「なんとなく不調」…その正体は空気かもしれません
家にいると頭が重い、外では元気なのに…
「なんとなく家にいると、頭が重い気がする」
「外に出ると元気なのに、帰ってくるとだるくなる」
「子どもがアレルギーじゃないのに、家にいると咳をする」
こんな悩み、ありませんか?
病院に行っても原因は不明。
薬を飲んでも治らない。
だから気のせいだと思って、つい我慢してしまう。
でも、もしその不調の正体が
目に見えない“空気”だったら どうでしょう?
空気は一番身近で一番見えない存在
水や食べ物は「体に入るもの」として気にしますよね。
無農薬野菜、添加物ゼロの食品、浄水器…みんな気をつかいます。
でも、空気はどうでしょう?
僕たちは 毎日15,000リットルの空気を吸い込んでいます。
これ、ペットボトル7500本分の水よりも多い量です。
どんなにいいご飯を食べても、
吸い込む空気が汚れていたら、
体は黙って耐えるしかないんです。
「空気が原因」だと気づきにくい理由
空気は目に見えません。
だから汚れていても分からない。
換気が止まっていても気づけない。
そして、不調はじわじわ来ます。
- なんとなく眠い
- 頭が重い
- 肌がかゆい
- 咳が止まらない
これが薬では治らず、慢性化する。
これが「空気で体調を崩す人」が増えている理由です。
僕が出会ったリアルな話
僕が相談を受けたご家族。
お子さんが夜になると咳が止まらず、1年以上苦しんでいました。
病院でも原因不明。薬も効かない。
調べてみると、寝室の換気口が詰まり、
ベッド下のホコリが空気を淀ませていました。
壁紙の裏には結露でカビも…。
換気の道を整え、空気を動かしたら、
3週間で咳がピタリと止まったんです。
僕がこのテーマに本気な理由
僕は「空気を設計する家」をずっと追い続けています。
高断熱、高気密、いい素材…
どれも大事です。でも、
「いい空気が吸える家じゃないと意味がない」と思っています。
家族が深呼吸できて、
「なんかこの家は空気が軽いね」と言ってもらえる。
それが、僕が家づくりで一番大切にしていることです。
あなたの家の空気は、大丈夫ですか?
この連載では、
- なぜ空気が体に効くのか
- 空気が悪くなる理由
- 体調不良のサイン
- すぐできる改善策
をぜんぶまとめて伝えます。
目に見えない空気を、見えるように。
感じるだけの空気を、整える力に。
次の章では、「なぜ空気が体調を変えるのか」 をわかりやすく解説します。
なぜ空気が汚れる?最大の原因は「換気と通風」の不足
空気は動かさないと汚れる
家の空気が汚れる理由は、ズバリ 空気が動かないから です。
どんなにきれいな素材を使っても、空気がこもると汚れます。
また、空気清浄機や換気扇などうまく利用したとしても、計画的に換気がされていない場合は一過性の換気にしかすぎません。
「換気計画がない家」は空気が腐る
昔の家はすき間だらけでした。
窓や壁のすき間から勝手に空気が出入りしていたんです。
でも、今の家は高気密。
すき間をなくして熱を逃がさない分、人の手で換気を計画しないと空気が滞る ようになりました。
換気計画がない家では:
- 二酸化炭素がどんどん増える
- 湿気が抜けずカビが生える
- 臭いやハウスダストが溜まる
こうして「見えない汚れた空気」がどんどん増えていきます。
「通風計画」がないと風が抜けない
換気と似ているけど、もう一つ大事なのが 通風 です。
通風とは、窓を開けて自然の風を家に通す仕組みのこと。
でも多くの家で、窓の配置が悪くて風が通らない。
窓が一方向だけ
風が入り口だけで出口がない
引き違い窓ばかりで風が入りにくい
こうなると、「窓を開けても空気が動かない家」になります。
換気と通風が足りないと、汚れがどんどん溜まる
換気と通風が不足すると:
- 二酸化炭素が多い → 頭がボーッとする
- 湿気が多い → カビが生える
- ホコリが舞っても外に出ない
- ペットの毛や臭いがこもる
結果として、「なんとなく不調」の原因になります。
エアコンの汚れも追い打ちをかける
換気と通風が足りない家では、エアコンに頼りがちです。
でもエアコンのフィルターが汚れていたら?
