自然素材の家に住みたい。その気持ち、僕にもよくわかります。
「木の家に住んでみたい」
「無垢フローリングのある暮らしに憧れる」
そんな声を、ここ数年、本当によく聞くようになりました。
SNSや雑誌で目にする、自然素材でつくられた空間。
漆喰の壁、木の天井、そして素足が気持ちいい無垢フローリング。
そこに流れている空気や時間に、どこか“ほっとする”感覚を覚える人も多いと思います。
実際、僕自身もその一人でした。
かつて僕が製材所で働いていたころ、
朝一番に感じる木の香り、汗をかきながら木と向き合う日々──
そこで「木の家で暮らすこと」は、ただ“自然素材を使う”というだけでなく、
“自然と共に生きること”なんだと、少しずつ実感するようになりました。
あなたも、こう感じていませんか?
- 合板フローリングではなく、無垢の木にこだわりたい
- ビニールクロスの壁ではなく、呼吸する素材にしたい
- 子どもにも安心な自然素材の家を建てたい
そんな気持ちに共感できるのは、僕自身が同じような気持ちで木の世界に入ったからです。
でも一方で、こうした相談も少なくありません。
「無垢フローリングにしたけど、冬が寒くて辛い」
「自然素材の家って、手入れが大変だった」
「見た目はいいけど、思ってた暮らしと違った」
そう、「自然素材の家」には“リアルな現実”があるんです。
見た目やイメージだけで選ぶと、後悔するケースもあります。
だからこそ、この記事では、自然素材の家に惹かれるあなたにこそ知ってほしい、
素材の本質と、失敗しないためのポイントをお伝えしていきます。
手間がかかるからこそ、深く愛せる。
その“育てる家”の魅力を、正しく伝えられるように。
このあと、順を追って「後悔の原因」と「それを防ぐ設計の工夫」について、具体的にお話しします。
自然素材の家で後悔した人たちに共通する「見落とし」
「自然素材の家で暮らしたい」──
そんな希望を持って家づくりを始めた人が、
完成後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔するケースは、実は少なくありません。
たとえば、こんな声を聞いたことはありませんか?
「せっかく無垢フローリングにしたのに、冬になると足元が冷えて後悔している」
「自然素材にしたら空気がきれいになると思っていたけど、結露やカビに悩まされている」
「子どもが床に傷をつけてしまって、思っていたより神経を使う暮らしになった」
これらの“後悔”の多くは、素材そのものが悪いわけではなく、設計の段階で起こる“理解不足”や“すれ違い”が原因です。
❶「自然素材=万能」の思い込み
無垢フローリングや漆喰、珪藻土などの自然素材は、確かに素晴らしい力を持っています。
でも、自然素材は“魔法”ではありません。
たとえば無垢フローリングは、湿気を吸って膨張し、乾燥すると収縮する素材です。
施工の知識や現場管理が甘いと、隙間が空いたり、反りや割れの原因にもなります。
また、断熱や気密の設計が不十分なまま自然素材を採用すると、
冬は底冷えし、夏は蒸し暑い家になることもあります。
素材の良さは、「正しく設計されてこそ活きる」ものなのです。
❷「イメージ先行」の選択
SNSや雑誌などの影響で、「自然素材の家=おしゃれで快適」という印象が先行しやすい現代。
でも実際の暮らしは、「素材の扱いやすさ」「掃除や手入れのしやすさ」「湿度のコントロール」など、
“生活そのもの”の設計が問われます。
素材の特性を知らずに選ぶと、日常の中で「なんでこんなに気を遣わなきゃいけないの?」という違和感が生まれ、
「自然素材=めんどくさい」となってしまうのです。
❸「素材だけに注目しすぎる」
無垢フローリングや自然素材を選ぶとき、多くの人は「素材そのもの」ばかりに注目しがちです。
でも本当に大切なのは、その素材が家の性能や設計とどう関わるかという視点です。
- 自然素材の調湿性は“構造の断熱・気密”が整っていなければ十分に活かせない
- メンテナンス性も、使う場所や生活スタイルによって大きく変わる
- 素材だけで快適性をつくることはできない
ここに気づかずに家を建ててしまうと、**「自然素材にしたのに、なんだか住みにくい」**という結果に。
だからこそ、後悔しないためには、
素材の“性格”を知り、住まい全体との相性まで見ていくことが欠かせません。
次章では、自然素材の「構造的な性質」について、
無垢フローリングや漆喰のリアルな性能面を、わかりやすく解説します。
「自然素材って本当に快適なの?」
「どうして湿気や寒さに影響されるの?」
──そんな疑問を、専門家視点でやさしくひも解きます。こんな記事も読まれてます↓
無垢フローリングも漆喰も、“扱い方”がすべてを決める
