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玄関が狭いとなぜ窮屈に感じるのか?小さい家の玄関の工夫とは?

なぜ小さい家の玄関は狭く使い勝手の悪い玄関になるのか。

「靴を脱ぐとき、いつも誰かと肩がぶつかる。」
「傘立てと靴箱に挟まれて、荷物を持ったまま立ち尽くす。」

もしあなたがそんな玄関を毎日通っているなら、それはただの通過点ではなく、小さなストレス発生地かもしれません。
玄関は家の顔であり、帰宅して最初に迎えてくれる場所。けれど小さい家やうなぎの寝床のような小さな家では、その玄関がどうしても狭く、暗く、収納不足になりがちです。

僕はこれまで、多くの小さな家をリノベーションしてきました。そこで感じたのは──狭い玄関こそ、設計の工夫で暮らしの質を大きく変えられるということ。
今回は、延床20坪前後の家でも「広く見える・使いやすい」玄関をつくるための方法を、僕の設計現場の経験からお話しします。

玄関幅が取れない。うなぎの寝床のような間口の狭い家

小さい家、特に家幅3.6m程度のうなぎの寝所のような狭い家では、間取り上どうしても玄関幅を確保しづらくなります。限られた間口に加え、隣接する道路や外壁との取り合いもあり、玄関の位置やサイズはほぼ固定されてしまうケースが多いです。仕方がない。といえばそれまでなのですが、こういったケースは多い傾向にあります。

その結果、家族や来客が同時に出入りしづらく、靴の脱ぎ履きで渋滞が発生します。狭い玄関は心理的にも閉塞感を与えやすく、家の第一印象を損なう要因にもなります。

収納不足がもたらす生活感のあふれ

玄関は外と中をつなぐ場所であると同時に、靴や傘、ベビーカー、季節物のアウターなどを収納するスペースでもあります。

ですが、延床20坪前後の小さい家では、玄関収納の優先順位が下がりがちです。結果として、履き物や荷物が出しっぱなしになり、玄関が常に雑然とした状態に。生活感があふれる玄関は、訪れる人だけでなく、毎日そこを通る家族にとっても気分を下げる原因になります。

窓がない玄関が暗くなる理由と改善の必要性

細長い間取り、いわゆる「うなぎの寝床」型の家では、玄関が建物の奥まった位置にあり、窓が確保できないことが多くなります。採光が取れない玄関は日中でも暗く、湿気がこもりやすくなります。

暗さは空間をさらに狭く感じさせ、靴や収納の中に嫌なニオイが残る原因にも。明るく風通しのよい玄関は、小さい家にこそ必要な要素だと僕たちは考えます。

限られた玄関を広く快適に見せる工夫【延床20坪住宅の玄関の改善】

土間空間を活用して収納と作業スペースを確保

小さい家の玄関を改善する際、まず発想を変えることが重要です。限られた幅を少しでも有効に使うために、思い切って土間を広めに確保することも選択肢にいれます。

土間は靴の脱ぎ履きだけでなく、自転車やベビーカーの一時置き場、植物の鉢替えやDIY作業の場としても活用できます。収納を土間空間に組み込み、室内との境界を柔らかくすることで、実際以上に広く感じられるんです。

吹き抜けやグレーチング床で採光を確保する方法

玄関の明るさを確保するための方法として、2階に小さな吹き抜けを設けるのは有効です。吹き抜けから自然光を落とし、玄関を昼間でも明るく保ちます。

さらに、2階床の一部をステンレス製グレーチングにすることで、上から光を透過させることも可能です。これにより、天井の高さ感と奥行きが増し、狭い玄関が開放的に見えます。この方法だと床を無駄にすることなく使えます。

廊下という概念をなくして、「収納道」にする空間効率アップ術

玄関から室内に入るときに必ず通る廊下。この廊下をただの通路として残すのではなく、壁面を全面収納化して「収納道」に変える発想があります。

通る動線の両脇を収納にすれば、限られたスペースでも靴やコート、日用品まできれいに収められます。廊下の概念をなくし、収納と動線を融合させることで、狭い家の玄関が格段に使いやすくなります。

耐震や断熱などの規制を考慮しながら、壁面に埋め込むことも検討してもいいかもしれません。

SAIN設計から見る玄関改善のポイント【安全性・断熱・資産価値・自然素材】

Safe|規格品断熱ドアで防犯性と安全性を確保

玄関は家の出入り口であり、防犯の要でもあります。グリーナーズハウスでは、安全性を確保するために規格品の断熱ドアを採用します。

これにより鍵やロック機構の信頼性が高まり、外部からの侵入リスクを低減できます。耐震性は家全体でのバランスが重要ですが、玄関枠やドアの設置精度も安全性に直結します。

当然、玄関ドアを製作する場合もあります。ですが、価格も上がるのでおすすめはしていません。

Air|玄関の熱損失を防ぐ断熱計画の重要性

玄関は冬場に冷気が入り込みやすく、熱損失の大きなポイントになります。高性能な断熱ドアや気密性の高い施工を行うことで、家全体の暖房効率を高められます。

玄関の断熱性が高ければ、リビングやダイニングの快適性にもつながります。

Investment|収納力・断熱性向上による資産価値アップ

玄関の収納力と断熱性能が高ければ、売却時や賃貸化の際にも評価が上がります。特に小さい家では「玄関が使いやすい」ことが生活全体の満足度に直結し、物件の魅力を底上げします。

Nature|明るい壁材と日照条件に合った植物の選び方

暗くなりやすい玄関こそ、明るめの壁材や塗料を使い、自然光を反射させる設計を行います。また、日照条件に合った観葉植物を選び、季節ごとに模様替えすることで、狭い玄関でも豊かな表情を楽しめる工夫も重要です。

小さい家の玄関リノベーション事例【延床20坪以下の改善例】

廊下の壁を全面収納化した狭い玄関の改善事例

ある延床20坪の小さな住宅でのリノベーションでは、玄関から続く廊下の片側をすべて収納に変更しました。靴はもちろん、傘や外出用のバッグもまとめて収納でき、玄関周りに物が溢れない環境を実現。

結果的に、玄関の広さは変わらないのに開放感が増しました。

広さより使いやすさを重視した靴収納設計

収納スペースを確保できない場合でも、靴をすぐにしまえる工夫があれば玄関は広く感じられます。造作の引き出し収納や床下収納を活用すれば、省スペースで必要十分な靴収納を実現できます。

玄関に物を置かないルールで生まれる開放感

物理的な改善だけでなく、使い方のルールも重要です。玄関に物を置かず、収納内に収める習慣をつけることで、常にすっきりとした状態を保てます。

まとめ|小さい家の玄関は制約ではなく可能性【狭くても快適に】

狭い玄関は、ただの出入り口ではありません。

幅が狭くても、暗くても、収納が少なくても──その空間を「心地よく迎えてくれる場所」に変える力は、設計と工夫にあります。

土間を広げた日、吹き抜けから光が降り注いだ瞬間、壁いっぱいの収納が完成したとき…施主の表情がふっと明るくなるあの瞬間を、僕は何度も見てきました。

玄関が変わると、暮らしのリズムが変わります。靴を履く動作がスムーズになり、物が散らからず、朝の外出が気持ちよくなる。帰宅したとき、玄関が整っているだけで一日の疲れがやわらぎます。

だから僕たちは、小さい家の玄関にこそ可能性があると信じています。
あなたの家の玄関も、面積を超えた広がりと温かさを持つ空間に変えられます。