1. 中古住宅の欠陥は見た目ではわからない
中古住宅の外観リフォームの落とし穴
中古住宅を検討するとき、ほとんどの人がまず外観や内装のきれいさを重視します。
「リフォーム済み」「外壁塗り替え済み」「クロス新品」と聞くと安心しがちです。しかし、外から見えない部分に欠陥が潜んでいることは少なくありません。
シロアリ被害と雨漏りは外からわからない
中古住宅の欠陥で最も多いのがシロアリ被害と雨漏りです。
外壁が新しくても、壁の内側や床下の木材がシロアリに食い荒らされているケースはよくあります。同様に、屋根や外壁の防水が不十分だと、内部で雨漏りが進行して構造材が腐っていることも珍しくありません。
内覧だけでは欠陥は見抜けない理由
内覧では内装の状態は確認できますが、床下や屋根裏までチェックする人はほとんどいません。
売主や仲介業者が見栄えを整えている物件ほど、「きれいだから安心」と思ってしまう心理が働きます。
しかし内部の修繕履歴まで把握できるわけではなく、結果的に引き渡し後に問題が表面化し、多額の修繕費がかかる事例が後を絶ちません。
欠陥を防ぐために必要な考え方
中古住宅を選ぶときに一番大切なのは、外観や内装だけで判断しないことです。
「見た目がきれいでも内部に問題があるかもしれない」という意識を持つことが、失敗を防ぐ第一歩です。
この後の章で、見えない欠陥を防ぐためのチェックポイントや費用の目安を詳しく紹介します。
中古住宅で多い欠陥はシロアリと雨漏り
シロアリ被害が中古住宅に多い理由
中古住宅で最も多い欠陥の一つがシロアリ被害です。
木造住宅は築年数が経つと、床下の湿気や通気不足が原因でシロアリが住みつきやすくなります。
外壁をどれだけきれいにしていても、床下の木材が食い荒らされているケースは珍しくありません。
シロアリ被害は放置すると土台や柱の強度を弱め、最悪の場合、建物の耐震性まで低下します。
しかも、床下の被害は普段の生活では気づきにくいため、購入後に突然発覚するパターンが多いのが現実です。
雨漏りは建物内部を腐らせる
もう一つの典型的な欠陥が雨漏りです。
築年数が経つにつれて屋根や外壁の防水性能は少しずつ劣化していきます。
表面の塗装をやり直していても、防水シートや構造材にダメージが残っていると、雨水が侵入し、徐々に木材を腐らせていきます。
雨漏りの怖いところは、すぐに目に見える被害が出にくい点です。
屋根裏にシミができていたり、壁の内部が湿気を含んでカビが発生していることも多いです。
これも購入後に気づいて、修繕に何十万円〜百万円単位の費用が必要になる例が後を絶ちません。
シロアリと雨漏りは内覧では見つけにくい
多くの人は内覧時に間取りや内装ばかりを見てしまい、床下や屋根裏を細かくチェックしません。
その結果、見た目に隠れたシロアリ被害や雨漏りを見落とし、購入後に大きなリスクを背負ってしまいます。
また、不動産会社も「床下や屋根裏を自由に確認してください」と積極的には案内しないことが多いです。
だからこそ、「見た目で安心するのは危ない」という意識が必要です。
事前調査で被害を把握しておく重要性
シロアリ被害と雨漏りは、自分で完全に確認するのは難しいです。
専門家に床下や屋根裏を調べてもらうことで、購入前に「修繕が必要か」「購入をやめるべきか」を冷静に判断できます。
見えない欠陥を放置したまま契約してしまえば、後から高額な修繕費を払うことになります。
これを防ぐために、事前に調査を入れることが中古住宅選びの必須条件です。
欠陥を見抜くためのチェックポイント
内覧時に自分で確認できるポイント
中古住宅の欠陥を完全に見抜くのは難しいですが、内覧のときに最低限確認しておくべきポイントがあります。
まず、外壁のヒビや塗装の剥がれは見逃さないようにします。大きなヒビは雨水の侵入経路になりやすく、内部の腐食につながるからです。
次に、室内では天井や窓枠付近のシミをチェックします。過去に雨漏りがあった場合、塗装やクロスで隠していても薄く跡が残っていることが多いです。
さらに、玄関に入った瞬間に「傾き」を感じる物件も存在します。床が水平でないと、歩いてすぐに違和感を覚えることがあります。これは基礎の沈下や構造の歪みが原因の場合があるため、必ず確認しておくべきポイントです。
