深呼吸したくなる部屋のつくりかた

足音・声が響く家はもう嫌だ!生活音をやさしくする設計と暮らし方

  1. 音は暮らしを変える「空気の一部」|味方にできる設計とは
    1. 「音がうるさい」は、暮らしの質を下げる?
    2. 音は消せない。でも馴染ませることはできる
    3. 僕が見た「音が味方になった家」
    4. 音を敵にしない設計が「心の余白」をつくる
    5. 音と仲良く暮らすヒントは「音の通り道をつくること」
  2. 木と左官は「音をまるくする」味方|素材の選び方
    1. 素材で音の性格は変えられる
    2. 無垢材の床は「足音を吸収してくれる」
    3. 左官壁は「声の角を取ってくれる」
    4. 天井も音を逃がす役割をもつ
    5. 生活音を味方にする素材選びのヒント
  3. 音の逃げ道をつくる|形と空間で「音を味方に」
    1. 素材だけじゃ静けさはつくれない
    2. 音の逃げ道をつくる設計とは?
    3. 例えば吹き抜けの役割
    4. 仕切りすぎない間取りが大事
    5. 形状の工夫で音が変わる
    6. 僕が設計で心がけていること
  4. 音は暮らしで味わいを育てる|無音より“気配”が心を落ち着ける
    1. 「無音」は本当に心地いいのか?
    2. 森の中の音を思い出してみる
    3. 静けさは、暮らし方で深まる
    4. 音を味方にする暮らしのコツ
    5. 僕が大切にしていること
  5. 音が背景になる家は、心を整える|最後に伝えたいこと
    1. 音が「気配」になると、家は安心できる場所になる
    2. 無音より、気配のある暮らしを
    3. 音を味方にできれば、暮らしはもっと自由になる
    4. 僕がこのテーマにこだわる理由
    5. 今日からできる、音とのつきあい方
    6. 最後に|僕と一緒に音の心地よさを探しませんか?

音は暮らしを変える「空気の一部」|味方にできる設計とは

「音がうるさい」は、暮らしの質を下げる?

「なんかこの家、落ち着かないんだよな」
こんな声を、設計相談で何度も聞いてきました。

でも、意外と多くの人は原因を「外の騒音」や「壁の薄さ」にだけ求めてしまう。
実はもっと大切なのは、家の中の音をどう空気と混ぜるか です。

音は消せない。でも馴染ませることはできる

家の音をゼロにするのは無理です。
生活音は生きている証拠だからです。

だから僕が大切にしているのは、
「音を味方にする設計」

音を遮るだけの防音ではなく、
素材と形と空気の流れで、音を自然に馴染ませてあげる。

これができると、暮らしは驚くほど変わります。

僕が見た「音が味方になった家」

以前、足音がうるさいと悩んでいたご家族の家をリノベしたことがあります。
硬い合板フローリングを、杉の無垢材の床に変えただけで、
「子どもの足音が丸くなった」と驚かれました。

