京都の太陽光リノベは意味ある?後悔しない判断基準と設計の工夫

中古リノベ
  1. 第1章|「太陽光ってつけるべき?」という素朴な問いに、今こそ向き合う
    1. 「導入すれば元が取れる」は、もう時代遅れ?
    2. 京都で考えるべき、“太陽光の現実”
      1. メリット:
      2. デメリット・注意点:
    3. 「再エネ=正義」ではなく、「暮らしに合っているか」
  2. 第2章|屋根の向きと町並みがすべてを左右する
    1. 京都の家で見落とされがちな“太陽の入り方”
    2. 景観条例が設置の自由度を狭める
      1. 対応策としては:
    3. 僕たちは「載せるべき屋根かどうか」から一緒に考える
  3. 第3章|“発電量”より“暮らしの安定”をつくる太陽光の使い方
    1. 売電単価が下がった今、“貯めて使う”が新しいスタンダード
    2. 自家消費を最大化する設計3つの鍵
      1. ① 昼間に電気を使う暮らし方に合わせる
      2. ② 蓄電池+HEMS(エネルギー管理)を導入
      3. ③ 太陽光の「量」より「質」に投資する
    3. 「停電に強い家」=日常が整っている家
    4. 「どれだけ発電したか」ではなく「どう整えて使うか」
  4. 第4章|太陽光は「パネル」じゃなく「設計」で決まる
    1. パネルの性能より、“どう活かせる屋根か”が先
      1. 京都の家にありがちな設計上の制約:
    2. 太陽光は“屋根だけ”じゃなく“家全体”で考えるべき
      1. 設計で考慮すべき要素:
    3. 僕たちが設計に込めているのは、「電気を使う家」から「電気を整える家」へという視点
  5. 第5章|京都で本当に意味のある太陽光のつけ方
    1. 僕たちが考える“意味のある太陽光”の4原則
      1. ① 暮らしのエネルギー循環に組み込まれている
      2. ② 屋根と建物全体にフィットしている
      3. ③ 管理・点検・更新が見越されている
      4. ④ 家族の安心と満足につながっている
    2. 京都では「環境配慮」より「暮らしの整え方」が問われている
    3. 最後に|「載せるべきかどうか」ではなく「どう使いたいか」
    4. ▶ 太陽光を“つけるかどうか”より、“どう活かすか”を一緒に考えませんか?

第1章|「太陽光ってつけるべき?」という素朴な問いに、今こそ向き合う

「太陽光パネルって、つけたほうがいいですか?」

この質問、本当に多くなりました。
でも僕はいつも、すぐに「はい」とは答えません。

なぜなら、太陽光の価値は“つけたかどうか”ではなく、“どうつけたか”で決まるから。
そして、京都という地域においては、その答えは特に繊細なんです。


「導入すれば元が取れる」は、もう時代遅れ?

かつては「10年で元が取れる」「売電収入でプラスになる」など、
太陽光には投資的メリットがはっきりありました。

でも、2025年の現在はどうかというと…

  • 売電単価は年々下落(10円/kWh前後)
  • 初期投資は依然として70万〜150万円程度
  • 買取期間終了後の出口戦略は個人判断に委ねられる

つまり、「経済メリットだけ」で判断するには、もう少し冷静な視点が必要な時代になってきています。


京都で考えるべき、“太陽光の現実”

京都には、太陽光発電の導入に向いている側面と、
向いていない側面が共存しています。

メリット:

  • 電力単価が高止まりしている今、自家消費メリットは高まっている
  • 冬場でも晴天率が高めなエリアでは発電効率も安定
  • スマートホーム化との相性が良く、将来の省エネインフラとして有効

デメリット・注意点:

  • 町家密集地では屋根が小さく、日照条件が限定的
  • 景観条例や屋根形状により、設置位置・角度に制限あり
  • 南面がふさがれていると、年間発電量が大きく下がる

特に京都市中心部では、“太陽光をつけられない家”が多いという事実があります。
だからこそ、自分の敷地と屋根形状に合った判断が必要なんです。


「再エネ=正義」ではなく、「暮らしに合っているか」

太陽光発電は、環境にやさしく、地球にもやさしい。
でも、それが“暮らしにとってもやさしい”とは限らない。

僕が大切にしているのは、
「電力を自給したい」という想いに対して、
本当に快適性・経済性・景観性のバランスが取れているかを、丁寧に考えることです。


第2章|屋根の向きと町並みがすべてを左右する

「うちは南向きの屋根じゃないんですけど、それでも太陽光いけますか?」
そう聞かれたとき、僕はまずその家の周辺環境と屋根の形状を確認します。

なぜなら、太陽光発電において
“設置できるか”と“意味があるか”は別物だからです。


京都の家で見落とされがちな“太陽の入り方”

