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高気密高断熱なのに息苦しい?|空気が重い家を変える換気の基本 グリーナーズハウス 京都 滋賀

家の中が息苦しいのは“換気不足”が原因?

「24時間換気があるから安心」——そう思われる方は多いです。
しかし、実際には 「部屋の空気が重い」「家の中が息苦しい」 と感じるケースが少なくありません。
換気扇が回っていても、必ずしも空気がきちんと入れ替わっているとは限らないのです。

空気を整えるのは「設備」ではなく「計画された流れ」

換気とは単に空気を入れることではありません。

「吸気→移動→排気」という空気の流れを、計画的に成立させること」 です。

これが継続していなければ、どれほど性能の高い設備を導入しても「部屋の空気が悪い原因」は解消されません。

この記事では、換気について詳細に解説していきます。

  1. 「家の中が息苦しい」「空気が重い」と感じる正体
    1. よくある兆候:におい・扉・結露からわかるサイン
    2. 「設備がある=換気できている」の誤解
    3. 「設備がある=換気できている」の誤解
  2. 「換気しているつもり」が空気を悪くする
    1. 計画された空気の流れとは
    2. 図面通りで終わらせない:運用と現実の落とし穴
  3. 換気=「空気の道」を設計し、維持すること
    1. 吸気点と排気点の意図
    2. 圧力バランスを整える
    3. 住まい手が調整できる仕組み
  4. 「朝5分」の対角通風で空気を軽くする
    1. 高さ差×対角線で無風日も抜ける
    2. におい・湿気のリセットという効果
    3. 住まい手の習慣が性能を支える
  5. 温度・圧力差と「空気の性格」
    1. 家の中の気圧が低いと、外気を引き込みやすい(すきま風/冷気)
    2. ルートがなければ空気は「楽な抜け道」へ
    3. 吸気排気ができるのか、換気におけるチェック項目
  6. 気密が取れないと換気は成り立たない
    1. リノベでも上げられる気密:後施工の工夫
    2. 換気と気密はセットで考える
  7. 「動かすべき空気量」が増えるほど設計・運用は難度が上がる
    1. ゾーニングと局所排気の分散が必要
    2. 風量・ダクト長・点検性の管理コスト
  8. 「小さい家」は空気設計の効果が出やすい
    1. 空気の巡回距離が短い=滞留を起こしにくい
    2. 必要風量が少ない=静粛・省エネに寄与
    3. 京都・滋賀の湿潤環境で利点が出やすい
    4. 小さい家は設計次第で快適な住まいになれる!

「家の中が息苦しい」「空気が重い」と感じる正体

よくある兆候:におい・扉・結露からわかるサイン

「家が息苦しい」と感じるとき、多くの場合は 空気がうまく入れ替わっていないサイン が出ています。

においが抜けない:料理や生活臭が長く残る
扉がバタンと閉まる:部屋の気圧が外とズレて、排気だけが過剰に働いている証拠
壁や天井の結露・カビ:湿気が滞留して“部屋の空気が悪い原因”になっている

これらは一見「小さな不快感」に思えるかもしれません。
しかし、放置すれば 家の耐久性や健康被害 にまで直結するため注意が必要です。

「設備がある=換気できている」の誤解

多くの住宅には「24時間換気設備」が備えられています。
しかし、それが 正しく機能しているとは限りません

実際に現場でよく見かけるのは次のような状態です。

給気口が閉じられている:冷気や騒音が気になるからと塞いでしまう
フィルターが詰まっている:ホコリや花粉で吸気量が半減
排気ばかり強すぎる:家全体が負圧になり、かえって隙間風を呼び込む
空気のショートサーキット:吸気がすぐ排気口へ抜け、居室に空気が届かない(詳細は後述)

つまり「換気扇が回っている=換気できている」とは言えないのです。
吸気と排気のバランスが計画的に整ってこそ、快適な空気環境がつくられるのです。

「設備がある=換気できている」の誤解

前述した空気のショートサーキットとは、吸気した空気が、部屋全体を通らずにすぐ排気口へ直行してしまう状態のことです。

本来なら新鮮な空気がリビングや寝室をめぐってから外に出るはず。
しかし、これが起こると入ってきた空気がすぐ出口へ抜けてしまい、居室に行き渡らないのです。

たとえるなら——夏に窓を2つ開けて換気したつもりでも、実際には風が入った瞬間にそのまま反対側の窓へ抜け、部屋の奥まで風が届かない。

これが「空気のショートサーキット」です。

見た目には換気扇が動いていても、実際には「人がいる空間」の空気が入れ替わっていないという落とし穴になります。

そしてこれが案外多いのも、家の中の空気が悪い、重い、息苦しいと感じる原因なのです。

「換気しているつもり」が空気を悪くする

計画された空気の流れとは

本来の換気とは、「吸気→移動→排気」という空気の流れが、障害なく続いている状態を指します。

最初、外から入った新鮮な空気がリビングや寝室をめぐります。その後、汚れた空気を押し出すように排気されます。この流れがあって初めて「換気ができている」と言えるのです。

