中古リノベ断熱|気密暮らしの工夫

うなぎの寝床は暮らしにくい?|京町家の間取りを活かす動線設計

中古リノベ
この記事は約10分で読めます。
  1. 細長いこの家で、ふと立ち止まった夜に
    1. 僕も思うんです。「町家らしさ」って、我慢じゃない
  2. もしかしたら、「間取り」と「暮らし」がすれ違っているだけかもしれない
    1. 生活の中心が“点在する”と、動線は途切れる
    2. 動線が断絶していると、“暮らし”が止まる
  3. 細長さ=不便ではない。むしろ「流れ」を生む構造かもしれない
    1. 光が届かないのは、「抜け」がないから
    2. 風が抜けないのは、「出口」が設計されていないから
    3. 間取りは、「分断」ではなく「つながり」として捉え直せる
  4. “うなぎの寝床”は、暮らしを導く線になる
    1. まずは「朝の行動」を軸に、動線を見直してみる
    2. 「一直線」じゃなくて、「回遊性」が暮らしをラクにする
    3. 暮らしを邪魔する“動線の敵”を取り除く
  5. この細長さは、不便じゃなくて「流れ」をつくるチャンスだった
    1. 風の道は、ただの「隙間」じゃない。“通す設計”が必要なんです
    2. 感じる暮らしは、性能で支えられる
    3. 「四季を感じる家」は、自分らしさを取り戻す家
  6. 家を変えるって、大きな決断に見えるかもしれない
    1. まずは、「暮らしにくい」と思っている場所を見つめてみてほしい
    2. だから、求めてほしいのは「答え」じゃなくて「会話」
  7. いま行動してほしいのは、「次の記事を読むこと」です
  8. ▶︎ 次に読むおすすめ記事はこちら
    1. お問合せはこちら|あなたの想いを、直接聞かせてください
    2. Kindle書籍|深呼吸したくなる家はくらしをどうかえるのか。
    3. 無料PDF|工務店の頭の中~家づくりの本質は、価格の内側にある~
    4. note|現場の言葉と想いを、より深く綴っています

細長いこの家で、ふと立ち止まった夜に

夜、寝室に向かう途中、
狭い廊下を抜けて、奥の部屋まで歩いていく。
途中で気づく——あ、電気を消し忘れた。
引き返す足取りが、少しだけ重たい。

「京町家って、こういうもんだよね」
自分にそう言い聞かせてきた日々。

でも、ふとした瞬間に——
こんな気持ちが心の奥から、顔を出すことはありませんか?

「この暮らし、ずっとこのままなんだろうか?」
「変えられないって、決めつけてるのは自分かもしれないな」って。

僕も思うんです。「町家らしさ」って、我慢じゃない

京町家の“うなぎの寝床”。
それは確かに、京都らしさの象徴でもあるけれど、
同時に——今の暮らしには、少しだけ不便なところもある。

暗い、遠い、動きづらい。
その一つひとつが、少しずつ“暮らしにくさ”になっていく。

でもね、僕は思うんです。
「町家らしさ」って、我慢のことじゃないと。
それって、あなたの感性や暮らしの心地よさを、
もっと大事にしていいってことなんじゃないか、って。

もしかしたら、「間取り」と「暮らし」がすれ違っているだけかもしれない

この家が悪いわけじゃない。
あなたが悪いわけでも、もちろんない。

ただ、今の暮らし方と、昔の間取りが、すれ違っているだけかもしれません。

昔の町家には、昔の暮らしが似合っていた。
でも今、あなたの時間の使い方や、過ごし方が変わったなら——
その暮らしに合わせて、間取りを“読み直す”こともできるんです。

そう思えるだけでも、ちょっとだけ、
この家との向き合い方が変わってくる気がしませんか?“昔の家”と“今の暮らし”は、同じテンポでは動けない

京町家の間取りは、
かつての商いと住まいが一体となった構造から生まれています。

表にはお店や仕事場があり、
その奥に、家族の暮らす空間が続いていく。
細長い形は、まさにその名残です。

昔はそれでよかったんです。
誰かが家の前で働き、誰かが奥でご飯をつくる。
廊下は、そのふたつをつなぐ“通路”であり、
“区切り”でもありました。

でも今——
家の中にあるべき役割は、変わってきていますよね。

生活の中心が“点在する”と、動線は途切れる

例えば、寝室は奥。
洗面所は真ん中あたり。
キッチンは手前にあるけれど、食事は奥で取っている。

こうした“点”のようにバラバラな配置が、
暮らしの中で何度も何度も、往復を生み出します。

それが重なると、ちょっとした“動きの面倒くささ”になる。

「わざわざ行かないといけない」
「戻るのが億劫になる」
「ちょっと寒い日は、やめておこうかな」

——そうやって、小さな我慢が日常に溜まっていく。

でもそれは、「家が悪い」というよりも、
今の生活スタイルと間取りの“設計思想”が噛み合っていないだけなんです。

動線が断絶していると、“暮らし”が止まる

暮らしって、実は「流れ」なんです。

朝起きて、顔を洗って、着替えて、コーヒーを淹れて。
一つひとつの動作が、スムーズにつながっていると
心もからだも軽やかになります。

でも、動線が断絶していたら?