京都の住宅、とくに町家や狭小地では、
南側に家が迫っていて、直射日光が入らないケースが多い。

  • 三方向を建物に囲まれている
  • 屋根の勾配が浅く、パネルが載せづらい
  • 建物の高さ制限と軒の関係で、日照時間が限られる

これでは、いくら高性能なパネルを載せても、思ったほど発電しない。

太陽光を本気で活かすなら、“日照の読み込み”が最初の勝負ポイントになります。


景観条例が設置の自由度を狭める

京都市内では、多くの地域が景観規制の対象です。
特に第3種・第4種地域においては、「道路から見える場所へのパネル設置」が制限される

たとえば:

  • 南面が道路側の場合→パネルが見えるので設置不可のケースも
  • 北面や東西面しか使えない→発電効率が30〜40%落ちる可能性
  • 片流れ屋根で南勾配でも、反射や景観に配慮が必要

対応策としては:

  • 非光沢・黒系パネルで景観に配慮
  • 傾斜を調整する架台設置(ただしコスト増)
  • パネルと一体型屋根材(ソーラールーフ)を採用

などがありますが、「自由に載せられる」という発想は京都では通用しないことを知っておく必要があります。


僕たちは「載せるべき屋根かどうか」から一緒に考える

僕が太陽光の相談を受けたとき、まずおこなうのは
パネルを載せる前提で話を進めないこと

  • この屋根の角度で何kWh発電できる?
  • 設備費用はいくら?回収年数は?
  • 夏と冬、どちらの自家消費が主になる?
  • 外観を壊さず設置できるか?

これらを全部検討した上で、
「載せると決める」のではなく「載せる価値がある」と確信してもらうこと。
それが、京都の家における太陽光導入の正しいステップだと僕は考えています。


第3章|“発電量”より“暮らしの安定”をつくる太陽光の使い方

太陽光発電を語るとき、昔は「何キロワット発電できるか」「何年で元が取れるか」がすべてでした。
でも今はもう、そんな時代じゃありません。

京都の家づくりにおいて、本当に大事なのは「電気をどう使うか」。

つまり、売るより自分の暮らしにフィットさせる“設計”の力が問われているんです。


売電単価が下がった今、“貯めて使う”が新しいスタンダード

かつては、余った電気を売ることで得られる売電収入が大きな魅力でした。
しかし現在は──

  • 売電単価は1kWhあたり10円前後
  • 一方で、購入電力は30円前後
  • 蓄電池の価格が下がり始めている

つまり、売るより「自分で使った方がお得」な時代に入っている。

この前提に立つと、太陽光は「発電装置」ではなく、**暮らしの中の“電力インフラ”**として位置づける必要があるんです。


自家消費を最大化する設計3つの鍵

① 昼間に電気を使う暮らし方に合わせる

→ 洗濯・食洗機・調理家電・冷暖房などを日中タイマー設定で稼働

② 蓄電池+HEMS(エネルギー管理)を導入

→ 余剰電力を貯め、夜間の照明や冷蔵庫に効率的に活用

③ 太陽光の「量」より「質」に投資する

→ 出力より変換効率・影の耐性・温度特性が重要
→ 京都のような気温差・曇り多め地域では安定稼働性能が鍵

発電量だけを追わず、「どう暮らしに合わせていくか」が、
本当の“回収戦略”であり、エコの意味なんです。


「停電に強い家」=日常が整っている家

災害や停電時に電力を確保できるという安心感。
これもまた、太陽光の見逃せない価値です。

  • 蓄電池でスマホ・冷蔵庫・照明をキープ
  • HEMSで残電力を可視化し、家族の電力意識が変わる
  • エネルギーの「見える化」が、日常の“ムダ”にも気づかせてくれる

これはただの機能ではなく、
家族の暮らし方そのものをリデザインするきっかけになるんです。


「どれだけ発電したか」ではなく「どう整えて使うか」

僕が太陽光をすすめるとき、重視するのは**“自立性”と“循環性”**。
京都という土地で、自然に寄り添いながら暮らすために、
自分の家のエネルギーを、自分でコントロールする視点が大切なんです。

