
小さい家の玄関はなぜ悩みが多いのか
小さい家を検討している人がまず気にするのは「玄関って狭くならないの?」という点です。
建坪10坪前後の家では、玄関に割ける面積は限られ、1坪半程度が一般的。
数字にすればそれなりに広さはあるのですが、暮らしてみると靴や傘であっという間に埋まってしまうことも珍しくありません。ベビーカーや自転車を置く余白もなく、来客のときに散らかって見えるのもよくある悩みです。
ただ、狭いからこそ「どう使うか」を考える余地があります。小さい家の玄関は、工夫と暮らし方次第で不便な場所にも、暮らしの中心にも変わっていくのです。
図面から見る工夫 ― 幅をとって奥行きを抑える
あるプランでは、玄関は幅2.7m、奥行き0.9mほど。数字だけ見れば奥行きが浅く感じますが、両側にシューズクロークを確保しているため収納力は十分です。玄関ホールそのものに余計なモノを置かずに済むので、奥行きが浅くてもすっきり見えます。
これは「収納で広さを補う」発想です。狭い玄関をそのままにせず、収納を別枠で確保することで、玄関をシンプルに保ちやすくなる。小さい家の玄関では、こうした「面積以上の働きを持たせる」仕組みが欠かせません。
また、玄関からリビングに入る扉を少し大きめのガラスでの構成建具にします。壁の向こうが透けて見えるだけでも、視線の抜けができるため狭さを感じさせにくくさせます。
狭い玄関で起こりがちな悩みありますよね。
小さな玄関では、次のような場面に困りやすいです。
- 靴や傘で足の踏み場がなくなる
- ベビーカーを置けない
- 来客から散らかった玄関が丸見えになる
- 収納が足りず、季節ものがあふれる
これらはすべて「動線と収納」を整えることで解決できるんです。例えばシューズクロークに靴をまとめれば玄関床は広く使え、ベビーカーは土間を少し広げるだけで収まります。
来客からの視線も、玄関からリビングへの直線を避けてワンクッション設けるだけで印象が変わります。
暮らし方によって変わる小さな家の玄関の役割
小さい家の玄関をどう使うかは、家族の暮らし方によって大きく変わります。
- 趣味スペースとして
自転車やキャンプ道具を土間に置けば、手入れや準備が玄関で完結。外へ出やすく、戻したときも片付けが簡単です。 - 子育て世帯にとっての便利さ
ベビーカーや外遊びのおもちゃを一時置きするだけで、リビングの散らかりを防げます。靴の脱ぎ履きも子どもと一緒にゆったりできると安心です。 - 迎える空間としての演出
観葉植物や小さなベンチを置けば、訪れる人にやさしい印象を与えられます。狭くても整った玄関は、暮らしの印象をぐっと高めます。
玄関は、ただ通るだけではなく「玄関兼○○」と考えることで可能性が広がります。
曖昧な土間のすすめ

小さい家でおすすめなのは「曖昧な土間」をつくることです。玄関とリビングをきっちり分けるのではなく、土間を少し伸ばして「多目的な余白」として活かす。外と内の境界をゆるやかにすることで、心理的に広さを感じやすくなります。
例えば、土間にベンチを置けば腰掛けて靴を脱ぎ履きでき、来客時には待合のような役割にも。ちょっとした観葉植物を置くだけで奥行きが生まれ、狭い玄関でも心にゆとりを与えてくれます。
実例イメージ ― 玄関の間取り3タイプ
- 収納重視タイプ
シューズクロークをしっかりとり、玄関はシンプルに。常にすっきりした印象を保ちたい人におすすめ。 - 趣味重視タイプ
土間を広げ、自転車やキャンプ道具などを置けるスペースに。好きなものを暮らしの真ん中に置きたい人に向く。 - 迎え重視タイプ
ベンチやグリーンを置き、来客が心地よく感じる空間に。狭さを忘れさせる工夫で暮らしの顔を整える。
玄関は暮らしの価値観によって全く違う間取りになります。
小さな家の玄関こそ、心理的な広がりを生む工夫
人は奥行きのある空間を「広い」と感じやすいと言われます。玄関に観葉植物や鏡を置くと、奥行き感が強調されて体感的に広く感じることがあります。
また、照明を壁際に配置して陰影を作れば、狭さよりも雰囲気に目が行き、印象がやわらぎます。小さい家では、こうした心理的効果も積極的に取り入れたいところです。
まとめ ― 玄関が狭いを暮らしに合わせる
小さい家の玄関は、ただ狭いと嘆く場所ではなく、暮らしを映す大切な顔です。1坪半という限られた面積でも、収納と土間の使い方次第で印象も機能も大きく変わります。
- 幅と収納で成立させる工夫
- 土間を曖昧にして余白をつくる工夫
- 暮らし方に合わせた多目的な使い方
この3つを意識すれば、狭い玄関も自分らしい玄関に変わります。デメリットに見える「狭さ」を、設計次第で暮らしの豊かさに変えることができるのです。
「小さい家の玄関をどう活かすかは、家族の暮らし方しだいです。もし“うちならどう使えるだろう”と気になった方は、一度ご相談ください。図面や生活のイメージをもとに、ぴったりの玄関プランを一緒に考えていきます。」