「経年変化が美しい家」に惹かれる理由|新築の“ピカピカ”よりも、「5年後がいちばん好き」な理由とは
「せっかく新築で家を建てるなら、できるだけきれいに保ちたい」
そう思うのは、ごく自然なことです。僕も、最初はそうでした。
床はピカピカ、壁は真っ白。
その“完璧な状態”を守りたくて、汚れや傷にすごく敏感になっていた時期があります。
でもある日、京都の町家を歩いていたときに、ふと思ったんです。
古くて、ちょっと色あせた木の柱。
手あかが残るふすま、くすんだ真鍮の取っ手。
なのに、なんでこんなに「美しい」と感じるんだろう?と。
その瞬間から僕の中で、「家のきれいさ」の基準が変わりました。
たとえば、無垢材の床。
住み始めの明るい木肌も素敵だけど、数年経ってからの深い艶や色の変化は、まるで家族と一緒に成長しているような感覚をくれます。
漆喰の壁も、最初は真っ白。
でも子どもの手が届く場所にはうっすら跡がついて、光の加減で表情を変える——
それは単なる“汚れ”ではなく、その家らしさになっていくんです。
こうした経年変化を、僕は「劣化」ではなく「深化」だと考えています。
素材が呼吸し、空気に触れ、手に触れられて変わっていく——
それは生きている家にしか起こらない変化です。
京都という場所には、そういった時間の積み重ねが“美しさ”になる家がたくさんあります。
僕も、そんな空気の中で暮らしながら、この価値観に出会いました。
だから今では、「ピカピカを保つ家」よりも、
「5年後がいちばん好きだと思える家」をつくりたいと思っています。
もし、あなたの中にも少しでも
「変わっていくものに美しさを感じる」という気持ちがあるなら——
それは、自然素材の家があなたに合っているサインかもしれません。
「変わらない家」が息苦しくなる理由とは? 自然素材の家で“空気が軽くなる”理由|京都の暮らしから考える
新築でも“くつろげない家”の共通点とは?
新築のはずなのに、なぜか落ち着かない。
きれいで整っているのに、どこか「緊張」してしまう。
そんな声を、実はよく聞きます。
実際、京都で暮らすあるご家族からもこんな相談がありました。
「引っ越してきたばかりなのに、子どもがリビングに入りたがらないんです」
見た目は完璧。だけど、空気がどこか“張りつめている”。
そういう家には、共通点があります。
「変わらないこと」が、家のストレスになる
その原因のひとつが、「変化しない素材」でつくられていること。
たとえば、ビニールクロスの壁やプリント合板の床は、年月が経ってもほとんど変わりません。
でも実は、「変わらない」ってことが、人にとってはストレスになることもあるんです。
人も、暮らしも、季節も、感情も——
毎日少しずつ変わっていくのが自然な姿。
なのに、家だけが「変わらないように」とつくられていると、
暮らしの中に“ズレ”が生まれます。
自然素材の家は「変わること」を許してくれる
漆喰や無垢材などの自然素材は、空気とともに呼吸します。
湿度を吸ったり吐いたり、光の加減で色が変わったり——
少しずつ表情を変えてくれるから、住んでいて“ラク”なんです。
僕が京都で手がけた家でも、
「前の家より呼吸しやすい気がする」と言ってもらえることがよくあります。
これは気のせいではなくて、素材そのものが生きているから。
家が“動いてくれる”から、暮らしもリズムを取りやすくなるんです。
「ずっと同じ」であることが、本当に安心ですか?
「変わらないこと」が正解のように思えるけど、
実は変わるからこそ安心できる、という感覚もあります。
季節によって匂いが変わる木の床。
夕方になるとあたたかく感じる漆喰の壁。
変化する素材に囲まれると、
暮らす人の気持ちも自然とほぐれていくんです。
僕たちが想うのは、
「変化=不安」ではなく、
「変化=安心」になれる家がある。
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経年変化の魅力と変化の仕方 無垢フローリング・漆喰・真鍮が5年後に美しくなる理由とは?