自然素材の家を考えるとき、多くの人が注目するのが**「無垢フローリング」や「漆喰」などの素材そのものの魅力**です。
確かに、それぞれが持つ「調湿性」や「経年変化」は、
合板やビニールクロスにはない、深い魅力を備えています。
でも同時に、その魅力は“構造設計”とセットにしなければ、うまく機能しません。
❶ 無垢フローリングの「動く性質」
無垢フローリングは、一本の木を切り出してつくられる“本物の木の床”です。
だからこそ、「生きている素材」とも言われます。
- 湿気を吸えば膨らみ、乾燥すれば縮む
- 年月とともに反りやねじれが起こることもある
- 表面は柔らかく、傷や凹みもつきやすい
この動きは、“自然な反応”であり、“欠陥”ではありません。
でも、それを知らずに使えば、「隙間が空いた」「反った」と後悔の原因になることも。
だからこそ、正しい乾燥処理・丁寧な施工・暮らしに合わせた選定が必要不可欠です。
❷ 調湿性は「構造」が整ってこそ活きる
自然素材には「調湿性があるから快適」というイメージがありますが、
これは厳密には「表面で湿気を吸ったり吐いたりする」という、物理的な現象にすぎません。
つまり、自然素材だけに頼っても、快適な湿度はつくれないということ。
調湿の効果を十分に活かすには:
- 壁・床・天井の断熱が適切であること
- 気密性がある程度確保されていること
- 換気の設計がしっかり考えられていること
このように、構造全体で空気と熱の流れを制御する設計があってこそ、素材の力が発揮されるのです。
❸ 冬に「木の家が寒い」と言われる本当の理由
「木の家って、冬が寒いよね」という声があります。
でもこれは、木が悪いのではなく、断熱・気密の設計が不十分なことが原因です。
自然素材の家にする際には、素材だけでなく、
- 断熱材の厚み・材質
- サッシや玄関ドアの断熱性能
- 床下の冷気対策
- 計画換気の設計
といった、**建物全体の“熱設計”**がセットで問われます。
素材の話をする前に、まず性能の話をしなければ、本当の快適性は手に入りません。
❹ 素材を“活かせる家”にするという発想
自然素材を取り入れるというのは、単に「自然素材を使う」だけではありません。
「自然素材が活きる設計をする」ことが、本当のスタートラインです。
木の動き方や漆喰の吸湿性を正しく理解し、
家の断熱・気密・換気とどう連携させるかを考える。
それができて初めて、自然素材は「住まい手に寄り添う素材」になります。
無垢フローリングが気になる方は必ずお読みください↓
「自然素材を活かす家」にするために、今知っておくべきこと
「自然素材の家に憧れるけど、後悔はしたくない」
「無垢フローリングにしたいけど、寒さやメンテナンスが心配」
そう思っているあなたに、はっきりとお伝えしたいことがあります。
自然素材は、“選び方”と“設計の仕方”次第で、後悔どころか一生の満足になる。
ここでは、自然素材の魅力をちゃんと活かしながら、快適で後悔しない家をつくるための4つの視点をお伝えします。
❶ 「素材を選ぶ」のではなく「暮らしを設計する」
自然素材の家づくりは、“床を無垢材にする”ことがゴールではありません。
本当に大切なのは、
「あなたと家族が、どんな暮らしを送りたいか」から逆算して素材を選ぶこと。
たとえば…
- 子どもが裸足で走り回るなら、足ざわりと安全性の高い無垢フローリング
- 掃除の頻度が少ないなら、傷や汚れが目立ちにくい樹種
- 共働きで忙しいなら、メンテナンスしやすい自然素材の組み合わせ
ライフスタイルに合っていない素材を選ぶと、どんなに上質な自然素材でも負担になるだけ。
❷ 断熱・気密・換気まで一体で考える
第3章でもお伝えした通り、
自然素材の快適さは「断熱・気密・換気」の設計と一体で考える必要があります。
たとえば:
- 無垢フローリングを冬に冷たく感じないためには、床下の断熱と空気の流れが重要
- 調湿性を活かすには、気密がある程度ないと効果が発揮されにくい
- 結露やカビを防ぐには、素材だけでなく換気設計も不可欠
素材の選定だけでなく、“家全体の性能”とのバランスが鍵です。
❸ 工務店選びが9割を決める
これは声を大にして言いたいのですが、
自然素材の家は「どこで建てるか」で結果が大きく変わります。
特に注意したいのは:
- 「無垢フローリングが標準仕様です」と言いながら、乾燥や施工方法に配慮していない会社
- 性能設計(断熱・気密)に無関心な会社
- アフター対応やメンテナンスサポートが弱い会社
自然素材は“扱える職人と現場監督”がいてこそ。
Instagramの見た目だけでは判断できない、“裏側”こそが大事です。
❹ 暮らしに合わせた「提案力」があるか?
