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耐震リフォームだけでいい?断熱リフォームと一緒にやるべき理由

耐震だけで、本当にいいのか?──誰も教えてくれない“断熱との関係”

「耐震リフォームを考えているんです」
そう話してくださる方の多くが、その先の問いには、まだたどり着いていません。

「耐震だけで、本当にいいんですか?」

地震が心配だから、構造を強くしたい。
それは、命を守るためにとてもまっすぐで、正しい判断です。

ですが、その“壊す工事”を、ただ耐震だけで終えてしまっていいのか。

そこにほんの少し断熱施工も加えるだけで暮らしの体感温度も向上させることができます。

耐震補強は、壁を開け、床を剥がし、梁をあらわにする作業です。
そこには、同時に「断熱を入れる」「空気の通り道を整える」「生活環境を根本から見直す」
もう一つのリノベーションの入り口が、静かに開いています。

ですが、多くの人がその入口に気づかないまま、
耐震工事だけを終え、
「また別で断熱やるのもなあ…」と、
二度と戻れない“閉じた壁”を見つめることになります。

耐震リフォームと断熱リフォームは、工事範囲が“重なる”

耐震と断熱は、まったく別の話のように思われがちです。
でも実際の現場では──その多くが“同じ場所”を工事しています。

壁の中、床下、天井裏──開ける場所はほとんど同じ

耐震補強をする場合、たいていはこうした箇所を開口します:

  • 柱と柱の間(耐力壁の追加・筋交い補強)
  • 床下(基礎補強・土台接合の金物設置)
  • 天井裏(梁・軸組の補強)

そして、断熱工事もまったく同じ部位を対象とします:

  • 壁の中に断熱材を充填する
  • 床下にグラスウールやパネルを設置する
  • 小屋裏に断熱材を吹き込む、敷き詰める

断熱だけをあとから…は“物理的に非効率”

「とりあえず耐震だけやって、断熱はまた考えます」

この判断が、実は最もコストと手間を生むパターンです。

  • 壁をもう一度剥がす→クロスや左官もやり直し
  • 断熱材を入れるために、補強済みの構造に再び干渉
  • 工期も費用も、二重に膨らむ可能性

「快適さ」は“贅沢”じゃない──断熱も命を守る性能です

断熱リフォームと聞くと、多くの人がこう感じます。

「あったかくなるのは魅力だけど、贅沢じゃない?」
「うちは耐震が先。断熱は余裕ができたら…」

でも本当にそうなんでしょうか?

家の寒さは“我慢できる不快”ではなく、“命に関わる負荷”

断熱の弱い家は、

  • 床下からの冷気(ヒートブリッジ)
  • 壁内結露 → カビ → アレルギー/喘息
  • 部屋ごとの温度差(ヒートショックの危険)

こうした目に見えないストレスや健康リスクを抱えています。

耐震が「地震のときの命を守る」ものだとすれば、
断熱は「毎日の暮らしの中で命を守る」存在です。

  • 高齢者の冬季死亡リスク
  • 赤ちゃんの夜間体温低下
  • 冬のトイレ・洗面所の急激な温度差(ヒートショック)

これらは、すべて「断熱不足の家」で起きている現実です。

部分改修と全体最適の“あいだ”をとる──断熱×耐震リフォームという設計

「全部まとめてやるのは、さすがに大変そう」
「断熱も気になるけど、予算が…」

そう感じるのは当然のこと。
だから私たちは、“一度で全部やるべき”とは言いません。

でも、その工事が「何のために、どこを、どう壊すのか」を考えるなら──
断熱リフォームと耐震リフォームを“別々に扱うことの非効率さ”にも、気づいていただけるはずです。

いまできる範囲”と将来やる範囲”を分けて設計する

町家の補強やリノベーションでは、こんな進め方が可能です:

  • 【今やる】
     → 耐震補強+断熱が必要な壁面だけを同時施工
     → 寝室・水回り・北側の床など、寒さが危険なエリアに断熱を優先
  • 【将来やる】
     → 外観を変えたくない面/住んでいない2階/使用頻度の低い納戸など
     → 耐震補強だけして、断熱はあとで入れられるよう“準備”だけしておく

壊すイメージを捨てる

たとえば:

  • 耐力壁を補強するために壁を開ける
     → そのときに断熱材の挿入用スペースも確保しておく
  • 根継ぎした柱の周辺を仕上げる
     → 気密処理をあとからでも追加しやすい納まりにしておく
  • 天井裏を補強した
     → 将来的に吹込み断熱ができるよう、配線・開口を整理しておく

僕のおすすめ記事

耐震リフォームや断熱リフォームと聞くと全てを壊すようなイメージを持たれる方も少なくありません。
僕たちが進めるの、壊さずにしっかりと補強していくこと。
壊すっていうネガティブなイメージではなく、しっかりと補強するために部分的に新しくしていこう。
ポジティブなイメージを持っていただくようにしています。

守るだけの家から、暮らしやすい家へ

耐震リフォームは、住まいを守るためのもの。
それはもちろん正しい。

でも、私たちはその一歩先に、こんな問いを投げかけたいのです。

「あなたが本当に望んでいるのは、“壊れない家”だけですか?」

町家に暮らすということは、
ただ“残す”ことではなく、“今の暮らしに合う形で活かす”こと

  • 寒さで朝起きるのがつらい
  • 洗面室がヒヤッとするたびに足元が冷える
  • 子どもが風邪をひきやすいのは家のせいかもしれない

そんな毎日のストレスを、
構造と環境の両方から整える──それが、断熱と耐震の“リノベーションとしての融合”です。

リノベーションは「性能」を上げることではない。「生き方」を見直すこと。

耐震リフォーム+断熱リフォームで得られるのは、
安全・快適・経済性、だけではありません。

  • 仕事から帰ってきてホッとできる空気
  • 家族が風邪をひかなくなった季節の変わり目
  • 年を取っても、1階だけで快適に暮らせる安心感

それはすべて、「壊すついで」に得られるものではなく、
「暮らしやすい家をつくりたい想い」があって初めて届く暮らしの変化
です。

壊すなら、未来につながる壊し方を──そのために、いまできること

ここまで読んでくださったあなたは、きっとこう思っているのではないでしょうか。

「たしかに…耐震だけで終えるのは、もったいないかもしれない」
「でも、全部一気にやるのはやっぱり不安だ」
「私の家でも、できるのかな?」

大丈夫です。
この問いが生まれた時点で、もうあなたは未来への再設計を始めています。

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耐震リフォームは、壊す工事です。
でも、その“壊す瞬間”は、未来をつくりなおせる貴重なチャンスでもあります。

「せっかく開けた壁に、命を守る断熱を一枚だけ加える」
「その一手間で、10年後の暮らしが変わる」

その可能性を、どうか見落とさずにいてください。

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