第一章:はじめに ― リノベの予算で「後悔する人」と「納得する人」の差
「予算は限られている。でも、できるだけ理想の暮らしを実現したい」
リノベーションを考える誰もが、きっとそんなふうに思っているはずです。
だけど、実際の現場では――
「お金のかけ方」を間違えてしまって、暮らしづらくなってしまったという声も少なくありません。
たとえば、素材に強くこだわりすぎた施主がいました。
僕はそのとき、「素材も大事ですが、暮らし全体とのバランスも見て考えましょう」と伝えました。
でも、そのご家族は無垢材や天然左官、真鍮金物などの美しい素材にこだわり抜きました。
数ヶ月後、訪問したときにこう言われました。
**「言われていた意味がようやくわかりました」**と。
素足で歩けるはずだった無垢の床に、
「傷をつけないように」「汚さないように」とずっと気を張っている。
来客が集まった披露会では、子どもたちが床に傷をつけてしまい、笑顔よりもため息が先に出たと。
素材に予算をかけることが悪いのではない。
でも、そこにどんな暮らしが乗るのかを見ないと、“美しいだけの檻”を自分たちでつくってしまう。
じゃあ、どうすればリノベの予算で後悔しないのか?
それには、「お金のかけ方に、順番と視点を持つ」ことがとても大事なんです。
この記事では、
僕が日々の現場で大切にしている**「賢い予算戦略の3つの軸」**をお伝えしていきます。
第二章:京都で予算が活きる家づくりとは? ― 暮らしに焦点を合わせる
リノベの相談を受けていて、
「この人、予算の使い方が上手だな」と思う人には、ある共通点があります。
それは、素材や見た目ではなく、“暮らし方”に予算を合わせているということ。
「朝起きて、裸足で歩いても寒くない床がほしい」
「雨が続いても洗濯物がちゃんと乾く空間がほしい」
「友人が遊びに来たときに、気兼ねなくキッチンに立てる間取りがいい」
そうした日々の動作や感情に対して、どう空間が応えるかを、しっかりイメージできている。
だからこそ、デザインや素材に惹かれたとしても、
「それが自分たちの暮らしに本当に必要なのか?」と一度立ち止まって考えられる。
僕が見てきた中でも、予算を“暮らしのための道具”として扱える人は、
満足度も高く、家に対する愛着も続いている印象があります。
逆に、予算を「理想のスペックを詰め込むための手段」としてだけ見てしまうと、
どこかで歪みが出てしまう。
たとえば、設備にこだわっても動線が悪ければ不便だし、
デザインにこだわっても断熱が甘ければ、京都の底冷えには耐えられない。
だから大切なのは、「暮らしを中心に据えた予算配分」なんです。
僕たちが現場で意識しているのは、こういうこと。
- まずは断熱・気密・換気の“空気の質”を整える
- 次に暮らしやすさを左右する「動線・間取り」へ
- そして最後に“素材”や“デザイン”で、心を満たす
この順番があるからこそ、
「住んでみて後悔しなかった」と思える家になる。
第三章:京都リノベの予算配分|僕が実践している3ステップ
リノベの予算配分には、順番があります。
これは感覚ではなく、現場と設計と暮らしをバランスよく整えるための“軸”です。
僕が実践しているのは、この3ステップ:
① 断熱・気密・換気 ― 「空気の質」を最優先にする
まず手をつけるべきは、“見えない部分”です。
京都の冬は、底冷えがきつい。
そして夏は湿気がこもる。
だから、まずは断熱性・気密性・換気計画の精度を上げることが先決。
素材や見た目にいくらこだわっても、
空気が悪い家では、暮らしそのものが疲れてしまう。
それは、僕の経験上、確信を持って言えることです。
② 動線・間取り ― 暮らしの流れを整える
次に考えるのが、暮らしの動きやすさです。
- 朝の支度がバタつかない動線
- 洗濯〜干す〜片付けまでの流れ
- 子どもの勉強と食事がつながる空間設計
こうした“日常の流れ”をスムーズにすることで、時間と気持ちにゆとりが生まれます。
動線が整えば、素材に対する感動も、もっと生きてくる。
③ 素材・デザイン ― 最後に“心を満たす余白”を考える
そして最後に、素材やデザイン。
ここは感性の領域でもあるけれど、最初からここに全予算を投下してしまうと、暮らしの快適さが犠牲になってしまう。
「でも、デザインって不要ですか?」
そんなことはありません。
ただ、美しさは“快適さ”の上に成り立つものだと思うんです。
僕はいつもこう伝えています。
「余白があれば、住みながら“自分たちのデザイン”で埋めていける。
僕たちが全部をデザインしてしまう必要はないんです。」
第四章:節約のために我慢しすぎる前に ― 予算とどう付き合えばいいか?
