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小さい家の洗濯動線を考える。水回りは“集約”より“完結性”がカギ

水回り=1か所にまとめるべき?という思い込み

「洗面・浴室・トイレ・洗濯機はすべて1か所にまとめるべき」という考え方は、多くの住宅雑誌や解説で語られています。確かに水回りを集約すれば配管も簡単で、掃除や管理もラクになるように見えます。

しかし小さい家の家事動線において、本当に大切なのは**“集約”ではなく“完結”**です。
つまり、洗濯や入浴といった行為が、そのフロア内やその空間の中で最後まで終えられること。集約しても結局「洗濯は1階、干すのは2階」となるなら、効率化にはなりません。

家事動線の本質は「完結性」

家事は“点”ではなく“流れ”です。洗濯なら「洗う→干す→しまう」、料理なら「買う→調理→片付け」。それぞれの流れが一筆書きのように完結できることが、効率化の本質です。

洗濯動線を考えるなら、次のような設計が理想です。

  • 2階ランドリールーム型:洗濯機・浴室・バルコニー・収納を2階にまとめ、上下移動なしで完結。
  • 1階ユーティリティ型:洗面所に洗濯機を置き、隣接する室内干しスペース+収納で完結。

ポイントは“洗ったものがその場で干せて、その場でしまえるか”。これができると、家事にかかる時間もストレスも大幅に減ります。

集約が必ずしも正解ではない理由

小さい家で水回りを1か所に集めすぎると、逆に動線が長くなるケースがあります。
たとえば「1階に水回りを集約したが、干す場所は2階のバルコニー」という間取り。洗濯を終えるたびに階段を往復することになり、毎日の繰り返しで負担が膨らみます。

一方で、フロアごとに“完結ゾーン”を設ければストレスは減ります。

  • 1階:キッチンと近接した洗面で朝の身支度や小物洗いが完結。
  • 2階:家族の洗濯をまとめて完結できるランドリールーム。

このように分けたほうが、実際の暮らしに合った効率的な流れが生まれます。

小さい家だからこそ効く設計の工夫

延床20坪前後の小さい家では、動線の無駄を削ることが快適さに直結します。たとえば:

  • 洗面所とファミリークロークを隣接させて「洗う・干す・しまう」を数歩で完結。
  • 室内干しスペースを階段ホールや吹き抜けに兼用させて、移動なしで乾かせるようにする。
  • バルコニーを洗濯機の真横に配置し、外干しも最短ルートで済むようにする。

小さい家は制約があるからこそ、「いかにシンプルに完結させるか」という設計の視点がより鮮明に活きます。

まとめ|“集約”より“完結”をデザインする

小さい家での家事動線は、「水回りは1か所に集める」という思い込みにとらわれないことが重要です。大切なのは、家事の流れがその場で終わるかどうか。洗濯や入浴の一連の動きがフロア内で完結できる間取りこそ、効率的でラクな暮らしを生みます。


👉 **次回(第4部)**では「全体の回遊性と家族の動線」に焦点を当てます。家事と家族の生活動線をどう重ね合わせるか、その設計の工夫を解説します。

👉「洗濯や身支度が“その場で完結”する間取りは、小さい家こそ大切です。水回りに悩んでいる方は、一緒に効率的で快適な動線設計を考えてみませんか?」

「小さい家をもっと快適にしたい方へ。動線設計で暮らしやすさは大きく変わります。」