよく見ることから始まります。
- 既存の断熱材の状態は?(へたり・隙間)
- 気流止めは機能しているか?
- 窓の性能は? 内部結露の跡は?
- 換気扇の排気位置と風の流れは?
- 床下は湿っていないか?
これらを確認しながら、「どうすれば空気が循環し、快適な室温を保てるか」を組み立てていきます。
暮らしは「温度と湿度」で決まる
デザインも、素材も、間取りも大切です。
でも、温度と湿度が整っていなければ、心地よさは続かない。
僕は家づくりの中で「性能は見えない内側から整える」ことを第一にしています。
そしてその“土台”となるのが、まさに断熱性能の底上げなんです。
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