加えて、床を歩いたときに軋みや沈み込みがないかも重要です。床下の木材がシロアリに食われていると、強度が落ちて床が不安定になります。
自分では確認できない場所と理由
ただし、床下や屋根裏、壁の内部まで確認するのは個人ではほぼ不可能です。
床下は入り口が狭かったり、湿気が多く安全性の面でも問題があります。屋根裏も同様で、懐中電灯でのぞく程度では雨漏りの痕跡や木材の腐食を正確に確認できません。
また、外観からは分からない構造材の傷みや、過去の修繕履歴の真偽を把握するのも難しいです。
プロに頼むべき調査範囲
欠陥を見抜くためには、やはり専門家による調査が確実です。
専門家は専用の機器を使い、床下の奥や屋根裏の隅々まで確認します。
木材の含水率を測ったり、構造のズレや歪みを正確に診断できます。
さらに、目視だけでなく、状況に応じてシロアリ探知機や赤外線カメラを使って、壁の内部に隠れた被害も見逃さない方法があります。
調査結果をもとに、必要な修繕費や工事の優先順位を把握しておけば、「あとで大きな出費になる」というリスクを大幅に減らせます。
チェックポイントを知って後悔を防ぐ
中古住宅を買う前に、自分で確認できるポイントとプロに依頼するべき部分を切り分けておくことが重要です。
表面だけを見て「問題なし」と判断してしまうと、契約後に高額な修繕費がかかる可能性が高くなります。
見えない欠陥は「知らなかった」では済まされません。次の章では、「なぜ多くの人が専門調査を依頼しないのか」を掘り下げます。
なぜ中古住宅の調査は多用されていないのか
調査の存在を知らない人が多い
中古住宅を購入するとき、多くの人が「外観や内装を見れば十分」と思い込みます。
実際には、床下や屋根裏の状態を専門家が調べる調査があること自体を知らない人が少なくありません。
不動産会社からも積極的に説明されないことが多く、「購入の流れに含まれているもの」と誤解している人も多いです。
その結果、調査をしないまま契約してしまい、引き渡し後に欠陥が見つかるパターンが後を絶ちません。
「お金がもったいない」と思われがち
調査には費用がかかります。
一般的に5〜10万円程度ですが、これを「もったいない」と感じる人は多いです。
中古住宅を買うときは、頭金や諸費用などまとまったお金が必要です。そのため、予算に余裕がなく、つい削れるところを探してしまいます。
しかし、数万円を惜しんだ結果、シロアリ駆除や屋根補修で100万円単位の出費が必要になるのが現実です。
「調査費をケチって大きな修繕費を払う」という典型例は本当に多いです。
問題が出るのが怖い・面倒だという心理
心理的な理由も大きな原因です。
せっかく気に入った物件を見つけたのに、調査をして問題が見つかると「買えなくなるかもしれない」と考えてしまいます。
また、「わざわざ業者を探して依頼するのが面倒」という気持ちもあります。
物件探しやローン手続きで頭がいっぱいになっており、調査の優先順位が下がるのです。
現場で何百件も見てきましたが、調査をしない人の多くは「きっと大丈夫」という根拠のない安心感と、「問題があったらどうしよう」という不安を同時に抱えています。
調査をしない人の共通パターン
調査をしない人には共通点があります。
- 物件探しに夢中で冷静な判断ができなくなっている
- 不動産会社の言葉を鵜呑みにしている
- 「みんな調査なんてしてないから大丈夫」と思っている
こうした心理を放置したまま購入を進めると、引き渡し後に思わぬトラブルに悩まされる可能性が高くなります。
中古住宅で失敗しないためには、「調査をしない人の失敗パターン」を知り、自分は同じ道をたどらないと決めることが大切です。
次の章では、調査をしなかった結果、どんな後悔が待っているのかを具体的に紹介します。
調査をしないと後悔する現実
修繕費が想像以上にかかる失敗例
中古住宅の調査を省略した結果、あとから多額の修繕費が必要になるケースは本当に多いです。
例えば、床下のシロアリ被害に気づかずに購入してしまい、半年後に床が沈んで大規模な補強工事をする羽目になった、という相談は珍しくありません。
このような修繕には、駆除費用だけでなく、食い荒らされた土台や柱の交換まで含めると100万円を超えることも普通です。
