「買って終わり」ではない中古住宅のお金のリアル
「物件を買うお金」と「その後の直すお金」は、
一緒に考えているつもりでいても、現実には切り離されてしまいがちです。
最近は中古住宅や古家を選んで、自分らしくリノベーションする人が増えました。
けれど、ネットで物件価格を調べる人は多くても、
住んでからかかるお金を具体的に計算する人はほとんどいません。
中古住宅の魅力と、見えないコスト
中古住宅は、新築より価格を抑えて立地や雰囲気を重視できるのが魅力です。
だからこそ、「予算内で夢が叶うかも」と期待が膨らみます。
しかし現実には、築年数が進んだ家には
目に見えない部分にお金がかかることが多いのも事実です。
- 水回りの劣化
- 床下のシロアリ被害
- 断熱や耐震の不足
- 住み始めてから気づく間取りの不便
こうした「あとから発覚するコスト」は、決して珍しくありません。
「あとからお金がかかる」のは当たり前
「買ってすぐはお金をかけずに住んで、落ち着いてからリノベーションしよう」
そう考える人は多いです。
でも、住みながら改修をするのは意外と負担が大きい。
工事中の仮住まい費用や、生活しながらのストレスが想像以上だからです。
結果として、「どうせなら最初にまとめてやればよかった」という声を
現場では何度も聞いてきました。
お金を先に考えた人が後悔しない
中古住宅を賢く選ぶ人は、物件を見ながら
「どこを直すべきか」「どこは後でもいいか」
を同時に考えています。
- 今すぐ必要なお金
- 数年後にかかるかもしれないお金
- 必要なら借りるお金と、出せる自己資金のバランス
これを最初に整理しておく人ほど、
買った後に「こんなはずじゃなかった」という後悔がありません。
この先の記事でお伝えしたいこと
これからの章では、
「家を買うときに何にお金が必要か」
「住んでから、なぜ追加のお金が出てくるのか」
「どうやって無理なく備えるか」
を、専門用語なしで、できるだけ具体例と共にお話します。
「家を買って終わり」ではなく、
「住んでからも心地よい暮らしをつくるためのお金計画」を、
一緒に考えていきましょう。
家を買うときに必要なお金とは
「中古住宅を買うときに必要なお金は、物件価格だけ」
と思っている人が本当に多いです。
しかし実際には、
「物件価格+諸費用+備えるお金」
この3つを含めて考えておかないと、
後から予算が足りなくなって慌てることになります。
物件価格だけでは終わらない
例えば、2000万円の中古住宅を買う場合。
単純に2000万円を借りればOKかというと、そうではありません。
以下のような費用が必ず発生します。
- 仲介手数料(物件価格の約3%+6万円+税)
不動産会社に支払う手数料です。 - 登記費用・司法書士報酬
所有権移転や抵当権設定のための手続き。 - 火災保険・地震保険
ローンを借りる条件として必須。 - 引越し代や家具家電の買い替え
意外と大きな負担です。
これらを合わせると、物件価格の5%〜10%程度が目安です。
ローンには諸費用を含められないこともある
「諸費用もまとめて借りればいいじゃないか」と思われがちですが、
多くの金融機関では 諸費用を住宅ローンに含められない ことがあります。
その場合、頭金や貯蓄から出すしかありません。
リノベーション費用はこの時点で確定していないことが多い
さらに知っていてほしいのは、
リノベーション費用はこのタイミングでは未確定の人が多い という現実。
物件を見てから「ここも直そう」「思ったより傷んでいる」となるのが普通です。
だからこそ、購入費だけギリギリでローンを組むと、
後で「工事費が出せない」という最悪のパターンに陥ります。
家を買うときに考えるべき「3つの箱」
資金計画は、以下の3つの箱に分けて考えておくと失敗しません。
物件費用(ローンで調達するメイン部分)
購入にかかる諸費用(貯蓄から出す前提で計算)
リノベーションやメンテナンスにかかるお金(将来必要になる自己資金)
お金を分けて考えれば、後から焦らない
「物件価格だけ見て、借りられるだけ借りる」
これが、後悔する一番の原因です。
最初から「買うためのお金」と「暮らすためのお金」を分けて、
それぞれどこから出すのかを決めておけば、
あとから足りない、という事態を避けられます。
家を買った後に、なぜ追加のお金が必要になるのか
「中古住宅を買ったら、すぐに快適に暮らせる」
多くの人がそう思いがちです。
でも現実には、住み始めてから
「あれ? ここも直さないと…」
と気づくことがとても多いのが中古住宅の特徴です。
