京都の狭い家でも深呼吸できる|空気を整えるリノベ設計術

中古リノベ
  1. 第1章|京都の敷地はなぜ“住みにくい”と感じられるのか?
    1. 住みにくさの正体は“空気が動かないこと”
    2. 「狭小住宅」という言葉がもたらす誤解
    3. 再建築不可、密集地、三方囲まれ——制約こそ、設計の起点
    4. 空気が動けば、家が整う。家が整えば、人も整う。
  2. 第2章|風が通らない家は、空気が濁る
    1. 空気は、自然には流れない
    2. 空気の流れは、「家の血流」
    3. 給気と排気はセットで考える
      1. ● 計画的な「給気」
      2. ● 計画的な「排気」
    4. 狭い家こそ、風の通り道を精密に描く
    5. 空気が整うと、暮らしの濁りも消えていく
  3. 第3章|素材が空気に働く、ということ
    1. 素材は、ただ見た目を整えるものではない
    2. 狭小空間では、“空気に触れる面積”が暮らしに直結する
      1. ● 杉の床
      2. ● 漆喰の壁
      3. ● 和紙クロス・土壁
    3. 素材が空気に合っていなければ、違和感になる
    4. 素材が活きる家には、静けさがある
    5. 空気と素材が呼応するとき、“深呼吸したくなる家”が生まれる
  4. 第4章|奥に長い家に気配を通す
    1. 間取りが切るのは「空間」だけじゃなく「気配」も
    2. 気配をつなげる設計とは、「視線・音・光・空気」を通すこと
      1. ● 視線
      2. ● 音
      3. ● 光
      4. ● 空気
    3. 閉じるだけでなく、“にじませる”という設計
    4. 「つながってる感じ」が、人の安心感を支える
    5. 奥に長い家は、“気配のデザイン”でつながる
  5. 第5章|断熱と気密は空気の“質”を守るもの
    1. 断熱と気密は“快適”のためだけじゃない
    2. 小さな家ほど、空気の設計がシビアになる
    3. 床下と壁内の“空気の死角”をどう整えるか
      1. ● 床下断熱:高性能グラスウール+気流止め+通気設計
      2. ● 壁内断熱:可変透湿気密シートで季節対応
    4. 気密性が高い家こそ、“空気の逃げ道”が必要になる
    5. 空気の質を守るために、断熱と気密がある
  6. まとめ|“広くなくても、深呼吸したくなる家”は設計できる
    1. 狭小住宅という言葉の先にある、“暮らしの手触り”
    2. 深呼吸したくなる家に、広さは関係ない
    3. 京都というまちの中で、“整える”という提案
    4. 最後に|「この家、深呼吸したくなるね」と言われることが、設計者としてのいちばんの誇りです。
    5. 関連記事|「深呼吸したくなる空気設計」をもっと知りたい方へ
    6. ▶ 広くないけど、深呼吸できる家。見てみませんか?

第1章|京都の敷地はなぜ“住みにくい”と感じられるのか?

「なんとなく住みにくいんですよね」
僕がよく聞く京都の家の悩みは、この一言に集約されています。

実際、間取りを見れば3LDK。築年数も悪くない。価格も希望内。
それでも、「なぜか、息が詰まる気がする」「家にいると疲れる」と話す方が多い。
——その違和感の正体は、空間の広さではなく、空気の通りにくさにあると、僕は思っています。

住みにくさの正体は“空気が動かないこと”

京都市街の敷地は、間口が狭くて奥に長いという特性があります。
俗にいう「うなぎの寝床」ですね。

  • 南側に隣家が迫っている
  • 道路は北側のみで、光も風も届かない
  • 窓はあるのに、風が抜けない
  • 冬は底冷え、夏は湿気がこもる

こうした状況で暮らしていると、
家そのものが“空気の袋”のように滞ってしまう
それは見た目の問題でも、面積の問題でもない。
「空気が整っていないこと」が、住みにくさの正体なんです。

