第1章|あのサウナで、僕は“空気が見えた”気がした
100℃を超える空間。
湿気と熱がぶつかり合いながらも、呼吸できる空気が保たれている──そんなサウナを、自分の手でつくったとき。
僕の中でひとつ、確信に変わったことがあった。
「空気は、設計できる」
それまでも、断熱とか気密とか、知識としては当然持っていた。
でもこのサウナを通して、僕は**“それが空気の質にどうつながるのか”を身体で理解した**。
湿度が抜けないとどうなるか。
給気と排気がズレたときの気流のストレス。
ちょっとした断熱の欠損で生まれる、肌への違和感。
それら全部が「空気の手ざわり」として、設計者の僕に返ってきた。
その感覚は、どんな住宅の現場よりも生々しく、説得力があった。
第2章|住宅も、結局は“空気を包む器”だった
サウナと住宅。
スケールも目的も違う。
でも、本質は同じだった。
- 空気の出入りをどう制御するか
- 湿気と熱をどう逃し、どう残すか
- 住む人が「気持ちいい」と感じる空気をどう生むか
それって、「断熱を入れる」とか「換気を回す」とか、
設備の話じゃなく、“空気の思想をどう設計するか”という話なんだと思う。
第3章|僕は“素材より空気”を見る設計者になった
無垢材を使うこと。自然素材を活かすこと。
それも大切だけれど、
僕がいま一番意識しているのは、
「この空間の空気は、心地いいか?」
という問い。
素材を活かすためにも、空気が澄んでいなきゃいけない。
呼吸しやすい家は、気持ちが整う家になる。
空気が滞る家は、どんなに見た目がよくても、体が拒否する。
第4章|空気は数値じゃなく、“感覚”でつくる時代へ
UA値、C値、換気量。
それらの性能値は、最低限の土台だと思っている。
でも、僕が届けたいのは「高性能の家」じゃない。
「なんかこの家、気持ちいい」って思える家。
それを言語化して、図面にして、現場に伝えていく。
それが、僕が選んだ“空気から考える家づくり”。
サウナという極端な場所で出会った感覚が、
僕の中で、住宅という日常空間をまったく違う目で見せてくれるようになった。
気持ちいい家って、空気からつくられている。
サウナで気づいた“空気を設計する”という発想。
素材より、性能より、体が感じる空気の質を整えたい。
そんな家づくりを目指すなら、まず空気から一緒に考えませんか?