住んで初めて見える“傷み”と“違和感”
中古住宅や古家は、内覧のときに見えるのは表面だけ。
壁の中、床下、屋根の上までは詳しくはわかりません。
だから、実際に暮らし始めると、
- 冬が想像以上に寒い
- 配管の水漏れが起こる
- シロアリ被害が見つかる
- 隣家の窓との位置でプライバシーが気になる
など、想定外の問題が顔を出します。
「少しずつ直せばいい」は意外と負担が大きい
よくあるのが、
「とりあえず住んで、必要になったら少しずつ直そう」という考え方です。
確かに正しい部分もありますが、実際には
- 住みながらの工事は想像以上にストレス
- 工事中の騒音や埃、職人さんとの調整が必要
- 一度にまとめて工事するより割高になることが多い
など、暮らしながらの改修には隠れた負担がつきものです。
築年数に比例して増える“見えないコスト”
築20年を超える家なら、配管や断熱材の寿命が来ている場合も多いです。
これを無視して見た目だけリフォームしても、数年後にまたお金が必要になります。
つまり、
家を買った後に追加のお金が必要になるのは、「自然なこと」 なのです。
想定外を防ぐには、“直すお金”を先に見積もる
大事なのは、「見えないから仕方ない」で終わらせないこと。
- 内覧のときにプロに同行してもらう
- 必要ならホームインスペクション(建物診断)を入れる
- 買う前に「どこを直す可能性があるか」を一緒に確認する
こうして、直す可能性のある箇所を先に知っておけば、
追加費用も想定内にできます。
「買った後もお金がかかる」という視点を持つ人は強い
中古住宅の最大の魅力は、
新築より安く自分好みの暮らしを作れることです。
でも、その魅力を活かすには、
- 物件価格だけで判断しない
- 見えない部分のお金を想定しておく
- 必要に応じてまとめて改修する覚悟を持つ
この3つが欠かせません。
住宅ローンは家づくりや、リノベーションを考える家族にとって重要な問題となります。お金は常に暮らしを圧迫したり、癒したりと豹変します。
ですが、中古住宅や空き家を購入してリノベーションする場合、後から突発的にかかる費用をどう抑えるか。ここがポイントとなります。それを防ぐ唯一の方法って?
それは中古物件を購入する前に調査することだけです。お金を借りるより大切なものってあるんです。あなたには必ず読んでほしい。
下の画像をクリックすると記事を読めます。
どう借りるかより、どう返せるかが大切
「どの銀行から借りるか」「何年ローンにするか」
中古住宅やリノベの相談を受けると、
多くの人がまず“借り方”に目が向いているのを感じます。
もちろん、金利は低いほうがいいし、条件も大事です。
でも、それよりももっと大切なのは、
「借りたお金を、どう無理なく返せるか」 です。
ローンは「通るか」ではなく「返せるか」
銀行が貸してくれる額と、
その人が無理なく返せる額は、必ずしも一致しません。
例えば、
- 年収から計算した“借りられる額”を上限まで借りる
- でも、子どもの教育費や老後資金のことを考えていない
こういうケースは本当によくあります。
大切なのは、
「銀行が貸してくれる額」ではなく、
「自分の暮らしを苦しくしない額」 を自分で決めることです。
毎月いくらなら苦しくないかを考える
理想は、
住宅ローンも、あとで必要になるリノベのお金も、
まとめて月々いくらまでなら家計に無理がないかを考えること です。
その目安として、
- 毎月の住居費は 手取り月収の25%前後
- ボーナスに頼らない返済計画
- 教育費が増える時期に支払いがきつくならないかを確認
これを最初にシミュレーションしておくだけで、
後からの苦しさを大幅に減らせます。
借り方は“後から”決めてもいい
お金の話になると、多くの人が
「どこの銀行がいいですか?」
「35年ローンと20年ローンどっちが得ですか?」
と質問してくれます。
もちろん選び方のコツはありますが、
正直、それよりも どこで借りるかは最後でも大丈夫 です。
それよりも先に、
家にどこまでお金をかけるか
どこを後回しにできるか
手持ちのお金と合わせていくら必要か
これを整理するほうがずっと大事です。
「借り方より、返せる額」これが失敗しない秘訣
ローンは「組めるかどうか」で決めるのではなく、
「自分がどう返すか」を主語に考えるもの。
最初にここを間違えなければ、
たとえ後から追加でお金が必要になっても、
暮らしを苦しめる心配はほとんどなくなります。
4章まとめ
- どの銀行で借りるかより、どう返せるかを先に考える