声も同じです。
壁を漆喰に替えたら、会話がやさしくなったと言われました。

無垢材の床と左官の壁だけで、音の性格が変わる。
これが僕がずっと伝えたい「音は空気の一部」という感覚です。

音を敵にしない設計が「心の余白」をつくる

家族で暮らしていると、生活音が気になるタイミングは人それぞれです。

子どもが走り回る音、テレビの音、キッチンの音…。
これを完全に消すことは不可能。

でも、素材の選び方や、窓やドアの配置で
音が跳ね返らず、スーッと消えていくルートを作ると、
気配は残しながら「心をざわつかせない空気」に変わります。

音と仲良く暮らすヒントは「音の通り道をつくること」

音を味方にする方法は、

  • 無垢材や漆喰など、音をまるくする素材を選ぶ
  • ドアや窓の配置で音の逃げ道を作る
  • 天井や壁の形を工夫して、音がとどまらないようにする

こうした小さな積み重ねが、
家族みんなにとって心が落ち着く空気をつくります。

僕はこれをいつも「音の通り道を読んで設計する」と呼んでいます。

次の章では、音と相性が良い素材の選び方を、僕の経験からお話しします。

木と左官は「音をまるくする」味方|素材の選び方

素材で音の性格は変えられる

音の問題を相談されると、
多くの人が「防音材を貼ればいいですよね?」と言います。

もちろん防音も大事です。
でも、家の音の心地よさを決めるのは、実は素材の選び方なんです。

僕は現場で何度も体感してきました。

無垢材の床は「足音を吸収してくれる」

たとえば、合板フローリングと無垢材の床。

合板は硬くてツルツルしているので、
足音が「カンカン!」と響きます。

でも、杉やパインの無垢材は木の繊維が柔らかく、
「トン…」と音をやさしく受け止めてくれるんです。

浮造り仕上げなら、表面に小さな凹凸があり、
音があちこちに散って吸収されます。

左官壁は「声の角を取ってくれる」

壁も同じです。
クロス壁は表面がツルツルなので、声が反響しやすい。

一方で、漆喰や珪藻土の左官壁は、
微細な凸凹があって、声が反響しにくいんです。

これがあるだけで、家族の会話がやさしく聞こえて、
大きな声を出さなくても自然と届く。

天井も音を逃がす役割をもつ

天井には、木毛セメント板やラフな木板をおすすめしています。

これは高音の響きを散らしてくれるからです。

例えば、リビングに高めの天井と木毛セメント板を使うと、
笑い声やテレビの音が空気に馴染みやすくなります。

生活音を味方にする素材選びのヒント

家族によって音の感じ方は違います。

子どもの足音が気になる人もいれば、
キッチンの音が気になる人もいる。

だからこそ、素材を選ぶときは「どの音をまるくしたいか」を考えるのが大事です。

  • 足音なら、柔らかい杉やパインの無垢材
  • 会話の響きなら、漆喰や珪藻土の壁
  • 生活音全体の反響を抑えるなら、木毛セメント板の天井

これを組み合わせると、「音が静かだけど無音ではない家」ができます。

防音材を貼るだけでは、暮らしの音はコントロールできません。

大事なのは、素材が音とどう向き合うかを知ること

音を吸って、跳ね返さず、空気に溶けていく素材を選ぶ。
これだけで、毎日の気配がふわっとやさしく変わります。

自然素材を室内の仕上げに使う場合、どうしても過剰な期待を抱いてしまいます。これはしょうがないことなのですが、自然素材も万能ではありません。しっかりとした知識を持つことで、自分にあった選択をできます。今この記事を読んでいるあなたに必ず読んでほしい記事NO1 下の画像をクリックすると読めます

音の逃げ道をつくる|形と空間で「音を味方に」

素材だけじゃ静けさはつくれない

無垢材の床や漆喰の壁を選べば、音はまるくなる。
でも、素材だけでは完璧じゃありません。

僕がいつも伝えているのは、
音には「逃げ道」が必要 だということ。

どんなにいい素材を使っても、音の通り道がないと
音は空気の中で跳ね返って、暮らしに「ざわつき」を残します。

音の逃げ道をつくる設計とは?

音の逃げ道は難しいものじゃありません。

窓の配置
吹き抜けや高窓
ドアや引き戸の開閉
部屋の形とつながり方

これらの組み合わせで、音がどこへ抜けていくかが決まります。

例えば吹き抜けの役割

吹き抜けは「音が上に抜ける階段」みたいなものです。

リビングで話している声やテレビの音が
天井高い吹き抜けに上がると、
音のエネルギーが散って、耳に残りにくくなります。

高窓をつけると、音と一緒に空気の熱も逃げやすくなり、
夏も冬も快適さを保ちやすい。

仕切りすぎない間取りが大事

音を完全に仕切るために壁を多く作ると、
逆に音が室内で反響してこもりやすくなります。

僕が好きなのは「ゆるく仕切る」方法です。

  • 引き戸+欄間(らんま)で空気と音を通す
  • 室内窓で部屋同士をゆるくつなぐ
  • 廊下をただの通路じゃなく、音が抜けるクッション空間にする

これだけで音はこもらず、自然と気配だけが残ります。

形状の工夫で音が変わる

音はまっすぐ進む性質があります。

だから、四角くて硬い部屋ほど音が反響します。

例えば:

  • 天井に段差をつける
  • 壁にちょっとした凹み(ニッチ)をつくる
  • 家具や棚で音の跳ね返りを和らげる

こうした小さな形の工夫で、音は角をなくし、
空気に馴染んでいきます。

僕が設計で心がけていること

僕が現場で必ず考えるのは、

「この音、どこに行く?」

です。

家族が声を出したとき、足音を立てたとき、
その音がとどまらず、自然に遠くへ流れていくルートを考える。

これができている家は、
無理に音を消さなくても「気配がやさしい家」になります。

僕は木のオタクを宣言しているくらいに木にはうるさいのです。
木には音を吸音するだけでなく、僕たちにとっていいことづくしの素材です。
お時間が許すならこの記事を読んでください。木を室内壁に使いたい気分が爆発するはずです。
下の画像をクリックすると記事を読むことができます。

木の家はなぜ落ち着くのか?と自然素材住宅の魅力を徹底解剖
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音は暮らしで味わいを育てる|無音より“気配”が心を落ち着ける

「無音」は本当に心地いいのか?