- ホコリをまき散らす
- カビをばらまく
- 効率が落ちて光熱費も無駄
つまり 換気不足 × フィルター汚れ で、空気がさらに汚れてしまうのです。
- 空気が汚れる本当の原因は「換気と通風の不足」
- 高気密住宅ほど計画が大事
- エアコンのフィルター汚れは汚れに追い打ちをかける
次の章では、「換気と通風が機能しない家の構造的な問題」 を解説します。
あなたの家が当てはまっていないか、ぜひ確認してください。
窓の形状や開き方などによっても換気量や風を室内に取り込む能力に差が出てきます。
大きな窓より開き方が重要な場合もあります。
窓についての理解を増やすことで、より暮らしやすい室内環境をつくることができる。
もしお時間が許すなら、この記事も読んでみてください。
空気がよどむ家の「落とし穴」
空気が止まる家には共通点がある
「換気してるのに息苦しい」
「窓を開けても空気が動かない」
僕が現場で何度も見てきたのは、こういう “設計ミスが招く空気の袋小路” です。
1)給気と排気が繋がっていない家
換気とは、新鮮な空気を入れて、汚れた空気を外へ出すこと です。
でも現場では、
- 給気口が家具やカーテンで塞がれている
- 排気口が部屋の隅すぎて空気が届かない
- 家全体の空気の「通り道」が設計されていない
これがとても多いです。
結果、リビングの空気は換気扇で出るけど、廊下や個室には「入れ替わった空気」が届かない。
つまり、家の中心だけ空気が動いて、奥の部屋はずっと淀んだまま になります。
2)窓の配置が「見た目優先」で風が抜けない
デザイン重視の家では、窓を減らしたり、道路側を閉じたりすることがよくあります。
でもこれが通風計画を壊す最大の原因です。
- 南に窓をつけたのに、北側に抜け道がない
- 引き違い窓だけで、開口が半分しか開かない
- 風が通り抜ける位置に窓がない
結果、窓を開けても「ただ開いているだけ」で、空気は動かない。
3)ドアや間取りで空気の道を分断している
空気の動線は、廊下やドアの開閉にも影響されます。
- 部屋のドアが閉まっていると、そこで空気が止まる
- 廊下が袋小路だと、風が回らない
- クローゼットや収納が空気の流れを塞いでいる
これも現場では多発しています。
だから僕は必ず:
- ドアの下にアンダーカット(数センチのすき間)を設ける
- 室内窓で空気が行き来できるルートを作る
- 廊下に小さな吸排気口を配置する
こうした「細かい穴と道」を必ず組み込みます。
【現場での失敗例】
例えば、築10年のデザイン住宅。
リビングの南面に大きな窓があるのに、北側には窓がなく、寝室にも給気がなし。
窓を開けても、南側だけ風が入ってリビングで滞留するだけ。
寝室や2階には新鮮な空気が全然届かない。
結果、家族は寝室で頭痛や咳が続き、空気清浄機を3台も置いて対処していました。
給気口を増やし、北側に小窓を追加し、ドア下にスリットを設けて空気の流れを作っただけで、
「空気が軽い」と全員が実感しました。
「空気設計」とは何か
空気設計とは、
家のどこに新鮮な空気を入れて、どのルートで動かし、どこから出すかを間取りと設備でデザインすること です。
ただ窓を増やすことではありません。
ただ換気扇をつけることでもありません。
- 給気と排気をセットで考える
- 風の通り道を立体的に作る
- ドアや収納で流れを塞がない
これを全部まとめて考えるのが、僕がやる「空気設計」です。
次の章では、この空気が止まった家が体にどんな不調を生むのかをお話しします。