「狭小住宅」という言葉がもたらす誤解

一般的にはこうした敷地を“狭小住宅”と呼ぶことが多いですが、
この言葉には「妥協」や「我慢」というニュアンスがつきまといます。

でも、僕は違う見方をしています。

狭いからこそ、
空気の流れを設計する価値がある。
素材の手触りがダイレクトに暮らしに響く。
空気、音、気配が、生活の質を支える。

それは、ただの住宅ではなく、
「深呼吸できる器」としての家なんです。

再建築不可、密集地、三方囲まれ——制約こそ、設計の起点

京都の敷地は、再建築不可や変形地など「設計者泣かせ」と言われる要素がたくさんあります。
でも僕たちからすれば、それは設計が光る場所です。

  • 建て替えられないなら、“空気を入れ替える”設計を
  • 変えられない構造なら、“風を抜く”余白を
  • 窓を大きくできないなら、“素材で呼吸させる”

こうした制限の中に、設計の本質がある。
それが、キノスミカが京都で家づくりを続ける理由のひとつです。

空気が動けば、家が整う。家が整えば、人も整う。

「なんか気持ちいいんです」
僕たちが手がけた家に来た人が、最初に口にする言葉です。
広くなくても、豪華でなくても、深呼吸したくなる家はある。
それは、空気が整っているからです。

家は、構造でも間取りでもなく、
**“空気が人を包む器”**として、はじめて心地よくなる。

それが、僕たちキノスミカの設計思想であり、
「狭小住宅」ではなく、**“空気から再設計する家”**を届ける理由です。

第2章|風が通らない家は、空気が濁る

風が抜けない家は、見た目にはわからないけれど、
確実に「空気の質」が落ちていきます。

  • 朝起きた瞬間に感じる、どんよりと重たい空気
  • リビングにこもる湿気と生活臭
  • 帰宅したときに漂う“家のにおい”

これは、**風が通らない家特有の“濁った空気”**です。
そしてその原因は、単純な「換気不足」ではありません。
空気の通り道が、設計されていないこと。

空気は、自然には流れない

多くの人が、「窓を開ければ風は入る」と思っています。
でも、京都の密集地に建つ家では、それが成立しない。

  • 風が通る“入口”と“出口”がそもそもない
  • 前後に窓があっても、家具や壁でふさがれている
  • 風が動くための“余白”が、どこにもない

つまり、空気は設計されなければ流れない。
これは僕たちの家づくりで、何度も何度も確認してきたことです。

空気の流れは、「家の血流」

家にとっての空気の流れは、
人間でいうところの“血流”のようなものだと思っています。

  • 血が巡らないと、身体は冷え、内臓が疲れる
  • 空気が巡らないと、家は冷え、湿気が滞り、においが濃くなる

家の空気が濁っているとき、そこに住む人の身体や気持ちも、なんとなく重くなる。
深呼吸したくてもできない、そんな感覚になる。

だから僕たちはまず、空気の入口と出口をつくることから始めます。

給気と排気はセットで考える

“風が通る家”というと、窓の配置や開放感ばかりが注目されがちですが、
実際にはもっと計画的に設計する必要があります。

● 計画的な「給気」

  • 給気口はどこに設けるか?
  • フィルターで花粉やPM2.5をカットできるか?
  • 給気位置が低すぎて冷気が直撃していないか?

● 計画的な「排気」

  • 湿気やにおいがたまりやすい場所(脱衣所・キッチン)に排気があるか?
  • 排気口に到達するまでに“空気のルート”が設計されているか?

空気は「入れるだけ」でも「出すだけ」でも意味がありません。
“巡る”ことが、本当の快適を生む条件なんです。

狭い家こそ、風の通り道を精密に描く

僕たちが京都の狭小住宅で設計するとき、
家のどこに風が“曲がり”どこで“滞留する”かを、図面の中で読み解いていきます。

  • 空気が抜けるラインができているか
  • 天井高や階段、吹き抜けで上下の流れが確保できているか
  • 引き戸を開けたときに、風が1階から2階へ上がる構造になっているか

