冬でも素足で過ごせる暮らしの秘訣|断熱・床材・空気感の整え方

暮らしの工夫

「冬は靴下なしではいられない」
「朝の脱衣所が冷え切っていてツラい」
「暖房はつけてるけど、床が冷たくて…」

これは、僕のもとに届いたご相談の中で、もっとも多かった“冬の住まいの悩み”です。
でも、実は家の“つくり方”を少し見直すだけで、
真冬でも素足で快適に暮らすことは可能になります。

この記事では、僕が考える「素足で心地よく過ごすための設計の秘訣」を、
断熱・床材・空気の視点から詳しく解説していきます。


冬に“素足”が無理なのは、根性のせいじゃない

「冷え性なんです」
「年齢のせいですかね?」
という声もよく聞きますが、実は違います。

足元が冷えるのは、暮らしの温熱環境が整っていないことが原因です。

  • 床が冷たい(表面温度が低い)
  • 空気が動かない(足元に冷気が滞留)
  • 暖房が“空間全体”に届いていない

こうした状況では、靴下やスリッパを履いても根本解決にはなりません。
“素足でも寒くない仕組み”を家の中につくることが、冬の快適さを変えるカギなんです。


秘訣①|断熱は“床”と“足元空間”を優先すべし

「断熱」と聞くと、屋根や壁を思い浮かべる方が多いですが、
冬の快適性にもっとも直結するのは“床の断熱”です。

とくに築20年以上の中古住宅では──

  • 床下に断熱材がない
  • 断熱材がへたっている
  • 床下に隙間風が入っている

というケースが非常に多い。

僕が設計するリノベでは、まず床下にしっかりと断熱材(スタイロフォームや押出法ポリスチレン)を充填し、床下気流止めを徹底します。

これだけで、「足元が冷たい」の体感がまったく変わります。


秘訣②|床材は“表面温度”で選ぶ

フローリングといっても、その材質によって“足裏温度”がまったく違います。

床材の種類特徴冬の体感
無垢の杉・桧柔らかく、断熱性が高いあたたかく感じやすい
オークなどの広葉樹硬く重厚感ありやや冷たく感じることも
合板フローリング熱伝導が高く冷えやすい足がヒヤッとする

おすすめは、杉や桧の“針葉樹系無垢材”
柔らかく、断熱性が高いので、素足で過ごしても冷たさを感じにくく、木の弾力が“足を包む”ような感覚になります。


秘訣③|空気を“循環させる工夫”をする

断熱材と床材だけでは不十分です。
空気が動かないと、足元に冷気が溜まり続けるからです。

僕が実践しているのは:

  • サーキュレーターで天井に空気を送る
  • 暖房は“床暖房or対流型ストーブ”を基本に
  • 換気扇は弱運転で24時間稼働
  • ドア下スリットで部屋同士の空気をつなげる

これにより、室内の上下温度差がなくなり、家全体がじんわりとした暖かさで包まれるようになります。


僕が暮らしている「素足で冬を越せる家」

自分の住まいにも、無垢の杉床+床下断熱+薪ストーブを採用しています。

  • 朝起きた瞬間、ヒヤッとしない床
  • 薪ストーブの放射熱で空気がふわっと動く
  • 子どもが床に寝転んでも安心

特別なことはしていません。
ただ、「足元から整える」という発想を徹底しただけです。

僕の感覚では、

冬に素足で過ごせるかどうかが、“家の快適性のバロメーター”
だと思っています。


実際に素足で冬を過ごせるようになったご家族の声

築35年の中古住宅を購入されたご夫婦。
断熱リノベと杉の床施工を行い、初めて迎えた冬にこう話してくださいました。

「今年はスリッパを出してないんです」
「子どもが朝から走り回ってます」
「床に座って新聞を読めるって、今までになかった感覚でした」

断熱性能を上げただけで、暮らしの動きと温度が一致するんです。


「素足で暮らせる家」は、性能+素材+感性の設計

このテーマには、「数値」だけで語れない部分があります。

  • 床のやわらかさ
  • 空気の流れのやさしさ
  • 暖房の“効き”ではなく“巡り”

これらを丁寧に設計し、
性能と素材と暮らしの動きが調和したとき、 “冬でも素足”が当たり前になる暮らしが生まれます。

それは「我慢しない快適さ」であり、
「自然と健康が両立する空気感」でもあります。


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