はじめに読む記事住宅性能気密

気密はいらない?と思ったら見て欲しい、家づくりの気密の全て グリーナーズハウス 小さい家 京都

気密とは

気密とは「すき間をどれだけ小さくできているか」

家づくりでよく耳にする「気密」とは、家のすき間をどれだけ小さく抑えられているかを表す考え方です。

外気が自由に出入りするような状態では、冷暖房で整えた快適な空気はすぐ逃げてしまいます。
逆にすき間を最小限にすれば、室内環境を安定させることができます。

魔法瓶で考える気密の役割

イメージしやすいのは「魔法瓶」です。
魔法瓶は中のお湯を長時間あたたかいまま保ちます。
それは断熱材で熱を逃がしにくくしているだけでなく、フタがしっかり閉じて外気が入り込まない=気密が確保されているからです。

もしフタを半開きにしたままなら、どんなに高性能な断熱材を使ってもすぐに冷めてしまいます。

断熱と気密はセットで考える

建物の断熱や気密の考え方もまた、魔法瓶と同じです。
壁や床、天井に断熱材を入れるだけでは不十分です。
接合部や窓まわりにすき間が残っていると、魔法瓶のフタを閉め忘れたのと同じことが起こります。
つまり、断熱と気密は必ずセットで考える必要があります。

気密がもたらす安心と耐久性

気密をしっかり確保すると、省エネや快適性だけでなく家の寿命にもつながります。
すき間から湿った空気が侵入すれば、壁内で結露が発生します。
その結果カビや木材の劣化を引き起こす可能性があるからです。

気密性能の高い家は、余計な空気の出入りを防ぎ、計画的な換気を実現することで、健全な室内環境を守ることができます。

気密がないとどうなるか

断熱だけでは不十分

「断熱材さえ入れておけば大丈夫」と思いがちですが、それだけでは快適な家にはなりません。
断熱材はあくまで「魔法瓶の壁」のようなもの。

熱の移動をゆるやかにする働きはあっても、フタが閉まっていなければ中身はすぐに冷めてしまいます。
家も同じで、断熱材だけでは熱の出入りを完全には防げないのです。

気密が必要な理由

すき間があると、外の空気は自由に出入りします。

夏は冷房で冷やした空気が逃げ、熱気が侵入。
冬は暖房の熱が失われ、冷気が忍び込んできます。
これでは断熱材の効果は半減してしまいます。

さらに厄介なのは湿気です。

すき間から入り込んだ湿った空気が壁の中で結露すると、カビや木材の劣化を招きます。
その結果、家の寿命を縮めてしまうのです。

だからこそ、気密は「快適さ」と「耐久性」の両方に直結する大切な要素なのです。

魔法瓶で考える気密

魔法瓶は断熱材で温度変化を抑えつつ、フタをしっかり閉めることで中身を長時間保ちます。
もしフタが半開きなら、どれほど断熱性が高くても意味がありません。
家も同じで、断熱と気密はセットで機能して初めて性能を発揮するのです。

気密がしっかりしていると換気ができる

「気密が高いと換気しにくいのでは?」という疑問

家づくりを考える人の中には、こんな疑問を持つ方がいます。

「すき間がない家って、息苦しくなりそう」
「空気が入れ替わりにくいんじゃない?」

直感的にはそう思えますが、実際にはその逆です。
気密がしっかりしている家ほど、換気がきちんと行えるのです。

換気しづらいイメージが間違っている理由

気密が低いというのは、すき間だらけの家と同じです。
外気が思いがけない場所から出入りしてしまいます。

すると、計画的に空気を入れ替えようとしても、どこから空気が入って、どこから出ていくのか分からなくなります。

結果として「換気しているつもりでも、実際にはうまく換気できていない」状態になってしまうのです。

気密がしっかりしていると換気ができる理由

反対に気密性が高い家では、空気の通り道を意図的に設計できます。

ここでイメージしやすいのがストローです。

ストローに穴が空いていると、ジュースを吸おうとしても空気が漏れてしまって、うまく飲めません。
これが「気密が低い家」で換気がうまく働かない状態です。

反対に、穴のないストローなら、吸う力がそのまま伝わり、しっかり飲むことができます。
これが「気密が高い家」で、設計した通りに換気ができる状態です。

ただし、このとき大事なのはストローの吸い口や出口の位置=空気の設計です。
どこから吸い込んでどこに吐き出すかをきちんと決めることで、はじめてスムーズに機能します。

気密がしっかりしているとは?― C値という基準

C値とはなにか

家の気密性を客観的に示すために使われるのが C値(しーち) です。

これは「相当隙間面積」と呼ばれています。
建物全体の延床面積に対して、どれくらいの“すき間”があるかを数値化したものです。
単位は cm²/m² で表し、「1㎡あたり、何cm²のすき間があるか」を意味します。

