断熱|気密空気と健康

家がなんだか“カビ臭い”…|京都にありがちな湿気とカビの話

断熱|気密
この記事は約10分で読めます。
  1. 「最近、家の空気がなんかカビっぽい・・・
  2. においの原因は“空気中のカビ胞子”|見えないカビが空気を汚す
    1. カビのにおい=空気中に混ざる“胞子”のサイン
    2. カビは「壁の中」「天井裏」「床下」に潜む
    3. においが消えないのは、構造の問題かもしれない
  3. カビのにおいは“構造の盲点”から発生する
    1. 天井裏がカビ臭いときは、断熱材が機能していないかも
    2. 床下からカビ臭がする家は、断熱と防湿が破綻している
    3. 押し入れ・収納のカビ臭は“通気ゼロ構造”が原因
    4. カビ臭の“発生源”は、空気の流れが止まるところにある
  4. においを見抜く“3つの視点”|カビ臭の原因を特定する観察術
    1. 観察①|「においがする“時間帯と場所”」を記録してみる
    2. 観察②|「布団や衣類ににおいが染みていないか」を嗅いでみる
    3. 観察③|「サッシまわり・換気口まわり」に触れてみる
    4. においは「目に見えない問題」を知らせる“初期信号”
  5. 空気が整えば(結露が減れば)においは消える
    1. においが消えると、呼吸が変わる
    2. カビの原因は“掃除不足”ではない
    3. 空気の質が変わると、暮らしは整っていく
  6. まず“においのサイン”に気づくことから
    1. においは「あなたの感覚」が最初に気づくセンサー
    2. ✅においチェックから始める10ステップ
    3. 空気は、取り戻せる

「最近、家の空気がなんかカビっぽい・・・

家に帰ると、ふと感じる。
なんだか空気が重い。もやもやしている。
押し入れを開けたとき、布団に顔をうずめたとき──
微かに、でも確かに「カビのようなにおい」が鼻をかすめる。

家族に言っても、「気のせいじゃない?」で済まされる。
でも、自分だけが知っている。この空気の違和感は、前とは違うってこと。

空気清浄機を回しても、芳香剤を置いても、根本的には消えない。
夜、布団に入ると喉がいがらっぽくて、朝起きると軽く咳き込む。
乾燥じゃない。花粉でもない。
──これって、空気の中に“何か”が混ざっているんじゃないだろうか。

僕自身、以前に同じような体験をしたことがあります。
目には見えないけれど、確実に「におい」として感じる、家の異変。
そしてそこには、はっきりとした“原因”が隠れていたんです。

もし今、あなたが
「家がカビ臭い気がする」
「でも見えるカビはないし、どうしたらいいかわからない」
そんな風に感じているなら──
それは、“空気の質”が崩れ始めているサインかもしれません。

においの原因は“空気中のカビ胞子”|見えないカビが空気を汚す

カビのにおい=空気中に混ざる“胞子”のサイン

家の中でふと感じる、あのカビのようなにおい。
「見えるカビはないのに、なんで臭うんだろう?」──そんな疑問を抱いたことはありませんか?

実はそのにおいの正体は、空気中に混ざったカビ胞子
カビは発生してすぐ、微細な胞子を空気中に放出しはじめます。
目に見えない胞子が、家中に広がり、においや体調不良の原因になるのです。


カビは「壁の中」「天井裏」「床下」に潜む

カビのにおいが出る家では、よく以下のような場所で発生源が見つかります:

