1章:水回りリフォームだけで本当に満足できますか? ― 断熱リフォームを後回しにする“3ヶ月後の後悔”
「水回りのリフォームは急ぎだから」
「キッチンとお風呂が新しくなれば十分」
そんな声を、僕はたくさん聞いてきました。
たしかに、水回りの劣化は生活に直結する。
壊れたらすぐにでも直さないと、日々の暮らしに支障が出ます。
でもね──
“それだけ”で本当に快適になりますか?
実は、水回りのリフォームって、
**暮らしが劇的に変わるようでいて、3ヶ月もすれば“元に戻る”**ことがほとんどなんです。
キッチンやお風呂が新しくなれば、最初のうちはテンションが上がります。
でも、冬の寒さはリフォームしても変わらない。
足元が冷たいまま。
暖房をつけても、冷気がずっと流れてくる。
僕の経験上、水回りリフォームだけでは、根本の不快感は解決しません。
◉ 少しの予算配分で、暮らしは“劇的に変わる”
たとえば、キッチン設備のグレードを2つ落とす。
それだけで50万円程度の予算が浮くこともあります。
その予算を、床下断熱や窓まわりの断熱補強に回すだけで、冬の快適性は格段に上がる。
- 床下からの冷気を遮断するだけで、足元が温かい
- 無垢フローリングなら、触れる感触も柔らかい
- 窓を二重にすれば、コールドドラフトや結露も軽減できる
「壊れたから直す」だけじゃなく、
「これからどう暮らすか」を基準に予算を組みませんか?
僕は、断熱リフォームを“こうあるべき”とは言いません。
でも、相談してもらえれば、
- 将来的に断熱性能を高めていけるプラン
- 予算に合わせた部分断熱
- 解体と同時に施工できる“今しかできない”ポイント
を含めて、的確なアドバイスと提案ができます。
「断熱はまた今度で…」と思っていた方には、
こう問いかけたい。
「せっかく解体するなら、床の下から変えてみませんか?」
2章:断熱しないままのリフォームで起きる“暮らしの不具合”とは?
「水回りは新しくなったのに、なぜか冬になるとつらい」
こうした声は、実は少なくありません。
断熱を後回しにしたリフォームでは、体感としての暮らしやすさが向上しないどころか、
別の問題が次々に現れてくることがあるんです。
◉ 暖房が効かない=エネルギーが逃げ続けている
室温を上げようと、エアコンやストーブを強めても──
冷たい床、ひやっとする壁、窓からの冷気。
断熱がされていなければ、
家は“熱の逃げ場”だらけの状態です。
その結果:
- 暖房がフル稼働になり、光熱費が跳ね上がる
- 温度差によって結露が発生し、カビや腐朽の原因に
- 冷えた空気が床にたまり、足元だけが異常に寒い
この現象は、いわゆる**「コールドドラフト」**によるもの。
暖かい空気が上に逃げ、冷たい空気が床を這う。
いくら機器を新しくしても、構造が整っていなければ無意味になる典型です。
◉ 換気すれば寒い、閉めればこもる──“空気の悪循環”
断熱されていない家で換気をすると、
一気に冷たい外気が入ってくる。
でも閉めっぱなしにすると、湿気やにおいがこもる。
つまり、**「換気をすれば寒く、寒さを避ければ空気が淀む」**というジレンマが生まれる。
この悪循環が、
- 冬場の体調不良
- 湿気による建材の劣化
- 空気のよどみによるストレス
へとつながっていくのです。
「見た目は綺麗。でも体が冷えている」
そんなリフォーム、誰のためのものですか?