これは、数値が小さいほど、すき間が少なく、気密性能が高い家だと判断できます。
一般的なC値のレベルとHEAT20の基準

一般的なC値の目安

C値には全国共通の最低基準は設けられていません。
しかし、実際の住宅性能を測るうえで以下のような水準が目安として使われています。

C値 2.0 以下 … ある程度の気密が確保されている水準。多くの工務店で「標準的」とされるのがこのレベルです。

C値 1.0 以下 … 高気密住宅と呼べる水準。すき間が極めて少なく、計画換気がしっかり機能するため、快適さと省エネ性が高まります。

C値 0.5 以下 … 非常に優れた気密性能。高性能住宅や省エネ住宅を目指す会社がゴールに設定する数値です。

HEAT20によるC値の目安

また、日本の高性能住宅をリードする研究会 HEAT20(ヒート20) では、より具体的な数値を示しています。

HEAT20が推奨する新築時のC値は 0.7㎠/㎡ ±0.2㎠/㎡(おおよそ0.5~0.9の範囲)

これは、経年劣化による性能低下も見越したうえで、長期的に安定した性能を維持できるように設定された値です。

HEAT20とは

HEAT20とは「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称です。

住宅資材メーカー、建設会社、研究者など幅広い専門家が参加し、「明日の日本の住まいの方向性を示し、技術を具現化し、促進する」ことを目標に活動しています。

特に有名なのが、断熱性能を示す 断熱グレード(G1、G2、G3) の提案です。
これらはC値やUA値と並び、日本における高性能住宅の指標として広く使われています。

つまり、C値を理解する際には「一般的な水準」に加え、HEAT20が示すような先進的な基準も参考にすることが大切です。

これによって、自分の家がどの程度の性能に位置するのかを、より正しく判断できるようになります。

C値は客観的なデータ

気密は「体感」や「見た目」では分かりません。
だからこそ、C値という客観的な数値データが重要になります。

C値は気密測定という専用の機械を使って計測し、すき間の総量を明らかにします。
この数値があることで、はじめて「この家は気密がしっかりしている」と言えるのです。

僕達は、その中でも大体C値0.7~1.0を目指しています。
大切なのは気密だけをしっかりすることではないのがポイントです。

断熱、気密、換気をバランスよく、それぞれを高水準で満たすことが必須なのです。

暮らしの快適さには「断熱・気密・換気」の掛け合わせが必要

快適な暮らしをつくる3条件

住まいの快適さは、ひとつの要素だけでは成り立ちません。

断熱 … 外気の暑さ・寒さを遮断して、室温を安定させる。
気密 … 家のすき間をなくして、余計な空気の出入りを防ぐ。
換気 … 計画的に新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を外に出す。

この3つがバランスよく掛け合わさることで、初めて「夏も冬も快適で、省エネで、長持ちする家」が実現します。

仮に、断熱だけが特化していても、他の二つの要素が低いと、結局一番要素が低いものに合わせられてしまうのです。

3つが揃うことで生まれる相乗効果

家の快適さは断熱、気密、換気が高水準で揃うことで実現できるのです。

断熱材と気密施工によって外気の影響を遮断し、冷暖房で整えた室内環境をそのまま維持する。

ただし、家を密閉するだけでは快適とはいえません。
人が生活すれば二酸化炭素や湿気、においがたまっていきます。
だからこそ換気が必要です。

しっかりした気密があるからこそ、空気の流れを意図的に設計でき、新鮮な空気を効率的に入れ替えられるのです。


断熱と気密で室内を守り、換気で空気を入れ替える。

これらが掛け合わさったとき、夏も冬も過ごしやすく、しかも家が長持ちするという相乗効果が生まれます。

どれか一つでも欠けると、快適性も省エネ性も中途半端になってしまうのです。



そもそも断熱って何か、
断熱材を減らすと何が起こるのか
資産価値・投資価値的に見るとどうなのか、などを知りたい方は下の記事をどうぞ。

断熱材について全くわからない方でも安心して読んでもらえる内容になっています。
良ければ読んでみてください!

気密もコストカットの対象にされやすい

現場でよくある実情

見学に行った他社の現場をのぞいてみると、驚くようなケースに出会います。

気密がほとんど確保されていない。
断熱材がきちんと施工されていない。

とりあえず工程として必要だからやっておいた、という杜撰なケースも珍しくないのです。

見た目はそれらしく仕上がっていても、中身はスカスカ。
断熱も気密もなければ、家の性能は「ないも同然」です。

現場の職人任せになっていて、安さを優先するあまり施工が杜撰になっていることも少なくありません。

なぜコストカットされやすいのか

理由はシンプルで、気密や断熱は完成後に見えなくなってしまう部分だからです。
購入者から確認されにくく、直接の見栄えに影響しないため、削ろうと思えば削れてしまう。

だからこそ、「価格を抑えています」とうたう工務店ほど、見えない部分からコストを切り詰める傾向が強いのです。

見栄えだけをよくしても意味がない

安さを武器にする工務店は、外観や内装のデザインにはお金をかけます。
それはお客様から見えるからです。

外観や内装をしっかりしていれば、見えない部分もしっかりしていると思わせることができる。
そんな考えが珍しくないのが悲しい現状なのです。

一方で、断熱や気密といった見えない部分は後回しにしがちです。

しかし、本来の快適さを支えるのは「見栄え」ではなく「性能」です。
なぜなら、家は建てること、リノベーションすることで終わりではなく、そこからがスタートだからなのです。

