中古住宅を買う前に見るべき10の視点|自然素材リノベの基準とは

中古リノベ
  1. 第1章|まず知っておきたい「リノベ向き物件」の特徴
    1. 物件探しから“リノベの良し悪し”は始まっている
    2. 見た目よりも、“構造と空気”に注目すべき
    3. リノベ向き物件の“第一印象”でチェックしたい3つの要素
    4. 「素材が好き」だけでは選べないリアル
    5. 次は、プロが現場で最初に見る“3つの視点”
  2. 第2章|構造・方角・湿気|プロが最初にチェックする3大項目
    1. 自然素材を活かせるかどうかは「最初の3秒」で決まることがある
    2. 1. 構造が素直であること
    3. 2. 方角と開口部のバランス
    4. 3. 湿気の流れと過去の蓄積
    5. この3つが整っている家は、あとがラクになる
  3. 第3章|自然素材が“活きる家”の共通点とは?
    1. 素材は“貼れば終わり”じゃない。働く場所で力を発揮する
    2. 共通点①|素材が空気に触れられる「余白」がある
    3. 共通点②|素材と暮らし方の相性がいい
    4. 共通点③|「全部じゃない」からこそ活きている
    5. 素材を“貼る”のではなく、“働いてもらう”という視点を持つ
  4. 第4章|絶対に妥協してはいけない2つの場所
    1. リノベは「全部を完璧に」は難しい。でも、譲れない場所がある
    2. 妥協してはいけない場所①|床材は“感覚の入り口”
    3. 妥協してはいけない場所②|窓(開口部)は“熱と音の入口”
    4. 壁は“貼れば終わり”じゃない。だからこそ「全部」は危ない
    5. 壁こそ「選ぶ」場所。素材に意味を持たせる
    6. 壁は「削る」場所じゃなく、「演出する」場所
    7. どこを抑えるかではなく、どこを“諦めないか”を決める
  5. 第5章|築年数よりも大切な“管理履歴”と空気感
    1. 「築30年だから不安です」と言う前に、見てほしいことがある
    2. 築年数は“参考情報”でしかない
    3. 家に入ったときの「空気感」は、設計者としての重要なセンサー
    4. 住宅履歴と空気履歴を見ることが「素材との相性」を決める
    5. 「築年数」ではなく、「家のストーリー」に目を向ける
  6. 第6章|物件選びの段階で設計士に相談すべき理由
    1. 「物件を買ってから考える」は、実はすごくリスキー
    2. 不動産屋さんと設計者は“見る視点”がまったく違う
    3. 「物件探し+リノベ」ではなく、「暮らしから逆算する目線」が必要
    4. 設計者と一緒に選ぶことで、家づくりは“自分ごと”になる
  7. まとめ|素材リノベを成功させる“目利きの力”
    1. 素材リノベは、物件選びからすでに始まっている
    2. 数字や見た目じゃなく、“空気”を感じる目
    3. いい物件とは、「好きになれる家」
    4. 最後に
    5. ▶「この家、素材が合うかも」と思ったら、ご相談ください
    6. ▶ 素材が活きた実例を、見てみませんか?

第1章|まず知っておきたい「リノベ向き物件」の特徴

物件探しから“リノベの良し悪し”は始まっている

「中古を買って、自然素材でリノベしたい」
そう思ったとき、どんな物件を選べばいいのか迷う方は多いです。

でも、実はこの段階での判断が、
「素材を活かせるかどうか」「快適性を実現できるか」に直結するというのは、意外と知られていません。

僕の経験上、物件選びをミスすると、リノベの可能性も大きく狭まるんです。

見た目よりも、“構造と空気”に注目すべき

たとえば、内装がきれいにリフォームされていても、
構造が傷んでいたり、空気の流れが悪ければ、素材を使ってもその効果が発揮できません。

一方で、古びて見える家でも、構造がしっかりしていて、風通しが良ければ、
**自然素材のリノベには非常に向いている“器”**だったりします。

だからこそ大切なのは、表面の印象ではなく、
「土台としてのポテンシャルがあるか?」を見極める視点です。

リノベ向き物件の“第一印象”でチェックしたい3つの要素

  1. 日当たりと風通し
     → 自然素材は湿気に敏感。光と風の動きが整った家は、素材が生きやすい。
  2. 構造材が活かせそうか
     → 柱や梁が表しで使えそうな場合、リノベの幅が広がる。
  3. 過剰にリフォームされていないか
     → 表面的にきれいでも、手が入りすぎていると“剥がす工事”が増えてコストに響く。

「素材が好き」だけでは選べないリアル

自然素材のリノベは、気持ちだけでは成立しません。
素材が合う家/合わない家があることを、ちゃんと受け止める必要があります。

僕がご相談を受けるときは、必ず物件情報も一緒に見せてもらいます。
その時点で、「この家なら自然素材が活きそうだな」という直感が働くことも多いです。

素材を活かすには、素材以前の「土台選び」が何より大事。
それはつまり、**“物件選びからリノベは始まっている”**ということです。

次は、プロが現場で最初に見る“3つの視点”

では、具体的にどこを見ればその“ポテンシャル”が判断できるのか?

