工場のエアー配管から水が出るようになった。
機械のエアーフィルタに水が溜まり、排出してもまた溜まる。エアーブローに水滴が混じることもあり、生産設備への影響が心配になってきた。
コンプレッサーにはエアードライヤーが設置されている。それでも水分の混入が続き、しかも工場内のすべての機械ではなく、特定の生産ラインだけで発生している。
このような状況では、コンプレッサーの不具合なのか、エアードライヤーの能力不足なのか、それとも工場内のエアー配管に問題があるのか、簡単には判断できません。
設備メーカーへ相談しても、機械側の点検だけでは原因がはっきりしないことがあります。一方、供給設備の異常が確認されていないからといって、配管を交換すれば解決するとも限りません。
ここで見落としたくないのが、既設エアー配管の構造です。
圧縮空気の水分は、供給設備から送り出された後にも条件によって凝縮します。また、配管の勾配や分岐方向、低所の構造によって、発生したドレンが溜まり、空気の流れに乗って機械側へ運ばれることがあります。
この場合、機械側のフィルタを交換するだけでは同じ問題が繰り返される可能性があります。
では、既設のエアー配管に問題がある場合、どの部分を、どのように改修すればよいのでしょうか。
この記事では、工場のエアー配管から水が出る原因を整理したうえで、既設配管の分岐変更、ドレン排出設備の増設、配管勾配・ルートの見直しなど、配管工事として検討できる改善方法と、必要な改修範囲の決め方を解説します。
エアードライヤーがあるのに、なぜ配管から水が出るのか

圧縮空気には、大気から取り込まれた水分が含まれています。コンプレッサーで圧縮された空気が冷却されると、水分が凝縮してドレンが発生します。
そのため、一般的な工場の圧縮空気供給設備には、エアードライヤーやドレン排出設備が設置されています。
しかし、ドライヤーが設置されているからといって、下流の配管内で絶対に水分が発生しないわけではありません。
圧縮空気は配管を流れる間にも温度が変化します。屋外や低温の場所を通る配管などで空気の温度が圧力露点を下回れば、下流側で再び凝縮水が発生する可能性があります。
また、ドライヤーの能力不足や不調、上流側のドレン排出設備の不具合によって、十分に水分が除去されていないことも考えられます。
そのため、ドレントラブルでは、まず供給設備側の運転状態や空気品質を確認し、配管に起因する問題なのかを切り分ける必要があります。
一方、供給設備に大きな問題がなくても、既設配管に水分が滞留する形状があれば、特定の機械へドレンが流入する場合があります。
ここからは、配管工事によって改善を検討できる代表的な構造を見ていきます。
既設エアー配管でドレンが溜まりやすい3つの構造
1. 主管の下側から枝管を取り出している
既設のエアー主管に水分が残っている場合、主管の下側から枝管を取り出していると、その水分が機械側へ流入しやすくなる可能性があります。
圧縮空気配管では、主管内のドレンを枝管へ持ち込まないため、主管の上側から配管を取り出す構成が用いられます。
既設配管が下側分岐になっている場合には、分岐位置や配管形状の変更を検討します。ただし、改修の前には主管側のドレン発生・排出状況も確認する必要があります。
2. 配管の途中に低い部分がある
長い横引き配管や、設備を避けて迂回させた配管では、途中に低い部分が生じることがあります。
その部分にドレンが滞留すると、空気流量の変化などに伴って水分が下流側へ運ばれる可能性があります。
特に、過去の設備増設で配管を継ぎ足している工場では、当初の配管計画では想定していなかった低所ができている場合があります。
こうした配管では、単にドレン排出機器を追加するだけでなく、配管ルートや支持方法そのものを見直す必要があります。
3. ドレンが排出できる構造になっていない
配管の低い場所に水が溜まっていても、そこに排出部がなければ、ドレンが残り続ける可能性があります。
また、ドレントラップを設置していても、実際にドレンが集まる位置と設置場所が合っていなければ、十分な排出が期待できません。
そのため、ドレン排出設備の追加では、機器を設置する位置だけでなく、配管の勾配、排出配管の経路、排出先、維持管理のしやすさまで含めて検討します。
既設エアー配管をどこまで改修するべきか
ドレントラブルが発生したからといって、エアー配管の全系統を交換する必要があるとは限りません。
例えば、複数の生産ラインで水分混入が発生している場合は、まず共通する上流側の供給設備や主管の状態を確認します。
一方、特定の生産ラインだけに症状が現れている場合には、その枝管の接続位置、配管経路、低所、管末の排出構造を調べることで、原因を絞り込める可能性があります。
| 調査で確認された状態 | 検討する配管工事 |
|---|---|
| 主管下側の分岐から水分が流入している | 分岐位置・接続方法の変更 |
| 配管途中の低所にドレンが滞留している | 勾配・支持方法・配管ルートの変更 |
