京都で断熱リフォームを失敗しないために|快適な家に変える5つの方法

中古リノベ
  1. 第1章:断熱リフォームが失敗する理由|寒さも後悔も残る家にならないために
    1. ◉ 1. 断熱材だけを“選んだ気”になっている
    2. ◉ 2. 設備リフォームが“見える満足”で終わってしまっている
    3. ◉ 3. 断熱は“全部やらないと意味がない”と思い込んでいる
  2. 第2章:高気密の家は息苦しい?空気がこもる家の共通点と“通り道の設計”
    1. ◉ 高気密=空気がこもる、という誤解
    2. ◉ 空気の通り道がない家の、よくある設計ミス
    3. ◉ 空気の通り道=“空気の旅路”を設計するという発想
    4. ◉ サーキュレーターや吹き抜けも“空気設計”の一部
  3. 第3章:空き家 × 断熱・耐震リフォームの正解|構造と暮らしを両立させる考え方
    1. ◉ 空き家再生では「中身を一度見られる」ことが最大のメリット
    2. ◉ 「耐震だけ」でも「断熱だけ」でも、失敗する
    3. ◉ 空き家の断熱は「どこを」「どこまで」やるかが鍵
  4. 第4章:水回りリフォームの“見える満足”に潜む落とし穴|断熱なしでは暮らしは変わらない
    1. ◉ 設備のリフォームは“空間の快適”までは変えられない
    2. ◉ 設備のグレードを下げるだけで、断熱予算が生まれる
    3. ◉ 「壊したタイミング」は断熱を仕込む唯一のチャンス
  5. 第5章:部分断熱でも快適になる|妥協ではなく“設計戦略”として選ぶ断熱の考え方
    1. ◉ 「全部やれない=失敗」ではない。“どこをどう断熱するか”が肝
    2. ◉ 成功する部分断熱には「気流」と「熱のバランス」がある
    3. ◉ 「将来の断熱計画」を前提にすれば、部分断熱はむしろ強みになる
  6. 第6章:断熱材の違いより大切なこと|素材選びに迷う人が知っておくべき“施工と設計”の真実
    1. ◉ 性能の差よりも、「施工環境」が快適性を決める
    2. ◉ 素材を活かせるかどうかは、設計で決まる
    3. ◉ 最終的に選ぶべきは「信頼できる考えを持った設計と施工のパートナー」
  7. 第7章:断熱は贅沢ではない|予算・素材・設計を超えて、暮らしの“当たり前”を整える
    1. ◉ 快適な家=深呼吸できる家
    2. ◉ まず“できるところから”でいい。でも、考えない選択をしないでほしい
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第1章:断熱リフォームが失敗する理由|寒さも後悔も残る家にならないために

「断熱リフォームをしたのに、なぜか家が寒い」
「水回りは新しくなったけど、床が冷たくてつらい」
「素材にはこだわったのに、体感が全然よくない」

──こんな声を、僕は何度も聞いてきました。

その原因はひとつではありません。
でも、多くのケースで共通しているのは次の3つです。

◉ 1. 断熱材だけを“選んだ気”になっている

「セルロースファイバーっていいらしい」
「羊毛断熱が自然素材で安心そう」
「グラスウールは安いけど性能はどうなんだろう?」

素材の比較ばかりに意識が向きすぎて、

そもそも「どこに・どう断熱すべきか」が置き去りにされている。

◉ 2. 設備リフォームが“見える満足”で終わってしまっている

キッチンやお風呂のリフォームは目に見えて変わる。
でも、体感温度は変わらない。

「リフォーム直後の満足感は3ヶ月で終わる」
というのが、僕の経験則です。

冷たい床。寒い脱衣所。寝室の結露。
これらは**「目に見えないところに手を入れなかった」ことによって起こる失敗**です。

◉ 3. 断熱は“全部やらないと意味がない”と思い込んでいる

予算が限られる中、「断熱は次回で…」と後回しにする。
あるいは「中途半端にやっても効果ないでしょ」と、断熱そのものをあきらめてしまう。

でも実は──

断熱リフォームは“部分でも意味がある”。
ただし、“どう設計し、どう施工するか”が伴っていれば。

この記事では、
断熱リフォームで後悔しないために必要な、

  • 空気の通り道の考え方
  • 空き家の断熱・耐震バランス
  • 部分断熱の戦略的活用法
  • 素材選びで迷わない思考法

を、僕自身の現場経験から具体的に掘り下げていきます。

第2章:高気密の家は息苦しい?空気がこもる家の共通点と“通り道の設計”