計画的な換気は室内空気を良質な状態に保つために必ず必要です。窓を開放し、強制的に室内の空気を入れ替えたとしても、チリや汚れた空気も一緒に室内に必ず入り込みます。
これを計画的に排気することが重要なのです。
空気が悪い家が体に与える5つのサイン
「なんとなく不調」は空気のせいかもしれない
家の空気が汚れていても、見えないから気づきにくい。
でも体は正直です。
僕が現場で何度も見てきた「空気のせいで体調が崩れるサイン」を、わかりやすく5つにまとめます。
1)頭が重い・だるい
室内の換気が足りないと、二酸化炭素(CO₂)が増えます。
CO₂が多いと、脳に届く酸素が減るので、
- 頭がボーっとする
- 眠い
- だるい
こうした「なんとなく不調」の原因になります。
CO₂は色も臭いもないので、気づかない人がほとんどです。
2)咳が出る・喉がイガイガする
家の空気が淀むと、ホコリ、ハウスダスト、カビの胞子が空気中にずっと漂います。
これを吸い込むと、
- 喉がイガイガする
- 夜に咳が止まらない
- 子どもが寝るときに咳き込む
こういう声を本当によく聞きます。
3)目の乾き・頭痛・シックハウス症状
新しい家やリフォームしたばかりの家で多いのが、
化学物質(VOC)が空気中に残ってしまうこと。
換気が足りないと、
- 目がチカチカする
- 頭がズキズキする
- 鼻の奥がツンとする
いわゆる「シックハウス症候群」のような症状が出てきます。
4)睡眠の質が悪い
空気の質が悪い部屋で寝ると、
- 夜中に目が覚める
- 眠りが浅い
- 朝起きても体が重い
これもCO₂や湿気が原因です。
特に寝室はドアを閉めっぱなしの人が多いので、
一晩でCO₂がどんどん溜まります。
5)無意識のストレスが増える
空気が悪いと、体が微妙に息苦しさを感じます。
これが毎日続くと、知らない間に「イライラ」や「モヤモヤ」として心にも影響します。
体がリラックスできない家は、心も休まりません。
僕が体験したリアル
以前、換気と通風が全く計画されていない家で、
奥さんが「家にいるとずっとイライラするんです」と話してくれました。
空気の流れを作って、湿気とCO₂を抑えたら、
「子どもの咳が減って、自分もイライラしなくなった」と言われたのを覚えています。
- 家の空気が悪いと体も心も疲れる
- 頭痛、咳、眠れないは「空気のサイン」かも
- 体調を守るには空気設計が必要
次の章では、こうした不調を防ぐために、
「僕が現場で必ずやる空気を整える方法」 を詳しくお話しします!
空気を変える5つの方法と、変わった暮らしの実例
空気は「工夫次第」で今すぐ変えられる
ここまでで、「空気が悪いと体調が崩れる理由」がわかったと思います。
でも安心してください。
空気の質は、難しいリフォームをしなくても、今日から少しずつ変えられます。
僕が現場で必ずやっている 5つの方法 を紹介します。
1)CO₂モニターで見える化する
二酸化炭素は目に見えません。
だから「もう空気が汚れてるのかな?」と不安になります。
まずは CO₂モニター を部屋に置いてみてください。
数字でわかれば、
- 窓を開けるタイミング
- 換気扇を回す時間
が自然と変わります。
僕の家にも必ず付けています。
2)給気と排気のルートを再確認
新しい空気を入れて、汚れた空気を出す。
これができていない家が多いです。
給気口が家具でふさがっていないか?
排気ファンは止めずに24時間回っているか?