その流れがプツンと切れて、
「面倒くさい」が毎日の中に増えてしまう。

それが積もると——
暮らしの質そのものが、下がってしまうんです。

だから、
「この家、住みにくいな」って感じていたのは、
あなたの感性が正しかった証拠でもあるんです。

次の章では、その感性に応えるために、
この“うなぎの寝床”という構造をどう読み解くかを、
設計者の目線で深掘りしていきます。

細長さ=不便ではない。むしろ「流れ」を生む構造かもしれない

「奥まで遠い」
「光が届かない」
「風が抜けない」
——細長い町家のよくある悩みです。

でも、逆に言えば、
この「奥行きのある形」は、暮らしのリズムを整えるチャンスでもあるんです。

なぜなら、
細長さ=直線的な動線=流れが生まれる構造だから。

うまく設計すれば、
生活行為が自然とつながっていく「導線」になる。

つまり、細長さは「暮らしにくさ」じゃなく、
暮らしを整える“フレーム”にもなり得るということ。

光が届かないのは、「抜け」がないから

「うなぎの寝床って、奥の部屋が暗いよね」とよく言われます。

でも、それは光の問題ではなくて——
“抜け”の設計がされていないから

中庭、坪庭、ハイサイドライト(高窓)……
視線や光の“通り道”を設けるだけで、家の奥まで明るさは届く。

細長いからこそ、
その“抜け”が活きる余白があるんです。

風が抜けないのは、「出口」が設計されていないから

風通しも同じです。

「夏、蒸し風呂みたいになるんです」
「エアコンの効きも悪くて…」

でも実は、風って、“入口”だけでなく“出口”が必要なんです。

どこから空気が入り、どこへ抜けるか。
そのルートが設計されていないと、空気は滞る。

町家は、素材的には風を感じやすい家なんです。
ただ、空気の“通り道”を後から設計してあげることが必要になる。

間取りは、「分断」ではなく「つながり」として捉え直せる

部屋と部屋を「区切り」として見るか、
それとも「緩やかな流れの連続」として見るか。

——それだけで、設計の考え方は大きく変わります。

たとえば、収納をあえて部屋の真ん中に置く。
あるいは、中庭を介して2つの空間を“感覚的に”つなぐ。

暮らしは“線”で動く。
その線がうまくつながれば、町家の細長さはデメリットになりません。

むしろ、
自分らしい暮らしのリズムを形にできる、唯一の間取りになるんです。

“うなぎの寝床”は、暮らしを導く線になる

細長い町家に暮らしていると、
どうしても「動きづらさ」を感じやすいものです。

でもそれは、動線が“途切れている”から。

生活動作を、どうつなげるか。
それだけで、驚くほど暮らしの快適さは変わってきます。

まずは「朝の行動」を軸に、動線を見直してみる

例えば——

  • 起床
  • 洗顔
  • 着替え
  • コーヒーを淹れる
  • 朝食をとる

この朝の流れ。
どこかで引っかかる動作があるなら、それは「動線が断絶している」サインかもしれません。

町家の構造では、洗面所とキッチンが離れているケースも多い。
廊下をまたぐことで、移動がストレスになることも。

こうした“日常の流れ”に合わせて、
空間の配置や役割を再構築することが、町家再生の第一歩になります。

「一直線」じゃなくて、「回遊性」が暮らしをラクにする

町家の細長さに、もうひとつの軸を通す。
たとえば、寝室から洗面・クローゼット・キッチンへと“ぐるりと回れる”動線。

  • 朝はAルート
  • 夜はBルート

そういった時間帯による“行動の選択肢”を持てる動線があるだけで、
暮らしは軽くなる。

直線的な構造に、ひとつの“輪”を挿入する
それだけで、空間の使われ方は驚くほど柔らかく変わります。

暮らしを邪魔する“動線の敵”を取り除く

  • 段差
  • 見通しの悪さ
  • 収納の使いづらさ

これらはすべて、“動線の敵”です。

段差は身体的ストレス、
見通しの悪さは心理的ストレスを生む。

たとえば、収納棚を“通せんぼ”のように配置してしまうと、
家全体の流れを止めてしまうこともある。

だからこそ、町家のリノベーションは——
「家事動線・生活動線・感性動線」の3つを同時に整える設計が必要なんです。

この細長さは、不便じゃなくて「流れ」をつくるチャンスだった

「奥まで遠くて使いにくい」
「真ん中の部屋はいつも暗い」
