家づくりの雑学

耐震と断熱リフォームを同時にやるべき理由と費用の話

聞かせてください。「耐震リフォームだけで、本当にいいですか?」

「地震が心配だから、耐震リフォームを考えているんです。」

そう話してくださる方の気持ち、僕たちも痛いほどよくわかります。家族の命と財産を守るための、最もまっすぐで、正しい選択です。

ですが、その大切なリフォームの場で、僕たちはいつも、ある「もったいない」と感じる瞬間があるんです。

それは、せっかくの貴重な工事を、「耐震補強だけで終えてしまうこと」

地震への備えは万全になりました。でも、その家は、毎日の寒さや結露から、ご家族の健康を守れているでしょうか?

「あとから断熱を…」が、最もコストを高くする真実

多くの方が、耐震工事を終えたあとで、こう口にします。

「家の中の寒さが全然変わらない…やっぱり断熱もやればよかった。」

「もう一度、壁を開けるのは嫌だ…」

この「もう一度」が、実は最もコストと手間を生むパターンなんです。

壁を剥がし、床を剥がし、梁をあらわにする。この「壊す工事」の瞬間は、同時に「未来をつくりなおせる最高のチャンス」でもあります。

そこにほんの少し断熱リフォームの視点を加えるだけで、二重の費用と手間をかけずに、安全で快適な暮らしを手に入れる道が、静かに開いているんです。

誰も教えてくれない「工事の裏側」のお話。

【真実】耐震リフォームと断熱リフォームは、工事の場所が「9割かぶっています」

耐震リフォームと聞くと「構造」、断熱リフォームと聞くと「快適」と、まったく別の工事のように感じますよね。

でも、実際の現場で職人が手を入れ、壁を壊す場所は、その大半が完全に重なっています

耐震工事と断熱工事が重なる場所

部位耐震でやること断熱でやること
壁の中柱と柱の間に、筋交いや耐力壁を設置する。その柱と柱の間に、断熱材を隙間なく充填する。
床下基礎の補強や、土台と基礎の接合に金物を設置する。床下に断熱材(グラスウールや高性能パネル)を敷き詰める。
天井裏梁や軸組に補強金物を設置する。小屋裏に断熱材を吹き込み、熱の出入りを防ぐ。

どちらの工事も、「壁や床を一度開ける」という初期段階が必要不可欠なんです。

2. 「とりあえず、あとで」が、二重の費用を生むメカニズム

「とりあえず耐震だけやって、断熱はまた考えます」

この判断が、なぜ最もお金と手間を増やすことになるかご存知でしょうか?

それは、壁の仕上げ材工期に関わってきます。

あなたが二重で払うことになる費用

  1. 解体・内装費用が二重に:
    • 耐震工事で一度剥がしたクロスや左官壁を、元通りに仕上げます。
    • 数年後、断熱工事をするために、もう一度その壁を剥がし、断熱材を入れてもう一度仕上げ直す
    • 剥がす手間仕上げる材料費も、すべて二重にかかります。
  2. 足場代・共通費の無駄:
    • 耐震工事(特に外壁側)で組んだ足場を、断熱工事のために数年後もう一度組み直す必要があります。
    • 現場監督の手配や仮設工事費など、工事の「共通費」も、別々にやることでそれぞれ発生します。
  3. 構造への干渉リスク:
    • 耐震で設置した筋交いや金物を避けながら断熱材を入れたり、断熱のために補強済みの構造に再び手を加える必要が出たりと、現場での手間が格段に増えてしまいます

