
ダメなグラスウールの施工状況↑防湿層(湿気を壁内に入れないための防波堤)が機能していない良い例。
「セルロースとグラスウール、どっちがいいですか?」 「やっぱり自然素材の方が性能がいいですよね?」
家づくりで、この**「断熱材はどれが正解か?」**という問いに悩む人は後を絶ちません。カタログスペックを比較するのは当然です。
ですが、僕たちはいつもこう答えます。
「どれを使うかより、どう施工するかが、快適性の9割を決めます」
どれだけ高価で高性能な断熱材を選んでも、施工が甘ければ、あなたの家は寒いままです。
今回は、UA値3.7・C値0.7という高性能を基本とする僕が、素材の幻想を打ち破り、「後悔しない断熱」を実現するための設計と施工の本質を公開します。
断熱材の“正解”は存在しない。「完璧な素材探し」が失敗を招く
世の中にはグラスウール、セルロースファイバー、ウレタンフォームなど多様な断熱材がありますが、それぞれに「向き不向き」があるだけで、万能の素材は存在しません。
素材だけを優先すると家の性能は崩れる
かつて、施主の強いこだわりで調湿性に優れる羊毛断熱を採用した現場がありました。しかし、湿気を抜くための内装材設計が甘かったため、素材の良さが活かせず、かえって壁体内の湿気コントロールに苦労しました。
素材ありきで走ると、家全体の性能と設計のバランスを失うという失敗の典型です。
グラスウールでも快適な家はつくれる
コストが安価とされるグラスウールでも、施工精度さえ高ければ真冬に底冷えしない快適な家は実現できます。逆に、高価な断熱材でも、上記の写真のように袋入りの断熱材が隙間だらけで押し込まれていれば、性能の50%も出ていないでしょう。(インスペクション事例)
失敗しないための新常識:素材選びの前に決めるべき「3つの順番」
断熱材の比較から家づくりを始めると、「暮らしの快適性」から遠ざかってしまうことがあります。素材に振り回されないために、考えるべき順番は次の通りです。
- 【暮らし】 どんな暮らしがしたいか(ヒートショックのない家、結露が出ない寝室など)
- 【設計】 その暮らしに必要な断熱性能(UA値)、気密(C値)、換気の全体設計
- 【素材】 設計と予算に合った施工方法を選び、最後に素材を選ぶ
特に、断熱材の性能を最大限に引き出すためには、**C値(気密性能)**という土台が不可欠です。
「穴だらけのバケツ」に水を注ぐ無意味さ
どんなに良い断熱材(水)を使っても、家(バケツ)に隙間(C値の悪さ)があれば熱はすぐに逃げます。断熱材の力を活かすための、「気密性能」という土台の重要性について深掘りしましょう。
施工精度が9割の真実。C値0.7を保証する「職人の技術」
断熱材の性能は、パンフレットの数値ではなく、**「現場でどう扱われたか」**で決まります。
現場で見た「もったいない断熱」の真実
僕が現場でよく見かけるのは、断熱材の知識がない職人が、袋入り断熱材をただ押し込んで終わりという施工です。電気配線や設備配管周りにできるわずかな隙間が、家全体の快適性を根こそぎ奪っていきます。
- 断熱材の圧縮しすぎ・密度不足
- 気流止めの不足
- 気密シートの貼り込み不良
これらはすべて、素材ではなく施工プロセスに問題があります。
C値0.7を保証する「職人の技術」
Greener’s HouseがC値0.7以下を全棟で保証できるのは、現場の職人たちが断熱と気密の基本思想と「なぜそうするか」を理解しているからです。
- 全棟3回測定で、壁を閉じる前に職人の手仕事による隙間を特定し、その場で修正。
- 気密シートの丁寧な貼り込みやウレタン吹き付けなど、素材の力を最大限に引き出す施工方法を選択。
**「断熱材は何がいいですか?」という問いには、「それを誰が、どう使うか次第です」**と僕たちは答えます。
※基本的には断熱気密施工時は僕も施工にあたるか、現場常駐での管理を徹底しています。大工さん任せにはできませんので。
素材を活かす設計とは?UA値3.7達成に必要な「全体最適」の視点
高性能な断熱材も、それを活かす**「設計」**がなければムダになります。
設計と素材の「不一致」を避ける
たとえば、調湿性が高い素材を使っても、内装材がビニールクロスで密閉されていては湿気が逃げません。遮熱材を使ったのに、屋根裏の通気が不完全で熱がこもるケースもあります。
高性能な素材が意味を持つのは、設計者、施工者、素材の特性がすべて調和したときだけです。
地域の気候と予算の「バランス」
断熱材の選び方で最も重要なのは、**「比較」ではなく「バランス」**です。京都の気候特性、予算、そしてC値0.7という土台の上で、費用対効果が最も高い素材を選び、最高の施工精度で仕上げる。これが、UA値3.7という高い性能を達成するための唯一の道です。
「断熱リフォームしたのに寒い」の裏側。
素材選びの失敗ではなく、施工の盲点こそが失敗の原因です。特に京都のリフォームで起こりがちな5つの盲点を知ることが、後悔しない家づくりの第一歩です。
🔗 【合わせて読む】京都の断熱リフォームはなぜ失敗する?リフォーム5つの盲点とは?
まとめ:断熱材の選択は、工務店の「哲学」を選ぶこと
断熱材選びは、実は**工務店の「哲学」を選ぶことです。素材のカタログスペックに惑わされず、「C値の保証」「全棟測定」「職人の技術」**という、目に見えない施工の本質にこだわる会社を選んでください。
あなたの家づくりが、「素材ありき」の失敗ではなく、「施工精度ありき」の成功となるよう、お手伝いします。
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