「風がこもってジメジメする」

——うなぎの寝床と呼ばれる京町家に、そんな声は多くあります。
でも、僕は思うんです。
この細長さこそ、風と光と暮らしの“流れ”をつくれる構造じゃないかって。

細長い空間は、一見すると動線も空気も途切れがちに見えます。
でも実は、“線”を活かすことで、暮らしの質を高める設計ができる構造なんです。

風の道は、ただの「隙間」じゃない。“通す設計”が必要なんです

町家の奥に風が届かない理由。
それは、風の「入り口」があっても、「出口」がないからです。

でも町家は細長いからこそ、風の通り道を計画的につくりやすい
通り庭、中庭、天窓、吹き抜け、高窓……
たとえ壁が多くても、風が“導線”として流れるように設計し直せば、
空気は必ず動き出す。

そして、断熱・気密・換気の三原則が整っていれば、
風を取り込んでも冷えすぎない。
湿気や埃も、一緒に外へ排気できる。

つまり、“うなぎの寝床”の細長さは、風と暮らしが共存する“舞台”になるんです。

感じる暮らしは、性能で支えられる

「風を感じたい」
「朝の光で目覚めたい」
「夜の雨音に耳をすませたい」

そう思うのは、感性の話。
でも、それを叶えるには構造が必要です。

感性を守るために、断熱・気密・換気がある。
快適性と情緒は、両立できる。むしろ、それが理想の家です。

たとえば、朝。
高窓から入ってくる光と、静かに流れる空気が、
その日を「ちゃんと始めよう」と思わせてくれる。

町家にそういう“時間の質”を与えるには、
性能がどうしても必要になる。

「四季を感じる家」は、自分らしさを取り戻す家

日本には、はっきりとした四季があります。
春の霞んだ光、梅雨の湿気、夏の夕立、秋の虫の音、冬の静けさ。

でもいつの間にか、
そういうものを「生活に影響するノイズ」として切り捨ててきたようにも思うんです。

でも僕は、
“うなぎの寝床”という構造だからこそ、四季を美しく取り込める家になると思ってる。

長く伸びる空間に、
時間と空気と光の流れをつくる。

その中で、自分の感覚が研ぎ澄まされ、
何気ない暮らしの中に「自分らしさ」を感じられるようになる。

町家は、「我慢する家」じゃなくて「感じる家」になれる。
僕たちは、その再設計を一緒に考えていきたいと思っています。

家を変えるって、大きな決断に見えるかもしれない

「リノベって、なんだか難しそう」
「お金もかかるし、失敗したくない」
「そもそも、何から始めたらいいかわからない」

——そんな風に感じて当然です。

特に、“うなぎの寝床”のような古い町家になると、
「構造が特殊で手をつけにくい」と感じてしまう人も多い。

でも、僕は伝えたいんです。
“家を壊さず、今の暮らしを少しずつ整えていく”という選択肢もあるということを。

まずは、「暮らしにくい」と思っている場所を見つめてみてほしい

朝、動きづらい。
夜、寒い。
収納が不便。
風が通らない。
どこか使いにくい。

——その「ちょっとした不快」は、
**“あなたの暮らしに対するセンサーがちゃんと働いている証拠”**です。

そこに、設計や素材や性能を掛け合わせて、
暮らしやすさを作っていくのが、僕たちの仕事です。

だから、求めてほしいのは「答え」じゃなくて「会話」

「どうすればいいか、わからない」
——それで大丈夫です。

いまの段階で正解を持っている必要なんて、ありません。

ただ、**「もっとこうだったらいいのに」**という気持ちだけでいい。
それを言葉にするところから、リノベーションは始まります。

「うちの家、どう思いますか?」
「リノベって必要ですかね?」

——そんな問いかけから、僕たちはお手伝いを始めています。

いま行動してほしいのは、「次の記事を読むこと」です

無料相談——
正直に言うと、ハードルが高いと感じる人も多いと思います。
費用のこと、期間のこと、工事中のこと……
たくさんの不安が出てくるのも、当然です。

だからこそ、
まずはもう一つ、次の記事を読んでみてください。

  • 暮らしやすい動線の考え方
  • 町家での断熱計画の基礎
  • 自然素材がつくる空気感の話

それらの記事は、
あなたの「こうしたい」を整理するヒントになるはずです。

▶︎ 次に読むおすすめ記事はこちら

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