次章では、僕が物件を見たときに必ず確認する3大チェックポイントをお話しします。
構造・湿気・方角。
この3つを見れば、その家が“素材を迎え入れられる器かどうか”が見えてきます。

第2章|構造・方角・湿気|プロが最初にチェックする3大項目

自然素材を活かせるかどうかは「最初の3秒」で決まることがある

僕が中古住宅の物件調査に立ち会うとき、現場について最初に見るのは「間取り」や「築年数」じゃありません。

正直なところ、最初の3秒で「うん、この家は素直に素材が活きそうだな」と感じることがあります。
その“直感”には根拠があります。具体的には、次の3つのポイントをチェックしています。

1. 構造が素直であること

「素直な構造」というのは、後からの手直しや空間の整理がしやすい家のことです。
たとえば柱が通しで整っている、壁の取り外しや補強がシンプルにできる、梁や桁が動かしやすい——そういった構造はリノベ設計の可能性をぐっと広げてくれます。

逆に、構造が複雑だったり改築履歴が混在していたりすると、壁を壊せなかったり、構造補強にコストがかかったりと、素材を活かす“余白”が残りにくくなります。

自然素材の良さって、空間に余白があってこそ。だから、構造の素直さは最重要です。

2. 方角と開口部のバランス

南向きじゃないとダメ、というわけではありません。でも、光の入り方と風の抜け方は、設計でどうにもできない部分も多いんです。

  • 南北に風が抜けるか
  • 午前・午後の光の入り方が自然か
  • 隣家との距離が極端に近くないか

こういった点が揃っていると、素材の“呼吸”や“揺らぎ”が空間に自然に馴染んでくる。つまり、自然素材が「働く余地」が生まれるんです。

逆に、光が一日中入らない、風が通らない家では、漆喰も木材も湿気を含みやすくなり、劣化を早めてしまいます。

3. 湿気の流れと過去の蓄積

床下を覗いたとき、カビ臭がしたり、土台の黒ずみが見えたりしたら注意が必要です。

また、外壁沿いに植物がびっしり茂っている、北側の押入れにシミがある、水回りの床がブカブカしている——こうした細かい兆候は、湿気が長年溜まっていた証拠です。

自然素材は湿気に敏感です。断熱も気密も、素材も、すべて“湿気”が土台を崩してしまうリスクを持っています。

だから、物件を見るときに「この家は、空気と湿気を受け入れられるか?」を確認するのは、僕にとって欠かせない習慣です。

この3つが整っている家は、あとがラクになる

逆に言えば、構造・方角・湿気がクリアな家なら、間取りが古くても、見た目が悪くても、どうにでもできます。

表面はどれだけでも作り直せる。でもこの3つは“家の性格”みたいなもので、あとから変えられる範囲が限られている。

だから、リノベで自然素材を活かしたい人ほど、「この3つの基準で物件を選ぶ」という視点を持ってほしいと思っています。

次章では、さらに「自然素材が活きる家の共通点」について、僕なりの経験則と視点で深掘りしていきます。

第3章|自然素材が“活きる家”の共通点とは?

素材は“貼れば終わり”じゃない。働く場所で力を発揮する

自然素材の良さって、見た目の美しさ以上に、空気に与える影響にあります。

漆喰が湿気を吸ってくれる
無垢材が足元をやさしく受け止めてくれる
和紙が光をやわらかく拡散してくれる

でもこれって、どんな家でもそうなるわけじゃないんです。
素材が“働ける環境”にある家じゃないと、その魅力は発揮されない。

僕はこれまで多くのリノベをしてきましたが、自然素材が“活きた”家には、ある共通点がありました。

共通点①|素材が空気に触れられる「余白」がある

たとえば、壁一面が収納やキッチンで埋め尽くされていると、漆喰を塗っても空気との接点がほとんどありません。
床もそう。無垢材を敷いたとしても、敷物で全部覆われていたら、素材としての意味がなくなってしまう。