しかし実際には、給気口の位置や使い方に問題があると、この流れが成立しません。
つまり、部屋の空気が悪いまま滞留してしまうのです。

そしてこのような事例も非常に多いのが問題です。
中には、空気がほとんど動かない部屋ができてしまうようなひどい設計の家もあるのです。

図面通りで終わらせない:運用と現実の落とし穴

図面上は正しく換気ルートが描かれていても、暮らしの中では以下のような理由でうまく機能しないことがあります。

冷気や騒音が気になって給気口を閉じてしまう
フィルターが詰まって吸気量が落ちる
排気ファンが強すぎて負圧が生じる

このように、設備があることと機能していることは別問題です。
たとえ「24時間換気」と表示されていても、実際には空気が循環していない場合が多いのです。

換気=「空気の道」を設計し、維持すること

吸気点と排気点の意図

換気とは、ただ空気を入れる・出すのではありません。
「どこから吸気して、どこへ排気するか」を計画することが大前提です。

例えば、リビングの新鮮な空気を寝室や廊下に行き渡らせ、最後にトイレや脱衣室から排気する。
こうした流れを意図的につくることで、空気は家全体をめぐり、よどみが生まれにくくなります。

もし吸気と排気が近すぎると、空気がすぐに外へ抜けてしまい、人がいる場所の空気が入れ替わらない状態になります。

圧力バランスを整える

換気計画では、圧力のバランスを考えることも重要です。

たとえば、キッチンや浴室は強制的に排気を行うため、家の中全体の気圧が家の外よりも低くなりやすい空間です。このとき、吸気が足りなければ外気を「隙間風」として引き込み、計画外のルートで空気が流入してしまうことになります。

正しくは、強い排気に見合う吸気ルートをあらかじめ設計し、冷気や湿気を伴わずに新鮮な空気が供給されるようにする必要があります。

住まい手が調整できる仕組み

どれだけ設計で工夫しても、暮らしの中で給気口を閉じてしまえば換気は機能しません。
そこで大切なのは、住まい手が無理なく調整・メンテナンスできる仕組みを整えることです。

給気口は、開閉しやすく、騒音や冷気の影響を最小限にする場所に設置する
フィルターは簡単に取り外して清掃できる構造にする
操作は直感的で「面倒だから放置」にならない仕掛けにする

換気は「設計された空気の道」を、暮らしの中で維持することまで含めて初めて機能します。
計画と日常の使いやすさが両立してこそ、吸気と排気のバランスが守られ、空気の質が保たれるのです。

例えば、身長の低い方が住む家で、日光を取り込んだり吸気や排気設計を考えて高い位置に小窓を作ったとします。いざメンテナンスをしようと思っても届かない、開けづらい、掃除もしづらい。

そうなると、そもそも開けることがなくなり、せっかくの空気設計もいずれ機能しなくなるのです。

どれだけ素晴らしい設計をしても、住まい手が無理なく調整・メンテナンスできない仕組みは結果的に換気力は低下していくのです。

〜をすれば正解、ということはありません。
むしろ、一人一人の暮らし方に沿って、どんな風に設計していくのかが何より大切なのです。

「朝5分」の対角通風で空気を軽くする

高さ差×対角線で無風日も抜ける

「家の中が息苦しい」「空気が重い」と感じたとき、最も手軽にできるのが窓を使った自然換気です。

特に効果的なのは、家の対角線上にある窓を同時に開ける方法
入口と出口を離すことで空気の流れが生まれ、短時間でも効率的に室内の空気が入れ替わります。

さらに、窓の高さ差を活用すると、風がない日でも空気は自然に動きます。
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動する性質があるため、高さの異なる窓を開けるだけで「煙突効果」のように空気が抜けやすくなるのです。

におい・湿気のリセットという効果

朝起きてすぐの時間帯は、夜のあいだにこもった湿気やにおいが室内に溜まっています。
なぜなら、眠っている間には呼吸するたびに呼気に含まれる水蒸気も室内に溜まっていくからなのです。

呼気中の水蒸気は案外多く、1日に肺からの呼気に含まれる水蒸気量は約400mLとも言われています。
夜の間、仮に8時間だけと考えても、136mLと考えられるのです。