これらを**ミリ単位で整えることで、空気は“呼吸するように動く”**ようになります。
広くなくても、風が流れれば、心地よさは生まれる。

空気が整うと、暮らしの濁りも消えていく

風が抜ける家に変わったとき、
空気は軽くなり、素材の香りが立ち、湿気が抜け、暮らしの感覚が一変します。

「家に帰ったときの感じがまるで違う」
「朝起きて、深く息が吸えるようになった」

僕たちが届けたいのは、そういう**“体感でわかる変化”**です。
そしてそれは、風が通るだけではなく、巡るように設計された空気があるからこそ生まれるもの。

深呼吸したくなる家とは、
**空気が滞らず、暮らしの気配が“ちゃんと流れている家”**だと、僕は思っています。

第3章|素材が空気に働く、ということ

「家の空気が変わった気がする」

リノベーション後に住まい手からこう言われることがあります。
でも、空調機器を変えたわけでも、部屋数を増やしたわけでもない。
唯一、変えたのは**“素材”**でした。

僕はこの瞬間に、設計者として深く手応えを感じます。
空気は、見えないけれど確かに“素材の質”に影響を受けている。


素材は、ただ見た目を整えるものではない

よく「自然素材の家って見た目が柔らかいですよね」と言われます。
確かにそうかもしれない。でも僕にとって素材は、
空気の質感そのものをつくるものだと思っています。

  • 杉の床を使うと、空気が静かになる
  • 漆喰の壁を塗ると、においが薄れていく
  • 和紙を張った壁は、湿度をやさしく調整する

これらは、ただのインテリアではなく、空気に働きかける道具なんです。


狭小空間では、“空気に触れる面積”が暮らしに直結する

面積が小さいからこそ、素材の質が生活に与える影響が大きくなります。

● 杉の床

  • 足音が軽やかに吸い込まれていく
  • 冬でもひんやりしにくく、体温を受け止めてくれる
  • 木の香りが空気に溶け込んで、空間全体にやわらかさを与える

● 漆喰の壁

  • カビやにおいの吸着性
  • 呼吸性による空気の整流作用
  • 光を反射して空間の明るさまで変える

● 和紙クロス・土壁

  • 吸音・吸湿・吸臭の三拍子
  • 狭い空間でも“気配をまるく包む”ような効果

僕はよく、素材の選定は空気の味付けと同じだと言います。
料理でいえば“出汁”のような存在。
目立たなくても、それがなければ空気は美味しくならない。

素材が空気に合っていなければ、違和感になる

ここが重要なポイントですが、
いくら高級な素材でも、空気の流れや湿度が整っていなければ、かえって不快さを助長します。

  • 湿気がこもる空間に無垢材を使えば、床が反る
  • 空気が動かない部屋に和紙を使えば、カビが出る
  • 結露する壁に漆喰を塗っても、劣化が早い

素材は“空気と会話しながら生きていくもの”。
だからこそ僕たちは、空気の器としての設計が整った後に、素材を選びます。

素材が活きる家には、静けさがある

よく、僕たちがつくった家に来た人が、こう言います。

「静かですね」
「なんか、音がやわらかい」
「話し声が疲れない感じがする」

それは、空気が素材と共鳴しているから
音も湿気もにおいも、素材が優しく受け止めているから、
暮らしの輪郭が、ふっとにじむような空気になるんです。

空気と素材が呼応するとき、“深呼吸したくなる家”が生まれる

空気を整えるだけでも、素材を選ぶだけでも、足りない。
でもこの二つがかみ合ったとき、
人は本能的に「ここに居たい」と感じる空間が生まれる。

それが、僕たちがめざす**“深呼吸したくなる家”**です。
見た目ではなく、香りでもなく、
「空気の手触りそのもの」をつくるのが、素材という設計要素なんです。

第4章|奥に長い家に気配を通す

京都の家には、特有の「奥行きの深さ」があります。
間口が狭くて、細長くて、部屋が縦に並んでいる。

よく「うなぎの寝床」と言われるように、
こうした家では、人と人との“気配”が途切れやすいんです。

  • 奥の部屋で子どもが何をしているのかわからない
  • 家の中に家族がいるはずなのに、音も気配もしない
  • 自分の部屋だけが“別の空間”のように感じる

これは「狭いこと」そのものよりも、
“つながりの線が設計されていないこと”が原因だと、僕は考えています。


間取りが切るのは「空間」だけじゃなく「気配」も

住宅の間取りは、人の動線を整えるためにつくられています。
でも、それだけでは**“気配の動線”**までは設計されていない。

  • 閉じたドア
  • 区切られた壁
  • 吸音材で囲まれた個室

こういった構造は、一見「快適」に見えますが、
人の存在感を遮断してしまうと、どこか“孤立感”を生んでしまうんです。


気配をつなげる設計とは、「視線・音・光・空気」を通すこと

“気配がつながる家”をつくるために、
僕たちが意識しているのは、視線・音・光・空気の“抜け”です。

● 視線

  • 室内窓/欄間/吹き抜けで、空間のつながりをつくる
  • 廊下や階段の先に“誰かのいる空間”が見えることが大切

● 音

  • 音が届きすぎず、でも消えすぎない設計
  • 漆喰や杉の素材が、音を“まるくして通す”