「高気密って、なんとなく息苦しくないですか?」
「断熱リフォームしたら、空気がこもって体調が悪くなった気がする」
「24時間換気がついてるけど、効いてる感じがしない」

──こんな声を、僕は何度も耳にしてきました。

でも、これらの不調の原因は、“気密性そのもの”ではないんです。
問題は──

空気が“通る道”を設計していないこと。

◉ 高気密=空気がこもる、という誤解

本来、高気密住宅は“空気を漏らさない”ことで、
計画換気や空気の制御を効かせるための土台です。

  • 外気の湿気やホコリが入りにくい
  • 冷暖房効率が高く、省エネにつながる
  • 花粉・PM2.5などをブロックできる

つまり、呼吸しやすい家にするための準備が「気密」なんです。

◉ 空気の通り道がない家の、よくある設計ミス

高気密にしたつもりでも、空気がこもる家には共通点があります。

  • 吸気口が目詰まりしている
  • 排気口が浴室とトイレだけに偏っている
  • 室内の扉下にスリットがない(空気が通れない)
  • 空気の“出口”がなく、こもっている

結果として──
せっかくの断熱も「密閉空間」で機能しなくなる。

◉ 空気の通り道=“空気の旅路”を設計するという発想

僕が設計で一番重視しているのは、

「この空気は、どこから入り、どこを通って、どこで抜けるのか?」
という“空気の旅のルート”をつくること。

たとえば:

  • 吸気口と排気口を対角線上に配置する
  • 廊下や階段を使って、空気が回遊する動線をつくる
  • 子ども部屋の扉下にスリットを設けて、空気をリビングとつなぐ
  • 換気扇やファンを“空気を動かす起点”に設計する

こうした設計があるだけで、
家中の空気がゆるやかに循環しはじめます。

◉ サーキュレーターや吹き抜けも“空気設計”の一部

「空気を感じる」というのは、とても大事な感覚です。

  • リビングに立ったときに、どこかから風がそよぐ
  • トイレに入っても“こもった感じ”がしない
  • 寝室が空気で満ちているような気配

これはすべて、**空気の設計が生み出す“暮らしの質感”**です。

高気密で苦しいのではない。
空気が設計されていないから、不調や違和感が生まれる。

> 関連記事:
「高気密住宅は息苦しい?空気の通り道と設計の話」
計画換気が機能しない本当の理由と、“風が通る家”のつくり方を解説しています。

第3章:空き家 × 断熱・耐震リフォームの正解|構造と暮らしを両立させる考え方

「京都で空き家を買ってリノベーションしたい」
「でも古いから寒そうだし、地震も不安…」
──そんな相談をよく受けます。

実際、築40年を超える住宅では、
●断熱性能がほぼゼロに近い
●構造の補強も不十分
というケースがほとんど。

でも、それを逆手に取ることで、

**断熱と耐震を“同時に計画するチャンス”**にもなるんです。

◉ 空き家再生では「中身を一度見られる」ことが最大のメリット

  • 解体工事で柱・梁・土台の状態を確認できる
  • 床や壁が剥がれることで、断熱・気密の施工がしやすくなる
  • 既存構造と対話しながら最小限の補強で最大の効果を目指せる

これが、築年数の浅い家ではなかなかできないこと。
空き家だからこそ、設計を“根っこから再編集”できるタイミングなんです。

◉ 「耐震だけ」でも「断熱だけ」でも、失敗する

空き家リフォームでよくあるのが、

  • 耐震補強に全振り → 寒くて暮らせない
  • 断熱だけ強化 → 揺れたら壊れる

という“片手落ち”の設計。

たとえば、僕が関わったある京町家の現場。
他の設計士が音頭を取って耐震だけ行い、
結果、断熱気密の設計がバラバラになり、住んでいても体調に支障をきたすほど寒暖差が激しくなった