そこで朝5分だけ対角線で窓を開けることで、

生活臭がリセットされる
結露の原因となる湿気が外へ逃げる
室内の空気が軽く感じられる

といった効果が得られます。
京都や滋賀のように湿気の多い地域では、この習慣が特に有効です。

住まい手の習慣が性能を支える

どれだけ性能の高い換気システムを備えても、暮らし方次第で空気の質は変わります。
毎朝の窓開け習慣は、設計や設備の性能を活かし、家の空気を整えるシンプルな方法です。
小さな積み重ねが、「息苦しい家」から「深呼吸したくなる家」へと変える力を持っています。

温度・圧力差と「空気の性格」

家の中の気圧が低いと、外気を引き込みやすい(すきま風/冷気)

「高気密高断熱の家なのに息苦しい」と感じる方は少なくありません。

その理由のひとつが家全体が負圧になる状態です。

排気だけが強く働いて吸気が不足すると、室内の圧力が外より低くなり、結果として外気を引き込もうとします。

このとき入ってくるのは、給気口からの新鮮な空気だけではなく、壁や窓の隙間から入り込む冷気や湿気です。
つまり、計画外の空気が流入し、すきま風のような感覚を生み出してしまうのです。

ルートがなければ空気は「楽な抜け道」へ

空気には「楽な道を選ぶ」という性格があります。
本来なら吸気口から入り、居室を通って排気口へ向かうべきところでも、ルートが整っていないと 近い隙間や穴を通ってしまう のです。

たとえば、排気口の近くに吸気口がある場合です。
入ってきた空気は人がいる部屋をめぐらず、すぐ排気へ抜けてしまいます。
これが計画外流入であり、換気しているようで実は室内の空気が入れ替わっていない状態です。

吸気排気ができるのか、換気におけるチェック項目

特に新築やリノベーションをする場合、大切なのは、吸気排気がうまくいくかどうかです。
換気における簡単なチェック項目は以下の通り。

吸気口の位置:人の動線や風の流れを妨げていないか
排気の設置場所:においや湿気が滞留しやすいトイレ・洗面・北側収納などにしっかり配置されているか
フィルターの清掃性:手が届く高さにあり、月1回でも掃除が続けられるか
レンジフードとの連動:強力なキッチン排気に対応できる仕組みになっているか


これらをチェックするだけでも、換気は大きく変わります。

気密が取れないと換気は成り立たない

「高気密高断熱の家なのに息苦しい」と感じる原因の多くは、気密の不良にあります。

空気は楽な抜け道を選ぶ性質があり、気密が甘いと設計したルートを空気が通ってくれません。
その結果、換気の計画が成り立たなくなるのです。

そもそも気密とは、隙間をどれだけ小さくできるか、ということです。
気密は、ストローに穴が空いていない状態。ストローの端だけが空いていると、空気はストローの中を通りに抜けてくれます。これが換気であり、空気の設計です。



さて、気密がしっかりされていないと起こる症状は以下の通りです。

計画給気が成立しない:給気口ではなく壁の隙間から外気が侵入し、冷気や湿気を伴ってしまう
常時負圧になる:排気ばかりが働き、すきま風のように外気を引き込む。
        ※負圧とは、家の中の気圧が外よりも低いことです。
局所的な結露やカビ:空気が流れない場所に湿気が滞留し、素材の劣化や健康被害を招く

これらは「部屋の空気が悪い原因」となり、住まいの快適性を大きく損ないます。


計画的な換気、空気設計は気密があって初めて成り立ちます。

むしろ、家の性能は気密がないと大きく下がります。
断熱材をたくさん使っていたとしても、気密がなくなると冬は寒くて夏は暑い家になってしまうのです。

どうしてそんなことが起こってしまうのか、家づくりで絶対に欠かせない気密についてまとめています。
気密について全く知らない方が網羅できるように書いていますので、ぜひ一度覗いてみてください。

リノベでも上げられる気密:後施工の工夫

リノベーションでも工夫次第で気密性能を高めることは可能です。

例えば、次のような方法があります。

後施工気密シート+テープ処理:壁体内にシートを挿入し、ジョイント部をテープで確実に密閉する
開口部周辺の補強:窓や配管まわりに発泡ウレタンを充填し、気密テープで仕上げる
連続気密ラインの確保:天井と壁、床と壁といった取り合い部を切れ目なく処理する

これらを現場で丁寧に行うことで、空気が逃げない構造をつくれます。
換気システムが計画通りに働く環境を整えられるのです。

新築はもちろんのこと、リノベーションでも気密を確保することができます。

換気と気密はセットで考える

ここまで気密についても触れてきましたが、ここまで触れてきたのには意味があります。
それは、換気と気密は常にセットで考える必要がある、ということです。

換気は「吸気」と「排気」をコントロールする仕組みです。
気密がなければ計画そのものが崩れてしまいます。

気密ができていないということは、ストローにたくさんの穴が空いていることです
。そうなると、ストローを吸ってもジュースは穴からこぼれてうまく吸えません。それが空気で起こるのです。