だからこそ──
**「何kWh発電できたか」より、「今日も安心して暮らせるか」**を基準に、
太陽光の導入を考えるべきだと思います。

第4章|太陽光は「パネル」じゃなく「設計」で決まる

太陽光というと、多くの人がまず気にするのは「どのメーカーのパネルを載せるか?」です。
もちろん、性能は大切です。
でも実は、それよりももっと根本的に大切なことがある。

それが、**「どう暮らしと建物に合わせて設計するか」**という視点なんです。


パネルの性能より、“どう活かせる屋根か”が先

どんなに高性能なパネルでも、

  • 屋根の向きが悪い
  • 設置面積が足りない
  • 屋根勾配が発電効率と合わない
  • 雨仕舞いやメンテナンス設計が甘い

こうした条件がそろっていなければ、そのパネルの性能は宝の持ち腐れになります。

京都の家にありがちな設計上の制約:

  • 南面が取れない狭小敷地
  • 片流れ屋根が北向き
  • 屋根面積が小さく、架台が必要=コスト増
  • 景観制限で設置角度や見え方に制約あり

これらを前提にして、「載せるべき屋根かどうか」から逆算する設計が重要なんです。


太陽光は“屋根だけ”じゃなく“家全体”で考えるべき

エネルギーの設計とは、単にパネルを載せることではありません。

  • どの時間帯に電力が必要か?
  • どこで使う電気を、どこで賄うのか?
  • パネルの出力特性が生活スタイルに合っているか?

たとえば、日中在宅が多い家庭なら自家消費効率が高く、
逆に夜型のライフスタイルなら蓄電・HEMS連携がカギになる。

設計で考慮すべき要素:

  • 屋根角度と方位
  • 蓄電池の設置場所と熱条件
  • 分電盤の位置と負荷分散設計
  • パネルメンテナンス動線

こうした“家全体の構成”の中で、太陽光をどう位置づけるか。
それこそが、パネル選定よりも圧倒的に重要なポイントなんです。


僕たちが設計に込めているのは、「電気を使う家」から「電気を整える家」へという視点

今までは、家はただ電気を“使うだけ”の存在でした。
でもこれからの住まいは、電気を生み出し、ため、選び、コントロールできる家であるべきです。

それを支えるのは、
メーカーの性能表ではなく、暮らしに寄り添う“設計図”そのもの。

第5章|京都で本当に意味のある太陽光のつけ方

太陽光発電は、ただ「載せればエコ」「載せればお得」という時代を終えました。
とくに京都のように、都市的な規制と自然条件が交錯する地域では、
「どう設置するか」が、そのまま「意味があるかどうか」に直結します。


僕たちが考える“意味のある太陽光”の4原則

① 暮らしのエネルギー循環に組み込まれている

→ 発電量ではなく、どの生活シーンでどう使われるかを重視

② 屋根と建物全体にフィットしている

→ 構造・勾配・景観・雨仕舞に対して美しく安全に納まっている

③ 管理・点検・更新が見越されている

20年後のことまで考えた設計とルート確保がされている

④ 家族の安心と満足につながっている

→ 「電気をつくれる家」によって、生活に安心と誇りが生まれている

これらがそろっていれば、発電量以上に“生活の質”が変わっていく
それが太陽光の本質的な価値だと僕は思っています。


京都では「環境配慮」より「暮らしの整え方」が問われている

もちろん、太陽光は環境にやさしい選択です。
でも、それだけでは京都という都市にはフィットしません。

  • 風致地区で外からの見え方に気を配る必要がある
  • 隣家や電柱で日照条件が変化するリスク
  • 屋根形状と雨樋の調整で工事費用が想定より上がることも

こうした課題と向き合った上で、
「うちの暮らしにとって意味のある導入だ」と確信できることが、何よりも大切です。


最後に|「載せるべきかどうか」ではなく「どう使いたいか」

僕が太陽光を提案する際、いつも最初に聞くのは「載せたい理由」です。

  • 経済的に助かるから
  • 災害時に安心だから
  • 省エネな暮らしがしたいから

どの理由も間違いじゃない。
でも、その先にあるのは必ず**「どう使いたいか」という“暮らしの設計”**です。

京都のように“住まいの選択肢が限られた地域”だからこそ、
「暮らしに意味がある太陽光」を選ぶことが、家の質を一段引き上げてくれる。

それが僕たちキノスミカの考える、**“太陽光と一緒に呼吸する家”**のかたちです。

▶ 太陽光を“つけるかどうか”より、“どう活かすか”を一緒に考えませんか?

京都で本当に意味のある太陽光の使い方。
それは、暮らしの中でどうエネルギーを整えていくかにかかっています。

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