それでも施主の老夫婦は「ありがとう」と言ってくれたけど、
僕の中では「設計としては負けだった」と今でも悔しさが残っています。

◉ 空き家の断熱は「どこを」「どこまで」やるかが鍵

  • 間口が狭く開口部が多い → 外断熱が難しく、断熱材選定に気を遣う
  • 壁が土壁の場合 → 厚みの制限で断熱性能が頭打ちになる可能性もある
  • 付加断熱ができれば → 屋根・床・壁のバランスを整える設計が重要

特に京都では、「底冷えと湿気」の対策を両立させるために、
断熱+換気+構造の三位一体設計が必要です。

暮らしやすくて、安心できる。
そのためには“性能を1つずつ積み重ねる設計”が欠かせません。

関連記事:
「空き家リノベと断熱・耐震|京都の古家に必要なこと」
古い家の断熱と耐震を、コストと快適性の両立で考える方法を紹介しています。

第4章:水回りリフォームの“見える満足”に潜む落とし穴|断熱なしでは暮らしは変わらない

「キッチンもお風呂も新しくなって満足です」
──最初は、誰もがそう思います。

でも3ヶ月後、こんな声が聞こえてくる。

「床が冷たくて、またスリッパ生活に逆戻り」
「洗面室が寒くて、お風呂上がりに震える」
「暖房つけても効かない。結露も出てきた…」

これが、“見える満足”の落とし穴です。

◉ 設備のリフォームは“空間の快適”までは変えられない

  • キッチンが最新式でも、足元が冷たければ立ち仕事はつらい
  • 浴室が美しくなっても、脱衣所が寒ければヒートショックの危険が増す
  • 洗面室の壁や床が無断熱なら、結露やカビの温床になりかねない

つまり──

水回りのリフォームは“断熱とセット”にしないと、暮らしは根本的に変わらない。

◉ 設備のグレードを下げるだけで、断熱予算が生まれる

僕がよく言うのは、

「グレードを2つ下げるだけで、断熱予算は捻出できますよ」

たとえば:

  • キッチンやユニットバスのグレードを1〜2段下げる
  • 高機能水栓を一般的なモデルに変える
  • タッチレスや音声操作などを一部カットする

これだけで、数十万円の予算が浮きます
その予算を、床下や窓回りの断熱に回せば、体感としての暮らしがまるで変わる。

◉ 「壊したタイミング」は断熱を仕込む唯一のチャンス

キッチンやお風呂の工事では、必ず解体が入ります。
ということは、床・壁・天井裏に手が届くということ。

  • 今しか入れられない断熱材
  • 今しか施工できない気密処理
  • 今しか交換できない断熱サッシや内窓

解体工事が入るのに、断熱をしないのは“もったいなさすぎる”。
このタイミングを逃したら、次はまた壊さなきゃできない。

関連記事:
「水回りリフォームで満足ですか?暮らしが変わる断熱の考え方」
解体時の断熱施工がなぜ重要か、費用対効果の視点で解説しています。

第5章:部分断熱でも快適になる|妥協ではなく“設計戦略”として選ぶ断熱の考え方

「断熱は全部やらないと意味がない」
そんな言葉に、どこかで不安を感じている方へ。

僕はこう伝えたい。

部分断熱は、設計と施工次第で“未来につながる選択”になります。

◉ 「全部やれない=失敗」ではない。“どこをどう断熱するか”が肝

限られた予算の中で、

  • 断熱性
  • 健康性
  • 将来の拡張性

を確保するには、「選び取る設計」が必要です。

たとえば僕は、こう考えます。

  • 長く過ごすリビングから優先して断熱
  • 洗面室・トイレなどのヒートショックリスクがある場所も連動させる
  • 外壁断熱が難しい場合は、床下と窓回りに集中投資

こうするだけで、体感の7割は変わる。
しかも、**将来の全面断熱にもつなげられる“布石”**にもなります。

◉ 成功する部分断熱には「気流」と「熱のバランス」がある

たとえば──

  • 床下断熱をするなら、廊下との温度差を生まない設計
  • トイレや浴室には、必要最低限の断熱+空気の通り道を設ける
  • 窓まわりには、内窓+気密調整で断熱性を底上げ