逆に言えば、気密を確保すれば、空気は設計されたルートを通り、快適で安定した空気環境が実現します。

つまり、換気と気密は切り離せないセットなのです。

どちらか一方が欠けると「高気密高断熱なのに息苦しい」という矛盾が生まれることを理解しておくことが大切です。

「動かすべき空気量」が増えるほど設計・運用は難度が上がる

ゾーニングと局所排気の分散が必要

家が大きくなるほど、換気で動かさなければならない空気の量が増えます

例えば、リビングや寝室、廊下や収納など、それぞれの空間に必要な空気の流れを確保するとします。
こうなると、一つの換気経路では行き届かなくなります。

そのため、大きい家ではゾーニング(空間を分けて考える)と局所排気の分散配置が不可欠です。

水まわりや収納といった湿気やにおいが溜まりやすいエリアには、専用の排気口を設けて独立して空気を抜く必要があります。

これを怠ると、広さの分だけ「換気しているのににおいや湿気が残る」という事態につながります。

風量・ダクト長・点検性の管理コスト

大きい家では、単純に排気ファンを強くすればよいという話ではありません。
風量が増えるほどダクトの長さや抵抗の影響も大きくなります。

そして、計画通りに空気が流れなくなるリスクがあります。

また、ダクトが長く複雑になると、清掃や点検の手間も増え、管理コストがかさみます。点検できない場所に汚れが溜まれば、排気効率の低下やカビの発生につながる可能性もあります。

「小さい家」は空気設計の効果が出やすい

空気の巡回距離が短い=滞留を起こしにくい

小さい家では、空気が移動する距離が短いため、滞留やよどみが起こりにくいという特徴があります。

たとえばリビングから寝室までが数歩でつながる空間をイメージしてみてください。
吸気口から入った新鮮な空気が効率よく家全体をめぐり、排気口まで届きやすくなります。

大きい家のように「一部の部屋だけ換気が届かない」という問題が少なくなります。

必要風量が少ない=静粛・省エネに寄与

小さい家は必要な換気量が少ないため、大きなファンを使わなくても十分に空気を動かせる利点があります。これにより、

換気扇の音が静かになりやすい
消費電力が抑えられ、ランニングコストが低くなる
フィルター清掃などのメンテナンスも比較的負担が軽い

といったメリットが得られます。
省エネと快適性の両立を実現しやすいのも、小さい家ならではの強みです。

京都・滋賀の湿潤環境で利点が出やすい

京都や滋賀は湿気の多い地域として知られています。湿度が高いと結露やカビのリスクが増えますが、小さい家では空気を素早く入れ替えられるため、湿気が滞留しにくいのです。

特に梅雨や夏の蒸し暑い時期、朝に窓を開けて対角線上で通風すること。
こうすることで短時間でも湿気やにおいをリセットしやすくなります。

小さい家のスケール感は、このような自然通風や計画換気の効果を引き出すうえでも有利です。

そんな京都と滋賀で「小さい家」に特化した、新築やリノベーションをしているのが僕達Greener’s Houseです

小さい家は設計次第で快適な住まいになれる!

小さい家は住みづらい。小さい家は狭くて暮らしづらい。

小さい家、と検索すると、そんなデメリットがずらりと並びます。

でも、それは違います。

確かに、面積だけを見ると狭いかもしれません。
でも、それは設計が足りていないことを、面積のせいにしているだけ。

大切なのはその限られた空間がいかに快適で、いかに心理的解放感があるのかを設計できる設計力です。

工務店やハウスメーカーの中には、大きな家が売れてほしいという気持ちもあるかと思います。

でも、大きい家を買っても暮らしづらい家になってしまったら、それは本当に快適な住まいの購入と言えるのでしょうか。

小さい家は宝の山。

小さい家は設計次第で快適な住まいになれる!

小さい?最高やん!

を軸に、僕達は京都と滋賀で、小さい家専門として新築とリノベーションをしています。

その家に住まう人の生活スタイルをしっかり聞いて、一人ひとりに合った住まい作りに徹しています。

家事の仕方も暮らし方も人それぞれ。
住まう人それぞれだから、その人の「暮らしやすい」を反映させたい。

そこに家の性能部分や、日光の明るさ、風の取り込み方、グリーンによる心理的なゆとりを含めた「快適」をプラスして、小さいのに大きなゆとりのある暮らしを作っています。

小さくても我慢しなくていい。

小さい家は設計次第。

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