また、屋根裏の雨漏りも見落としやすく、内部の梁が腐っていると、部分補修だけでは済まなくなります。
一度発生した被害は放置するとどんどん広がり、最終的に大規模なリフォームや建て替えが必要になる例もあります。
数万円の調査を省いたことで、数百万円の出費が後からのしかかるのです。
プロの調査で防げるリスクとは
こうしたトラブルの多くは、購入前に専門家に調べてもらえば避けられます。
床下のシロアリ被害は、専用の器具を使って木材の状態を正確に確認します。
屋根裏の雨染みも、赤外線カメラなどを使えば目視よりも確実に発見できます。
さらに、過去の修繕履歴が本当に正しいか、見積もりや設計図と照らし合わせて確認できるのもプロの強みです。
「どの部分を修繕するべきか」「どれくらいの予算を用意しておくべきか」を、事前に把握しておくだけで、購入後の想定外の出費は大幅に減ります。
実際の相談例と金額感
僕のところにも、「調査をしておけばよかった」という声が本当に多く届きます。
ある方は、築20年の中古住宅を購入して1年後にシロアリ被害が発覚。
床下の全体補強と駆除に150万円、追加で雨漏りの補修に80万円、合計で230万円以上かかりました。
最初に数万円の調査をしていれば、購入を見送るか、修繕費を売主に負担させて価格交渉できたはずです。
「調査は保険代わり」と考えると、そのコストの小ささがよく分かるはずです。
調査をしない選択は結局損になる
中古住宅は「見た目だけでは判断できない」という事実を無視すると、結局大きな出費を背負うリスクが高まります。
修繕費が用意できず、住みながら工事をすることになれば、生活のストレスも増えます。
何より、「もっと早く調べておけばよかった」と後悔する声を何度も聞いてきました。
調査を入れない選択は、結果的に損をする。
これが現場の結論です。
次の章では、「具体的にどうやって調査を進めるか」「どれくらいの費用を見ておけばいいのか」をまとめます。
中古住宅の欠陥を防ぐ一番確実な方法
必ず調査を入れてから買うのが鉄則
中古住宅で後悔しないためにできる最も確実な方法は、見えない部分の欠陥を購入前に調べておくことです。
外観や内装をどれだけきれいにしていても、床下や屋根裏の状態は素人では確認できません。
これまで多くの失敗事例を見てきましたが、「あとで知っても手遅れ」というケースがほとんどです。
調査を入れるだけで、床下のシロアリ被害や雨漏りの痕跡を把握でき、購入するかどうかを冷静に判断できます。
調査費用の目安と相場感
中古住宅の調査費用は、建物の大きさや調査範囲によって変わりますが、目安として5〜10万円程度が一般的です。
床下の確認、屋根裏のチェック、構造の簡易診断などが含まれます。
一見高いように感じるかもしれませんが、後で数百万円の修繕費を払うリスクを考えれば、これほどコストパフォーマンスの高い出費はありません。
どこに依頼すればいいか
調査を依頼する際は、信頼できる専門家や経験豊富な診断士を選ぶことが重要です。
不動産会社の提携業者に任せきりにせず、自分でも実績や口コミを確認しておくと安心です。
僕自身、調査と耐震診断の資格を持っているので断言できますが、プロが調べるかどうかで結果は大きく変わります。
どこをチェックするか、どこを直すべきかを正しく把握するには、経験と知識が不可欠です。
相談から調査までの流れ
一般的な流れは以下の通りです:
- 物件を内覧して気になる点をメモする
- 専門家に相談し、必要な調査範囲を決める
- 見積もりを確認し、調査を依頼する
- 調査結果をもとに、購入するか交渉するか判断する
この流れを踏むだけで、不要なリスクを回避でき、安心して中古住宅を選べます。
まとめ|安心できる家を選ぶために
中古住宅は「調べてから買う」が絶対条件です。
外観だけで安心せず、内部までチェックすることが、後悔しない最大のポイントです。
この記事を読んでいる方には、ぜひ【欠陥 見抜き方】や【調査 費用】を詳しく調べて、行動に移してほしいです。
僕自身、調査と耐震診断士の資格を持ち、実際に現場で確認・報告を行っています。
欠陥を見抜く調査から、必要に応じたリノベ提案まで一貫して対応できますので、
気になる方はお気軽にご相談ください。