自然素材が活きるのは、“呼吸できる空間”がちゃんと用意されている家です。
つまり、素材に仕事をさせられる「余白」があるかどうかが大きな鍵なんです。

共通点②|素材と暮らし方の相性がいい

これは意外と見落とされがちです。
自然素材は“暮らしのクセ”によって、良くも悪くも左右される素材です。

たとえば、日常的に加湿器を強めに焚いている家庭では、漆喰や無垢材が常に湿気を含んでしまい、カビや変形のリスクが高くなる。
逆に、頻繁に窓を開ける暮らしや、素足で過ごす文化があると、素材の呼吸や肌触りが生活にしっかり馴染んでいく。

つまり、素材を選ぶことは、暮らし方の選択でもある。
その意味で、素材が活きる家には、素材と暮らし方がフィットしているという共通点があるんです。

共通点③|「全部じゃない」からこそ活きている

素材の良さを引き出すために、家全体を無垢材や漆喰で統一する必要はありません。
むしろ僕は、“バランスをとる設計”のほうがうまくいくと感じています。

たとえば、床は杉だけど水まわりはタイルやフロアタイルで割り切る。
壁は漆喰だけど、寝室は紙クロスで調湿を優先する。
天井はラワン合板の素地でコストを抑えながら、床に素材感を集中させる。

そんなふうに**“選択と集中”をすることで、素材の存在感はより際立つ。**
全部に使わないからこそ、使ったところに意味が宿るんです。

素材を“貼る”のではなく、“働いてもらう”という視点を持つ

自然素材が活きる家とは、素材にちゃんと仕事をしてもらっている家です。
ただの見た目や記号ではなく、そこにある理由がある。
それが住まい手にとって「本当に選んでよかった」と思える家につながっていきます。

次章では、そうしたリノベの中でも、**“絶対に妥協してはいけない場所”**について、僕の実体験を交えてお伝えします。

第4章|絶対に妥協してはいけない2つの場所

リノベは「全部を完璧に」は難しい。でも、譲れない場所がある

中古住宅のリノベを考えるとき、現実的には「全部を変える」のは難しいことが多い。予算の制約、構造の制約、工期の制約。どこかに線引きは必要になります。

でも、それでも僕が「ここだけは絶対に妥協してはいけない」と思っている場所が、2つあります。 それは、と**窓(開口部)**です。

この2つは、家の性能にも、素材の快適性にも、暮らしの質にも、深く関わってくる場所。 どちらかを妥協すると、せっかくの素材や設計が活かされないことが多いんです。

妥協してはいけない場所①|床材は“感覚の入り口”

無垢材の床って、やっぱり大事です。 なぜかというと、「毎日、身体が直接触れる場所」だから。

椅子に座っていても、立っていても、寝転んでも、床はいつも身体と接しています。 だからこそ、足触りの柔らかさ、冷たくない質感、見た目の落ち着きは、暮らしの「気持ちよさ」に直結するんです。

僕がよく使うのは、赤身の杉板。 柔らかくて、ほんのり温かくて、香りも落ち着いている。 素足で歩いたとき、「あ、自分の家ってこういう空気だった」と感じられる素材です。

逆にここを妥協して、合板やビニル系にしてしまうと、 どこかで「思っていた家じゃない」という感覚が残ってしまう。 だから、床材は“予算を集中させる場所”として提案することが多いです。

妥協してはいけない場所②|窓(開口部)は“熱と音の入口”

もうひとつの妥協できない場所が、窓まわりです。 築古住宅のほとんどは、単板ガラス+アルミサッシ。 ここからは、冬は冷気、夏は熱気、さらには外の騒音まですべてが入ってきます。

せっかく断熱材を入れて、床や壁に自然素材を使っても、窓がそのままだと“そこから空気が崩れる”んです。

僕はよく、内窓(樹脂製)を追加する方法を提案しています。 費用対効果が高く、施工も比較的簡単で、性能が一気に変わる。

自然素材の家において、空気が整っているかどうかはすごく重要。 窓の性能を上げると、その空気が安定する。 つまり、素材の「本来の力」が発揮されやすくなるんです。

壁は“貼れば終わり”じゃない。だからこそ「全部」は危ない

壁って、家の中で占める面積が圧倒的に広い。 もし全面に漆喰や珪藻土を使おうとすると、

  • 材料費も職人の手間も大きくなる
  • 下地が悪いとクラックのリスクが高まる
  • 暮らしの中で汚れやすい部分の管理が難しい

こういった“維持する覚悟”が必要になります。 見た目は素敵でも、「なんか疲れる家」になることがあるんです。

壁こそ「選ぶ」場所。素材に意味を持たせる

僕が提案するのは、壁は“全部”じゃなく“象徴的な場所”に使うこと。

たとえば:

  • ダイニングの一面だけ漆喰にして、光の表情を楽しむ
  • 寝室の壁は和紙や布クロスで湿度を調整しやすく
  • トイレや玄関まわりには、あえて合板素地を残して素材感を引き立てる

こうすることで、“素材の違い”が空間にリズムを与えるんです。 素材の選択にはコントラストがあった方が、住まい手にも「好きな理由」が残ります。

壁は「削る」場所じゃなく、「演出する」場所

自然素材が活きる家とは、素材にちゃんと仕事をしてもらっている家です。 ただの見た目や記号ではなく、そこにある理由がある。 それが住まい手にとって「本当に選んでよかった」と思える家につながっていきます。

どこを抑えるかではなく、どこを“諦めないか”を決める

全部を完璧にやらなくてもいい。 でも、床と窓、そして象徴的に使う壁だけは“自分に正直に選んでほしい”。

この3つにこだわるだけで、暮らしの満足度は大きく変わるし、 素材を使う意味も深まる。

だから僕は、物件選びでも設計でも、「ここはどうしたいか?」をいちばん丁寧に聞くようにしています。

次章では、「築年数」よりも重視すべき、“管理履歴”や“空気感”の見方についてお伝えします。

第5章|築年数よりも大切な“管理履歴”と空気感

「築30年だから不安です」と言う前に、見てほしいことがある

中古住宅を探している人の多くが、最初に気にするのが「築年数」です。

築15年なら大丈夫そう
築30年はちょっと不安
築40年超えたらやめたほうがいい?

その感覚、間違ってはいないけど、少しもったいない見方でもあります。

僕が大事にしているのは、築年数よりもその家が“どう暮らされてきたか”という管理履歴と、空気の質です。

築年数は“参考情報”でしかない

築30年でも、住まい手がきちんと手を入れながら使ってきた家は、意外なほどきれいです。

  • 定期的に外壁や屋根のメンテナンスをしている
  • 換気を意識した暮らしをしていた
  • 水まわりの劣化が進んでいない
  • 畳や障子など、自然素材を丁寧に使っていた

こういった家は、**数字以上に“育っている”**んですよね。

逆に、築15年でも放置されていた家は、内部の腐食やカビが進行していて、リノベのコストが一気に跳ね上がることもあります。

家に入ったときの「空気感」は、設計者としての重要なセンサー

僕が現地調査に行って、ドアを開けた瞬間に感じる空気。
それは、数字や図面には出てこないけれど、その家が今どんな状態かを教えてくれるヒントになります。

  • 空気がこもっている/動いている
  • 湿気のにおいがする/乾いている
  • 静かに落ち着いた空気/ピリピリしているような気配

こうした“肌感覚”を言語化するのは難しいけれど、
自然素材のリノベをする上で、この感覚はすごく大事です。

素材は空気に触れるものだから、その空気の質が良くないと、本来の良さが活かされないんです。

住宅履歴と空気履歴を見ることが「素材との相性」を決める

たとえば、これまでビニルクロスや石油暖房に慣れていた家は、
壁を漆喰に変えても、下地や内部に湿気がたまっていると、すぐに劣化してしまうことがあります。

だから僕は、物件調査のときに、

  • 前の住まい手がどんな暮らしをしていたか
  • 給排水設備が定期的に交換されているか
  • 雨漏り歴、修繕歴、空き家期間はどれくらいか
    を必ず確認します。