防音を徹底して、外の音も生活音もシャットアウト。
一見、理想の静けさに思えます。

でも僕は現場で、そうした家ほど
「息苦しい」と感じる人が多いことを知っています。

人は完全な無音より、
適度な気配音が背景にあるほうが心が落ち着くんです。

森の中の音を思い出してみる

例えば、深い森にいるとき。

風が木々を揺らす音
鳥の声
遠くの川のせせらぎ

これらはうるさくないけれど、
耳を澄ませればちゃんと存在する。

家の中でも同じです。

家族の話し声や足音がスッと空気に馴染んでいると、
無意識に「ここは安心できる場所だ」と感じるんです。

静けさは、暮らし方で深まる

音の設計はプロが仕上げます。
でもその後の暮らしで、
住む人が小さな心がけをするだけで、静けさの質はもっと深まります。

音を味方にする暮らしのコツ

1️⃣ ドアをそっと開け閉めする
バタン!と閉めるより、少し手を添えて静かに。
これだけで家全体の響き方が変わります。

2️⃣ 家具を壁にぴったり付けない
数センチ空けるだけで、音の跳ね返りがやわらぎます。

3️⃣ 観葉植物を置く
葉っぱや土が音を吸って、声や足音がふわっと軽くなる。

4️⃣ 家族で「音の気になる場所」を話す
お父さんは気にならないけど、子どもは寝るとき気になる音があるかもしれない。

こうしてみんなで「心地いい音の許容範囲」を確認するだけで、
暮らしの空気は優しくなります。

僕が大切にしていること

音は完全に消すものではなく、
気配として背景に溶かすもの

家族の気配が安心感になり、
小さな生活音が「ここにいていい」と感じさせてくれる。

それが、僕が考える
「静けさを育てる家」 です。

家に余白を与えることは、暮らしにゆとりを与えてくれます。
僕は音に敏感に反応する方です。ですが、自宅に設計で余白をつくったおかげでそれまで気になっていた生活音が気にならなくなりました。
僕が小さな家を設計する際に気をつけていることを書いてます。
あなたにとってプラスになることを書いてます。下の画像をクリックすると読めます。

音が背景になる家は、心を整える|最後に伝えたいこと

音が「気配」になると、家は安心できる場所になる

ここまで読んでくれたあなたは、
きっと今、自分の家の音を思い浮かべているはずです。

足音、テレビの音、子どもの声。
それらをゼロにするのではなく、
どうやって空気の中に馴染ませるか

それが、僕がずっと大切にしてきた家づくりです。

無音より、気配のある暮らしを

人は無音だと、逆に緊張します。

自然の中でほっとするのは、
風の音、鳥の声、水のせせらぎがあるから。

同じように、家の中にも
心地いい「背景音」が必要です。

それは、安心できる暮らしの証拠だからです。

音を味方にできれば、暮らしはもっと自由になる

音のことを考えると、
「とにかく防音、防音、防音…」となりがちです。

でも、僕が現場で感じるのは逆。

音を完全に閉じ込めるほど、暮らしは窮屈になる。

だからこそ、
素材・形・音の逃げ道を設計し、
暮らし方で味わいを育てる。

このバランスを大切にしてほしいと思っています。

僕がこのテーマにこだわる理由

僕自身、家の音に悩んでいた家族をたくさん見てきましたし、僕も悩んでいた一人です。

「子どもの足音が気になって叱ってしまう」
「寝室の音が響いて眠れない」

そんな悩みが、
無垢材や左官壁、吹き抜けや室内窓の工夫で
スーッと消えていく瞬間 を何度も見てきました。

今日からできる、音とのつきあい方

この記事を読んだ今日からできることはシンプルです。

家の中で「どこで音が跳ね返っているか」考えてみる
ドアの開閉をそっとする
家族と「どの音が心地いいか」話し合ってみる

これだけでも、
暮らしの空気は少しずつ変わります。

最後に|僕と一緒に音の心地よさを探しませんか?

僕がつくりたいのは、
音を閉じ込めた家ではなく、
家族の気配が背景になる家です。

もし、
「自分の家でもできるかな?」
「もっと静かで安心できる家にしたいな」
と思ったら、
気軽に僕に相談してください。

あなたの暮らしに合った、
音と仲良くできる家づくり を一緒に考えます。

「暮らしにくさの理由がわからない」
「家族が最近バラバラに感じる」
そんなお悩みも、間取りや設計の視点で一緒に考えていけます。

京都での改修・リノベーション、狭小住宅の設計についてのご相談もお気軽にどうぞ。

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