Greener’s House|代表者メッセージ

僕がミッドセンチュリーという空間スタイルに惹かれるのには、理由があります。
それは、子どもの頃から自然と身の回りにあった“風景”でした。
リビングの角に置かれていたTogo Sofa(トーゴソファ)。
しっとりとした革張りのそのソファは、僕にとっての「定位置」でした。
そこで寝転び、本を読み、ときにはぼーっと天井を見上げていた。
すぐ横のサイドテーブルにはいつも観葉植物が置かれていて、
ゴムの木やモンステラ、季節ごとの花々が静かにそこに在りました。
揺れるグリーンと、やわらかく沈み込むソファ。それが僕の原風景です。
そんな暮らしの中で、庭もまた、僕にとっての遊び場でした。
母と一緒に草花を植えたり、土を耕したり、季節の変化を感じたり。
小さな手で植物をいじる時間は、心が整う“儀式”のようなものでした。
その感覚は、大人になった今も、深く身体に染みついています。
やがて家づくりの仕事に進んだ僕は、
無垢材の家を建て、断熱・気密を整え、性能の高い住宅も多く手がけてきました。
そうした“技術”は、暮らしの快適性を守るために欠かせない土台です。
でも、あるとき気づいたんです。
性能だけでは、人の心は満たされない。
安心と快適の“その先”にある、もう一段階深い満足感。
それを生み出すのは、きっと「遊び」なんじゃないかと。
遊びとは、ゆとりです。
自分の“好き”に囲まれて暮らす、小さな贅沢です。
そしてそれは、建築の性能という土台の上にそっと乗せる“第2層”の設計だと僕は思っています。
忙しない日々、溢れる情報。
速く、効率よく、正しく生きることが求められるこの時代だからこそ、
住まいくらいは、立ち止まり、深呼吸できる場所であってほしい。
風が抜けて、グリーンが揺れて、光が差す。
そんな空間の中で、好きな椅子に座って、ただぼーっとできるような、
その時間こそが、人が“自分”を取り戻すために必要なものかもしれません。
だから僕は、Greener’s Houseというブランドを立ち上げました。
それは、ただの空間デザインでも、性能重視の住宅でもありません。
断熱・気密・空気設計といった建築の技術に、
ミッドセンチュリーの美意識と、植物たちの“揺らぎ”を融合させる、新しい空間提案です。
そしてGreener’s Houseでは、庭や外構のデザイン・施工も大切な要素として考えています。
グリーンは“置く”ものではなく、空間と空間をつなぐ存在。
室内からつづく土間、ひらかれたウッドデッキ、揺れる木々や草花たち。
内と外がやわらかくつながることで、暮らしはもっと自由に、もっと深呼吸できるようになる。
好きなものと、正しい技術と、美しい余白。
そのすべてを整えて、「暮らし」をもう一度、心地よく再編集する。
それが、Greener’s Houseの仕事です。
Greener’s House
青川 剛気

思い出のトーゴのソファー