「一部だけ断熱したら、他が寒くなった」
というのは、バランスを考慮しなかった設計のミスです。

◉ 「将来の断熱計画」を前提にすれば、部分断熱はむしろ強みになる

部分断熱を「次の段階につながる設計」として組み立てれば、

  • 将来、壁の断熱を入れる準備
  • 天井裏にアクセスしやすくする構造
  • 床下断熱の点検口を確保する

など、今できることが“次の一手”を生む起点になります。

部分断熱は妥協じゃない。
それは、暮らしと予算に向き合った、戦略的な選択肢です。

関連記事:
「部分断熱で後悔しないために|予算内で暮らしを変える方法」
全体を一気にやらずとも快適になる“分割設計”の考え方を紹介しています。

第6章:断熱材の違いより大切なこと|素材選びに迷う人が知っておくべき“施工と設計”の真実

「グラスウールとセルロース、どっちがいいですか?」
「羊毛断熱って自然素材で体に優しいんですよね?」

──断熱材選びの迷いは、誰もが通る道です。
でも、僕はこう伝えたい。

素材よりも、“誰が・どう施工するか”の方が、暮らしを左右します。

◉ 性能の差よりも、「施工環境」が快適性を決める

たとえば──

  • グラスウールは安価で普及率も高いが、正しい施工ができなければ50%も性能が出ない
  • セルロースファイバーは吸音・調湿に優れているが、充填密度や施工手順が甘いと意味をなさない
  • 羊毛断熱は自然素材の魅力があるが、内装材や通気計画とセットで設計しないと、調湿機能が発揮されない

つまり、「素材だけで家が快適になる」ことは絶対にない。

◉ 素材を活かせるかどうかは、設計で決まる

  • 床下に湿気がたまりやすい土地で、吸湿性の高い素材を使うなら、防湿層の計画が不可欠
  • 夏の湿気と冬の底冷えがある京都で、断熱だけを重視すると、結露や空気の停滞が起きやすい
  • 施工者が断熱の意味を理解していないと、ただの「詰め物」になってしまう

この現実を、僕は何度も現場で見てきました。

いい素材を使っても、家が寒い。
その原因は、設計と施工に“思想”がなかったから。

◉ 最終的に選ぶべきは「信頼できる考えを持った設計と施工のパートナー」

  • 断熱材をどう入れるか
  • どこを優先するか
  • どうやって空気と熱をコントロールするか

これらをトータルで考えられる人と組まなければ、どんな素材を選んでも本当の意味での快適にはたどり着けません。

素材を信じるのではなく、設計と施工を信じられる人に出会うこと。
それが、断熱リフォームで本当に後悔しないための道筋です。

関連記事:
「断熱材の選び方で失敗しないために|素材より大事な3つの視点」
グラスウール・セルロースなど素材の違いより施工・設計の大切さにフォーカスした内容です。

第7章:断熱は贅沢ではない|予算・素材・設計を超えて、暮らしの“当たり前”を整える

「断熱って、うちには贅沢かも」
「設備は新しくしたけど、断熱まで手が回らない」
「素材の違いもよくわからないし、後回しでもいいかな…」

──そんなふうに迷う人にこそ、僕は伝えたい。

断熱は贅沢じゃない。これは“暮らしの最低ライン”を守るための設計です。

◉ 快適な家=深呼吸できる家

  • 足元が冷たくない
  • 結露が出ない
  • 部屋ごとの温度差がない
  • 暖房をつけすぎなくても心地いい
  • 空気が動いていて、湿気や匂いがこもらない

これらは、断熱・気密・換気を“暮らしの中に設計する”ことで初めて叶えられます。

見た目の美しさも、設備のグレードももちろん大切。
でも、それだけでは「住み心地」は変わらない。

見えない部分にこそ、本当の快適さは宿る。
だからこそ、断熱は「あと回し」ではなく「最初に考えるべきこと」なんです。

◉ まず“できるところから”でいい。でも、考えない選択をしないでほしい

  • 部分断熱から始める
  • 水回りリフォームの解体タイミングを逃さない
  • 素材より、施工と設計の質を重視する

どれも、すぐに実行できる小さな選択肢です。
そしてそれが、あなたと家族の「日常の質」を確実に変えていく。

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家づくりに、正解なんてありません。
でも、「これなら、自分たちらしく暮らせそう」と思える選択肢は、ちゃんとあります。
そのために、僕たちは情報を届けています。

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