断熱は、「快適さ」のための工事だと思われがちですが、
実際には、**“健康・家の寿命・エネルギー効率”すべてに直結する基盤設計”**なんです。
3章:水回りリフォームのタイミングは、断熱を仕込む“絶好のチャンス”
「断熱リフォームって、別の機会に考えればいいですよね?」
そう言われることもあります。
でも実は、**水回りリフォームこそが“断熱を取り入れる絶好のチャンス”**なんです。
なぜなら、解体を伴う工事だから。
キッチン、浴室、トイレなどのリフォームでは、
既存の床や壁を剥がす作業が必要になる。
つまり──
“普段は触れられない構造体”にアクセスできる瞬間なんです。
◉ 断熱リフォームは「見えなくなる前にやる」が鉄則
一度仕上げてしまえば、床下や壁の内部に断熱を追加するのは困難です。
また、住みながらの施工になると、コストも2〜3割は余計にかかることもあります。
たとえばキッチンリフォームなら:
- 解体時に床下へ潜って、床断熱材をしっかり敷設できる
- 給排水工事のついでに、配管の結露対策として断熱施工ができる
- フローリングを貼り直すなら、無垢材で体感温度UPも狙える
このタイミングを逃すと、次に断熱を仕込めるのは「また壊す時」しかありません。
◉ 住設機器の“ランクを1つ下げる”だけで、断熱予算が生まれる
高機能な食洗機、最新のコンロ、タッチレス水栓…。
もちろん魅力的ですが、それらをほんの少しグレードダウンするだけで、数十万円の予算が生まれます。
たとえば:
- キッチン設備をグレードダウン → 約20〜30万円
- 浴槽や給湯器を汎用モデルに → 約10〜20万円
→ 合計:50万円程度の断熱予算を捻出可能
その予算で、
- 床下断熱を追加施工
- 内窓(二重窓)を2〜3箇所設置
- 部分的な壁断熱や気密シートを追加
これだけで、家の“温熱環境の質”がまったく変わってきます。
「せっかく壊すなら、住まいの“内側”も整えておきませんか?」
4章:それでも「断熱リフォームはまた今度」という方へ ― 暮らしの整え方、設計の寄り添い方
もちろん、すべてを一度に整えるのは難しいこともある。
予算、時間、家族の事情──
どれも現実的な理由です。
だから僕は、こう言います。
「断熱リフォームは“今すぐ全部やる”必要はありません。でも、“考えておく”だけで未来が変わります。」
◉ 「後からでも手を入れられる」ように整えるという発想
たとえば:
- 今は床だけ。でも床下から断熱補強できるように構造を押さえておく
- 壁の断熱が難しければ、カーテンボックスや家具配置で空気の層をつくる
- 内窓が難しければ、最も寒い場所1〜2箇所に絞って設置
これだけでも、暮らしやすさは段階的に高まっていきます。
「こうしなければならない」ではなく、
「今できることから始める」断熱設計でいい。
◉ 設計とは、“選ばなかったこと”も含めて寄り添うこと
僕たち設計者の役割は、
「予算がないなら無理ですね」で終わることじゃない。
- どこを優先するか
- 何を後から足せるようにするか
- 何を“今しかできない”と見極めるか
それを一緒に考えるのが、**本来の「住まいを整えるパートナー」**だと僕は思っています。
断熱リフォームは、必ずしも“正解の一手”じゃない。
でも、**あなたの暮らしの呼吸を整える“静かな一手”**になることは確かです。
5章:断熱リフォームとは「設備の選択」ではなく「暮らしの哲学」
「どんなキッチンを選ぶか」
「どんな浴槽にするか」
そういう問いも大切です。
でも僕がもっと大切にしているのは、こういう問いです。
「どんな空気の中で、これから暮らしていきたいか?」
断熱リフォームというと、
- どの断熱材がいいか
- 数値性能はどれくらいか
- 何mm入れるか
そんな“性能の比較”ばかりに意識が向きがちです。
でも実はそれって、「道具の話」でしかない。
本質はそこじゃない。
**“あなたの体が、心が、暮らしの中でどう感じるか”**です。
・朝起きて、冷たさでため息をつかなくなった
・足元が冷えず、動き出しが軽くなった
・子どもが床に座って本を読んでいる
・ストーブの前から動けない生活が、変わった
こういう日常の変化こそが、
**断熱リフォームがもたらす本当の「暮らしの再編集」**だと僕は思っています。
◉ 設備は買い換えられる。でも、空気の質は「設計」しなければ変わらない
キッチンやトイレは10年で交換できます。
でも、断熱や気密、空気の流れは暮らしの“根っこ”。
ここに手を入れることは、
ただの機器交換ではなく、暮らしの哲学を選び取ることです。
僕が届けたいのは、
性能だけで語れない、「深呼吸したくなる家」。
設備選びでは届かない、暮らしの奥行きを設計で支えること。
それが、断熱リフォームに込められた本当の価値です。
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家づくりに、正解なんてありません。
でも、「これなら、自分たちらしく暮らせそう」と思える選択肢は、ちゃんとあります。
そのために、僕たちは情報を届けています。
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