家づくりで本当に信頼できるのは、
「あなたの生活にとってベストな素材・仕様を、一緒に考えてくれる工務店」です。
たとえばキノスミカでは:
- 暮らし方をヒアリングして、素材や間取りをカスタマイズ
- 床材の樹種や厚み、塗装の種類まで提案
- 将来の手入れも含めて、ライフサイクルコストまで見通す
“ただ無垢材を入れる”ではなく、“無垢材と暮らしていける設計”を提案できるか?
それが後悔のない家づくりの分かれ道です。
無垢フローリングの傷も、家族の物語になる。
自然素材の家には、「完成して終わり」ではない魅力があります。
それは、“時を重ねるごとに深まっていく暮らし”があるということ。
たとえば、無垢フローリングの床。
新築のときは真新しかったその表面も、
何年か暮らしていくうちに、小さなキズや色の変化が現れてきます。
でも、それは「劣化」ではなく、
その家で過ごした時間の“記憶”なのです。
- 子どもが初めて歩いたときについた小さなへこみ
- ダイニングチェアの脚がすこし擦れた痕跡
- 冬の日に差し込む陽の光でできた、色むらの美しさ
自然素材の家は、暮らしと一緒に“育っていく”家。
これは、新建材では絶対に得られない感覚です。
❶ 経年変化は「劣化」じゃない
合板フローリングは、傷がつけば下地が見え、
時間が経つほどに古びていきます。
でも、無垢フローリングは違います。
年月とともに色が深まり、光沢が出て、表情が豊かになる。
人間のシワと同じように、“生きた証”として美しく変化する。
それが、自然素材ならではの魅力です。
❷ 季節の変化を五感で感じられる
自然素材の家では、暮らしの中に「季節」が宿ります。
- 夏はさらっと涼しく、冬はほんのり温もりを感じる床
- 窓を開ければ木の香りと一緒に風が通り抜ける
- 梅雨どきは湿気を吸い、秋には乾いた音が床に響く
自然のリズムを、暮らしの中で感じられる贅沢。
これは、機械でつくった素材では再現できません。
❸ 家族の記憶が「住まいの一部」になる
自然素材の家は、暮らしの出来事をそのまま記録してくれます。
そこにある一つひとつのキズが、
家族が過ごした証であり、物語そのものです。
だからこそ、住むほどに愛着が深まり、
「帰りたい家」になっていく。
リセールやスペックでは測れない、
“心の資産”としての価値が、この家にはあります。
自然素材の家を「後悔のない選択」にするために──キノスミカからのご提案
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
「自然素材の家に憧れる」
「無垢フローリングで暮らしたい」
その気持ちは、とても自然でまっすぐな願いです。
でも同時に、素材の特性や設計の考え方を知らずに家を建ててしまうと、後悔につながることもある。
だからこそ、正しい知識と、信頼できるパートナーを持つことが大切です。
✅ キノスミカが大切にしている4つのこと
- 自然素材を「性能」として設計に落とし込む
→ 素材を“雰囲気”ではなく、“性能の一部”として扱います。 - 無垢フローリングの選定・乾燥・施工に徹底的にこだわる
→ 使う木材の個性を読み解き、現場で最適な施工を行います。 - 断熱・気密・換気との連動設計
→ 自然素材が活きる「空気のデザイン」を追求します。 - 「暮らし方」に合わせた素材・間取りの提案
→ 子育て世代、共働き家庭、ペットと暮らす家など、多様なライフスタイルに寄り添います。
📩 「不安なまま進めたくない」あなたへ
もし今、少しでもこんな気持ちがあるなら…
- 無垢フローリングって、本当に自分たちに合ってる?
- 自然素材って、手入れとか大変そう…
- 自分たちの希望に寄り添ってくれる工務店ってあるのかな?
──どうぞ、僕たちに話してみてください。
まずは、「知ること」から始めてみませんか?
後悔しない家づくりは、正しい情報と信頼から始まります。
🏡 まとめ:自然素材の家は、“育てる暮らし”の入り口
自然素材の家は、決して楽な道ではありません。
でも、手間や変化を受け入れることで、かけがえのない“育つ暮らし”が生まれる。
あなたとご家族が、年月を重ねながら愛着を深められる住まいを、
僕たちキノスミカは一緒につくっていきたいと本気で思っています。
ご相談・ご質問など、小さなことでも大丈夫です。
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