中古リノベーションを考える省エネ住宅のつくりかた

朝、洗面室が寒すぎてつらい|家の“温度のバラつき”はなぜ起こる?


朝の洗面室、足元の冷気に震える

寒い朝、布団から出て、洗面室へ──
顔を洗おうとした瞬間、床から伝わる冷気に思わず身をすくめる。

リビングは暖かい。
寝室もまだ大丈夫だった。

なのに、なぜこの空間だけこんなにも寒いのか?


“断熱の偏り”が生む温度ストレス

この「洗面室だけ異様に寒い」現象は、実は多くの家で起きています。
そしてその主因は、

断熱の“厚み”ではなく、“配置”と“連続性”の不整合

にあります。

家全体が同じ断熱仕様で設計されていない。
つまり、どこかに“断熱欠損”がある。
そしてそのギャップこそが、“寒い部屋”を生む正体なのです。


【なぜ洗面室が寒くなるのか?】

  • 小面積ゆえの見落とし:スペースが狭いために断熱施工の優先度が下がりがち。
  • 外気との接点が多い:外壁に面していて窓が小さい or ないため、日射取得ができない。
  • 換気扇の存在:湿気排出のための24時間換気で、空気が常に引き出されている。
  • 負圧による冷気の流入:換気によって負圧になり、すき間から冷気が引き込まれる。

🧊 洗面室が寒くなる原因と対策(比較表)

原因詳細説明対策のヒント
外気に接する面が多い壁・床・天井が外部に面している/窓が小さく日射取得がない外壁面全体に断熱材を施工/日射取得できる窓の検討
換気扇による空気の引き抜き湿気を排出するが、同時に冷気を引き込む負圧状態になりがち換気量と吸気経路のバランス設計
断熱の“孤立”隣接空間と断熱仕様が異なることで、熱が逃げる隣接空間と連続した断熱ラインを確保
床断熱の不十分さ冷え込みが体感しやすい“足元”に影響床の断熱強化/下地からの断熱施工
熱源の不在暖房の熱が届かない or そもそも暖房設備がない小型の補助暖房の設置/間仕切り開放による熱循環の改善

暮らしと断熱の“整合性”を忘れてない?

洗面室が寒いことで起きるのは、単なる「一瞬の冷え」ではありません。

  • 朝、寝室→洗面→キッチンへ移動する“生活動線”の中で温度差が大きいと、
  • ヒートショック、血圧変動、身体の緊張といった身体的ストレスがかかります。

つまり、動線と空間ごとの断熱バランスのズレが暮らしの快適性を損ねているということ。

これは「洗面室だけ断熱すれば良い」という単純な問題ではありません。


失敗しない断熱再設計のヒント

部分断熱を検討する際のポイントは、

“場所”ではなく、“断熱のバランスと整合性”を設計すること

具体的な対策:

  • 断熱ラインの連続性を確保:洗面室が孤立しないよう、隣接する空間との断熱仕様を揃える
  • 床断熱の強化:特に床からの冷気対策は体感に直結する
  • 換気と熱の流れをセットで設計:換気扇や通気口の位置と量をコントロール
  • 熱源の配置の見直し:洗面室に適度な熱源があるか?(補助暖房など)

体感から設計を考える

断熱材スペックや厚みも大切ですが、
それ以上に重要なのは、

「どこでどんな暮らしをするか」を起点に設計すること

その視点が欠けると、いくら性能を謳っても体感が追いついてこない家になります。

断熱の再設計は、暮らし方と熱の流れの再定義です。


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