「少しでも安くしたいんです」
そんな相談を受けることは、本当によくあります。
その気持ちは痛いほどわかる。
ローン、教育費、将来への不安。
家づくりは、夢だけじゃなく、現実と向き合う時間でもあるから。
でも僕は、ただ“節約”だけを目的にしてしまうと、暮らしの満足度が落ちてしまうことがあると感じています。
◉ 後から変えられる部分と、後からでは遅い部分がある
「壁の断熱はあとからはできない。でも、床下断熱は補強できる」
「間取りの抜本変更は難しいけど、棚や収納の増設はできる」
こんなふうに、“あとでできること・できないこと”を見極めるだけでも、
予算配分はずいぶん変わってきます。
それを設計者と一緒に考えることは、とても大切です。
◉ 不安を煽るのではなく、寄り添って決めていく
お金の不安に向き合うとき、
正直言って、「不安を煽って価格を上げることなんて簡単」です。
「ここをやらないと後悔しますよ」
「これは今やっておかないと損です」
そんな言葉で人は簡単に揺らぎます。
でも、僕はそういう手法ができません。
ADHDやASDの自分の特性がそうさせない。
人を追い込んで納得を得ても、そこに信頼や尊敬は生まれないと思うから。
だからこそ、こう伝えるようにしています。
「我慢して予算を削ることも悪くない。
ただ、それが“いつか整えられるように”という前提であれば、
今の暮らしも無理なく楽しめるはずです。」
家づくりに、正解なんてない。
でも、「その人にとっての納得」は、絶対につくれる。
それが僕たちの仕事だと思っています。
第五章:価格は未完成。でも“暮らしの答え”を共につくるために
リノベーションの予算に、完璧な答えはありません。
いくら考えても、どこかに迷いが残るし、
理想を詰め込めばお金は足りなくなる。
不安が先に立てば、削りすぎて後悔する。
それでも僕は、こう思っています。
「価格の答えは、いつだって未完成。
でも、それを“暮らしの答え”に少しでも近づけるために、
僕たちがいるんです。」
◉ 「気楽にいこうよ」って、ちゃんと言いたい
リノベの相談って、どこか構えてしまう。
「ちゃんとしなきゃ」「失敗しちゃいけない」って、気持ちが張る。
でも僕は、もっと肩の力を抜いて考えていいと思っています。
「こんな暮らしがしたい」
「こんな空間だったらいいな」
まずはその“問い”を、シンプルに投げかけてほしい。
未完成でいいんです。
答えを完璧に出してからじゃないと進めないなんて、そんなの無理。
僕たちがいる理由は、その未完成を一緒に形にしていくためなんだから。
◉ 価格の話じゃない。“暮らし”の話を、もっと気軽に。
家づくりって、結局のところ「どんな暮らしをしたいか?」の話です。
価格は、それを叶えるための手段にすぎない。
だから、怖がらなくていい。
答えが出なくても大丈夫。
そのために、僕たちがいる。
「価格は道具。暮らしは本質。
その本質に向かって一緒に進もう。」
それが、僕からのリノベ予算への答えです。
🔗 関連リンク
🔗 京都リノベーション相場のリアルとは?
🔗 断熱と空気設計にこそ予算を使う理由
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