| ドレンが集まる場所に排出設備がない | ドレン排出部・排出配管の増設 |
| 一部の枝管に問題が集中している | 該当区間の部分更新 |
| 複数系統に水分が混入している | 供給設備と主管の調査を優先 |
このように、不具合の発生位置と配管構造を照合することで、改修すべき区間を限定できる場合があります。
配管全体を更新するのか、枝管を取り直すのか、ドレン排出設備を追加するのか。
必要な工事内容は、実際の原因と現場の施工条件によって決まります。
ドレン対策では、配管の取り回しと排水構造を一緒に考える
既設配管の改修方法を考えるとき、重要なのは「ドレンをどこで排出するか」だけではありません。
そもそも水分がどこに溜まるのか、そこから機械側へ流れ込まない構造にできるのか、排出した水を安全に処理できるのかまで考える必要があります。
例えば、天井付近を通る主管の低所にドレン排出設備を追加する場合、排出用の配管を下方へ導く必要があるかもしれません。
その場所に点検スペースが確保できるのか。排出配管が生産設備や作業通路と干渉しないか。排出先の設備は利用できるのか。
こうした条件は、現場を確認しなければ決められません。
また、配管の支持金物を変更して勾配を調整できる場合もあれば、周辺のダクトやケーブルラックとの干渉によって、配管自体を取り直さなければならない場合もあります。
HAGANEの配管改修では、こうした既設設備との取り合いを踏まえて、実際に施工できる配管ルートと工事範囲を検討します。
工場を稼働させながら配管改修できるのか
既設のエアー配管を改修する場合、施工方法だけでなく、既存設備への接続条件も重要になります。
生産ラインで使用している圧縮空気の配管を切断・接続する際には、対象系統を安全に隔離・減圧し、残圧を確認する必要があります。
そのため、工場側で停止できる設備や時間帯を確認し、それに合わせて工事工程を計画します。
配管の取り直しが必要な場合には、既設配管の寸法や接続位置を事前に確認し、可能な範囲で加工を進めておく方法も考えられます。
ただし、実際の施工可否や必要な停止時間は、対象となる系統や工場の運転条件によって異なります。
工事後には、改修した配管の漏れ確認、必要な清掃・異物除去、ドレン排出設備の作動確認などを行います。
さらに、問題が発生していた運転条件で、水分混入が改善しているかを確認することも重要です。
工事そのものの完了と、不具合の改善確認を切り分けずに考える必要があります。
エアー配管のドレン対策工事では、何によって費用が変わるのか
エアー配管の改修費用は、ドレントラップや配管材料の金額だけで決まるものではありません。
例えば、既設の排出部へドレントラップを取り付ける工事と、高所にある主管の分岐位置を変更する工事では、施工内容が大きく異なります。
高所作業の有無、既設配管の口径・材質、接続方法、支持金物の変更、排出配管の経路、設備停止に伴う工程なども費用に影響します。
そのため、原因がまだ特定されていない段階で、配管全体の更新費用を算出することは適切ではありません。
まずは供給設備と既設配管のどちらに問題があるのかを整理し、配管改修が必要な場合に、その範囲と施工方法を検討することが合理的です。
ドレン対策は、機器交換だけでなく既設配管の構造から考える
工場のエアー配管から水が出る場合、コンプレッサーやエアードライヤーだけでなく、既設配管の分岐方向や勾配、低所の構造、ドレン排出設備の配置が関係していることがあります。
原因が配管側にあるなら、必要な対策は機械の交換ではなく、分岐位置の変更や配管の取り直し、排出設備の追加かもしれません。
反対に、供給設備側で十分に除湿されていない場合には、配管工事だけで改善することはできません。
大切なのは、原因を確認しないまま工事を決めるのではなく、実際に問題のある系統を把握し、必要な部分を適切な方法で改修することです。
既設エアー配管のドレン対策・改修工事について
機械側のフィルタに水が溜まり続ける。特定の生産ラインで水分が混入する。既設配管にドレンが滞留している可能性があり、配管の取り直しや排出設備の追加を検討している。
このような場合、既設エアー配管の改修が必要か、どの区間を工事するべきかが相談の出発点になります。
HAGANEでは、工場のエアー配管について、既設の配管経路や接続条件を確認し、分岐位置の変更、部分更新、配管ルート・支持方法の見直し、関連する排出配管工事など、現場条件に応じた施工方法を検討します。
供給設備側の不具合が疑われる場合には、メーカー・保守会社で確認すべき範囲と、HAGANEが対応する配管工事の範囲を区別します。
ご相談の際には、水が出ている設備や場所、発生頻度、対象配管の写真、既設配管図面の有無などを、分かる範囲でお知らせください。最初から原因や改修範囲が確定している必要はありません。
具体的な改修工事をご検討中の場合は、こちらからご相談いただけます。