無垢フローリングの経年変化|色と艶が“育つ”素材
無垢の木の床は、住み始めは明るくさわやかな色をしています。
でも数年たつと、色に深みが出て、表面に自然な艶が生まれます。
これは、太陽の光や人の足、空気中の湿度などが木に作用して、ゆっくりと熟していくから。
まるで家具のように、「育つ」床材なんです。
とくに京都のような湿度のある地域では、木の変化がより穏やかで、しっとりとした艶感になりやすい。
長く住めば住むほど、床に「暮らしの跡」が刻まれていくのが魅力です。
漆喰の経年変化|光と湿度で表情が変わる壁
漆喰は「白くて固い壁」というイメージを持たれがちですが、実はとても“生きている”素材です。
呼吸することで、湿気を吸ったり吐いたり。光の当たり方で色がほんのり変わって見えたり。
そして何より——
子どもが触った小さな手の跡や、家具を動かしたときについたスリキズ。
それらが重なって、家族の歴史が刻まれていく壁になります。
「汚れ」じゃなく「時間の風景」として受け入れられると、壁に対する感覚が大きく変わります。
真鍮・アイアンの経年変化|くすみが“存在感”になる
ピカピカに光った金属も、年月とともにくすんできます。
でも、自然素材と相性がいい金物——たとえば真鍮やアイアンは、
そのくすみ自体が深みと落ち着きを与えてくれます。
僕の経験では、京都の気候はこうした金属の変化をゆっくり進めてくれるので、
ぎらつかず、しっとりした質感へと変わっていくのが特徴です。
最初の“新品感”に愛着が湧く人もいるけれど、
使いこまれた真鍮の表情に惹かれるようになると、家そのものに対する見方も変わってきます。
それぞれの素材が“違うリズム”で育っていく
無垢の床は艶で、漆喰は表情で、金物は色合いで——
素材によって、経年変化の仕方は少しずつ違います。
だからこそ、どれひとつとして「正解」がない。
あなたと家族が好きな素材を選び、その変化を“家族らしさ”として受け止めていく。
それが、自然素材の家に住むということなのだと思います。
経年変化は、素材が“壊れていく”ことではなく、
素材が“暮らしに馴染んでいく”プロセス。
家が変わっていくことで、家族もその家にもっと馴染んでいけるのです。
経年変化を楽しむ工夫|手入れで育てる家 無垢材・漆喰の手入れはむずかしい?自然素材と気持ちよく付き合う方法
無垢材の手入れは「完璧に戻す」じゃなく「育てる感覚」
「無垢材は傷つきやすい」「手入れが大変そう」
そんな声をよく聞きます。でも実際には、ものすごく手がかかるわけではありません。
たとえば、毎日の掃除は掃除機で十分。
週に1回、固く絞った雑巾で水拭きすれば、それだけで自然な艶が戻ります。
細かい傷は、紙やすりで軽くこすって植物油を塗れば目立たなくなる。
まるで、木が「大丈夫だよ」と言ってくれているみたいなんです。
漆喰の壁は“真っ白じゃなくてもいい”と思えるとラクになる
漆喰の壁についた子どもの手跡やスリキズ。
最初は気になるかもしれません。でも、それも家族の暮らしの“軌跡”です。
気になるときは、消しゴムのようなスポンジで軽くこするだけ。
それでも消えなければ、部分的に塗り直すこともできます。
でも一番大切なのは、「汚れ=悪」ではないという感覚。
“真っ白を保つ”のではなく、“暮らしに馴染ませる”という視点で見ると、心がぐっと軽くなります。
手入れが“好き”に変わると、家との関係が変わる
素材に合った手入れは、決して「面倒」ではなく、「コミュニケーション」に近いものです。
今日はちょっと乾いてるな、艶がないな、
じゃあ、油をひと塗りしてみようか。——
そんなふうに素材と会話する感覚が、
自然素材の家を「育てる家」に変えてくれます。
京都のように湿度がある地域では、
素材もよく呼吸します。だからこそ、ちょっとした手入れが素材の表情を豊かにするんです。
「いつも完璧」は目指さなくていい
自然素材の家では、「傷をつけないように暮らす」よりも、
「傷がついても気にならない暮らし方」を選ぶことが大切です。
完璧を目指すより、
“気持ちよく暮らす”ことを軸に置くと、素材への目線が変わってきます。
その変化が、結果的に「長く愛せる家」につながるのだと、僕は思っています。
無垢材も漆喰も、手入れが大変なんじゃない。
“付き合い方”を知れば、それはむしろ家と仲良くなる時間になる。
そんな感覚が芽生えたとき、経年変化はもっと楽しみになる。
