〜無垢材を“気持ちよく”使うために必要なこと〜
「木の床はあたたかい」は本当か?
「無垢の木って、冬でもほんのりあたたかいんでしょ?」
これは僕がよく聞かれる質問です。
でも、結論から言うと──**それは“条件つきの真実”**です。
確かに、木材はタイルやコンクリートより熱伝導率が低く、
一瞬触れたときの「ひやっ」とした感覚は少ない。
でも、「本当にあたたかい床」と感じるためには、
断熱という“下支え”が不可欠なんです。
僕自身の“失敗”から学んだこと
実は僕も、かつて「木はあたたかい」という言葉をそのまま信じていました。
ところが、無垢材の床にした自宅で最初の冬──
スリッパが手放せないほど床が冷たく、思わずこうつぶやいたんです。
「え、木って…こんなに冷たいのか?」
でも、あとで分かりました。
原因は木じゃなかった。断熱不足だったんです。
木の良さを活かすには、「断熱」が絶対に必要
無垢材は確かに気持ちのいい素材です。
でも、それは断熱がしっかりしていてこそ発揮されるんです。
床下から冷気が上がってくれば、どんな素材でも冷たくなります。
特に築年数が経った家や、基礎断熱が不十分な中古住宅ではそれが顕著です。
だから僕は、木を使うときこそ、
床断熱・基礎断熱の強化を最初に見直します。
どうすれば“気持ちいい床”になるのか?
僕がリノベでよく採用しているのがこの組み合わせです:
- 高性能グラスウールによる床下断熱(熱橋対策も)
- 無垢フローリングの下に蓄熱性の高い調整材を挿入
- 朝日が入る場所にタイルを敷き、蓄熱→木へ伝える工夫
こうすることで、冬の底冷えを抑え、
「裸足でも冷たくない床」が実現できます。
木を使いたいあなたに、伝えたいこと
無垢材は、気持ちいい。
でも、“好き”だけで選ぶと、あとから**「こんなはずじゃなかった」**という後悔につながることもある。
僕は、木を好きな人にこそ、性能の大切さを知ってほしいと思っています。
木は、正しく使えば、暮らしにずっと寄り添ってくれる。
性能を整えることで、その魅力が何十年も続くんです。
木と性能で、“深呼吸したくなる家”を
「木を使ってよかった」と思える家にするために、
僕は素材と性能の両方を大切にしています。
もしあなたが、無垢材を使った心地よい家を考えているなら──
まずは、断熱から見直してみてください。