● 光

  • 家の奥まで光を届けるための反射・透過の設計
  • 内部窓や透ける素材を使って、“光の気配”を伝える

● 空気

  • 風の流れが、人の存在感を家中に運んでくれる
  • 生活音+空気+匂いの流れ=“気配の空間”

家族の「気配」をどう設計に組み込むか。
これが、狭小住宅においては最大の暮らし心地の鍵になります。

閉じるだけでなく、“にじませる”という設計

特に子育て世代や共働き家庭では、「個室が必要」という要望が多くなります。
でも、個室=孤立ではなく、“つながりのある個”をどう設計するかが重要です。

  • 音が届くけれど気にならない壁
  • 光が漏れるけれどまぶしくない素材
  • 視線が抜けるけれど、プライバシーが守られる間仕切り

空間を“完全に区切る”のではなく、
にじませながらつなげていく
この絶妙な距離感が、気配を宿す家の設計なんです。

「つながってる感じ」が、人の安心感を支える

家族がそれぞれの場所で別のことをしていても、
なんとなく“つながっている”感覚がある。
これが、暮らしにとってとても大事だと僕は思っています。

  • 朝、誰かが階段を降りてきた音がする
  • 台所の匂いが奥の部屋まで届く
  • 窓の向こうに家族の影が見える

それだけで、人は“ひとりじゃない”と感じられる。
そしてその感覚は、広さではなく設計の工夫で生まれるものです。

奥に長い家は、“気配のデザイン”でつながる

「気配が通る家」には、深呼吸できる安心感があります。
空気が、光が、音が、視線が——
空間をゆっくり巡っていくとき、
人の存在も一緒に巡っていく。

京都の奥に長い家を、ただ“広げる”のではなく、
“つなげる”ことで整える
それが、僕たちキノスミカの設計思想です。

第5章|断熱と気密は空気の“質”を守るもの

「この家、なんか“ぬるい”感じがする」

エアコンは効いているのに、どこか足元が冷えて、頭がボーっとする。
室温は適正なのに、空気がこもっているように感じる。

そんなとき、僕たちが疑うのは断熱と気密のバランスです。
温度ではなく、“空気の質”が整っていない状態

家の中の空気がきちんと保たれていなければ、
どれだけ暖房を効かせても、素材を使っても、「深呼吸したくなる家」は成立しません。

断熱と気密は“快適”のためだけじゃない

断熱=寒さ対策。気密=省エネ。
確かにそうです。でも、僕たちの設計ではもう一段深い意味があります。

それは、空気の「質感」を保つための仕組みとしての断熱・気密。

  • 冷たい空気を室内に入れない
  • 室内のあたたかい空気を逃がさない
  • 湿気の移動を制御して結露を防ぐ
  • 空気が“淀む場所”をつくらないよう導線を守る