  • 石膏ボードの裏側が真っ黒に変色していた
  • 小屋裏の合板がしっとりと湿っていた
  • 床下の断熱材がカビ臭を放っていた

これらはすべて生活空間からは見えない場所
でも、空気の中には、そこから放たれた胞子が確実に混ざっている。

“見えない場所のカビが、空気を通じてあなたの暮らしに影響している”──
それが、家全体に広がるカビ臭の正体です。


においが消えないのは、構造の問題かもしれない

「換気しても、空気清浄機を使ってもにおいが取れない」
その原因は、カビが“空気中にいる”からではなく、
家の構造の中にカビを育てる原因があるからです。

  • 湿気がたまりやすい断熱構造
  • 通気が滞る押し入れや収納
  • 気密が切れて湿気が侵入してくる壁の隙間

においをどうにかする前に、“においを生む構造”を見直す必要があるのです。

カビのにおいは“構造の盲点”から発生する

|押し入れ・天井裏・床下に潜む、見えない湿気ゾーン


天井裏がカビ臭いときは、断熱材が機能していないかも

ロングテール:天井裏 カビ 臭い/断熱材 むき出し カビ

天井裏から感じるもわっとしたにおい。
その原因は、断熱材や気密層がむき出しのままになっていることが多いです。

  • 気密シートが天井で切れている
  • グラスウールがホコリまみれで機能低下
  • 排気ダクト周りに断熱処理がなく、露点を超えて結露している

この状態では、天井裏に湿気がこもり、カビの温床になります。
においが下の階まで降りてくるのも時間の問題です。


床下からカビ臭がする家は、断熱と防湿が破綻している

ロングテール:床下 断熱材 カビ/床下 湿気 におい

床下断熱材にカビ臭が染み込む原因は、主に以下の3つ:

  • 地面からの湿気が防湿シートで遮断されていない
  • 床下換気が不十分で、空気がよどんでいる
  • グラスウールがたるんで地面に接触し、湿気を吸っている

床下の空気は、実は**家の中に上がってくる空気の“入口”**でもあります。
だからこそ、床下のにおい=室内空気の質に直結するのです。


押し入れ・収納のカビ臭は“通気ゼロ構造”が原因

ロングテール:押し入れ カビ 臭い/北側の部屋 湿気 カビ

特に北側の部屋や階段下、窓のない収納など──
「空気が動かない空間」は、カビのにおいが最もたまりやすい場所。

  • 外壁の断熱が甘く、外気で冷やされて結露
  • 内装材がビニールクロスや合板で、湿気が抜けず飽和状態に
  • 押し入れの中に布団や衣類を詰め込みすぎて空気が停滞

においがこもるだけでなく、布団や衣類そのものにカビ臭が移るようになります。


カビ臭の“発生源”は、空気の流れが止まるところにある

カビのにおいは偶然ではなく、空気と湿気が滞った結果として現れます。
つまり、家の中でにおいを感じたときは、その場所の構造と空気の動線を疑うべきなのです。

次章では、こうした見えないリスクをどう特定し、どう対策すればいいのか?
DIYでもできる「においの観察法」について、3つの視点から具体的にお話しします。

においを見抜く“3つの視点”|カビ臭の原因を特定する観察術


観察①|「においがする“時間帯と場所”」を記録してみる

ロングテール:カビ臭い 時間帯/家 におい 場所

カビのにおいは、一日中一定ではありません。
特に以下のようなタイミングで強く感じやすくなります:

  • 朝起きたとき(=夜間、換気が止まり湿気がこもる)
  • 雨の日や気温差の大きい日(=結露が発生しやすい)
  • 押し入れや収納を開けた瞬間

こうした“においが立ち上がる時間と場所”をメモしていくことで、
構造的な原因エリアが浮かび上がってくることがあります。


観察②|「布団や衣類ににおいが染みていないか」を嗅いでみる

ロングテール:布団 カビ臭い/押し入れ 衣類 カビ 臭い

においの発生源が収納内部や壁の裏側だった場合、
その空間にある布製品が“においのセンサー”になります

  • 布団が土臭いようなにおいになってきた
  • 衣類を着ると違和感がある
  • クローゼットにこもったにおいが服に移っている

これは空気中にカビ胞子が漂っているサイン。
素材が吸い取ったにおい=空気汚染の証拠として見落とさずにチェックしましょう。


観察③|「サッシまわり・換気口まわり」に触れてみる

ロングテール:サッシ 周り 結露/換気口 カビ臭い

カビの発生源として盲点になりやすいのが、
窓まわりや換気口の“周辺構造”です。

  • サッシ枠の周囲がいつも湿っている
  • 換気口の周りだけ結露していたり、黒ずみがある
  • 換気扇の吹き出し口からカビ臭がする

これらは「空気と湿気の流れがうまくいっていない場所」で、
結露 → カビ → においというプロセスが進んでいる可能性が高いです。


においは「目に見えない問題」を知らせる“初期信号”

家のにおいに違和感を覚えたら──
それは単なる不快感ではなく、設計の破綻を知らせる小さなサインかもしれません。

生活の中で“感じること”には、いつも意味がある。
カビ臭という感覚を手がかりに、見えない問題に気づいていくこと。
それが、健康で快適な空気を取り戻す第一歩になります。

