京都で快適に暮らすには?断熱工事に予算を使うべき理由

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第1章:はじめに ― 見えない部分にこそ、本当の“暮らしやすさ”が宿る

家づくりを考えるとき、多くの人は目に見えるものを気にします。
床の素材、壁の色、キッチンのグレード。

でも、実際に暮らし始めてから一番影響を受けるのは、
目に見えない“空気”や“温熱環境”だったりします。

京都という街は、気候が極端です。
夏の湿気は家を蝕み、冬の底冷えは人を悩ませる。
そのふたつが同時に存在するのが、京都の気候のリアルです。

湿気と冷え。相反する要素が同居することで、
設計・施工・素材選びの全てに高度な“整合性”が求められる

僕は、これまで多くの家を設計・監修してきました。
土壁に憧れた施主、自然素材にこだわった人、伝統建築を復元したいという思いに共鳴したこともあります。

でも、どれだけ美しく思想があっても、
人が寒さに震えながら暮らしていたら、それは“暮らし”としては未完成だと僕は思う。

この記事では、
なぜ京都で暮らすなら断熱・気密・換気・風の通り道にこそ、予算と意識を使うべきなのか。
その理由を、現場でしか知り得ないリアルとともに、語っていきます。

第2章:京都の湿気と底冷えが共存する街で、なぜ断熱と気密が必要なのか?

「湿気と底冷え」
このふたつは、気候的には真逆の性質を持っています。
でも京都では、それが季節をまたいで共存するんです。

夏は、湿気で空気が重く、家の構造体まで傷む。
冬は、空気が乾ききって凍えるような冷気が足元からしみてくる。

どちらか一方に対応するだけでは、
快適さも、建物の寿命も守れないのが京都の現実です。

だからこそ、
断熱と気密をセットで設計することが、暮らしの基盤になる。

温度を守るだけじゃない。
空気の流れと質をコントロールしなければ、湿気が壁の中に入り、
やがて断熱材が濡れて、劣化して、カビと共に“家の病気”が始まってしまう。

僕が現場でよく口にするのは、

「断熱は、冷暖房費のためだけにあるんじゃない。家の健康のためにあるんだよ」

それに、もうひとつ大事なことがある。
暮らしている人の“体感”に直結するということ。

どれだけ素敵な素材で仕上げたとしても、
その空間が「冷える」「ムワッとする」だけで、心地よさは一瞬で失われてしまう。

かつて僕の元に相談に来た家族がいた。
自然素材にこだわって、土壁で仕上げた伝統的な住まい。
思想は美しかったし、僕も感動した。

でも、その家族は冬になると、家の中でダウンジャケットを着ていた。

「でも、ありがとうって思ってるんですよ」って、笑ってくれたけれど、
僕はあの言葉を、しばらく忘れられなかった。

思想と現実は、切り分けて考える必要がある。

暮らしとは、**“体で感じるもの”**だから。
だからこそ、断熱と気密は、思想じゃなくて“構造としての責任”なんです。

第3章:風を暮らしに取り込む|日本に四季がある意味を設計に活かす

「風を通す家にしたい」
そう言うと、設計者の中には「高気密時代に窓を開けるなんてナンセンスだ」と言う人もいます。

でも僕は、逆だと思っています。

高気密・高断熱の技術があるからこそ、
“開ける”ことにも意味を持たせられる設計ができる。

京都には四季がある。
春の柔らかい風、梅雨の湿り気を含んだ風、
夏の熱気をはらんだ風、秋の澄んだ風、冬の凍てつく冷気。

そのすべてを味わえる土地に住んでいる。これは“特権”だと、僕は思う。

季節が変われば、風の向きも質も変わる。
それは暮らしの表情が変わるということでもある。

だから僕は、設計のときにはまず、
敷地の風の流れを読み、風の“導線”を空間に描くようにしています。

もちろん、計画換気は大前提です。
でも、自然の風を感じることと、計画された空気環境が共存することは、
決して矛盾しない。

むしろ、その両方があるからこそ、呼吸の質が変わる。

「窓を開けてもいいんだよ」
「その風の質を、空間の質に変えようよ」

そう言える家づくりをしたい。

そして何より──
風が通る家は、時間が通る家でもある。

春の朝、冬の夕暮れ、夏の雨音。
その全部が空気に乗って家の中を流れていく。
そんな暮らしができる空間は、やっぱり豊かだと思うんです。

第4章:断熱・気密・換気は“後回し”にできない理由

「予算が限られているので、断熱や換気はあとから手を入れたいんです」
そんなふうに相談されることがあります。

でも僕は、その言葉に対しては、
はっきりと“NO”を伝えるようにしています。

理由はひとつ。
“暮らしの土台”に手を抜いてしまうと、その上にどんな理想も乗らないから。

壁の断熱は、建ててしまえばもう触れない。
気密の施工は、構造段階でしかできない。
換気計画は、設計初期に組み込まなければ意味がない。

これらは、完成してから“やり直しが効かない”領域なんです。

もちろん、床下に潜って後から断熱を追加することはできる。
機械換気を変えることも、不可能ではない。
でも、そこにはコストが重くのしかかるし、
何より、“住まい手の負担”が大きすぎる。

僕は、自分の中にある人を追い込めない特性ゆえに、
お金の不安を煽って価格を釣り上げるようなやり方は絶対にしない。

でも同時に、
「譲れない一線」があるのも事実。

それが、断熱・気密・換気の三本柱です。

「この3つが備わっていなければ、
どれだけ美しい素材を使っても、それは“飾りにすぎない”」

そういう感覚で、僕はこの領域に向き合っています。

家の空気は、毎日吸っているもの。
寒さや湿気は、毎日感じるもの。
つまりこれは、毎日、身体で感じる“暮らしの質”の話なんです。

そして、
それを後回しにするということは、“身体感覚を後回しにする”ということに他ならない。

だから僕は言う。

「ここだけは、絶対に後悔させたくないから、どうか最初に一緒に考えさせてください。」

第5章:家づくりは“波長”でできている ― 空気の合う住まいは、きっと人生とも合う

家づくりに正解なんてない。
どれだけ学んでも、考えても、迷いは残る。
「これで良かったのかな」と、完成してからも思うことだってある。

でもね、僕は思うんです。
家づくりって、波長でできている。

断熱も、気密も、換気も、風の道も。
素材も、動線も、色も、光も。
すべては、そこに住む人と、それをつくる人の“呼吸”が合うかどうかで決まる。

素材の良し悪しじゃない。
設備のグレードでもない。
“つくった人の想い”と“住む人の暮らし”が合っているか。

僕が心から「この家、いいな」と感じるのは、
そんな波長が合っている家。

「何にもないよ。」

ゴウさん、あなたがそう言ったとき、
僕はその一言にすべてが詰まっていると思いました。

断熱・気密・換気が整っていて、
風の通りが生きていて、
誰かが自分らしく笑って暮らしている。

その家は、何にもないけど、すべてがある。

家とは、完成された作品ではない。
**住む人が、日々の暮らしで完成させていく“余白のある器”**なんだと思う。

そして僕たちの仕事は、
その器の中に、ちゃんと呼吸ができる空気を満たしておくこと。

空気の合う家は、きっと人生とも合う。

その言葉を、僕はこれからも信じて、設計と施工に向き合っていきたい。

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