この「壁を一度開けた」という貴重な機会を逃すのは、家計にとっても、工事の効率性から見ても、非常にもったいない選択と言わざるを得ません。

快適さは“贅沢”じゃない。断熱は「命を守る、日々の性能」です。

実際の工事画像

3. 寒い家がもたらす「目に見えないストレス」

断熱リフォームと聞くと、「あったかくなるのは魅力的だけど、贅沢品じゃない?」と感じるかもしれません。

ですが、僕たちは断言します。断熱は、贅沢品ではなく、命と健康を守るための、いま最も必要な「インフラ」です。

家の寒さは、単なる不快さではなく、ご家族の健康を蝕む「リスク」だからです。

寒い家で起きている「健康リスク」の現実

  • ヒートショックの危険:
    • 暖かいリビングから、急に冷え込んだトイレや洗面所へ移動したときの「ヒヤッ」。この急激な温度差は、心臓や血管に大きな負担をかけます。特にご高齢の方にとって、命に関わる原因です。
  • アレルギー・喘息の原因:
    • 断熱が不十分な壁の中や床下では、「壁内結露」が発生します。これがカビを呼び、住まい全体にアレルギーや喘息の原因をまき散らしてしまうのです。
  • 日々のストレスと疲労:
    • 朝、寒くて布団から出られない。床下からの冷気で足元が冷え切る。こうした「我慢できるけれど不快なストレス」は、知らず知らずのうちに家族の免疫力や活力を奪ってしまいます。

4. 耐震リフォームが「非日常」の守りなら、断熱リフォームは「日常」の守り

耐震リフォームは、「地震という非日常の脅威」から一瞬で命を守ります。これはもちろん最優先です。

一方で断熱リフォームは、「365日、毎日24時間」ご家族を寒い外気から守り、健康で快適な生活を支え続けます。

耐震の強化と、健康な空気環境をセットで手に入れること。これが、これからの時代、家づくりで最も大切な「安全のスタンダード」だと僕たちは考えています。

賢く、安心できる「リフォームの部分最適」の進め方

5. 「リフォームで全部壊す」イメージを捨てましょう。僕たちは部分リフォームを活かします。

「耐震リフォームと断熱リフォームをセットで」と聞くと、すべてを解体する大掛かりな「スケルトンリフォーム」を想像し、予算に不安を感じるのは当然のことです。

しかし、僕たちは「全てを壊す」必要はないと考えています。

Greener’s Houseがご提案するのは、費用と効果のバランスを考えた、「部分改修を最大限に活かす」設計です。

予算を抑えるための「賢い進め方」

  • 【今やる範囲】を絞り込む:
    • 耐震補強が必要な壁面と、健康リスクの高いエリア(寝室、水回り、北側の部屋)をリストアップし、このエリアに限り、耐震リフォームと断熱リフォームの同時施工を優先します。
  • 【将来やる範囲】は準備だけ:
    • 予算的に余裕のないエリアや、使用頻度の低い場所は、耐震補強だけを行います。ただし、その際、**「将来、断熱材を入れやすいように」配線や納まりを整理す準備”だけは確実に行っておきます。

こうすることで、一度の工事で「命と健康の最低限の安心」を手に入れつつ、予算の重荷を感じることなく、長期的な計画を立てることができるのです。

6. 壊す瞬間は、未来をつくりなおせる「最高のチャンス」

リフォームやリノベーションは「性能」を上げるだけではありません。それは、「これからの生き方」を見直すことです。

  • 仕事から帰ってきて、ホッとできるきれいな空気の中で深呼吸ができる。
  • 家族が季節の変わり目に風邪をひかなくなった。
  • 年を取っても、1階だけで安心して快適に暮らせる。

これらはすべて、耐震リフォームの「壊すついで」に、「暮らしやすい家をつくりたい」という想いがあって初めて届く、未来の暮らしの変化です。

「せっかく開けた壁に、命を守る断熱を一枚だけ加える」

その一手間が、ご家族の10年後の健康と、家の資産価値を大きく変えます。その可能性を、どうか見落とさずにいてください。

あなたの想いを、直接聞かせてください

ここまで読んでくださったあなたは、きっとこう思っているのではないでしょうか。

「たしかに…耐震だけで終えるのは、もったいないかもしれない。」

「でも、私の京町家(あるいは古い家)でも、できるのかな?」

大丈夫です。この疑問が生まれた時点で、もうあなたは、ご家族の未来への再設計を始めています。

私たちは、「小さい家専門」の建築士として、あなたの不安に寄り添い、コストと効果のバランスが最も取れる最適な道筋を一緒に探します。

まずは、あなたの家への想いを、僕たちに直接聞かせてください。

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