これだけで、家の空気の質はグッと変わります。
3)空気を動かす家電を味方につける
空気は「停滞」すると汚れます。
だから僕は、サーキュレーターや小型ファンを活用します。
- サーキュレーターを天井に向けてゆっくり回す
- トイレや脱衣所の換気扇も止めずに24時間運転
- 寝室には空気清浄機を追加
電気代は少しかかっても、体調のためなら安い投資です。
4)フィルターとホコリを溜めない
エアコンや換気扇のフィルターが汚れていると、
空気をきれいにするどころか汚れを撒き散らします。
エアコンのフィルター掃除:最低2か月に1回
換気扇のフィルター:半年に1回
ベッド下や家具裏のホコリ:月1回は掃除
これを習慣にすると、家の空気は見違えます。
5)暮らしを「深呼吸目線」にする
これが一番大切です。
- 朝一番に窓を開ける習慣
- 観葉植物を置く
- 化学物質の少ない建材や家具を選ぶ
空気を感じる暮らし方を、家族全員で意識することが、根本改善になります。
空気が変わると、暮らしがこう変わる
実際に僕が設計した家では、
「家にいると重かった頭が軽くなった」
「子どもの咳が減って夜ぐっすり寝てくれる」
「空気清浄機に頼りっぱなしじゃなくなった」
こんな声をいただきます。
空気は“気持ちの余裕”までつくるんだな と、毎回教えられます。
次の章では、「すぐにできるチェックリスト」 をまとめます!
今すぐできる空気のセルフチェックと、相談のすすめ
「うちは大丈夫かな?」を今すぐ確認してみよう
ここまで読んでくれたあなたは、
「家の空気が体調に直結する」ということをもう知っています。
でも知っているだけでは変わりません。
まずは、自分の家がどこまで大丈夫かをセルフチェックしてみてください。
空気の質セルフチェック10項目
1️⃣ CO₂モニターを置いていない
2️⃣ 給気口がカーテンや家具でふさがれている
3️⃣ 排気ファンを止めてしまっている部屋がある
4️⃣ エアコンのフィルターを半年以上掃除していない
5️⃣ トイレや脱衣所の換気扇を普段OFFにしている
6️⃣ ベッド下や家具の裏にホコリがたまっている
7️⃣ 窓を開けても風が通らない部屋がある
8️⃣ 観葉植物が一つもない
9️⃣ 朝一番に窓を開ける習慣がない
🔟 家族が「家にいるとなんとなく頭が重い」と言っている
1つでも当てはまったら要注意!
1つでも「当てはまるな…」と思ったら、
今の家は「空気が停滞しやすい状態」です。
空気が動かない家は、
- 頭が重くなる
- 咳が出やすい
- 睡眠の質が落ちる
- 気づかないストレスが溜まる
そんな不調のもとになります。
小さな工夫で今すぐできること
- CO₂モニターを買ってみる
- エアコンと換気扇のフィルター掃除をする
- ドアの下にすき間(アンダーカット)があるか確認。なければ定期的に解放する習慣をつけよう
- 室内にサーキュレーターを置いて風を回す
- 朝一番に窓を開ける習慣をつくる
どれも大きなリフォームをしなくてもできることです。
僕と一緒に、空気を整える相談をしませんか?
「どこを直せばいいか自分じゃわからない…」
「そもそも設計から見直した方がいいのか?」
そんなときは、一人で悩まずに僕に相談してください。
僕は現場でずっと「空気を整える家づくり」をしてきました。
無理な営業はしません。
一緒に、家族が深呼吸できる空気をつくる方法を考えます。
僕から最後に
空気は目に見えないけれど、
毎日あなたの体に入る「いちばん身近な健康の素」です。
だからこそ、空気の通り道を整え、
家族が「なんか空気がいいね」と笑える家を一緒につくりましょう。
「暮らしにくさの理由がわからない」
「家族が最近バラバラに感じる」
そんなお悩みも、間取りや設計の視点で一緒に考えていけます。京都での改修・リノベーション、狭小住宅の設計についてのご相談もお気軽にどうぞ。