これらが整っていれば、たとえ築40年でも、素材が気持ちよく呼吸できる家になる。

「築年数」ではなく、「家のストーリー」に目を向ける

住宅の価値は、年月だけでは測れません。
その家がどんな空気で満たされていたか、どんな手入れを受けてきたか。

それを受け継いで、新しく素材を重ねていくこと。
それが僕の考える、**“リノベの本質”**だと思っています。

次章では、物件選びの段階で設計者に相談することで、
どんな違いが生まれるのか。僕の実感も交えてお伝えします。

第6章|物件選びの段階で設計士に相談すべき理由

「物件を買ってから考える」は、実はすごくリスキー

多くの人が、「物件をまず決めて、そのあとリノベの相談をしよう」と考えています。

でも僕から見ると、それはちょっと危ない順番です。

理由はシンプル。
リノベに適していない物件を選んでしまうと、あとで取り返しがつかないから。

  • 構造が複雑すぎて間取り変更ができない
  • 湿気がひどくて素材が傷みやすい
  • 想定外の補強費がかかって、素材までお金が回らない

こういう事態に直面する方、実際に少なくありません。

僕としては、物件を選ぶ時点で一緒に見させてもらえれば、
「ここは活かせる」「ここはやめたほうがいい」というアドバイスができます。

それだけで、リノベの自由度も、仕上がりの質も、大きく変わるんです。

不動産屋さんと設計者は“見る視点”がまったく違う

不動産会社さんは、建物の価値や取引の安全性に重きを置いています。
それはとても大事な視点です。

でも、僕たち設計士が見るのは、それとは少し違います。

  • この構造ならどこまで間取りが動かせるか
  • 素材が“働ける”空間かどうか
  • 空気がどう動いて、どう整っていくか

つまり、“未来の暮らしがここで育つかどうか”という目線で物件を見るんです。

この視点が入るだけで、判断の基準がまったく変わってきます。

「物件探し+リノベ」ではなく、「暮らしから逆算する目線」が必要

中古物件の購入って、どうしても「間取り」と「価格」ばかりに目がいきがちです。

でも、本当はその先にある
「この家でどんな暮らしをしたいか」
「自分たちにとって心地よい空気ってなんだろう」
という問いが、いちばん大事なんじゃないかと思うんです。

僕が最初の相談でよく聞くのは、「どんな素材が好きですか?」よりも、
「休みの日、家でどんな過ごし方をしたいですか?」ということです。

その答えが見えていれば、物件の良し悪しも、“自然に”見えてきます。

設計者と一緒に選ぶことで、家づくりは“自分ごと”になる

一緒に物件を見に行くと、多くの人がこんなことを言ってくれます。

「見てもよく分からなかったけど、今日は“感じられた気がする”」
「素人では見えないところを見てもらえて安心した」

設計者って、図面を引くだけじゃないんです。
“この家で生きていく想像”を、言葉と図面にして伴走する役割なんだと思っています。

だから、物件選びの最初から関われると、僕も全力でその人の“らしさ”を支える家づくりができます。

まとめ|素材リノベを成功させる“目利きの力”

素材リノベは、物件選びからすでに始まっている

ここまで読んできて、「自然素材を使ったリノベをしたい」と思っている方は、きっとただオシャレな家を求めているわけじゃないと思います。

  • 空気のいい家にしたい
  • 使い込むほど味が出る家にしたい
  • 自分たちらしい暮らしに合った空間をつくりたい

そういう“暮らしの理想”があるからこそ、素材を選びたいんですよね。
でもその素材は、どんな家でも使えるわけじゃない。
“素材が働ける器”を選べるかどうかが、リノベ成功のカギになる。

だから僕は、物件探しの時点から「目利きの力」が大切だと思っています。

数字や見た目じゃなく、“空気”を感じる目

築年数、間取り、価格、リフォーム履歴——
もちろん大切です。でもそれだけじゃ見えないことがたくさんある。

  • 空気の通り方
  • 湿気の逃げ道
  • 住まい手の手の入れ方
  • 素材を活かせそうな余白

そういう“目に見えない価値”を感じ取れる目が、
素材リノベの入り口なんです。

いい物件とは、「好きになれる家」

僕の考える“いい物件”とは、
「リノベしたあと、ちゃんと好きになれる家」です。

それは素材が呼吸できる家であり、
構造が素直で、空気が整い、光と風が入る家。
暮らしがちゃんと息をしている家。

そして、住まい手がその家を「好き」だと思えるかどうか。
それが、いちばん大切な基準なんじゃないかと思うんです。

最後に

物件選びは、暮らしづくりの第一歩です。
設計者と一緒にその一歩を踏み出せば、
素材の良さも、快適性も、無理なく“自分たちらしく”手に入ります。

素材の力を信じるなら、まずはその素材がちゃんと活きる家を見極めてほしい。

その目利き力は、数字や知識よりも、
“暮らしを感じる想像力”から育っていくものだと思っています。

それが、僕がこれまで一番大切にしてきたことです。

▶「この家、素材が合うかも」と思ったら、ご相談ください

物件の良し悪しは、図面や数字だけでは見えないことが多いものです。
素材が活きる家かどうか、僕と一緒に現地で確かめてみませんか?

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