つまり断熱・気密とは、空気の“輪郭”を設計する行為。
空気がゆっくり、優しく、安定して巡るための“器”なんです。

小さな家ほど、空気の設計がシビアになる

狭小住宅や町家では、空間の余白が少ないぶん、
空気の質に対する人の感覚が鋭くなります。

  • 床からの冷気がダイレクトに体に伝わる
  • 湿気の滞留が“におい”や“カビ”になって現れる
  • 気密が取れていないと、風が漏れて空調が安定しない

面積が小さい分、たった1箇所の隙間や冷気の侵入が、家全体の“空気バランス”を崩す。
だからこそ、狭い家にこそ、丁寧な断熱と気密が必要なんです。

床下と壁内の“空気の死角”をどう整えるか

僕たちが断熱・気密設計で特に気をつけているのは、
床下と壁の中の空気です。

● 床下断熱:高性能グラスウール+気流止め+通気設計

→ 冷気と湿気を遮りつつ、空気が淀まないように“動線”を確保する

● 壁内断熱:可変透湿気密シートで季節対応

→ 冬は防湿、夏は通気。壁が呼吸する設計にする

断熱と気密は「閉じるため」ではなく、“巡らせながら守る”ためにある。
これが、キノスミカの設計のベースです。

気密性が高い家こそ、“空気の逃げ道”が必要になる

ここで一つ、誤解されがちな話があります。

「気密性を高めると、空気がこもるのでは?」
答えは逆です。気密が高いからこそ、“空気をどう抜くか”が設計できるんです。

気密が低い家では、どこからともなく空気が入り、どこからともなく抜ける。
それはつまり、空気が“設計されていない”ということ。

気密性があることで、給気と排気のルートを明確にできる。
そして、風の通り道を“描く”ことが可能になる。

これこそが、呼吸する家づくりの真髄です。

空気の質を守るために、断熱と気密がある

空気の質は、温度や湿度だけじゃない。
「どう流れ」「どこで滞り」「どう出ていくか」まで設計されて、はじめて整う。

断熱と気密は、**その空気の質を守る“見えない技術”**です。

狭いからこそ、気流は繊細になる。
だからこそ、僕たちは“構造の裏側”にこそ丁寧に手をかける。

それが、「深呼吸したくなる家」を根っこから支える設計です。

まとめ|“広くなくても、深呼吸したくなる家”は設計できる

「狭いから、しょうがない」
「この土地では、あきらめるしかないですよね」
そう言って、半ばあきらめるように家を選ぶ人が、本当に多い。

でも僕たちは、ずっとそれに違和感を持ってきました。

“広さ”が心地よさを決めるわけじゃない。
暮らしやすさは、「空気がどう流れ、どう響き、どう抜けるか」で決まる。
そしてその空気の設計こそが、僕たちキノスミカの仕事です。

狭小住宅という言葉の先にある、“暮らしの手触り”

僕たちは“狭小住宅”という言葉を、ただのジャンルとして扱っていません。
それはむしろ、空気と暮らしの質が問われる、設計者にとって一番面白い領域だと思っています。

  • 風が通らないなら、通り道をつくる
  • 光が入らないなら、反射と透過で導く
  • 床が冷えるなら、空気の層ごと設計する
  • 気配が途切れるなら、視線・音・素材でつなげる

すべては、“空気の器”として家を再構成していく作業です。

深呼吸したくなる家に、広さは関係ない

僕たちが目指しているのは、「見た目の豪華さ」や「間取りの正解」じゃない。
目には見えないけれど、そこに入った瞬間、
「なんか気持ちいい」って感じられる家。

その感覚の正体は、空気の流れ方であり、素材の香りであり、湿度と音のバランス。
つまり、設計された空気の質感にあるんです。

だから、たとえ狭くても、暗くても、細長くても——
深呼吸したくなる家は、ちゃんとつくれる。

京都というまちの中で、“整える”という提案

京都の住宅事情は、法規制や敷地の形状、再建築不可や密集地など、
制約のオンパレードです。

でもだからこそ、設計には意味がある。
整えることで、暮らしが変わる。
変えられない土地でも、空気と暮らしの“質”は変えられる。

僕たちは、そんな提案を続けていきたいと思っています。


最後に|「この家、深呼吸したくなるね」と言われることが、設計者としてのいちばんの誇りです。

家の中で、ふと息を吸ったときに——
その空気が軽くて、静かで、心地よかったら、
それはもう、良い設計だと僕は思う。

空気を設計する。
気配をデザインする。
素材に語らせる。
光を導く。

そのすべてを通して、僕たちは
“広くないけど、深呼吸したくなる家”を設計しています。

関連記事|「深呼吸したくなる空気設計」をもっと知りたい方へ

▶ 広くないけど、深呼吸できる家。見てみませんか?

風が通らない。湿気がこもる。気配が切れる。
そんな悩みのある京都の家でも、空気を整えることで“なんだか気持ちいい家”はつくれます。

施工事例を見る
狭小敷地・再建築不可物件の相談をする
Kindle書籍『深呼吸したくなる家』を見る