
「断熱リフォームをしたのに寒いままだった」「せっかく費用をかけたのに失敗だったかもしれない」──そんな声を、僕たちは毎年冬に耳にします。
なぜ、京都での断熱リフォームは失敗しやすいのでしょうか?
それは、京都の寒さの正体が**気温ではなく「構造の穴」**であり、築古住宅の複雑な構造を理解せず、新築と同じ理屈で断熱材を入れようとするからです。
今回は、京都の家が持つ複雑な構造と気候を前提に、断熱リフォームで「寒いまま」で終わってしまう5つの致命的な盲点と、それを回避するための設計の哲学を公開します。
諦めないで。京都の「底冷え」は構造の穴が原因だった
京都の冬の寒さ、特に朝晩の**「底冷え」**は、体の芯まで冷たく感じる異質な寒さです。この寒さの正体を理解せずに工事を始めると、必ず失敗します。
「底冷え」は気温ではなく構造的な熱損失
底冷えの原因は、外気の寒さだけではありません。断熱の弱い床下や開口部から冷気が侵入し、室内の熱が奪われ続けるという、構造的な熱損失によるものです。京都の家が寒い原因は「外気」ではなく**「家のつくり」**にあります。
京都の家は「冬を快適に過ごす前提がない」
町家や戦後木造住宅の多くは、夏の湿気対策として**「風が通ること」**を設計思想の中心に置いていました。
- 壁が薄く、断熱材がそもそも入っていない
- 大きな開口部で、すき間風が生じやすい
つまり、もともと**「冬を快適に過ごす前提がない家」が多いため、後から断熱を加えても“うまく効かない”**ことがあるのです。
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断熱材をムダにするな!UA値3.7を達成する「納まり」の技術
断熱リフォームの成否は、断熱材のカタログスペックではなく、**「現場でいかに隙間なく納めるか」**という職人の技術に集約されます。
盲点①:リフォームでC値を追うのは「非現実的」
新築ではC値0.7以下を目指しますが、リフォームでは既存の柱や梁、壁のゆがみなど、構造的な制約が多く、新築のような高いC値の数字を出すのは極めて困難です。
僕たちGreener’s Houseは、リフォームにおけるC値測定の真の目的は、「数字を出すこと」ではなく「どこから空気が漏れているかを特定し、職人の施工精度を高めること」だと考えています。測定の数字に一喜一憂するよりも、「いかに隙間なく断熱材を納めるか」という職人の技術に集中すべきなのです。
盲点②:UA値3.7を達成する「納まり」の技術
UA値3.7という高い性能目標は、この**「納まり」**の精度によって支えられます。京都の複雑な納まりこそ、熟練の職人の技術力が試される場です。
- 不規則な既存構造への対応: 築古住宅の柱の曲がりや壁厚の違いに対し、断熱材をカットし、気密シートを複雑な形状に合わせて「いかに隙間なく納めるか」。
- 「現場で調整できる素材」の選定: コストと性能のバランスが取れた素材を、現場の状況に合わせて選択し、その力を最大限に引き出す施工を行います。
隙間との戦いこそ、リフォーム成功の鍵
数字が出にくいリフォームだからこそ、どこに注意して施工すべきか?断熱材の性能を100%引き出すための、カタログスペックに惑わされない選び方の本質を解説します。
🔗 【合わせて読む】断熱材はどれが正解ですか?|選び方で後悔しない僕の答えと施工の本質
京都リフォームの最重要課題。「湿気戦略」なき断熱はカビと結露を呼ぶ
「断熱すれば暖かくなる」だけではありません。湿気対策なしの断熱は、カビと腐朽菌を育てる温床になりかねません。特に多湿な京都では、**「湿気戦略」**が命です。
盲点③:内部結露と構造腐朽のリスク
本当に怖いのは、**壁の中や床下で起こっている「内部結露」**です。隙間から侵入した湿気が壁の中で冷やされて結露になり、断熱材を湿らせ、構造材を腐らせて家の寿命を縮めます。
盲点④:自然素材への過信
セルロースファイバーや羊毛などの自然素材には調湿性能がありますが、それだけに頼るのはリスクです。壁内の湿気が続く環境では、吸った水分が乾かず、カビや腐敗の原因になります。「自然素材なら安心」というのは、設計が伴って初めて成立する話です。
盲点⑤:湿気を逃がすための「通気層の設計」
京都の断熱は、「湿気の挙動まで読んだ設計」が前提条件です。調湿性のない素材を使う場合は、室内側に防湿層(気密シート)を入れ、外壁側には通気層を設けるなど、湿気を滞らせない空気の逃げ道を設計段階で決めておかなければ、どんな高性能な断熱材も**“湿気で負ける”**のです。
まとめ:断熱リフォームの成功は「哲学」と「誠実さ」で決まる
京都での断熱リフォームの成否は、もはや素材の比較や新築のC値にこだわることではありません。
成功の鍵は、私たちが公開した以下の**「3つの哲学」**にあります。
- 寒さの正体を見極める: 「底冷え」の原因は、気温ではなく**構造の穴(隙間)**にあると認識すること。
- 施工精度を最優先する: リフォームのC値測定は**「数字のため」ではなく「職人の納まりの精度を高めるため」**に活用すること。
- 湿気戦略を欠かさない: 多湿な京都では、断熱とセットで通気層と防湿層を設計し、カビ・結露のリスクを根本から断つこと。
断熱材の選択は、実は工務店の「哲学」と「誠実さ」を選ぶことです。数字に惑わされず、この施工の本質にこだわる会社を選ぶことこそが、「寒いまま」で終わらないための唯一の方法です。
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