室内の空気が体調を左右する?見逃されやすい不調の正体とは

空気と健康

「家にいるとなんとなく頭が重い」
「外出先では元気なのに、帰宅するとだるくなる」
「アレルギーでもないのに、子どもが家で咳をする」

そんな体調の違和感、もしかすると“空気”が原因かもしれません。

目に見えないからこそ、見落とされやすい「室内空気の質」。
今日は、建築士として僕が実際に見てきたケースをもとに、“不調と空気の関係”を深掘りします。


室内空気の質が、体に影響を与える理由

空気は「そこにあるもの」ではなく、「常に吸い込んでいるもの」。
だからこそ、わずかな汚染でも身体に直結します。

よくある室内の空気汚染源としては:

  • ホコリ・ハウスダスト・PM2.5
  • 揮発性有機化合物(VOC)
  • 二酸化炭素濃度の上昇
  • 湿気とカビ・ダニ
  • ペットの毛や皮脂

これらが日常的に室内に滞留すると、“原因がわからない体調不良”という形で現れるのです。


僕が実際に出会った「空気が原因の不調」

あるご家族からの相談で、こんなケースがありました。

「息子が夜になると毎日咳をするんです。でも病院では異常なし。原因不明のまま1年以上続いていて…」

調べてみると──

  • 寝室の換気口が完全に詰まっていた
  • ベッド下にホコリが蓄積して空気が淀んでいた
  • 壁紙の裏に結露によるカビが発生していた

環境を整え、空気の流れを改善したところ、3週間ほどで咳がぴたりと止まりました。

この経験は、僕の中で「空気=健康」の本質を突きつける出来事でした。


室内空気が与える5つの“体調影響”

① 慢性的なだるさ・倦怠感

CO2濃度が高い部屋では、脳への酸素供給が不十分になり、集中力の低下や眠気、だるさが発生します。


② 頭痛・目の乾き

VOC(接着剤・塗料などに含まれる化学物質)の滞留や湿度不足が原因となり、シックハウス症候群に似た症状が出ることも。


③ 喉の違和感・咳・アレルギー症状

ハウスダスト・カビの胞子などが空中に浮遊し、気道を刺激して咳を誘発します。
子どもや高齢者は特に影響を受けやすいです。


④ 睡眠の質の低下

室温・湿度・CO2濃度が整っていない空間では、眠りが浅くなる傾向があります。
これは日中の集中力や疲労感に直結します。


⑤ 無自覚な“ストレス蓄積”

「空気が悪い」状態は、自覚のないストレスを生み、心理的な不調の引き金にもなりうるのです。


空気の質を整える5つの具体策

① CO2モニターを設置する

まずは「見える化」。二酸化炭素濃度をリアルタイムでチェックできるだけでも、換気のタイミングが明確になります。


② 換気経路を設計し直す

給気→排気の流れが家の中で“巡回”しているかを確認。
ドアのスリット、ファンの配置も大切なポイントです。


③ 空気を動かす家電を常時稼働

  • サーキュレーターを天井に向けて微風運転
  • トイレや洗面の換気扇を24時間回す
  • HEPAフィルター搭載の空気清浄機を寝室に導入

④ 掃除とメンテナンスの習慣化

  • フィルター掃除は月1回
  • ベッド下や家具裏のホコリを溜めない
  • 換気扇・給気口の詰まりチェックを半年に1回

⑤ 暮らしそのものを“深呼吸目線”にする

  • 窓を朝一番に開ける習慣
  • 観葉植物で空気を育てる
  • 素材にも気を配る(化学成分の少ない建材・家具)

僕が目指すのは、「感じる空気」で暮らしを整える家

性能を高めることも大切です。
でも僕が本当に大切にしたいのは、住む人が

「なんだか、この家って空気がいいよね」

と“肌で感じられること”。

空気は見えないけれど、暮らしの質を決定づける最大の要素です。
だから僕は、設計の中に空気という“感覚”を設計することを欠かしません。


▶ 空気から暮らしを整えるヒントを1冊に

📘 『深呼吸したくなる家のつくり方』
健康で快適な空気を整えるために、素材・換気・設計の視点をまとめたPDFを無料配布中。

PDFを受け取る


関連記事