こちらの記事は重要です↓

空気が整えば(結露が減れば)においは消える

|“感覚”が変わると、暮らしはもっと軽やかになる


においが消えると、呼吸が変わる

何もしていないのに、家の中がスッと感じる。
深く息を吸える。布団に入ったとき、ほんのり木のにおいがする。
それだけで、「帰ってきてよかった」と思える。

実はこれ、空気と湿気の設計が整った家でよく聞く言葉なんです。
カビ臭や重たい空気がなくなると、家の中の“肌ざわり”そのものが変わる。
それは快適性の問題ではなく、身体と心の反応なんです。


カビの原因は“掃除不足”ではない

多くの人が、「カビ=掃除不足」だと思っています。
でも、現場にいる僕たちは知っている。
原因は、湿気と空気が抜けない構造にあるということを。

どんなに素材が良くても、
どんなにきれいに暮らしていても、
空気が滞っていたら、においは生まれる。

だからこそ、“においを感じなくなった”という体験は、
掃除ではなく、空気の設計が変わった証拠なんです。


空気の質が変わると、暮らしは整っていく

・朝起きたときに喉がスッとしている
・子どもが布団から出るのを嫌がらなくなった
・押し入れを開けてもにおわない

こうした変化は、数字では表せないけれど、
暮らしの満足度をじわじわと底上げしていくものです。

においが消えると、生活の“感覚のノイズ”がひとつ減る。
空気が整うと、素材の香りがわかるようになる。
それはつまり、「家ともっと仲良くなれる」ということかもしれません。

まず“においのサイン”に気づくことから

|空気の質は、自分の感覚で取り戻せる


においは「あなたの感覚」が最初に気づくセンサー

設計の知識がなくても、建築の専門家でなくても──
「空気がなんとなく重い」「押し入れがカビ臭い」
そんな小さな違和感に、最初に気づけるのは住んでいる“あなた”だけです。

五感は、家の不調にいち早く気づくセンサー。
においは、その中でももっとも鋭くて、嘘をつかない。

「気のせいかも」で済ませてきたその感覚は、
住まいの空気が崩れ始めた“最初のサイン”かもしれません。


✅においチェックから始める10ステップ

今すぐできる、カビ臭チェックの第一歩を──
✅ カビの匂いチェック表|見えないカビの存在を見抜く10のサイン

□ 部屋に入った瞬間、**「古い本のような匂い」**がする

→ カビ特有の**MVOC(揮発性有機化合物)**のサイン。鼻が慣れると気づきにくいので、来客の反応も参考に。

□ クローゼットや押し入れにこもった臭いがある

→ 衣類や布団はカビの温床。換気不足+湿度の蓄積が原因に。

□ 朝起きると、枕や寝具がなんとなく湿っている

→ 寝汗と室内湿度が結露を生み、マットレス下などでカビが進行している可能性。

□ 壁際に置いた家具の裏からカビ臭がする

→ 壁との間の空気が動かず、壁体内結露が起きやすいゾーン。

□ 湿気が多い季節になると、匂いが強くなる

→ 外気よりも室内湿度が上がりすぎている可能性。換気計画の見直しが必要。

□ 浴室や脱衣所のタオルが乾きにくい&臭う

→ 換気扇の能力不足や、24時間換気の逆効果があるかも。

□ エアコンをつけるとカビの匂いがする

→ エアコン内部の熱交換器やドレンパンにカビ発生。フィルター掃除だけでは不十分。

□ 靴箱や玄関が土臭い・湿気臭い

→ 玄関土間コンクリートが吸湿している構造上の問題が考えられる。

□ 子どもや家族が咳やアレルギーを訴えるが原因不明

→ 室内空気中にカビの胞子が浮遊しているケースも。

□ 窓や壁に目に見えるカビはないのに匂う

→ 「見えない場所」(床下・天井裏・壁内)で進行している可能性が高い。


▶ 次に読むべき記事はこちら

空気は、取り戻せる

カビ臭を消すには、芳香剤ではなく空気の設計を見直すこと。
でもその第一歩は、あなた自身の“気づき”から始まります。

小さな違和感を、見過ごさないでください。
そこから、家の空気は変わっていきます。

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