削られたツケはランニングコストに

気密や断熱をコストカットして建てられた家は、住んでからの光熱費が高くつきます。

冷暖房が効きにくいため、夏も冬もエアコンを強く回さざるを得ず、光熱費がかさむ。
結果として、建築費用で得した分以上に「ランニングコスト」がかかってしまうのです。

つまり、気密や断熱を削ることは「安さ」ではなく、「高くつく未来」を買ってしまう行為になるのです。
見えない部分だからこそ、しっかり確保されているかを確認する姿勢が必要です。

ここで最適なのが小さい家

表面積が小さいから断熱に有利

小さい家の大きなメリットのひとつは「表面積が少ない」ことです。
外壁や屋根の面積が小さいぶん、必要となる断熱材の量も少なくて済みます。

そのため、限られたコストの中でもしっかりとした断熱材を入れやすく、性能を確保しやすいのです。

気密も確保しやすい

気密の面でも小さい家は有利です。

たとえば、大きな窓と小さな窓を比べると、すき間をなくして密閉しやすいのは小さな窓です。

同じ理屈で、建物全体がコンパクトであるほど、施工時にすき間を減らしやすく、気密性能を高めやすいのです。

換気がしやすい

家の快適さには換気も欠かせません。

小さい家は空気の総量が少ないです。
そのため、強い換気設備を使わなくても、計画的に空気を動かすことで家全体の空気を大きく入れ替えることができます。

つまり「小さいからこそ、空気設計がシンプルでうまくいきやすい」という利点があるのです。

大きな家のデメリット

一方、大きな家には表面積が広いぶん断熱材の量も増え、施工精度の影響も大きくなります。

さらに、窓や接合部が多くなることで気密を確保しにくくなり、空気の総量が多いため換気計画も複雑になります。

少しでも設計や施工に誤りがあると、「空気がうまく動かない部屋」が生まれてしまうリスクもあるのです。

小さい家は「断熱・気密・換気」の3条件を整えやすい構造を持っています。
快適さと省エネを実現するには、むしろ小さい家こそが理想的な舞台なのです。

気密に関する僕たちの思い

住まいはあくまでも「始まり」である

新築を建てること、リノベーションをすること。
それぞれ形は違いますが、共通しているのは住まいはあくまでも「始まり」であるということです。

家づくりは完成した時点で終わりではなく、住み始めてからが本当の生活のスタートです。

基盤をつくる「断熱・気密・換気」

そのスタートを支える基盤が、断熱・気密・換気です。

断熱で外気の影響を遮断し、気密で余計なすき間をなくし、換気で空気を入れ替える。

この3つが整って初めて、安心して暮らし続けられる住まいが実現します。
僕たちはここを決して妥協したくありません。

コストカットの優先順位

もちろん、家づくりには予算があります。

けれど削るべきは「暮らしの基盤」ではありません。

住まい手の暮らし方や好みによって、家具や仕上げなど他の部分で工夫することはできます。
だからこそ、基盤となる性能は守り抜きたいのです。

責任を持って快適な住まいを

僕達はこれまで、杜撰な工事で断熱も気密も不十分な現場をたくさん見てきました。

その度に「これでは住む人が困ってしまう」と感じてきました。
だからこそ責任を持って、「この家にして良かった」と言ってもらえる住まいをつくりたいのです。

特に、小さい家が十分だった。むしろ小さくて良かったと言ってもらえるような家であること。
快適さと安心感を長く届けること。

それが僕たちの思いであり、約束です。

僕達、Greener’s Houseとは

僕たちは京都と滋賀で「小さい家? 最高やん!」の想いのもと、「小さい家専門」として新築やリノベーションを手がけています。
小さい家だからといって、そこでの暮らしが窮屈になるなんて、そんなことはありません。

むしろ設計次第で、小さいからこそ快適でゆとりある住まいにできるんです。

僕たちが大切にしているのは、そこに住む人の暮らし方そのもの。
家事の仕方も、時間の使い方も、くつろぎ方も、本当に人それぞれです。
だからこそ一人一人の声をしっかり聞いて、その人にとっての「暮らしやすい」を反映させます。

さらに、家の性能を土台として、日光の明るさや風の流れを取り込み、グリーンの力で心理的なゆとりをプラスする。そうやって「小さいのに大きなゆとり」を感じられる住まいをつくっています。

小さいからといって我慢する必要なんてない。
小さい家は、設計次第でなんとでもなる。
僕たちはそのことを何度も確かめてきましたし、これからも胸を張って伝えていきます。

小さい家? 最高やん!


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