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家が育つという感覚を手に入れる|暮らしと一緒に“経年変化する家”|5年後がいちばん好きになる理由
「最初より今のほうが好き」と言われる家
あるご家族から、こんな言葉をいただきました。
「最初は、床の傷に落ち込んでいたんです。でも今は“この傷も、うちの子の成長記録”って思えるんです」
僕はこの言葉が、自然素材の家の価値をすべて語っていると思っています。
時間が経って、少しずつ変わっていく家。
キズやくすみ、色の変化さえも、家族の記録になる。
そして気がついたら、「今のこの家がいちばん好き」になっている。
それって、本当の意味で“家に住んでいる”ことなんじゃないでしょうか。
暮らしの景色が変わる|“家族らしさ”がにじむ空間
毎年、点検や取材でお宅を訪れるたびに感じることがあります。
「この家、完成したときよりも素敵になっているな」と。
壁に飾られた絵が増えていたり、
キッチンの真鍮がほんのり黒ずんでいたり、
床にできた艶が、暮らしのリズムを語っていたり——
そういった変化は、**住む人にしか作れない“家族の景色”**です。
家が家族に合わせて変わっていく。
暮らしが、家に色をつけていく。
それは、自然素材の家だからこそ生まれる風景です。
京都で育つ家|“変化を愛する文化”とつながる感覚
京都には、古くなったものを手入れしながら大切に使い続ける文化があります。
町家も仏具も、古い建具も。時間が経つほどに価値を増していく。
そんな街で暮らしていると、
「変わらないこと」より「変わっていくこと」に美しさを感じるようになります。
自然素材の家も、まさにその感覚とつながっています。
毎年少しずつ変わる表情を、「味わい」として楽しむ——
京都という地域性が、そういう家に向いている理由でもあります。
変化していく家”に住むという選択
(ロングテール:自然素材 経年美化 家/経年変化 家 時間)
「5年後の自分が、この家をもっと好きになっている」
そう思える家に住むって、とても豊かなことです。
家が古びるのではなく、“深まっていく”と感じられるから。
流行に左右されず、ずっと好きでいられる家。
それは、経年変化を受け入れた素材と、暮らしの積み重ねがつくる贈り物です。
家が育つという感覚は、暮らす人にしかわからない特別な喜び。
「完成したときより、今のほうが好き」——
そんなふうに思える家を、選んでみませんか?
写真じゃ伝わらない“空気”を、実際の家で感じてほしい
「完成した時より、今のほうが好き」と言われる家があります
僕たちがつくった自然素材の家の中には、
お施主さんからこんな声をいただいた家がたくさんあります。
「新築の時も素敵だったけど、5年経った今の方がずっと好きです」
「このキズを見ると、子どもがはしゃいでた頃を思い出します」
「手入れした分だけ、家が応えてくれる気がするんです」
家が“経年変化”していくことを、
「価値が下がること」ではなく、「深まること」として受け止められる。
それが、自然素材の家のいちばんの魅力です。
写真では伝えきれない、素材の“呼吸感”
ネットや雑誌には、自然素材の家の写真がたくさん出ています。
でも正直なところ、本当の魅力は写真では伝わりません。
なぜなら、漆喰の表情は光の角度や湿度で変わるし、
無垢材の床の艶も、実際に歩いてみてはじめて“深さ”を感じられるからです。
空気感、におい、光のやわらかさ——
五感で感じてこそ、「経年美化の本当の価値」がわかる。
京都で見学できる、経年変化を楽しむ家
僕たちが手がけた家は、京都を中心にいくつもあります。
その中には、築5年以上経った実例も。
住んでから年数を重ねてきた家だからこそ見える、
**「素材の育ち方」や「暮らしの馴染み方」**を、実際に見て、感じてほしいんです。
・床の色味がどれだけ変わるのか?
・漆喰の手入れって本当に必要?
・真鍮の金物はどう変わった?
そんな疑問に、“リアルな家”で答える見学体験を用意しています。
見て、感じて、話してほしい
家づくりって、最初は“情報”から入るけど、
最後に背中を押すのは「感覚」だと思っています。
素材の空気感を肌で感じて、
住んでる人の声を聞いて、
「こういう家、いいな」って心が動いたら——
それは、あなたにとって自然素材の家が“合っている”ということかもしれません。
こちらの記事は必ず読んでほしい。そんな内容です↓
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