- 借りられる額=安心ではない
- 月々いくらまでなら負担が少ないかを基準にする
- 返済を主語にした計画が、後悔しない住まいづくりの土台
お金のかけどころと、かけすぎないコツ
中古住宅や古家を買ってリノベーションをする人が、
一番後悔しやすいのが
「どこにどれだけお金をかけるべきか」を決めきれないことです。
全体にお金をかけるのは賢くない
新築ならまだしも、
中古住宅では「全部を新しくする」には限界があります。
築20年の家を丸ごとスケルトンリノベにする人もいますが、
多くの人にとってそれは予算的にも現実的ではありません。
大切なのは、
「変えないと暮らしが不便になる部分」と
「後回しにしても困らない部分」を見極めることです。
ここにはお金をかけるべき
僕が設計者として現場でよく伝えるのは、
「構造と空気の質には妥協しないこと」。
具体的には:
構造の補強
→ 耐震性に直結。あとで追加するのは大変。
断熱・気密の強化
→ 寒さ暑さは毎日の快適さに直結する。
雨漏り・配管の更新
→ 見えない部分こそトラブル防止の最重要ポイント。
ここは後回しでもいい
逆に、後から変えやすいのは、
壁紙や内装のデザイン
収納の造作や家具
外構や庭の細かい整備
これらは「暮らしながら考える楽しみ」として取っておいてもOKです。
DIYでも可能なのです。
「憧れ」を優先しすぎない
中古住宅を買ってリノベを考えると、
雑誌やSNSで見たおしゃれなキッチンや造作家具に目が行きがちです。
もちろん夢を形にするのは大事です。
でも、
「家の寿命に直結する部分をおろそかにして、デザインだけにお金をかける」のは一番の失敗です。
プロと「削る順番」を決める
予算には限りがあります。
だからこそ、
プロと一緒に「もし予算が足りなかったら、ここを削る」という優先順位を
最初から決めておくのが賢い方法です。
これができる人は、
工事中に追加費用が出ても慌てません。
リノベーションでも、リフォームでも銀行からお金を借りて進めようとした場合、色々と考えることありますよね。返済計画が・・・・。金利が・・・。
大切なことは自分たちがどんな風に無理なく返済できるように描けるか・・です。
後から焦らないお金計画の進め方
ここまで読んでくださった方なら、
「家を買うお金」と「暮らすお金」は同じ財布でも、
タイミングと使い道は違う ということがイメージできたと思います。
中古住宅や古家を選ぶ人が後悔しないために一番大事なのは、
「全部を完璧に決めること」ではなく、
お金の使い道に余白を持っておくことです。
最初にやるべきことは「全部決める」じゃなく「方向を決める」
よくあるのは、
物件を押さえたい気持ちが先に立ってしまって、
リノベの中身は後回しにしてしまうパターン。
でも、買った後に思ったより傷んでいて、
工事費が膨らんでしまう人が本当に多いです。
だからこそ、最初に全部を細かく決める必要はなくても、
どこを直す前提で予算を組むか
どこは後からでもいいか
今使える自己資金はいくらか
この方向性だけは買う前に整理しておくのが大切です。
シミュレーションを作っておくと慌てない
- 物件費用+諸費用+リノベ予備費
- 月々いくらなら無理がないか
- 収入変動や子どもの成長も見越して余裕を持たせる
これを一度シミュレーションしておくと、
あとで「どうやってお金を工面しよう…」と慌てなくて済みます。
プロを頼るのは決して贅沢ではない
お金のことは苦手…と思う人ほど、
一人で悩んで予算を決めがちです。
でも本当に失敗しない人は、
- 信頼できる設計者や施工店に
「この物件なら、どこにいくらくらいかかりそうですか?」
と相談する - 銀行に「こういう計画で進めたい」と早めに話す
こうして、
お金とプランを同時に進める人です。
「あとでどうにかする」が一番後悔を生む
暮らしを整えるのは、
借り方ではなく、考え方です。
「住み始めてからどうにかする」は、
後悔する人の共通点です。
だからこそ、
最初にできるだけの情報を集めて、
方向性だけでも決めておく。
これが結局、一番無駄がなく、
住み心地を損なわない賢い方法です。
まとめ
- 完璧に決めるより、余白を持った計画を
- 物件とリノベ、自己資金を「いつ、どこに使うか」を整理する
- 無理のない月々の返済を最初に決める
- 専門家とお金とプランを同時に進めるのが最善の防御策
📌 おわりに
家を買うのも直すのも、
目的は「心地よい暮らし」をつくることです。
無理せず、賢く、余裕を持って。
後悔しない住まいづくりを、
一緒に形にしていきましょう。